東方project if story 今日も少女達はコンビニで 作:ライムα
あとちょっとホラーテイストに仕上げました(´・ω・`)
「あははっ何ですかその話〜。あ〜久しぶりにゲラ笑いしたわ。」
文はパソコンを見ながら大笑いしていた。今日は文々。チャンネルで雑談配信を行なっているのだ。文は募集した質問を見ながら言う。
「それじゃあ次行きましょうか。ええとなになに…『いつもホラゲーで怖がる姿を見せない文さんにも恐怖体験があれば教えて欲しいです!』恐怖体験ねぇ…ん〜。」
文は少し考えてから思い出したように言う。
「ああ!一つありましたね。まああったといっても未だに現実の出来事だったのか夢だったのかも定かではないですがね…。これは私が高二の時のお話になります。」
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「文、あんた写真部に入部しなさいよ!」
そう言いながら栗色おさげの少女が文の肩に手を回した。もう片方の手には立派な一眼レフを持っている。文は面倒くさそうに手を振り払いながら返す。
「またその話ですかいはたてさん…。私はもう陸上部に所属しているしこれ以上忙しくする気もないのよ。」
文がそう言うとはたてと呼ばれた少女はにやにやしながら言う。
「まあまあそう言わないで〜。たまに写真撮って大会に出すだけでも良いから!ほら、うちの高校なんか知らないけど強いし、もし最優秀賞に選ばれたら屋上から『射命丸文さん大会で最優秀賞!!』なんて垂れ幕も垂らしてもらえるのよ?」
そう、文の高校は何故か写真部が強かった。大会に出せば誰かしらは必ず入賞、最優秀賞も何度も取っている。ただ…それに付随するように黒い噂もいくつかたっていた。大会に賄賂を渡しているだの何かしらの権力が働いてるだの陰謀論じみたものがほとんどだがその中に一つ、不気味な噂もあった。
“写真に生きた人間を被写体として閉じ込めている。”
…もちろんそんな話を信じている者はほとんど居ない。しかし、写真に写っている人は誰もが不気味なまでに生き生きしている。そして何より、今まで最優秀賞に選ばれた写真の被写体は例外なく皆、行方不明になっていた。文はこの話を思い出し、その事をはたてに尋ねる。
「ねぇはたて…写真部ってさ、その…大会の主催者を賄賂で、とか色々ヤバい噂あるじゃん?あれって実際のところどうなの?」
「え?あんな話嘘に決まってんじゃん!私たちはいつも正々堂々と戦ってるわよ。まぁ…もしかしたら先生達が裏で、なんてことはあるかもしれないけどね。」
はたてはそう言って苦笑いすると文も少し苦笑して返す。
「あくまでも真相は闇の中ってわけね…。そういえば写真部は被写体になる人を写真の中に埋め込んでいる、なんて話もあったけど流石に噂よね…。」
「噂よ!そんな事絶対ないわ!」
はたては文の言葉を遮るように叫んだ。文はいつもと様子の違うはたてに戸惑いながら言う。
「わ、わかってますからね。そんな興奮しないで…ね?」
文がそう言いながらはたての肩を叩くと、はたてはハッとしたような表情で言う。
「え?あぁごめんごめん…それじゃあ一旦部室行こっか。」
「いやいやなにが『それじゃあ』よ。私今日オフだから早く帰りたいんだけど〜。」
文はそう言いながらもいつもの調子に戻ったはたてに安堵した。その後二十分ほど写真部の部室に拘束されたあと文は一人帰路についた。
「全く…はたてにも困ったものね。確か今年は一年が少なかったとは言ってたから背に腹はかえられぬって感じなんだろうけど…せめて一年を勧誘すればいいのに。」
文はそんな事を呟きながら歩いた。すると前から赤いジャージを着た白髪の少女が走ってくる。
「あ、文先輩じゃないですかこんちわー。」
