「組分け儀式がまもなく始まります」
マクゴナガル先生の言葉に、私の胸がザワつき始めた。もうすぐ、この狭い空き部屋から出て、大広間へ向かう。そしてその先には……ダンブルドア先生、スネイプ先生。それに、私より年上のセドリックも、当然そこにいるはずだ。
「さあ、一列になって。ついてきてください」
心臓がバクバクと鳴る。緊張する。私は果たして、まだ生きて元気な彼らを目にしたとき、感情を抑えられるのだろうか。
二重扉をくぐって、大広間に入る。
……懐かしい。当たり前ではあるが、まだホグワーツの戦いで城が崩れる前の、あの頃のままだ。笑顔で談笑する上級生。不安げながらも、新しい生活に期待を膨らませ、目を輝かせる一年生。そして、そんな生徒たちを温かく見守る先生たち。……一人と、一体を除いて。
そうだ。ヴォルデモートがいる。
私は即座に閉心術をかけた。
―――
組分けの儀式は順調に進み、ついに私の番が来た。
「ポッター・ハリー!」
無心で前に進み出て、組分け帽子を頭に被る。
「……ん? これは閉心術かね?」
「諸事情で」
私は小声で囁いた。
「まあ、よいか」
流石に適当すぎる気がする。
「では、どこの寮が良いかね?」
「グリフィンドール」
即答した。他の寮にも興味はあるけれど、やはり私の居場所はここしかない。
「……よし、では。グリフィンドーーール!」
グリフィンドール生に揉みくちゃにされながらも、何とか隣が空いている席にたどり着いた。もちろん、ロンのためだ。
席に座って先生たちの席を見やると……いた。
ダンブルドア先生と、スネイプ先生。
感動と懐かしさが胸に湧き上がったが、閉心術のおかげで涙は出なかった。今思えば、フレッドに会ったときも閉心術をかけていれば、ロンたちをあんなに心配させずに済んだかもしれない。
―――
組分けと夕食、そして一年生の歓迎の時間は、特に問題もなく進んだ。傷が一瞬だけ疼くような感覚はあったものの、平穏に終わろうとしていた。
そして私たちは、監督生のパーシーに連れられ、大広間を後にしようとした、その時。
「ポッター」
忘れもしない声が、私を呼び止めた。振り返ると、そこにいたのは――
「来い」
スネイプ先生だった。
「……へ?」
隣のロンが困惑した声を上げた。
急いで一年生を案内しようとしていたパーシーも、私たちに気づいた。他の一年生たちもざわざわと騒ぎ始める。
「しかしスネイプ先生、彼は寮に……」
「黙れ」
「就寝時間が……」
「新学期早々、減点されたいのか?」
「……」
パーシーは無言で他の一年生をまとめると、足早にその場を去っていった。ロンは私についてこようとしたが、パーシーに半ば引きずられていく。
「パーシー! 絶対ハリーはロクな目に遭わないよ! ハリーより点数が重要なのか⁉」
「お前は分かっていない! ハリーのことは確かに心配だけど、彼なら何とかなるだろう……。
それに、寮の点数は僕だけのものじゃない、グリフィンドール全員のものなんだ!」
パーシーとロンの言い争いが遠ざかっていき、完全に聞こえなくなった頃、スネイプ先生が無言で歩き出した。
「行くぞ」
――変わってないなあ。
ぶっきらぼうな態度に、どこか安心しながら、私はまだ短い足で、必死にその背中を追いかけるのだった。