異世界パラド   作:ヒャル

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オリジナル日刊ランキング35位……!?
これは連日投稿の構えを緩めるわけにはいかぬ!


ファーストコンタクト

 EU4において、州の価値は“開発度”と呼ばれ、税収・生産・人的資源の3種類ある。

 税収はその名の通り税収、生産は州ごとに設定された交易品の生産量、人的資源は国家に提供する兵という意味での人的資源。

 最低値は1で、北アフリカの不毛な砂漠などではオール1の開発度3の州もあれば、豊かなイタリア半島などでは開発度40超えの州もある。

 

 そして、新国家“パラド連合帝国”の州の開発度は……ヨハンボルグ以外0だった。

 

 何故ゲームでの下限である1すら下回る0になっているかと言えば、人が住んでいないからだ。

 EU4の国家が領有する州には、当然ながら住人が住んでいる。原住民が一人もいない無人島はあるしそのような州にも開発度は設定されているが、それは入植が完了しなければ、つまり植民者によって人口が一定以上に達しなければ開発度が適用されないからだ。

 

 一方の我がパラド連合帝国領は、俺が作った街以外人っ子一人住んでいない。人がいない土地から税が取れるわけもないし、特産品の生産も行われなければ兵士が出てくることもない。

 

 そして、EU4には君主点というポイントを使って開発度を増やすことができる。

 第一次国土拡張計画を終えた後のこと。管理できない遠方の土地はそのままにしておいたが、ヨハンボルグなどシティスカパワーで作った街周辺の土地は軽い気持ちで手動開発(DEVポチ)した。これが思わぬ結果を招いた。

 

 元々人口0であるが故に開発度は本来ありえない0になっていたのであり、どれか1つが1になることでその為に人口が発生し、他2つの開発度も発生して開発度1-1-1の州になった。それはいい。

 

 ――近代ヨーロッパの人口に対する徴兵可能割合は、現代と変わらず2.5%ほどだと聞いたことがある。

 フリードリヒ大王時代のプロイセンは4%でこれが欧州でも特に大きい数字とされていたことから、これはそう間違ってはいないのだろう。

 そして、人的資源の開発度1につき、国家人的資源に+250の補正が与えられる。

 

 …要するに、開発度1の土地になっただけで、1万人の人口がポップしたのだ。

 

 幸いと言うべきか、ポップしたのは近代レベルの知識しか持たない未開人ではなく、実質的首都となっているヨハンボルグの知識レベルが参照されたのか教育レベルはともかくとして現代の一般常識を備えたパラド星人たちだった。

 しかし、形あるその土地まではEU4の制限から抜け出せておらず、出来た村や街の文明レベルは19世紀初頭レベルだった。

 

 自分たちの土地は白熱電球すらない文明レベルなのに近くには現代仕様の街があって、更に自分たちは封建社会の農民のように土地に縛られていない。

 ――当然、移住するよね。

 

 というわけでシティスカパワーで作った諸都市に大量の労働力が流入したのだ。

 

 

 問題は都市側に受け入れる力があるという点であるが…キャパシティという点では、問題は無かった。

 

 またゲームのシナリオの例えになるが、“島を跳び回れ”というシナリオは建築に適した土地が21%しかない群島マップで人口25万人以上を目指すものである。

 つまり、そんな狭い土地のマップでも25万人を受け入れられるキャパシティがあるのだ。

 

 ついでに言うとゲームでは25タイルの内9枚までしか開発できない制限が、俺は25枚全部購入できるようになっているのでゲームの時よりも更に多くの土地を使い人口を受け入れられるようになっている。

 “島を跳び回れ”を基準にすると建築に適した土地が69%あり、25タイル全てが使える“マーブルキャニオン”は単純計算で200万以上の人口を受け入れられるキャパシティがあることになるのだ。

 

 …まあ、突然大量の住宅と職場を用意しなければならなくなった俺と、現場で流民の秩序ある受け入れ作業を担当した警察は凄く忙しい思いをすることになったけど。

 

 

 開発度を上げると労働者1万人が生えてくることが分かって以降は、クリスティーナたちと相談して事前に住宅団地を整備したり、大量の公立図書館と学校を建設して促成の頭脳労働者を量産したりと効率的に都市人口を増やしていった。

 

 生えた住民が皆移民していって残されたゴーストタウン(19世紀仕様)については、無駄にするのも勿体ないのでHOI4システムで鉄道を繋ぐと共にEU4より文明的な“Victoria”…Vic3のシステムで農園や採掘場などの施設を建設し、住宅やインフラの近代化は各都市の土建業者に開発を依頼することにした。

 

 おかげで俺の力で作ったシティスカ都市の周辺にも、少しずつ居住地が広がりつつある。都市に人口が集中し切ってしまっているのは問題といえば問題だが、各都市がキャパオーバーになれば自然と受け入れ態勢が整っている周囲の開拓地に移住していくことだろう。

 

 

「…半年くらいでこれだけやったんだから、暫くだらだらしても文句は言われないよな……」

 

 人口は一千万を突破し、統治の為にHOI4のシステムで政治力を使用して政治家たちを雇用し帝国政府を設置した。

 俺がいなくても現状維持なら国は回るだろうし、一ヶ月くらい引き籠ってゲーム三昧してても……

 

コンコン

 

「…どうぞ」

 

 ノックの音にガバっと起き上がってから入室を許可する。

 

「市長、市長のご判断を仰ぎたい案件が発生しました」

 

