東方project if story 今日も少女達はコンビニで   作:ライムα

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もうちょっと早ければまだ暑かったんですけどねぇ最近寒くなっちゃいましたよね…


第二話 少し遅めの海旅行 前編

 出発当日の朝、霊夢達はいつものコンビニの前に集まり、車に乗り込んだ。魔理沙は集まった面々を見ながら言う。

 

「霊夢に早苗にアリス…皆乗ったな〜?」

 

「はーい!」

 

魔理沙の問いかけに他の三人は元気に返事した。各々の手には乗り込む前にコンビニで買った朝ごはんや飲み物が握られている。

 

「よし、行くか!」

 

魔理沙はそう言うとシフトレバーを『D』に切り替えて車を前進させた。

 

「そういえば今日はどこに向かうんですか?私、魔理沙さんの職場知り合いのホテルに泊まりって事しか知らないんですよね。」

 

そう言ったのは霊夢達の後輩である東風谷早苗。クリーム色のカーディガンを羽織り、中にはデフォルメされた蛇のイラストが入った半袖シャツを着ている。頭は緑のサラサラな長い髪にカエルの可愛い髪飾りをつけている。魔理沙はハンドルを握りながら得意気に答える。

 

「ふっふ〜聞いて驚け、今回行くのは熱海だ!と、言っても気温的にも海に入る訳じゃないが…景色を眺めながらバーベキューや花火なんかを楽しもうぜ!」

 

「あら、良いわね。道具とかはもう揃ってるのかしら?」

 

そう言ったのは霊夢達の同級生、アリス・マーガトロイド。白いワンピースに身を包み、短く揃えた金髪には赤いカチューシャを着けている。アリスの問いかけに魔理沙が答える。

 

「おう、もう道具とかはホテル側で用意してくれてるらしいぜ。食材なんかは後で自分たちの食べたいの買ってく必要があるけどな。」

 

魔理沙がそう言うと霊夢がコンビニのおむすびを頬張りながら言う。

 

「それなら高速降りた後にでもスーパーに寄りましょ!何買おうかしらね〜お肉だけじゃ栄養偏るからシーフードや野菜も忘れないようにしないと…あ、お菓子も買いましょうか!」

 

「よく食いながら食べ物の話できるな…。流石は“学食の番人“って呼ばれてた霊夢だ!」

 

魔理沙はそう言って笑うとアリスも笑いながら言う。

 

「懐かしいわね〜その二つ名。確か高一の二学期くらいに付けられたんだっけ?」

 

「確か昼休みが始まってどんなに早く食堂に行っても必ず霊夢さんがー番乗りで座ってるもんだからいつの間にかそう呼ばれるようになったんですよね。」

 

早苗も後ろの席から身を乗り出して言った。霊夢は助手席で恥ずかしそうに縮こまりながら返す。

 

「もう!その話はほじくり返さないでよ〜。まさか食堂に早く行ってただけでそんな風に呼ばれることになるとは思わなかったわよ。」

 

霊夢が言うと魔理沙が呆れたような声で付け加える。

 

「いやいやそれだけじゃないだろー。放課後もよく食堂に入り浸ってたのも絶対原因だと思うぞ。」

 

魔理沙の言葉に早苗も頷く。

 

「あったあった!私のクラスに居た、霊夢さんの部活の後輩たちが『博麗先輩はどうせ食堂に居るから用事ある時探す手間省けて良いよねー』って話してるの聞いたことありますもん。」

 

「それ私も聞いた事あるわ!霊夢が食堂入り浸ってるの皆共通認識なんだなーって。」

 

アリスも笑いながら言うと霊夢は少し不満そうに返す。

 

「私そんな風に思われてたなんて…まるでいつだって食堂に居たみたいじゃないの!」

 

「いや実際そうだろ!」

 

魔理沙が突っ込むと車内はドッと笑いに包まれた。その後も霊夢達は昔話に花を咲かせては馬鹿笑いをしていた。そんなこんなで車は高速を降りてそのままスーパーに入った。霊夢達はカートにカゴをセットしてまずは生鮮食品コーナーへ向かった。

 

「色々あるわね〜とりあえず玉ねぎ入れておこうかしら。」

 

アリスはそう言いながら玉ねぎを二つポリ袋に入れてカゴに入れた。魔理沙もカートを押しながら大ぶりのナスに手を伸ばす。

 

「やっぱ夏野菜は欠かせないよな〜。これを炭火で焼いて醤油をかける…絶対美味いぞ。」

 

