「それでは、第四次国土拡張計画を始めていこうと思います」
真新しい列車を前に、新たな都市群の開発を始めることを小さく宣言する。
第一次から第三次国土拡張計画ではシティスカパワーで生み出したキャンピングカーで大陸を駆け回ったが、ヴァラド大陸の沿岸部は山岳地帯が多く車を走らせるには不向きだ。
なので、今回はHOI4のシステムで大陸沿岸部をぐるっと一周する線路を敷き、列車に乗って沿岸部を移動しながらシティスカマップで街を作っていこうと思う。
「つまり、大陸一周列車の旅ってわけですね!楽しみです!」
自分用のお泊りセットをカバンに詰めたキャロルが嬉しそうに声を上げた。
「いやまあ、間違いではありませんが…基本何もない海沿いを走るだけですから、楽しいものではないと思いますよ?」
「そんなことはありません!だって市長と一緒ですし…何も無いならそれはそれで、市長といっぱいお話できますよね?」
最近忙しくて相手をしていなかったせいか、飼い主が出張から帰ってきたゴールデンレトリバーの如くブンブン振られる大型犬の尻尾が幻視される。
「キャロル様の言葉に同意いたします。そも、道中で救世主様の権能が振るわれる光景を見られるのですから、どこに退屈できる要素がありましょうや」
キャロルの言葉に頷くのはヴァラド教会のシスター、アンナリーゼだ。
俺が沿岸部に街を作って回るのでしばらくヨハンボルグを離れると伝えると、是非見学させてほしいとヴァラド教会の面々から要請が殺到。
大勢のシスターを引き連れての大陸一周は面倒が多すぎるので1人に絞れとクリスティーナが突き返した結果、壮絶な争奪戦を勝ち抜いたのが彼女らしい。
ちなみに随分と露出の多いシスター服を着ているが、これは彼女が露出趣味だからではない。
そもそもこの世界の宗教はヴァラド教であり、キリスト教は存在しない。キリスト教では人間は原罪に塗れた存在で肌の露出は男女問わず罪深い行為とされたが、ヴァラド教にそんな教えはないのだ。
むしろ、人体を創造神の創造物として誇る傾向があることから、容姿に優れる者が露出の多い恰好をするのは神の偉大さを讃える行為になるそうだ。
…今は女ばかりだから眼福で済むけど、北方に行ったらムキムキの男たちが筋肉を強調する姿をしているのをたくさん見ることになるのだろうか?むさ苦しい……
「お二人とも?市長のお供をすることは遊びではないですから…もう少し気を引き締めていただかないと」
「はいっ!」
「承知しております」
俺と自分用の2人分の荷物を詰めたキャリーバッグを下げたクリスティーナに窘められて2人は元気に返事をするが、本当に分かっているのだろうか…?
いやまあ、あんまり固い雰囲気になられてもこちらが疲れるだけだけども。
「ところで市長、リュウモンジ博士からの都市建築の要望については如何なさいますか?」
「ああ、その件ですか…」
Stellarisにはアノマリーというものがある。
これは本来調査船で天体を調査したときに見つかることがある、未知の存在や不可解な現象のことだ。調査船と研究者と割り当てることで研究を行わせることができ、完了すれば研究力ポイントがもらえたり資源産出量が増えたりする。
そして、現在発生している『異世界よりの来訪者』というアノマリーは異世界転移してきた魔族について研究調査を行いたいというものだ。詳しいことは門外漢の俺にはわからないが、もっと不思議な種族が身近にいる気がするのは気のせいだろうか…?
…しかし、たかだか一大陸を支配しているに過ぎない我が国が、最低でも惑星一つを領有していることが前提なStellarisシステムの調査船を作るというのは資源的な問題で無理だ。Stellarisシステムを使えないなら、2200年代の調査設備を用意しようがない。
だが、報告を挙げた研究者……レイコ・リュウモンジ博士は諦めなかった。
『調査船に収まるサイズに小型化するのは不可能でも、多数の研究施設を建設すれば調査は可能です!何卒、陛下のお力で研究都市の開発許可を!』
無視しても良かったが…レイコ博士には爆速で研究完了して貰うためにHOI4とかの過去にあたる技術研究を山ほど押し付けてきた負い目があるので、ようやく本来の仕事ができる機会を潰すのは気が引ける。
(まあ、今なら山ほど使えるマップはあるから1枚くらい使ってやってもいいか……)
「許可を出そうと思います。…折角ですから、その街を最初に作りますか」
天然資源たっぷりのマップは勿体ないので、資源がほとんどない“リーガルヒルズ”のマップを使用して比較的安全だろう大陸南方の沿岸部に新都市を作ることにする。
(ユニーク施設の中にそれっぽいフレーバーテキストの施設がいくつかあったはずだから、それらを建ててみるか)
“ユニーク施設”の“クリエイターパック”の欄の中にある建物のリストを呼び出す。
「…まずはこれですね、“先端技術研究所“」
『科学者たちが世界中からここに集結し、技術革新を進めています。研究所にはエンジニア、生物学者、化学者、数学者など多分野にわたる専門スタッフが勤めています。RDCでは高度な教育を受けた研究者の興味を引くような、科学関連のコンペンションが開かれます』と説明文にはある。
ゲームではこういった施設は全部観光客をいくらか呼ぶ程度の力しかなかったが、ゲームの制限から解き放たれた現実の今では説明通りの機能を有しているはずだ。
「一瞬であのような大建築が……」
アンナリーゼは救世主の権能(?)を前に感動に打ち震えている。…いや、本当にそうか…?
