序章 プロローグ
――4月某日。天候は快晴。
春の新鮮な陽気と少しばかりの肌寒さと共に外の桜の花弁が舞い、窓から流れて入って来た。
俺は眠気に負けて
――ふぁ〜眠っい……けどそろそろ起きねぇと不味いしなぁ〜
俺は内心面倒だなと思いつつ、新品の制服に裾を通したりして着替え、行く準備を進めて行く。
そうして俺は洗面所に移動し、顔を洗って鏡を見る。
俺の顔面は今日もイケメンで、爽やかな笑みを浮かべているようだ。
――よーし、今日もいっ君さんはイケメンであるな!
いっ君さんとは、俺自身のあだ名のようなものである。
当初は周囲からそう呼ばれ、自分でも気に入っているものだ。
さて、今はもう俺以外の家族は出掛けた後だろうか。
両親は仕事が多忙で夜は遅く、朝は早く出掛けており、上の
てな訳で、俺は用意したパンを食べつつ、テレビを軽く見て天気予報やニュースを見終わると朝食のパンも食べ終わったので、皿洗いとか出る準備をしてから自宅を出る。
これから向かう目的地――私立聖嶺學園。
それが、これから俺が3年間過ごす学校の名前であった。
※ ※ ※ ※ ※
――7時10分。
俺は最寄り駅までバスで向かい、駅からは電車に揺られて進んで行く。
ふと横を向くと、仕事で疲れ果てたのかサラリーマンが死んだ魚のような目でふらふらと吊り革に捕まって立ったりしていて、俺は社畜にはなりたくねーなと思ってしまった。
――お仕事お疲れ様です。
そう思いながらも電車は目的地へと到着したようで、俺は人の波を押し除けて下車し、改札を潜り抜ける。
すると同じ制服を着た新入生や在学生と思わしき人達が現れる。そこで漸く自分も高校生になるのだと実感が湧いて来た。
――オラ、ワクワクスッゾ!
内心ふざけながら、人の流れに合わせながらバス停へと向かうと長蛇の列が出来ていた。
暫くしてバスが到着し、乗客の乗り降りが始まった。
前方から一人ずつ乗車し、俺も乗ろうとした所で前の乗客が一瞬ふらっと立ち眩みを起こしたようで手からスマホを滑り落とした。俺の足元に落ちた為、スマホを拾って持ち主に渡した。
「おっと、これで良いか?」
「……すまない、助かった」
取り敢えずスマホの持ち主は無事に乗車し、俺も乗車すると何となく先程のスマホの持ち主の隣が空いていたので座って見る。
すると、スマホの持ち主…眼鏡を掛けた黒髪碧眼の物静かでクールそうな雰囲気の男子が俺に話し掛けて来た。
「……えっと、さっきは有難う。手が滑った時はどうなるかと思っていたから本当に助かった」
「いや、別に良いぜ?……それより新入生で合ってるか?俺は
「……俺は
お互いに自己紹介し合い、東雲朔夜と簡単な雑談をすると意外と話が合って直ぐに意気投合した。
――ヨシッ!これで早速友達が出来たゾッ!!
それから俺は目的地の高校に到着するまでの間、東雲朔夜と仲を深める為にパーフェクトコミュニーケーションを繰り広げていた。
特にゲームの話とか、好きな話がほぼほぼ合致する所はして、気が付くと降りる一歩手前だったから二人揃って降り損ねる所だった。
――いやー危ねぇ危ねぇ……
そうして俺達は目的地である
※ ※ ※ ※ ※
聖嶺學園の下駄箱で外靴から上履きに履き替え、案内を受けて指定された教室に向かって行く。
「……どうやら同じクラスのようだな」
「そうみたいだな。折角知り合えたのに離れ離れなのは寂しいから本当に良かったぜ!」
「……そうだな。教室に入った時特有の誰も知らない中で一人で居るのは大変勇気がいる。遠坂、お前と早く知り合えて良かった」
「ははっ、照れるぜ」
野郎二人、校内で会話しながら他の教室を横切ろうとしていた瞬間だった。
「なぁああぁんで
そんな悲痛な叫びが横のクラスから聞こえて来た。
余りにも切実そうな大きな叫びで、鼓膜が破れるかと思った。
「「うるせぇ……」」
二人揃ってシンクロしてしまった。
可愛い子目当てで入って来た奴はさて置き、俺達は目的の教室に到着し、静かに中に入って見る。
――えっと…取り敢えず人は多いが、誰も緊張して陽キャ以外は余り話していないようだな。
「……ん?」
ふと、ある一点を見ると随分可愛らしい子が居た。
ドクンッ…
――やべぇ…これが一目惚れって奴か…
幼さを残した中性的な顔立ちに小柄な体型をした銀髪に空色の瞳をした女子(?)がちょこんと座って前を見ていたが、此方の視線に気が付いたのか首を横に傾けていた…。
――嗚呼、可愛い!!
