午後からはトーナメント戦が開催されるらしいが…
1年C組の俺達はトーナメント戦に参加するので、エネルギーをチャージする為にも食堂で食事を摂っていた。
因みに本日の食堂のメニューは「世界の料理」を題材にしたものでカタールの料理だった。
先ず、前菜である「ファットゥーシュ」を頂いた。
グリーンサラダに焼いたり揚げたりした薄パン(ピタパン)を千切って乗せたもので、フレッシュな野菜とクリスピーな薄パンの食感が絶妙だった。
「このパンと野菜のフレッシュさが合うなこれ」
「前菜には余り興味は無かったけど…これは美味しいな」
と、俺と彰人で美味しく頂いた。
次にカタールの肉料理である「ビリヤニ」を頂く。
「ビリヤニ」はスパイスとお肉をバスマティ米と一緒に炊き込んだ料理で、パラパラとした食感が特徴的であった。
「匂いも美味しそうだし、実際に食べてみると…説明にもある通りパラパラとした食感が口の中に広がり、同時に肉も混じって美味しいね」
「本当そのまんまだな…けど美味しいのは事実だが」
と、美味しそうに食べる廣仁を見て俺はニヤニヤを隠せない。
そんな俺を見て朔夜と彰人は呆れそうにしながらも笑っていた。
尚、当の廣仁は俺達を見て何が可笑しいのか分からず、頭の上に「?」を浮かべていた。
最後にデザートの「デーツ」を頂く。
デーツはナツメヤシの実で、カタールの伝統的なお菓子らしく、ビタミンやミネラル・食物繊維が豊富で、栄養価が高いのが特徴らしい。
「んん〜美味しい〜♪」
「ほんのりとした甘みが口の中いっぱいに広がってとろける〜」
さて、食事を摂った事だし…
午後のトーナメントにいざ、行かん!!
こうして俺達の戦いは午後のトーナメント戦まで続いたのだった。
※ ※ ※ ※ ※
熾烈極まるトーナメント戦が幕を閉じ、俺達は体育着から制服に着替え、教室で帰りのホームルームを行っていた。
「今日は皆、大変良く頑張りました!結果はトーナメント三回戦で終わりましたが…それでも上級生相手に残り4人まで良く削る事が出来たのは正直私も驚きでいっぱいでした」
と、労いの言葉を頂いたが、正直疲れて早く終わって欲しい。
一回戦目から上級生のクラスとぶつかり、二回戦目までギリギリのサドンデスで運で勝てたが、三回戦は3年生のクラスと当たった。
圧倒的な実力差に俺達は翻弄され、4人まで朔夜と彰人が削った所までは良かったが、サドンデスで敗退してしまった。
――と、まあ結果から言うとそんな感じであった。
「さて、皆さんも疲れているでしょうし、少し早めに切り上げましょうか。では皆さんお疲れ様でした!」
そんな感じでホームルームは終了し、1年C組は解散した。
「朔夜〜廣仁〜彰人…帰りに何処か食べて行かない?」
「……そうだな。動き過ぎて腹が減ったのは否めない」
「ボクも良いけど…何処にするの?」
俺達が何処で食べようかと話し合い、彰人の「ラーメン屋とかどうだ?」と言う意見に少々考えてから決定した。
そうして昇降口で上履きから靴に履き替えようとした所で「よお」と背後から声を掛けられた。
声がした方向に顔を向けると、其処には
「あー確か…1年E組の
「そうだ!良く覚えていたな。今日の試合は中々面白かった!良い試合を有難うな!」
「お、おう…」
と、善積恭將から握手され、俺は困惑しながら返してあげた。
そうして善積恭將は背後に居た彰人達を見て「おっと…」と何かに気付いた様子だった。
「これから何処かに行くのか?邪魔したな」
「いや別に…」
「あ、そうだ。こうやって出会ったのも何かの縁だ。連絡先だけでも交換しないか?」
「ふむ。確かに…良いな!友達が増えるのは俺としても嬉しいし」
こうして俺は善積恭將と友達になり、連絡先を交換した。
L◯NEのアイコンを見ると自分の顔をドアップにしたものだった。
「それじゃ邪魔したな」
そう言って善積恭將は去って行った。
「……何だったんだ一体」
「まあ、友達が増えていっ君さんとしては嬉しいし良いんだがな。さて、それよりも…ラーメン屋に向かうぞ!」
こうして俺達は校門を抜け、バス停へと向かった。
道中、今日の話で花を咲かせつつ、バスに乗って行く。
その最中に彰人が最近マイブームが来ていると言うアプリゲームのガチャで激レアを引き、少し盛り上がったのは此処だけの話。
そうしてバスは駅に着き、少し歩いた先にある駅前のラーメン屋に到着する。
「いらっしゃい」
店主の声と共に店内に入った俺達は券売機でどれにするか考える。
「どれにしよう…んー……俺は塩ラーメンにしよーと」
俺は上から見てどれにするか考えた末に塩ラーメンに決定して券売機のボタンを押し、お金を投入して券などを取る。
次に朔夜達が券売機を見る番になった。
「……そうだな。味噌ラーメンにしよう」
「じゃあボクは醤油ラーメン」
「俺はネギチャーシューにするか」
券売機にお金を投入し、出て来た券を店主に渡して席に座る。
店内は良くある作りで、俺達が座ったのは四人席であった。
そうして暫く待ちお冷や注文したラーメンが運ばれて来たので、
「「「「んじゃ、お疲れ様!」」」」
お冷が入ったコップで乾杯し、それぞれ注文したラーメンを食べる。
「んん〜魚出汁の匂いと醤油のコンビネーションが堪んないよね!そしてそのスープに麺を絡めて啜る瞬間は至高そのものだね!」
と、廣仁が目を輝せながらコメントしていた。可愛い。
「〜〜♪やっぱ塩ラーメンよ。あっさりしてて美味しい」
「……うん。味噌ラーメンも美味くて最高だ」
「俺の場合、普通のネギチャーシューも旨いが、少し辛味を付け加える事で辛さと具材の味が絡み合って美味しいんだよね」
――それぞれの好みはあるが、やっぱりラーメンこそ至福だね!
