カバラ「っ…!!」
俺は目を覚ます。
周りを見渡そうとするも、身体が動かない。
拘束具などの感触は無かった。
多分、あの薬に俺の身体は耐えきれなかったのだろう。
無理矢理身体を直させるから体力がミリの俺は気を失ったのだろう。
カバラ「ぁ…」
カバラ「声は出るらしいな…」
カバラ「動けない…」
突然、ウィーンと言うメカメカしい機械音が聞こえる。
そして、コツ、コツと音が鳴る。
???『……お目覚めですか?』
カバラ「誰ですか…?」
???『私は室笠アカネです。貴方は?』
カバラ「元ゲマトリア所属であり元アビドス所属。まぁ、簡単に言えばアビドスの逃亡者ですよ。それより、貴女方はなぜ私を殺そうとしたのですか…?」
アカネ『それは誤解です。私たちは貴方の捕獲でしたから。』
カバラ「捕獲…なぜ捕獲しようと…?」
アカネ『貴方の情報を入手しようとしただけです。』
カバラ「はぁ…」
アカネ『それで…なぜ貴方は、先生を嫌っているのですか?』
カバラ「ククク…答えは単純ですよ。大人が嫌いだからですよ。」
アカネ『それはまた…なぜです?』
カバラ「信用ならない…と、言ったところですね。」
カバラ「大人は子供が困っているのに手を差し伸べず、能力だけを見て私自身を見ないで居たからですよ。まるであのトリニティのお偉いさんの様に…」
カバラ「ククク…ほんと、あの馬鹿共の顔を思い出すだけで笑いがこみ上げてきますよ。」
アカネ『……先生は手を差し伸べてくれます。先生はこう言っていました。「もし、辛い思いをしているのなら。私がその苦しみを全部引き受ける。」…と。』
カバラ「はぁ…本当に腹が立ちますね。」
アカネ『っ……』
カバラ「表面上ではいい大人を振る舞ってるだけの偽善者の言葉じゃないですか。」
カバラ「それを簡単に信じて…貴女方を雛鳥の様に思えてきましたよ。」
カバラ「本当に、貴女方は馬――ガンッ!!
誰かが私の言葉を遮るように扉を蹴破って入って来た。
そして、蹴破って入って来た人が私の胸ぐらを掴む。
???『へぇ…私達は馬鹿なのか?先生を簡単に信じているからか?あぁ?』
カバラ「そうだと言ったら貴女はどうします?私を殺し――」
???『――うるせぇよ!なんだお前?すぐに殺しをさせようとしやがって。そんなに死にてぇのか?あぁ!?』
カバラ「……えぇ。」
???『…は?』
カバラ「私は死ぬ為にこのキヴォトスに来たのですから。」
???『し、死ぬ為に来たのか…?』
カバラ「2度も言わせないでください。私は利用されるのが、差別されるのが嫌だから、何処か遠くで死のう。そうするために来たんですよ。」
???『利用…』
???『はぁ…お前、先生に利用されると思って嫌ってんだろ。』
カバラ「……」
???『いや、違うな。大人に利用されるのが嫌なんだろ?』
カバラ「……はぁ…そうですよ。」
???『お前は差別されるのが嫌ってのが建前でほんとは利用されるのが嫌だからだろ。』
???『なぁ…1回でも先生を信じてみようぜ?』
カバラ「無理に決まってます。」
カバラ「私は誰にも心を許しません。」
カバラ「どうせ最後は利用価値が無くなったら捨てられる。大人はそういう生きも――」
???『――先生はそんな事しねぇ。先生は私らの味方だ。悪い大人からも守ってくれる。生徒の為ならなんでもする。責任だって肩代わりする。そんな人が私らを利用すると思うか?違うだろ?』
カバラ「……」
???『だから、信じてみようぜ?』
カバラ「……」
分からない。
なぜ、こんなにも涙が溢れるのだろうか。
説得力があったからか?
それとも、信じたい気持ちの自分が居るからか…?
なぜだ…?
分からない。
不思議だ。
でも、信じてみたい。
こんなにも説得させようとしている目の前の彼女や今まで出会ってきた人達も全員先生を信じていた。
それほど、先生は信用できるのだろう。
黒服、お前が先生を好いていた理由がようやく分かった。
先生は俺が出会ってきた大人達とは違う。善人な大人だ。
俺は逃げていたんだ。
現実からも、先生を信じたい自分からも。
信じてみよう。
先生を。
故郷は地球、今はキヴォトス
本当に面倒な大人
窮地とピンチ
人間として、人としてのまごころを。
昨日の敵は今日も敵
薄っぺらい偽の信頼
不機嫌な嫌い
未来と過去
謎と黒渦
嘘と沈黙で命の選択を
雨、逃げ出した後、鳴らない電話
不眠不休
嫌いな自分と弱い自分
死に至る力、そして
気まずい空気に一匙の甘美なるモノを
鈍った判断
当たり前の優しさ
感謝と最先端学校
耐えきれない力と流れる血の代償
受け取った者は救われた
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カバラの由来は「生命の樹(セフィロトの樹)」とヘブライ語の「受け取る 伝承」ですね。
一応カバラは生命の樹でビナーとか書いてあったんで覚醒してビナー等を統率する者になる回も書きたかったんですが…クソみたいになりそうなのでやめました。
バッドエンドは難しいし、もやもや感が残りそうだったのでやめました。
あしからず。
あとその後のエピソードは書こうと思ってるんで。
ご愛読ありがとうございました!!