「ああ椛、オフなのにジョギングとは殊勝な心掛けね。」
文がそう言うと椛は首にかけたタオルで汗を拭いながら返す。
「一日でも体動かさないとむずむずするんですよ。先輩はどうしてこんな遅い帰りなんですか?」
椛が不思議そうに尋ねると、文はつい先ほどまではたてに部室に軟禁されていた事を話した。
「はたて先輩にまた勧誘されてたんですか〜。なんか可哀想ですし、名前だけでも入ってあげたらどうです?」
「嫌よ面倒くさい。私は陸上部だけで十分。それに、写真部ってほら…色々嫌な噂が多いじゃない。賄賂だとか、被写体が続いて行方不明になるとか…だからあまり関わりたくはないのよねぇ。」
文はそう言いながら小さくため息をついた。すると椛は険しい表情で周りを確認すると、声を潜めて言う。
「実は…私のクラスからも一人出てるんですよ、行方不明者。」
「え、そうなの!?」
文が驚いた声をあげると椛は慌てて文の口を塞いで言う。
「しっ!誰が聞いてるかわからないんですから大きな声出さないでください。」
「ごめんごめん…その話って詳しく聞かせてもらえるかしら?」
文が椛の手を退けながら言うと椛は更に鋭い目つきで辺りを見渡し、話し始める。
「先に言っておきますけどこの事は一応他言無用でお願いしますよ。これは、行方不明になった子と仲良かった人から聞いたんですけど、その子は行方不明になる直前まで写真部に勧誘されていたようなんですよ。そして行方不明になる前日、勧誘してきた人がその子に被写体になって欲しいと頼んでいるところを見たらしいんです。それからです、居なくなったのは。」
椛はそう言いながら顔を伏せた。文はバッグの肩紐を強く握り締めながら恐る恐る尋ねる。
「もしかしてその子って…この前の集会で紹介されていた最優秀賞の写真に写っていた…?」
「そうです。昔、写真部の人に行方不明になる事とかそれとなく聞いてみたんですよ。…そしたらすごい剣幕で噂を否定されましてね、どう考えても写真部が行方不明事件に関連してるとしか思えないんですよ。信じ難いですが、写真の中に生きた人間を入れていると言う話…本当かもしれないですね。」
椛がそう言うと文は思い詰めたような表情で返す。
「その子が行方不明になる直前まで写真部の勧誘を受けていた、と言っていたわね。ちょうど今の私のように…もしかしてはたても…?」
「信じたくはないですが…文先輩を次の標的としている可能性がありますね。ただ、まだ可能性の段階ですから!ただ単純に部員が欲しかっただけの可能性の方が全然高いですから。…それでは私はこの辺で。」
椛はそう言って走り始めると数歩進んだところで振り返り言う。
「念の為、何があっても写真撮影は断って下さいね。」
それだけ言って椛は再び走り始めた。どんどん遠くなっていく椛の姿を眺めながら文は小さくため息をつくと自分も家に向かって歩き始めた。
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その頃文達の通っている学校の応接室では長い黒髪の女性と長い金髪の女性が話をしていた。黒髪の女性は出された緑茶を飲みながら言う。
「…それで紫は、そのカメラのお祓いをお願いしたいから私を呼んだという訳ね。」
「ええそうなのよ。最初は、大したことないと思ってたのだけど…立て続けに行方不明を起こされたらね。一応最優秀賞という名目で玄関に写真を飾ってあるけど一向に出てくる気配も無いし…。」
そう言いながら紫と呼ばれた金髪の女性も緑茶に口をつけた。黒髪の女性はため息をつきながら返す。
「全く…そういうのは素人判断しちゃだめよ。最初は力が弱かったとしても、力を付けて強大になる可能性だってあるんだから。まあ良いわ。それで、そのカメラの行方すら分からないんだっけ?」
