7月某日。
本日も廣仁の願いである『友達との思い出を作る』を叶える為にもいっ君さんは誘える人を誘い、鎌倉へとやって来た。
「って訳で集まって貰いました〜」
「いえーい!」
「ど、ドンドンパフパフ…は、恥ずかしい///」
本日のメンバーは俺・廣仁・葉山颯吾。
現在、俺達は駅を出て小町通りへと向かっていた。
「こっちに来るのはいつ振りだろうか」
「あれ?過去にも来た事があるの?」
「おう。我等が遠坂家の家族旅行で来た事があってな」
そう言いながら俺は廣仁と葉山颯吾をとある場所に連れて行く。
その場所と言うのが――
「えっと…此処は?」
廣仁から質問をされたので、俺はドヤ顔をしながら答える。
「食べる大仏で有名!『ともや』と言う店だ!」
小町通りの一角に並ぶ『ともや』の大仏さま焼き。
「高徳院」の大仏。その大仏を、手の平サイズに仕立てたフードが『ともや 鎌倉小町店』の「幸せをよぶ 大仏さま焼き」である。
中身は6種。恋愛運を上げたい人は「ブルーベリークリームチーズ」、仕事運を上げたい人は「厚切りベーコンチーズ」、金運を上げたい人には「紅いもあん」と其々が開運に通じるらしい。
素材にも拘っており、紅芋あんは鹿児島産、小倉あんは北海道十勝産の小豆とてんさい糖、ベーコンには地元・鎌倉産の物を使用。
ハチミツ入りの生地は、優しい甘さでどの中身とも相性抜群です。
「どれも良いぞ。いっ君さんは『ブルーベリークリームチーズ』」
「へぇ〜じゃあ僕は『紅いもあん』にしようかな?」
「ボクは『厚切りベーコンチーズ』で」
俺達はそれぞれ購入し、空いているスペースで食べてみた。
「んん〜♪美味しい〜!」
俺が注文した『ブルーベリークリームチーズ』は、甘酸っぱいブルーベリーとまろやかなチーズの組み合わせがベストマッチ。果肉の食感もアクセントになっていた。
「『厚切りベーコンチーズ』なんだけど〜ジューシーで食べ応えのあるベーコンと、チーズとマヨネーズのコクが堪らない逸品♪」
「紅いもあんも良いぞ!」
と、絶賛であった。
その次に葉山颯吾が事前に調べて気になったと言う店にやって来ていた。
その店と言うのが『Giraffa』と言うカレーパンであった。
2020年の誕生以来、行列の出来るカレーパン専門店として知られる「Giraffa(ジラッファ)」は、今や東京やシンガポールにも展開しているらしい。
小町通りにある1号店では、1日で4,000個以上販売する事もある程、連日多くの人が訪れるお店であった。
「これがまた美味しいらしいんだよ」
葉山颯吾が人数分購入して来たのは『ジラッファのカレーパン』であった。
「「「頂きます」」」
カレーとの相性を考えて作られた生地は、もちっとしてほんのり甘いミルク風味。カレーフィリングは香味野菜と牛豚ミンチを煮込んで旨みを抽出してから、ハチミツとリンゴの甘味、トマトとワインの酸味を加え、バランスが良く、飽きがこない美味しさに仕上がっていた。
スパイスは、ターメリック、コリアンダー、クミンなど30種を調合。更に外側はパン粉とは異なる特別な衣を使う事で、カリッと軽い食感を生み出している。
「揚げたての状態で直ぐに食べられるからチーズがとろりとして口の中に広がると言うか…美味しい」
俺は廣仁が美味しそうに食べるのを見ながらカレーパンを食べ、次の店へと向かった。
次にやって来たのは『鎌倉茶々』であった。
明治創業の老舗が営む抹茶をテーマにしたカフェスタンド「鎌倉茶々」は、3年連続で農林水産大臣賞に輝いた茶園が手掛ける、静岡産の高級本抹茶を使ったスイーツやドリンクを楽しめる。