「クリスティーナですか。何がありました?」

 

「シレーヌ王国からの逃亡奴隷と思われる2人組が北の山地を通過したとのことです。何もしなければ、いずれ都市まで到達するかと思われます」

 

「亡命者ですか…」

 

 内政に専念して北のシレーヌ王国は諜報員を潜ませる以外のアクションを取ってこなかったが…いい加減動くべき時が来ているのかもしれない。

 

「…ベリヤ局長は、あらゆる手段の対応が準備できているとのことです。どのアクションを選ぶかは、市長のご判断に任せると」

 

「あらゆる手段ですか…ベリヤが言うからには、“なかったことにする”のも選択肢に入っているんですかね?」

 

「…恐らくは」

 

 『死がすべてを解決する。人間が存在しなければ、問題も存在しないのだ』って筆髭も言ってるけどさぁ…

 

「そのような強硬手段を取る必要を認めません。亡命者に対しては庇護者として振舞い、温かく保護するように。情報を引き出すにしても尋問などはせず、その心に寄り添いながら自発的な情報提供を心掛けてください」

 

「承知いたしました」

 

 クリスティーナも同意見なのか、少しだけほっとした様子だ。

 

「ちなみにどんな二人組なのですか?」

 

「ダークエルフとエルフの女性とのことです。見た目は10代くらいでしたが、種族が種族ですので実年齢は不明とのこと」

 

「エルフにダークエルフですか……」

 

 ファンタジーとしては王道……そして、俺にとってはこの世界に来て初めてのファンタジー要素だ。

 ……会ってみたいな。

 

「…私も直に話してみたいと思います。出発の支度を」

 

「…市長」

 

「わかっていますよ、ちゃんとクリスティーナとキャロルも連れていきます。ボディチェックはベリヤの方でしてくれるでしょうけど、万一ということもありますから」

 

 クリスティーナにはこの街…というか国の代表として腰が軽過ぎると時折窘められている。

 住んでいる場所だって、以前は温泉リゾートの一室を借りていたのを『警備上の問題があり過ぎる』『威厳がない』と言われ、今では歴史的な古城を高級ホテルに改装した“歴史あるホテル”を領主の屋敷へと逆改装させたものに住んでいるが、そこまでやる必要あるんだろうか…?

 

(まあ、外部の人間と会うからには舐められないことも大事、か)

 

 

 クリスティーナの運転で亡命者たちが送られたという警察施設に到着する。

 警官たちから敬礼されつつ足を進め、案内された部屋では数人の内務省職員がガラスの向こうを見て記録を取っていた。

 

「これは陛下、直々にお越しとは」

 

 こちらに気づいた職員たちが一礼し、眼鏡をつけた男が一歩進み出る。

 

「今後を考えればとても重要な案件ですからね。局長である貴方がわざわざ現地に赴いているということは内務省でも同じ見解なのでしょう?ベリヤ」

 

「はは、どちらかと言えばエルフとやらを一目見てみたかったというのが大きいですが」

 

 そう言って、内務省特別公安警備局局長ラヴレンチー・ベリヤはガラスの向こうをじっと見つめる。

 そこには、内務省職員と会話するエルフとダークエルフの姿があった。

 

【挿絵表示】

 

 

【挿絵表示】

 

 

「エルフは長命な分成長が遅いのかと思っておりましたが、そうでもなさそうですね」

 

「…彼女らは将来の同胞ですから、丁重に扱ってくださいね?」

 

 幼げだが胸は豊満なエルフの少女に、残念そうに呟くベリヤに釘を刺すように言っておく。

 

「わかっておりますとも。素晴らしい文化を教えてくださった恩に報いる為にも、陛下の御意志に背くようなことは致しません!」

 

「そうですか。……彼女らと直接話したいのですが、問題ありませんか?」

 

 ベリヤ(ロリコン)の相手を真面目にしても疲れるだけなので適当に流して、機材を操作している職員に尋ねる。

 

「勿論です陛下。武器の類は取り上げておりますし、ダークエルフの方は幾分か心得があるようですが暴れても傍にいる職員が問題なく鎮圧できるかと」

 

「よろしい。では、お邪魔させていただきましょうか」

 

 俺が行くことを伝えてもらい、ガラスの向こうの部屋へと足を踏み入れる。

 そこでは、ダークエルフとエルフが椅子から降りて床に跪いていた。……なんで?

 

「えっと……そんなことをしなくても、普通に椅子に座ったままでいいんですよ?」

 

「いいえ!救世主様にお目通りするのに、そのような無礼を働くわけには…!」

 

「…私のこと、どんな風に話したんですか?」

 

 眉を潜めつつ、2人と話していた内務省職員に尋ねる。

 

「連合帝国の統治者であり、そのお力で一瞬で街を築き、山を削り、道路を張り巡らせ、家々を建てる方だと」

 

 事実陳列罪って知ってる!?

 

「あー……たしかに私は凄い力を持ってはいますが、精神は一般人と変わりませんので。そのように跪かれていると落ち着かないので、椅子に座っていただきたいのですが」

 

「…そのご温情によって保護していただいたというのに、厚かましくも更にお願いをしようというのだから、これは当然のこと」

 

「…というと」

 

「北の入り江では、シレーヌと名乗る魔族を長とする集団によって、同胞たちが奴隷に落とされ今も苦しんでいる。どうかそのお力で、彼女たちを救っていただけないだろうか……!」

 

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