その後、我々はラーメンを最後の一滴まで美味しく頂きました。
※ ※ ※ ※ ※
〜東雲朔夜side〜
ラーメンを食べ終わり、駅前で解散した後。
俺こと東雲朔夜は帰りの電車に揺られながら今日の出来事を思い出していた。
――廣仁の為にも俺は行くぞ!
午後のトーナメント戦。
樹の奴はボールの恐怖を抱きつつも廣仁を守る方にシフトチェンジしたらしく、廣仁の方を見てはドヤ顔を決めてボールにぶつかっていたのは、本人には申し訳無いが少し笑ってしまった。
最終的に試合の結果はトーナメント戦の三回戦目で終わってしまったが、俺としては“これまでに無い日常”を送られて楽しかった。
「……楽しいな」
高校に入ってからの俺は何かと樹のお陰で楽しい日常を送られている。その事に感謝はしているが、同時にいつまでこの日々を過ごして居られるのかに不安を感じてしまっていた。
――果たして、いつまで一緒に居られるんだろうか。
この楽しい一時にも、いずれ終わりが来てしまう。
そうなった時、俺はまた“独り”になってしまうんだろうか…。
「っと……そんな事を考えて居ても駄目だな。今を楽しまないと」
俺は不安を振り払い、自宅に帰ると「ただいま」と言った。
すると「おかえり〜」と言う愛する妹の声が返って来た。
「お兄ちゃん様〜今日の球技大会はどうだったよー?」
「……そうだな。取り敢えず手洗いとかしたいから少し話するのは待ってくれないか?――咲希」
「はーい」
――
それが俺が愛する実妹の名前だった。
家族の俺が言うのもアレだが、そこら辺にいる女子より可愛くて明るく元気な彼女は、絶対に男子達からモテるだろうと思う。
但し、我が妹を大事にする彼氏じゃないと俺は認めないがな。
俺は手洗いなどを済ませ、リビングに来ると妹の咲希が既に期待に満ちた目で俺を見て待っていた。
因みに咲希は晩御飯を既に完成して待ってくれていた。
……ラーメンを普通盛りにしといて良かった。我が妹の料理は別腹で全部食べないと行けないからな。
「「頂きまーす」」
俺達は二人で晩御飯を頂く。
俺達以外の家族は仕事で居ないので、基本的に二人で食べる事が多い。
「それでそれで?今日はどうだったの?」
「……ふっ。話をしよう。あれは今から36万…いや、1万4000年前だったか。まあ良い俺にとってはつい昨日の出来事だが、君達にとっては…」
「そーゆーの良いからさ?」
「……あ、ハイ」
妹にネタを潰された俺は大人しく今日の出来事を伝えた。
妹の咲希は楽しそうに聞いてくれており、時折笑ったりもしながら聞き終わると嬉しそうな表情をして言った。
「まぁ〜お兄ちゃんが楽しそうで良かったよ。相変わらず遠坂さんって人は面白おかしい人のようだけど(笑)」
「……アイツは面白くて良い奴だし、連れて来る機会があったら呼ぼうかな」
俺がそう言うと咲希は「今度うちに連れて来て!」と言うので、「機会があればな」とだけ伝え、食事を終え、風呂などを済ませた俺は自室に戻った。
「……今を大事に、楽しめか」
俺はそう呟きながら、ベッドに横になって眠るのだった。