抹茶の味を存分に堪能するなら「抹茶っ茶ソフト」がぴったり。注文した濃さに合わせて1グラム100円相当の贅沢な抹茶を振り掛けて貰えるらしい。
「調べた感じ本店に当たる「総本家 鎌倉茶々」のみで販売されている「プレミアムRICH」がお勧めらしいってさ」
「じゃあそれにする!」
俺達は「総本家 鎌倉茶々」のみ販売されている『プレミアムRICH』を購入し、食べてみた。
「おお〜!?これは!?」
「抹茶好きの彰人が食べたら喜びそうだよね」
ミルキーなコクと甘味が強いソフトクリームに抹茶の渋みとビター感が加わり、絶妙な調和を生み出していた。
口の中で味が長く残り、一度食べたら忘れられない美味しさ。
「あれ?昨日は居ないけど藤澤君って抹茶好きなの?」
「ああ。アイツは意外と和菓子系とか洋菓子系とか色々行けるぞ。アレルギーであるバナナを除けば好き嫌いは余り無いと思うよ」
葉山颯吾から語られる藤澤彰人の意外な一面を知りつつ、俺達は次の店へと向かった。
さてさて。
次にやって来たのは「豊島屋 瀬戸小路」である。
「豊島屋 瀬戸小路」は、鎌倉銘菓として全国的に知られる「鳩サブレー」の豊島屋が2022年にオープンした、手焼きのワッフルに特化したお店。昭和初期から愛される豊島屋の「わっふる」の、焼き立てを味わえるらしい。
建物は2階建てで、1階が売り場と手焼きの工房。2階はスタンディング形式のイートインスペース。
次々とワッフル生地が作られていく様子は見ているだけで気分が上がるのは気の所為では無かった。
手焼きの「わっふる」は、「あずきあん」や「クリームチーズ」など基本の味が10種類。
トッピングを組み合わせれば、より多彩な美味しさを楽しめる。
「んん〜これ、美味しいな」
「だね〜美味しい!」
俺達が注文した「わっふる あずきあん+鳩サブレーバター」と「わっふる あずきあん+生クリーム」は、生地はふわっと軽やかでほのかな甘さ。小豆も甘さ控えめのこしあんでワッフルにマッチ。
そうして俺達は小町通りを抜けて鶴岡八幡宮へと向かった。
△ △ △
鶴岡八幡宮では、境内の入り口付近だけでかなりの観光客などでごった返していたが、俺達は人の列に沿ってきつい階段を登った。
上から見ると鶴岡八幡宮周辺を一望する事が出来たが、人混みと暑さでかなり汗が出て、感想を言えるような雰囲気では無かった。
ただただ『すげぇな』と言うものしか直ぐには出て来ない。
さて、鶴岡八幡宮は鎌倉時代で有名だが、祀られている神々は、応神天皇、神功皇后、比売神の三柱の神様である。
これらは纏めて『八幡神』と言い、勝負事や仕事運、安産、金運等のご利益があるとされ、武家の守護神としてとても厚く信仰されていた。
現代では勝負運、仕事運、出世、安産、縁結び・良縁など、様々なご利益があるとされ、全国各地から人が訪れると言う。
俺達は順番に沿って参拝をした。
――特にお願いがある訳では無いが、神様に失礼のないように参拝だけはちゃんとしておこう。
賽銭を入れて二拝二拍手一拝で、神様に感謝の気持ちを込めて。
その刹那、俺の周囲で不思議な感覚がした気がする。
言葉では言い表せない“何か”が俺の全身を纏う様な感覚だった。
――何と無く心強い“気”と言うか何かを感じた気がした。
「……?」
「ん?どうしたの?」
「い、いや何でもない…」
廣仁と葉山颯吾に不思議られたが、変な事は言わない様にした。