魔理沙はそう言いながらナスの袋を入れた。その言葉を聞いた早苗は目を輝かせながらすっ飛んで行き、まもなく手にピーマンとパプリカの袋を持って現れた。

 

「これとこれも焼いたら美味しいですかね!?私生でしか食べた事ないから楽しみです〜!」

 

「パプリカは分かるけどよくピーマン生でいけたな…。あと肉とかシーフードとかも買うんだから食べきれなくなっちゃうぞ。どっちかにしなさい。」

 

魔理沙は呆れたように言いながら顔を上げると彼女の目には信じられないものが映った。魔理沙は驚き、力無い声で言う。

 

「おい霊夢…お前正気か…?それ全部カゴに入れるのか…?」

 

魔理沙の視線の先には果物や野菜…少なくとも合わせて十袋以上が握りしめられていた。霊夢はキョトンとしながら答える。

 

「へ?当たり前じゃない。じゃなきゃ持って来ないわよ。」

 

霊夢がそう言いながらカゴに入れようとすると魔理沙が慌てて静止しながら言う。

 

「待て待て待て。一応聞くが、この後で肉とシーフードも買う予定なんだがそれも含めて食べ切るつもりで持って来たのか…?」

 

霊夢は不思議そうな表情で頷いた。魔理沙は額に手を当てて言う。

 

「はぁ〜そうかぁ…。うん…まあそうだよなぁ。ただ、悪いんだが食べ切れたとしても焼く時間とかもあるし…一度に焼ける数も限られてくるから三袋だけ残してあとは戻してくれ。」

 

魔理沙がそう言うと霊夢はとても哀しそうな表情で頷き、三袋カゴに入れるとまたガサガサ音を立てながら袋を戻しに行った。その後ろ姿を見ながらアリスが呟く。

 

「霊夢もあの頃からすっかり大人になったなんて思った事もあったけれど…やっぱり霊夢は霊夢だったわね。」

 

「はは…全く同感だよ。」

 

そんなこんなで四人はシーフードも買い漁り、いよいよ本命のお肉コーナーに足を踏み入れた。

 

「おお…色々あるわね!やっぱり塊肉は欲しいかな〜。」

 

霊夢は周りを見渡しながら目を輝かせて言った。そんな霊夢に魔理沙は釘を刺すように言う。

 

「いいか霊夢。予算だって限られてるんだし、あまり高い買い物は出来ない。だからよく考えて…。」

 

「こんなお肉あったわよ魔理沙!こんなに入って三〇〇円ぽっきりだって!安いわよ〜!」

 

魔理沙の言葉を遮り、霊夢は牛の塊肉を掲げた。確かにその後ろには「広告の品塊肉三〇〇円」と書かれたポップが立っている。誇らしげな霊夢の隣でアリスはポップを見ながら冷静に告げる。

 

「霊夢…言いにくいけれど、これ百グラムで三〇〇円ね。それ五〇〇グラム入ってるから一五〇〇円するわよ。」

 

「え…?」

 

霊夢は慌ててお肉に付いている値札を見た。そこには小さく五〇〇グラム一五〇〇円と書かれていた。

 

「ほんとだ…。」

 

霊夢は小さく呟くとシュンとしながらお肉を戻そうとした。それを見た魔理沙はため息をつくと手招きしながら言う。

 

「いいぜ霊夢、その肉持ってこい。」

 

「…良いの?」

 

霊夢が少し驚いたように聞くと魔理沙は腰に手を当てて返す。

 

「あぁ、たまの旅行なんだし多少はハメ外そうぜ。それに、バーベキューと言ったら塊肉だし霊夢の選んだ肉なんだから美味いに決まってるさ!」

 

魔理沙がそう言うと霊夢は嬉しそうに駆け寄り、カゴにお肉を入れた。アリスはその姿を微笑ましそうに眺めていたが、ふと気付いたように言う。

 

「そういえば、早苗どこ行っちゃったのかしら。さっきまでは一緒に居たはずなんだけど…。」

 

「ん?そういえばそうだな。どこに行っちゃったんだか…。」

 

そう言いながら三人は辺りを見回した。するとお肉コーナーの奥の方から早苗の声が聞こえる。

 

「みなさーん!こんな凄いお肉見つけちゃいましたよ!ほらこれ、八〇〇円ですよ!八〇〇円!凄いお得ですよね!」

 

そう言いながら早苗が持ってきたのは大きなサーロインだった。魔理沙達は慌てて叫ぶ。

 