「これが運命の出会いか…!」
「あっ!?おい!?」
俺は東雲朔夜を無視して気付けばその子の元に向かい、イケボで話しかけていた。
「突然話し掛けてしまって失礼」
「えっ!?えっと…」
「俺は君と同じクラスの遠坂樹。良ければ君の名前を教えて頂いても宜しいか?」
俺はその子の目を見据えてそう言った。
するとその子はかなり緊張していたが、少し待つと勇気を出したのか答えてくれた。
「えっと…ボクは
「そうか…宜しければ仲良くしてくれると有り難い。女の子の友達は君が初めてにn――」
と、俺は言いかけたのだが…
「――あの…ボクこう見えて“男の子”です」
「What!?」
思わず英語が出てしまった。
――何…だと?この可愛らしい子が男だと!?神様はなんて残酷な事をしてくれたんだ!?
「んん!!これは大変失礼な間違いを…」
「いや…よく間違えられるから…今度から気を付けてくれればそれで大丈夫…です」
「何と天使は実在したと言うのか!?」
「……遠坂、戻って来い」
――ハッ!?
気付けば東雲朔夜にジト目を向けられてしまっていた。
〜閑話休題〜
気分が落ち着かせた俺は、東雲朔夜の監視の下に草薙廣仁に優しく語りかけるようにパーフェクトコミュニーケーションを完遂させて見せた。
「遠坂、また顔が変態おじさんになって来てるぞ」
「なぁにぃ!?」
「あはは…」
どうやら草薙廣仁も俺の扱いに慣れて来たのか、最初と比べると徐々に素を見せてくれるようになった。
――いやぁ…俺のパーフェクト以下略は完璧過ぎるな!!
ええ?俺が変過ぎるから一周回って雑になってるんじゃないか?
そんな筈が無いだろ!!あの天使が俺を雑にする筈が無い!!
……え?そんな筈が…無いよね?(心配になって来た)
そんな事をしている間にも時間が流れ、暫くするとこのクラスの担任教師が教室に入って来ると、一斉に静かになって椅子に座り、前を向く。
「皆さん!おはよう御座います!まず私の自己紹介からしますね!私は前園のぞみと言います!1年間宜しくお願いします!」
前園先生はそう自己紹介した。
それでその後に話に入学式が今後の予定やらを説明して来たが…
まあ、特につまらないから何かあるまで…カ◯ロット!!
あ、間違えたカットで!!
※ ※ ※ ※ ※
〜聖嶺學園・入学式〜
画面は切り替わり、体育館で入学式が執り行われた。
体育館は式典模様の赤と白の模様になっており、壇上には花が花瓶に植えられていた。
まあ、言ってしまえば良くある入学式の感じだな。
さて、至って普通の予定調和で入学式は流れ、ふと俺が気になったのは新入生代表の時だった。
「ええ…新入生代表の
「はい」
そう言って壇上に上がったのは、眼鏡を掛けた青髪の青年だった。
眼鏡をくいっとしながら背筋を伸ばし、如何にも優男風な真面目君は礼儀正しく言葉を述べて言った。
「新入生を代表し――」
――まあ、俺が気になったのは彼が新入生代表って点だった。
一応、俺も成績は悪く無い筈だ。
しかし、俺以上の高成績を修めた奴が居るのかって気になった事だ。
嫉妬こそ無いが、ただ羨ましいなと思った。
もし仮に俺が新入生代表なら、俺が壇上に上がってどんな言葉で喋っていたのかを少し気になったな…とイメージして見たが、必要以上に目立ちたくは無いから別に良いかな。
そんなこんなで入学式は何事も無く、終了するのでした。