それにしてもあの気は…神様の神気に近い何かの様な
結局、俺はその正体が何なのか分からず、鶴岡八幡宮を後にするのだった。
△ △ △
それから俺達は江ノ島電鉄に乗り、江ノ島までやって来た。
「よーし、本日のメインである江ノ島にやって来たぞ!」
さて、そんなこんなで俺達は『江の島大橋』と書かれた橋を渡って江ノ島に上陸し、周囲を探索していると付近の店でアイスが売っていた。
「ほう…アイスか。少し蒸し暑いからイチゴのを貰おうかな」
「それじゃあ僕はブルーハワイで」
「ボクは抹茶かな」
それぞれアイスを購入し、店の近くでアイスを舐める。
冷たいアイスにイチゴの味が素晴らしい感じに染み、下手すれば今まで食べて来たアイスの中でも上位に入る程、美味しかった。
「んん〜〜〜♪」
「うわ!?これ美味しいな!」
「〜〜〜♪」
俺達は少し長めにアイスを堪能してから近くのゴミ箱に木の棒を捨てて人混みに紛れ、坂の上を目指して行く。
「人が多いね…」
「そうだよね。主に外国人の人達が多いとは思うけど」
「まあ、それだけ日本が有名になっているんじゃないか?」
最近の日本はインバウンドやら移民やら色々と言われているが、個人的には日本が有名になる一方、治安維持などの問題もあるので何方とも言えないのが実情であった。
そうして江ノ島弁財天仲見世通りを通り過ぎ、階段を登って上に進むと瑞心門が見え、そこを通り抜けて暫く道沿いを歩く。
すると江島神社が見えて来た。
江ノ島の神様は、主に三姉妹の女神様である。
具体的には
また、その夫神とされる
「へぇ〜遠坂君って物知りなんだね」
「……中学時代に厨二病を発症してな。その時に日本神話の事とか色々調べていた時期があったんだよ」
「あはは…」
葉山颯吾に関心されたが、中学時代の事を言うと廣仁から苦笑されてしまった。
うぐっ!?ちゅ、厨二病時代の記憶が思い出してしまう!?
そんな事を思いつつ、江島神社で参拝して更に奥に進む。
暫く奥に進むと『恋人の丘』と『龍恋の鐘』と呼ばれる場所に辿り着いた。
「え、えと…?遠坂君?何で此処に来たの?」
「え?何でって…来たかったからに決まってるじゃん」
「あーこれが彰人の奴が言っていた草薙君好きの遠坂君か…」
葉山颯吾は呆れながら言っていた。
恋人の丘『龍恋の鐘』は五頭龍伝説の恋物語に因んで作られた恋人の丘。二人一緒に鐘を鳴らすと永遠の愛を約束出来ると言う龍恋の鐘がある。鐘の周りのフェンスには恋人の名前や願いを書いた南京錠を掛けられる恋人達のパワースポットとして知られている。
「えっと…遠坂君…まさかとは思うけど…」
「さあ、廣仁!此処で共に永遠の愛を誓おうではないか!」
「き、気持ち悪い…」
「うぐぁ!?」
廣仁から気持ち悪いと言われ、俺の心はズタボロにされたが…
それでも俺は諦めない心で奮い立たせ、廣仁に懇願した。
「“お”願”い”じ”ま”す”!!一緒に鐘を鳴らせて下さい!」
「「え、えぇ…(ドン引き)」」
全力で土下座する俺。ドン引きする廣仁達。
何か大事なものを失った気がするが、俺は一向に構わない。
一生の思い出になるのならどんな手だって使うのが俺だった。
「…………はぁ。分かったよ。一回だけだからね!」
「ヨッシャ!!人生勝った!!」
「うわぁ…」
葉山颯吾に気持ち悪がられたが、俺は気にしない。
この後、俺は満面の笑みを浮かべ、廣仁は引き攣った笑みを浮かべながら鐘を鳴らし、葉山颯吾に写真を撮影して『一生の思い出』を残すのだった。