「バカバカバカ戻してこい!それ一体何百グラムあるんだよ!」

 

「え?えーと、確か五〇〇グラムでしたかね。サーロインがこんなにあって八〇〇円て安いですよね〜。このスーパー凄いですね!」

 

「値札見ろ!」

 

魔理沙はそう言いながら早苗の手を引っ張ってサーロインを戻させた。その後四人は予算ギリギリまで部屋用の飲み物やお菓子を買い漁り、スーパーを後にした。

 

「いや〜まさか霊夢だけじゃなくて早苗も同じ轍を踏むとはね…。」

 

アリスが呆れたように言うと早苗は頬を膨らませて返す。

 

「いやいやあれは書き方が悪いですよ!あれじゃ誰だってお得だと思いますよ〜!ねえ霊夢さん?」

 

「確かにあれは書き方の問題もあるわよね〜。まあ、一つ賢くなったと思えば良いじゃない。」

 

霊夢はそう言って熱り立つ早苗をたしなめた。魔理沙も笑いながら話し出す。

 

「まあその気持ちは痛いほど分かるよ。社会人になって間もない頃に私もデパ地下で同じ手口でやられたからな…。あの時食べた四〇〇〇円の夕飯の味は一生忘れないぜ…。」

 

魔理沙はそう言ってほろりと涙を流した。その後も霊夢達は自分たちの失敗談やら他人の失敗談やらに花を咲かせた。やがて一行は目的地であるホテルに辿り着く。

 

「ここが件のホテルですか〜なかなか煌びやかですね!」

 

早苗は着いて早々外観だけではしゃいでいた。四人は自分の荷物をトランクから下ろした。魔理沙はホテルを見上げて言う。

 

「確かパチュリーの話だと、外で職員の人が待っててくれてるらしいぜ。その人に声を掛ければ案内してくれるらしいが…さてどこにいるかな。」

 

魔理沙の言葉を聞いた霊夢は辺りをキョロキョロしながら返す。

 

「へぇーそうなのね…。あ、あの人じゃない?」

 

霊夢はそう言ってホテルの入り口付近を指差した。そこには黒いスーツに全身を包み、耳には小型インカムを付けた長いサラサラ橙赤髪の女性が立っていた。彼女は霊夢達に気がつくと一礼して歩み寄った。

 

「貴女方がお嬢様のおっしゃられていた、パチュリー様のお知り合いですね。お待ちしておりました、私の名前は紅美鈴と申します。以後お見知り置きを…。それでは、早速ご案内させて頂きますね。こちらへどうぞ。バーベキューの食材はこちらでお預かりさせて頂きますね。」

 

美鈴はそう言いいながら魔理沙達から食材の袋を受け取ると自動ドアに一歩近づいた。すると音もなく開き、美鈴は片手でドアを抑えながら霊夢達を中へ招き入れた。

 

「外装も素晴らしいですけど、内装も負けず劣らず素敵ですね!」

 

早苗は目を輝かせながら言った。床には赤いカーペットが敷かれ、壁には金色で月の模様が描かれた赤い壁紙が貼られ、天井からはシャンデリアがぶら下がっていた。。霊夢達が内装の豪華さに目を奪われていると、奥から二人組が歩いて来た。一人は薄ピンクのドレスをまとい、短く揃えた青紫の髪の小さな身長の女性。もちろん羽もキバも生えていない。もう一人はメイド服に身を包み、同じくらい短く揃えた銀髪の女性。隣の人と違って、身長はやや高めだ。青紫髪の女性が穏やかな声で話し出す。

 

「ようこそいらっしゃいました、霧雨魔理沙御一行様。私はこのホテル『紅魔郷』のオーナーを務めている、レミリア・スカーレットと申します。」

 

そう言うとレミリアはドレスの裾をふわりと広げ、片足を一歩引いてお辞儀した。その隣に居るメイド服の女性もヘソの前で右手の上に左手を組みお辞儀をした。

 

「私はこのホテルでマネージャーを務めている十六夜咲夜と申します。」

 

「これはご丁寧なお出迎え誠にありがとうございます。私はパチュリーさんの後輩の霧雨魔理沙です。こっちは私の同級生の博麗霊夢にアリス・マーガトロイド、そして後輩の東風谷早苗です。」

 

魔理沙がそう言いながら丁寧にお辞儀すると霊夢達も釣られてお辞儀した。レミリアは柔らかく微笑んで言う。

 

「こちらこそ、ご丁寧な自己紹介ありがとうございます。それじゃあ咲夜、お客様方をお部屋の方にご案内して。」

 