「そうなのよ。おそらく写真部の誰かが持っているのだと思うけど…。この時間だともう皆帰ってしまったわね。」
紫はそう言いながら件のカメラの写真を見せた。そこには立派な一眼レフが写っている。黒髪の女性は写真をじっくり見ながら言う。
「おそらく写真部の誰かに取り憑いて肌身離さず持たせてるのでしょうね。…仕方ない、今日のところは目立たない場所に盛り塩だけして帰るわ。霊夢にご飯作ってあげなきゃだし。」
「ごめんね〜助かるわ。そう言えば霊夢の名前久しぶりに聞いたわね。ふふっここに入学するのが楽しみだわ!」
紫がそう言うと黒髪の女性は盛り塩を作りながら笑って返す。
「もうちょっと先の話だけどね。霊夢が入学したら頼んだわよ、紫学長?」
「任せておきなさい。」
二人はそう言いながら顔を見合わせて微笑んだ。
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翌日の放課後、部活も終わりガラガラになった校舎の更衣室で文は一人だらだらしていた。
「ふ〜練習疲れたわ。全く先生ったら…私が関東大会行くからってメニュー厳しくし過ぎなんですよ…。あーもう脚パンパンだわ〜。」
そう言いながら文は部活着のまま長椅子に寝そべった。その時更衣室のドアがガチャリと開いた。文は顔だけ上げて言う。
「あぁなんだはたてか…まだ帰ってなかったのね。」
「えぇ、少しやる事があってね…。」
はたてはそう言うと首から下げていた一眼レフを静かに構えて続ける。
「ねぇ文…被写体にならない?」
「…はい?」
文は恐怖と驚きが入り混じった表情になった。写真に閉じ込められる。そう思った文は咄嗟にはたてを押しのけて更衣室から出た。はたては更衣室の入り口を見つめながら呟く。
「そうそう…ここは誰の仕業か知らないけれど私の力が弱められてしまうからね。外なら貴女を綺麗に写してあげられるわ。」
はたて(?)はそう言うとゆっくり立ち上がり文を追いかけた。入り口の隅の目立たないところには黒ずんだ盛り塩が置かれていた。
一方、文はがむしゃらに廊下を走り、咄嗟に空き教室に隠れた。
「まさかまさかまさか噂は本当だったの…!?今まで行方不明になった人達も写真の世界に…。」
文は空き教室の隅にしゃがみ込みながらぶつぶつ呟いた。すると廊下の奥の方から声が聞こえてくる。
「文ちゃ~んどこ行ったのかなぁ?怖がらないで出ておいで〜。」
「ひっ…もう来たの…!?」
文は息を潜めて震えていた。声の主は教室を一つ一つ確認しながら言う。
「ここに居るのかなぁ?う〜ん…違うねぇ。じゃあこっちかなぁ!?」
声はゆっくりと、でも確実に文の居る方に近づいて来ていた。そして文の居る教室のドアが勢いよく開け放たれる。
「ここに居たぁ!!」
文は恐怖のあまり声も出なかった。もう逃げられない。そんな気持ちが全身を駆け巡る。はたて(?)は一眼レフを構えて続ける。
「そんなに怯えた表情しないで、ほらスマイルスマイル!私が貴女達をきっと最優秀賞に導いてあげるからね。それじゃあいくわよ?」
そう言いながら一眼レフのシャッターに指をかける。
「はい、チー…。」
「させないわよ!!」
シャッターを切ろうとした瞬間、黒髪の女性が御札を片手に叫びながら入ってきた。女性が一眼レフのレンズに御札を貼り付けるとはたて(?)は金縛りにあったように動けなくなった。
「ぐぁ…お前のその力は…博麗の…!」
「あら、私の事を知っているんだね。いや〜私も有名になったもんだよ。ま、そんな事はどうでもいいや。さっさと終わらせて帰らないと、お夕飯の時間が遅くなっちゃう。」
黒髪の女性はそう言うと指パッチンをした。するとはたてが首から下げていた一眼レフは、紐が切れて床にカシャンと落ちた。はたてはそのまま意識を失って床に倒れ込んでしまった。