何か面倒ごとの臭いがするので、アンナリーゼのことは意識から外す。拙かったらクリスティーナが何とかしてくれるはずだ、きっと。
(両隣のもそれっぽいな)
物理学者たちが新しいデバイスや材料を分子スケールで実験する最先端の開発センターだという“ナノテク研究所”、しばしば危険な環境で稼働するロボットを扱う自立型ロボットや軍事用ドローンを製造する“ロボテック本社”。
“ユニーク施設”の隣にある“公園と広場”にもあったかなと見ると、絶滅の危機に瀕した植物や昆虫、鳥などを生き延びさせるため、人工的な気象条件を整えた施設だという“バイオドーム”があったのでこれも建てる。
「あと、医療のクリエイターパックにもそういう研究施設があったような…」
遺体保存施設
病気で死亡した人々の遺体を、蘇らせる技術が発明されるまで保存する、という物議を醸す建造物です。低温技術により、組織の保存期間を大幅に伸ばすことができます。遺体は地下にある液体窒素タンクに下ろされ、マイナス196度まで冷却されます。
(…これヤバいやつでは?)
まあレイコ博士がくれって言ったら建てるけども。
もう一個の“医療研究所”は、生化学者や病理学者が医療現場のサンプルや患者たちたちを分析し、薬剤を開発する場所という比較的マトモっぽかったから迷わず建てた。被験者については魔族を使えば人権侵害にならない()。
(…ただまあ、これだけだと色々足りないよなぁ)
こういった数施設を作るためだけにシティスカマップを1枚使うのは勿体ないし…最先端の研究者がやるまでもないが、人手が必要な作業とかをこなすのにもっとマンパワーが必要なんじゃないかとも思う。
(…作るか、学園都市……!)
以前産業エリアというものについて説明したが、Cities: Skylinesにはキャンパスエリアというものもある。
教育の欄には小学校、高校と並んで大学というものがあるが、それはバニラのもの。キャンパスエリアとは、大学専門のDLCで追加されたものだ。
“専門職大学”“リベラルアーツ・カレッジ”“総合大学”の3種類があり、種類によって建てられる学部が異なる他補助施設にも微妙な違いが出る。産業エリアと同じように中核施設である本部を建設することで、キャンパスエリアが発生すると共に種類が決定される仕組みだ。
そして学部はゲーム的にも名前だけの存在ではなく、その種類によって異なる恩恵がある。
“専門職大学”なら警察署・刑務所の性能にバフを与える“警察大学校”、レジャー施設の性能と商業区画の収益にバフを与える“観光学部”、一般産業の性能バフと上下水道の使用量抑制効果がある“工学部”。
“リベラルアーツ・カレッジ”なら教育施設の性能にバフを与える“教育学部”、ゴミの排出量を抑制する“環境学部”、オフィス区画の収益を向上させる“経済学部”
“総合大学”なら犯罪率の抑制と警察施設の維持費削減効果がある“法学部”、ヘルスケア施設の性能にバフを与える“医学部”、特化産業の収益バフと汚染・電力消費を抑制する効果がある“理学部”。
ゲームでは街全体が効果の対象だったが…現実となり街と街とが国として繋がった現在なら、国全体にバフが与えられるのではないかと少し期待している。
(まあ、すぐにそんなに学生が集まるかは分からんけど…教育の仕事がないなら、その分研究分野で働いてもらえばいいし)
各キャンパスエリアには“研究棟”“メディア・ラボ”といった研究施設もあり、教育業務が暇でもそちらに人員を集中して先端技術研究所とかの手伝いをしてもらえば無駄にならないだろう。
カフェテリアや図書館、講堂、学生寮、自習室、事務局、体育館といった付属施設たちも次々と建てていく。それらを維持する為の施設整備局もしっかりと用意だ。
(…まあ、流石に普通の街も作るけどね)
防諜的な問題から先端技術研究所などの重要施設は人里離れた場所に集中させるが、それらから離れた場所には普通に街を作っていく。人口こそが国力である以上、大人口を養い文明的な生活を与えるシティスカマップの無駄遣いは許されないのだ。
“大学スポーツ”“展示施設”という大学と一般市民が交わる施設群もキャンパスエリアには存在するので、大学施設群と市街地の中間地点にそれら…“水泳施設”“バスケットボール・アリーナ”“陸上競技場”“野球場”“アメリカンフットボールスタジアム”という大学スポーツ施設5種と、“技術博物館”“美術館”“科学センター”の展示施設3種をすべて設置する。
これでこの街は学問のみならず、スポーツの面でも発展していくのではないだろうか。