「かしこまりましたお嬢様。それでは皆様ご案内いたしますわ、こちらへどうぞ。」

 

咲夜はそう言いながらエレベーターの方向へと歩き出した。四人は咲夜の後に続いてエレベーターへ乗り込む。全員が乗り込んだのを確認した咲夜は最上階のボタンを押してドアを閉めた。早苗は咲夜の服をじっと見つめながら言う。

 

「咲夜さん、メイド服凄く似合いますね!」

 

早苗が言うと咲夜は少し頬を赤らめて返す。

 

「ふふっありがとうございます。この服は昔、お嬢様に仕立て方を教わりながら作ったものなんですよ。」

 

咲夜はそう言いながら服を撫でた。アリスは感心したように言う。

 

「私も時々お洋服を仕立てたりするけれど…ここまで完璧に、ましてやメイド服なんて仕立てられないわ。咲夜さんもレミリアさんも腕が良いんですね。」

 

「そんな…お嬢様はともかく私はまだまだですわ。」

 

咲夜はそう言って口元に手を当てて笑うと他の部屋より一際立派な部屋の扉を開けた。

 

「さぁ、着きました。ここが貴女様方のお部屋になります。それでは、バーベキューの準備が出来ましたらまたお呼び致しますのでそれまではどうぞごゆっくり。」

 

咲夜はそう言うと一礼して来た道を戻って行った。部屋に入って扉を閉めると魔理沙は我先にとベッドにダイブした。

 

「ひゃっほう!!このベッドすっげ〜ふかふかなのぜ!」

 

霊夢は魔理沙に向かって呆れたように言う。

 

「全く、はしたないわよ魔理沙。寝そべるならもっと大人しく寝そべりなさいよ。」

 

「へへっ良いじゃないか霊夢〜。これも旅の醍醐味だよ!」

 

魔理沙はベッドでごろごろしながら言った。そんな二人を横目に早苗は窓の外を見て歓声を上げる。

 

「うわぁ〜見てくださいよ!海ですよ海!凄い広くて綺麗ですね〜。」

 

早苗がそう言いながら窓を開けると部屋いっぱいに潮風が吹き込んできた。その風を浴びながらアリスも微笑んで言う。

 

「本当綺麗ね。こういう景色を見ていると、日常のちっぽけな悩みなんか全部吹き飛んじゃうわ。」

 

そう言いながらアリスも早苗の横に立ってビーチを見下ろした。下では美鈴率いるホテルのスタッフの人達がせっせとバーベキューのセッティングを行っていた。霊夢は潮風に髪をなびかせながら言う。

 

「景色に見惚れるのも良いけど、咲夜さんが呼びに来る前に荷解きくらいは済ませて着替えとかお風呂の用意もしておきなさい。ほら魔理沙も!寝るのは良いけど荷解きしちゃいなさい。」

 

霊夢はそう言いながら自分のバッグを開けて着替えや充電器を取り出した。アリス達も窓から離れて各々の荷解きを始めた。しかし魔理沙は変わらずベッドに寝そべりながら言う。

 

「うぅ〜めんどくさい〜。霊夢〜私の分の着替えも出しといてくれよ。」

 

「運転で疲れてるのは分かるけどそれくらい自分でやんなさいよ。帰りは私が運転するから、ほら頑張って。」

 

「いや〜運転してもらうのは流石に申し訳ないのぜ〜。」

 

「人に荷解きやらせるほうが申し訳ないわ!」

 

そんなこんな話をしてるうちに咲夜と美鈴が四人分のバスタオルを持って呼びに来た。

 

「皆様、バーベキューのご用意が出来ました。それとバスタオルはこちらをお使いくださいね。」

 

咲夜はそう言いながら洗面台にバスタオルの束を置いた。咲夜の後ろから美鈴も現れて言う。

 

「それでは、バーベキューの場所までは私がご案内させて頂きます。こちらへどうぞ。」

 

美鈴はそう言って四人を部屋の外へ促した。彼女達はエレベーターに乗り、一階のエントランスホールまで降りた。美鈴を先頭に自動ドアまで歩いていると、前から大きな身長に背中ほどまである長い赤髪の女性と、短めの金髪を片側だけおさげのように束ねている高校生くらいの女の子が歩いてきた。金髪の女の子は赤髪の女性の腕にしがみついている。赤髪の女性は美鈴に気が付くと嬉しそうに声を掛ける。

 