「ふぅ…やっと終わった。そこのお嬢さんは怪我ないかしら?」
黒髪の女性は一眼レフを拾いながら言った。文は何が起こったかわからないという表情で座り込んでいたが、黒髪の女性の笑顔を見ると安心したのかそのまま意識を失ってしまった。
「あらら、気絶しちゃったわね…まあ無理もないか。よっぽど怖い思いしただろうしね。仕方ない、後片付けの前にこの二人を保健室に運ぶとするか。」
黒髪の女性はそう言うと両肩に二人を担ぎ上げ、のしのしと部屋を出て行った。
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文が次に目を覚ましたのは保健室のベッドの上だった。文は額に手を当てながらゆっくり身体を起こすと、隣でははたてがいびきをかきながら爆睡していた。
「あら、まだ横になっていても良いのよ?」
白衣を着た女性が、藤色の長い髪をなびかせながら振り返り言った。文は理解が追いつかない様子で言う。
「あれ…うどんげ先生って事は保健室…?何で私ここに居るんですか…?」
「貴女達が空き教室で気絶していたところを見つけた人が運んで来てくれたのよ。気分はどう?どこか痛いとことかない?」
うどんげはそう言いながら文の顔を覗き込んだ。文は両手をグーパーしてみたり腕を持ち上げてみたりしながら返す。
「まだ少し頭はぼんやりしますが、特に異常はありません。」
「そう、それなら良かったわ。その様子だとお家の人呼ばなくても帰れそうね。はたてさんが起きるまでは貴女もゆっくりしてなさいね。」
「…はい、ありがとうございます。」
その後文は、目を覚ましたはたてと一緒に学校を後にした。
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「…と、こんな感じの話なんですけどね。結局あの後行方不明にだった人達も学校の玄関で見つかったらしいですし…あれが人の仕業だったのか、あるいは幽霊とかの類いの仕業なのかはわかりません。」
文はそう言いながらペットボトルのお茶を一口飲むと、ふと何かを思い出したように続ける。
「そういえば、この前熱海行った時の動画に出ていただいたリスナーのグループ覚えてますか?その中に居た綺麗な黒髪の人…あの人が、お話に出てきた黒髪の女性とそっくりだったんですよね。ふふっもしかしたらご家族か何かだったりして。」
文はそう言いながら微笑んだ。
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一方その頃、霊夢の実家である博麗神社では。
「へくちっ!」
「あら、霊夢大丈夫?」
金髪の女性が雑誌から顔をあげて言うと霊夢は鼻をこすりながら返す。
「えぇ…誰かが噂してるのかしら。それにしても母さん遅いわね〜早く買い物から帰ってきてくれないとお夕飯に出来ないじゃない。」
霊夢は畳に寝転がりながら言うと金髪の女性は笑いながら返す。
「まあまあ、色々忙しいんでしょ。」
「どこかで油売ってなきゃ良いけど…。そういえば紫は藍先生のとこに帰らなくていいの?あっちでもご飯用意しちゃってるんじゃない?」
「大丈夫大丈夫〜藍にはこっちで食べてくるって言ったから。今頃はちぇんの事お昼寝させてるんじゃないかしら。」
「じゃあ私も母さん帰ってくるまで昼寝しようかな。帰ってきたら起こしてね〜。」
「はいおやすみ。」
霊夢は目を閉じるとすぐにいびきをかき始めた。そのすぐあと、紫のスマホに一本の電話が掛かってきた。
「はいもしもし〜お祓いもうちょっとかかるからお夕飯も遅くなる?は〜い頑張ってきてね。」
紫はそう言って早々に電話を切ると小さく呟いた。
「博麗神社は今日も大繁盛ね。」
Next reality
若干ネタ切れだから次回は今年中に出るかも怪しいっす。