東方恋愛伝   作:ターメリック

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人の下剋上

まず動き出したのは萃香だ。地面を抉るその一歩は一瞬で俺たち三人との間合いを詰める。

しかし俺は暗黒を纏い萃香の攻撃を避けずに真っ向から殴りかかる。その時拳と拳がぶつかり合いあたりに衝撃波が飛ぶ。だがそんなことは今は関係ない。相手である萃香と全力でぶつかりあっているのだから。

ぶつかりあった拳は反発し互いに吹き飛び間合いが開く。

「なるほど、手加減はいらないと言うだけはあるね。あの日から見違えるほどに強くなっている」

「当たり前だ。あんたを倒すために俺たち三人は死に物狂いで特訓をしたんだ。生半可な攻撃なんかじゃ俺たちはやられねぇ!!」

「今度はこっちから行くぜ!!」

流鬼が仕掛ける。それに合わせて剣も魔法を唱える。

電気を帯びた流鬼のスピードは音速を遥かに超えるスピードで萃香の後ろへ回り込む。一方で剣はクエイクを使い萃香の足元を崩しにかかる。

二人に負けじと俺も技を使う。

「波動よ…闇符ダークフレイム」

「後ろもらった!迅速超速雷王拳」

先に流鬼の超速雷王拳がヒットして萃香は少しだがバランスを崩す。そこに追い討ちをかけるようにクエイクが地面を割り萃香は宙に投げ出される。その萃香にダークフレイムが命中した。

「少しは効いただろ」

「なかなかいい連携だね、符の壱投擲の天岩戸」

萃香の声が聞こえた次の瞬間、俺は数十メートルほど吹き飛ばされた、大きな岩と共に。しばらく地面を転がり止まったところでゆっくりと立ち上がる。

やっぱり強いな、てか岩飛ばしてくるとかどんだけ腕力あんだよ!

「ならこいつで消しさってやる。滅符ファイナルフレア」

剣が唱えた直後有無を言わさずに萃香の真下の地面が爆発する。砂煙が舞い上がり視界が悪くなった。

少しずつ見えるようになってきて萃香のたっていたところを見ると大きなクレーターが出来ていた。萃香の姿はそこにはなかった。

「なかなかの高火力だったな、あれなら流石の萃香でもだいぶ効いただろうな」

「符の弐坤軸の大鬼」

「しぶいといねー」

そう思っていると上から巨大化した萃香が勢い良く落ちてきた。

「巨大化!? 剣!! 逃げろ!!」

「間に合わねぇ、ならば護符マルチウォール」

萃香はそのまま剣を踏みつぶした。

足を上げると剣が倒れていた。

「くっ、化け物かよ……威力が半端じゃないぞ……」

「にゃっはははは!!まだまだ甘いよ!!」

「ふん、大きい分攻撃も当てやすいってもんだ!雷符グラビティサンダー!」

「うぐっ、この雷結構威力あるね……でも負けるわけにはいかない!!」

空中にいた流鬼は裏拳を直に受けて地面に激しく激突した。

「ぐはっ!!」

「まだまだ!!能力全開だー!!」

すべての力を振り絞り暗黒のオーラを全身に纏う。萃香は驚いた表情をしている。

「まずは一撃!!」

大きくなった萃香の腹めがけて一瞬で間合いを詰め殴りかかる。攻撃は避けられる事無く吸い込まれるように腹にくい込む。

「うっ!!ぐっ!!」

この戦いで萃香は初めて膝をついた。巨大化していた体は元の大きさに戻っていった。

「前の一撃とは比べ物にならないほどの威力だね。かなり効いたよ。世界は広い、鬼に匹敵するくらいの人間だっていることを知った。この数百年で初めて見る最強に最も近い人間がまさか幻想郷の外から来たあんたたちだったとは。驚きを隠せないよ」

「そりゃあそうさ!なんせ人間にはあんたたち妖怪や鬼にはない無限の可能性ってのがあるんだから。短い人生の中でその可能性に挑戦させてくれた萃香には感謝してる。だからこそここで決着を付ける!」

「いいよ、お互いに恨みっ子なし、正真正銘最後の攻撃だ!」

「行くぞ!これが俺たち三人の無限の可能性だ!勝符インフィニティ・ライトニングボルト!!」

「これで決める!!百万鬼夜行!!」

二つの大きな力がぶつかり合う。

しばらく攻撃は膠着状態に陥る。しかし、勝負が決まったのは一瞬だった。

俺たちの攻撃が萃香の攻撃を飲み込んで萃香を包み込んだ。

満月の夜の平野に一筋の光が天に登っていった。

それが弾けて消えると同時に決着がついた。

「あーあ、負けちゃったよ」

「萃香、ひとつ聞きたいことがあるんだけど」

「なんだい?」

「なんで最後力を抜いたんだ?」

「あんた、よくわかったね」

「だってあのままずっと膠着状態が続いていたら確実に俺ら負けてただろうし」

「そうかな、私には膠着状態が続いててもこの結果は変わらなかったと思うよ」

俺ら三人は驚いた。なぜそんなことがわかるのかと。

「なんでそう思うんだ?」

「それはね、あんたたち三人の気持ちの強さがあるから。いくら私の力とあんたたちの力の差はあっても気持ちの強さに差があれば力の差なんていくらでもひっくり返すことなんて簡単なのさ。それがわかったから私は負けを認めたんだ」

笑いながら萃香は語ったが、その目はどこか寂しげな感じがした。

 

俺たち三人は今回の異変を通して勝負において最も重要なものを知ることができた。

気持ちの強さ、前々から感じてはいたが本当に強くなれると証明できたのは萃香のおかげだ。

「なぁ萃香、今度宴会しないか?」

「宴会!?したい!!」

「じゃあ霊夢に話しておくから日程決まるまで待ってて」

「わかった、私は紫に、頼めばいつでも私のところに来れるように言っておくから日程決まったら紫に教えてあげて」

「了解、それじゃあ楽しみにしてるぜ」

 

こうして萃香との決着がつき、異変は無事解決した。

そして後日、博麗神社で大宴会が開かれ夜どうし酒を飲み続けたのだった。




今回短めになってしまいましたが楽しんでいただけたでしょうか?
それでは次回また会いましょう。
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