「おお美鈴、久しぶりだな!二年ぶりくらいか?」

 

そう言いながら美鈴の肩をぽんぽんと叩く。美鈴も声を上ずらせて返す。

 

「リムさん久しぶりですね!こっちに帰ってたんですか!」

 

「あぁ、ついさっきな。いや〜しかしここも懐かしいな。フランもこんなに大きくなったのに顔は可愛いままだし…。」

 

「ねぇねぇリム姉〜美鈴のお仕事の邪魔しちゃだめだよ。美鈴も今はお客さんの案内が先でしょ?」

 

フランと呼ばれた少女が顔を赤くしながらリムと呼ばれる女性の袖を引っ張りながら言った。その言葉にハッとした美鈴は霊夢達に謝罪する。

「あ、申し訳ありません!すぐにご案内しますね!それではリムさんもごゆっくり。」

 

美鈴はそう言いながらリム達にぺこりとお辞儀するとそそくさと霊夢達を外に促した。五人は自動ドアをくぐり、ホテルの裏手にあるビーチへ向かった。その道中で早苗が美鈴に尋ねる。

 

「今の方って何か体動かす系のお仕事とかやられてる方なんですか?」

 

早苗が聞くと美鈴はにこにこ顔で返す。

 

「あぁ、彼女は海外で傭兵をやってるからなんですよ。今は一時帰国的な感じで戻って来てるらしいですけど。にしてもよく分かりましたね!あの人は傭兵やってる割に体つきとかは華奢に見える方なのに…。」

 

美鈴が少し驚いたように言うと早苗は得意気に答える。

 

「ふふ〜私こう見えてジムのトレーナーやってましてね、体つき以外にも歩く時の姿勢とかで日常的に体動かしてるかわかっちゃうんですよ。美鈴さんもホテルのお仕事以外にも運動してますよね?」

 

「凄い!その通りですよ!!昔、趣味で拳法習ってて今も独学ですけど続けてるんですよね〜。」

 

早苗の観察眼に美鈴は感嘆の声を上げた。二人が盛り上がってる後ろでアリスが魔理沙達に囁く。

 

「早苗って昔から人間観察が得意よねぇ。ちょっとの変化にもすぐ気づくっていうか。」

 

「あーわかる。私高校の頃、部活で腰痛めた時なんともないように振る舞ってたのに早苗湿布持って来てくれた事あるぞ。」

 

「そういやそんなこともあったわね。私早苗が魔理沙に湿布渡してるの見て初めて腰痛めたの知ったもん。あの子、運動が苦手なのにジムトレーナー始めたとか言い出した時は務まるか心配だったけど…案外天職だったみたいね。」

 

雑談に花を咲かせながら二、三分歩くとやがてバーベキューセットが見えて来た。美鈴は霊夢達に向き直り説明を始める。

 

「おまたせいたしました。必要なものやお持ちいただいた食材は全て揃えております。火はまだつけておりませんがおつけしますか?」

 

美鈴はそう言いながらバーベキューコンロを手で示す。魔理沙は霊夢達と顔を合わせると美鈴に向き直り、顔の前で手を振って返す。

 

「いや自分達でつけるので大丈夫です。」

 

「わかりました。それでは食べ終わりましたら紙皿と紙コップだけゴミ袋に入れて頂き、あとバーベキューコンロの火だけ消してきてください。それ以外はそのままで大丈夫です。戻られましたら受付に一言かけてくださいね。それでは失礼します。」

 

美鈴は一礼してホテルへと戻って行った。魔理沙は軍手をはめながら言う。

 

「それじゃ、早速始めるか!」

 

「さっきまで眠そうだった人とは思えない張り切りようね。」

 

アリスはそう言って笑った。魔理沙は霊夢達にも軍手を渡しながら返す。

 

「へへっ楽しい事を目の前に眠そうになれるかよ!とりあえず火つけるぞ〜。」

 

魔理沙はそう言いながらバーベキューコンロの中に入ってる炭に火をつけ、空気を送り込んだ。火はみるみるうちに燃え広がりあっという間に炭全体が赤くなった。魔理沙はバーベキューコンロに網を乗せると串を手に持ち言う。

 

「よしよし、それじゃ好きな具材刺して焼いてくか!」

 

魔理沙はそう言いながら自分も肉や野菜を手に取った。霊夢達も串を手に取ると次々肉やら野菜やらを焼き始めた。炭火の香ばしい香りとお肉の焼ける香りが辺りを包み込んだ。霊夢は串を回しながら言う。

 

