……突然だが、質問だ。
この世で最も不思議なものはなんだと思う。
私の思うこの世で最も不思議なものは「神秘」だと思う。
いや、それ以前にこの「キヴォトス」が最も不思議なものだが、それはあまりにもスケールが大きく、私の探究心も擽られなかった。
しかし、このキヴォトスに来てから私の探究心を擽るものがあった。
それは「神秘」だ。
この世で最も不思議なもので、最も探究心を擽るものだ。
そして、私は神秘の研究をしていた。
キヴォトス人の観察、食生活など、あらゆる事を記録した。
そんな中、ある組織と出会った。
その名も「ゲマトリア」。
そこにはこのキヴォトスについて、あらゆる探究心のある者たちが集う組織だった。
そして、このゲマトリアに私と同じ「人間」は居なかった。
ある者は、2つ頭の木偶。
ある者は、頭が無く、謎の絵を持った大男。
ある者は、全身が黒く、顔にひび割れがある男。
ある者は、大量の目を有する女。
私が知る限りでは、この4人がゲマトリアに居た。
この4人の中で1人、私と同じものに探究心を擽られた人が居た。
その名も黒服。
黒服はカイザーコーポレーションなどと繋がっており、最初は良く思って居なかったが、私と同じものに探究心を擽られたと聞いた時、この人とはうまくやっていけると思った。
そして最近、最も、黒服に嫌悪感が湧いている。
何故か、それはある1人の大人を好いているからだ。
まぁ、別に人を好きになることは悪いことではないが……。
あの大人だけは苦手だ。
急に私をゲマトリアから抜けさせて学校に通わせようとしてきたりと……。
反吐が出る。
なぜあの大人が好きになれるのか私は不思議で仕方がない。
そんな事はさておき……。
今、とても深刻な状況に陥っている。
最も、私ならばどうとでもなりそうでならないかの狭間なのだが……。
逃げたいと思っても逃がしてくれなさそうな人々に囲まれている……。
このキヴォトスで私が最も要注意人物の子供たちと1人の大人、通称先生に捕まりそうなのである。
私はベアトリーチェが嫌いすぎて嫌がらせで先生に計画横流ししてたら「君はやっぱりゲマトリアに居るべきじゃないよ。君は正義感が強いからヴァルキューレとかに入らない?」などと戯言を言われてしまって、今の現状に至るってわけだ。
本当に勘弁して欲しいところだ。
早く神秘の研究の続きをしなければならないというのに……。
おっと、私の思考ばかりでは飽きただろう?
ちょうどよかった、目の前の先生が口を開いてくれた。
先生『君はヴァルキューレに入ったほうがいいよ?正義感があるし。』
カバラ「私はゲマトリアに居ると言っているだろう?私はしつこい大人は嫌いでね。」
先生『そっか、私もあまり手荒な真似はしたくないんだ。だから…ね?』
カバラ「手荒な真似、ねぇ…。子供に手荒な真似をするというのは実に子供らしい。大人なのだからもう少し言葉で対抗してみてはどうかと思うがね。ま、手荒な真似をする時点で言葉での対抗は無理だと私は思うが…。」
カバラ「私はヘイローも無ければキヴォトス人でもない。ただの人間だ。銃弾1つで死んでしまう君と同じさ。」
先生『確かに……これじゃ制圧できない……。』
カバラ「そもそも、この行動自体が君のポリシーに反するのでは?大勢で集って……。私がそんなに危険人物に見えるとでも?」
先生『うぐっ……痛いところを突かれるね……。流石ゲマトリア所属だよ。』
カバラ「ふむ。君は所属などで差別するというのかね?」
カバラ「なんとも子供らしい。いや、それ以前に人としてどうかと思うがね。」
???『先生、もう私我慢出来なさそう。』
先生『ヒナ、もう少し我慢出来ないかな…?』
ヒナ『……あと少しだけなら。』
カバラ「早く帰らしてくれないか?私も神秘の研究に忙しいのでね。」
先生『っ……黒服と同じ事をしてるってわけ…?』
カバラ「もし、仮に私がそうだと言ったらどうする?」
先生『その時は君を怒らないといけない。先生として。』
カバラ「ククク、君の生徒になったつもりはないが?本当、ここまで来ると笑いが出てきてしまうよ。」
その時、1つの銃弾が私の頬を掠めて暗闇の中に消えていった
カバラ「はぁ…短気、と言ったところかな?このぐらいで怒るとは、やはりキヴォトス人は皆、短気だな。本当にめんどく――」
先生『──これ以上、私の生徒を悪く言うのはやめてくれないかな?』
カバラ「おっと、私としたことが、失礼したね。」
カバラ「さて、私は帰らせてもらうよ。君たちと居る時間はとても、退屈で、非合理的で、無意味、だからね。」
私は先生の方へと歩いていく。
???『先生、危ない!』
バンッと言う発砲音が聖堂に響き渡る。
先生『っ!?』
先生『ミカ、何してるの!?』
私の横腹から血がトクトクと溢れ出す。
私は今、とても、「不愉快」だ。
私は足に力が入らなくなり、地面に膝をつく。
カバラ「ゲホッ……本当に常々、君には……不愉快な思いをさせられる……!」
先生『だ、大丈夫!?』
先生が私の方へと駆け寄ってくる。
カバラ「不愉快だ……!こっちに来るでない……!」
先生『で、でも血が――』
カバラ「──黙れ…!不愉快だと言っているだろう……!」
先生『っ……!』
カバラ「離れろ……!私に近づくな……!クッ……。」
私は立とうとするも足に力が入らず、逆に地面に伏せるように倒れた。
そして、私の意識はゆっくりと遠のくと共に瞼もゆっくりと閉じた。