「ふんふ〜んもうそろそろかしらね。」

 

霊夢はそう言うと一本の串を持ち上げながら続ける。

 

「それじゃ、いただきまーす!」

 

肉汁が滴り落ちる牛肉の塊を霊夢は口の中に放り込んだ。霊夢は小刻みに息を吐きながら言う。

 

「ほっほっほ、あふいへほおいひいわ!(熱いけど美味しいわ!)」

 

霊夢は口元に手を当てながら言った。その隣で早苗も目を輝かせながら串を手に取る。

 

「おお、すごい美味しそうですね〜。それじゃ、一口。」

 

早苗もフーフーしてから口に放り込む。途端に幸せそうな顔になった。

 

「ん~~美味!さいっこうですね!」

 

早苗はそう言いながらバクバク食べ進めた。

 

「そんな慌てて食べなくても大丈夫よ〜。それじゃ、私も一本貰おうかしらね。」

 

アリスは笑いながら言うと自分も一本取った。その後霊夢達はどんどん食べ進めていき半分くらいの食材がなくなった頃どこからかキャップが風に飛ばされてきた。

 

「ん?なんでしょうねこれっと。」

 

早苗はそう言いながらジャンプしてキャップを取った。全体は黒く、ツバにはカラスのマークが描かれている。すると飛ばされてきた方角から声が聞こえる。

 

「すいませーんそれ私のです!」

 

早苗達が声のする方向を向くと黒髪ショートの女性がGoProを片手に走ってきた。上はワイシャツと赤いネクタイ、下は黒のスカートというビーチに来た人とは思えないような格好をしていた。その人を見た瞬間魔理沙は大きな声で言う。

 

「あー!貴女もしかして…文々。チャンネルの文さん!?」

 

魔理沙が興奮交じりに言うと黒髪の女性は髪をさっとかき分けながら答える。

 

「あややー私の事知ってくれてるんですね〜!」

 

 Next Reality

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




一旦ここまで出たキャラを整理する名目で登場キャラとプロフィール的なの載せときますね〜

博麗霊夢 都内某所の博麗神社で巫女さんをやってる。最近の趣味は夜散歩がてらコンビニで買い食い。

霧雨魔理沙 化学技術者。主に薬品とか作る人。霊夢とは幼馴染で昔からよく遊んでる。パチュリー以外の上司には一応敬語を使うが大抵の話はパチュリーを介するので使う機会はほとんど無い。よく職質される。

東風谷早苗 ジムでトレーナーをやっている。人一倍観察眼に優れており、隠し事は通用しない。

アリス・マーガトロイド 霊夢達の同級生。今は両親の営む喫茶店の手伝いをしている。裁縫が趣味でたまに人形や洋服なども作る。

犬走椛 霊夢達の住んでいるあたりをパトロールしている。最近の悩みは笑顔がうまくできないこと。影狼とは幼い頃からの友達。

今泉影狼 椛と一緒にパトロールをしている。最近は鏡の前で笑顔の練習している椛を見るのにハマっている。実は先輩だが椛には今まで通りの接し方でいいと言っている。

パチュリー・ノーレッジ 魔理沙の先輩。人嫌いだが魔理沙は別に嫌いじゃない。けれど魔理沙はもうちょっと敬語を覚えるべきだと思っている。

レミリア・スカーレット ホテル「紅魔郷」のオーナー。身長は小さいが器は大きい。繁忙期には自らも現場に出るなどの一面もあり従業員から絶大な支持を得ている。まさにカリスマ。

十六夜咲夜 ホテルマネージャー。昔レミリアに教わりながら作ったメイド服を今も大切に着ている。ホテルのお客さんからは「瀟酒なメイドさん」と評判。

紅美鈴 警備員を主な役割としているが特別なお客様を案内する役割も兼ねている。拳法を得意としておりひったくりをノックアウトしたことも。

フランドール・スカーレット レミリアの妹。ホテルの近くにある高校に通っている高校二年生。今はホテルの一室に入り浸っている。

リム・ミネストロ 海外で傭兵をやってる赤髪の女性。美鈴とは同じ学校だった。身体は華奢に見えるが薪割りを片手で行えるくらいには強い。今はフランの部屋で一緒に寝ている。昔レミリアが警備員を探しているときに美鈴を紹介してあげた。

射命丸文 文々。チャンネルを運営しているYouTuber。普段はゲーム実況などをしているが時々旅動画をあげたりもする。チャンネル登録者は十二万人と多い。カラスのアイコンがトレードマーク。



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