青春の楽園   作:鷹と暁

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第5話 遠坂家でお泊まり会!

 あ、どうもいっ君さんです。

本日から本格的に夏休みに突入し、俺達も夏休みを満喫しようとしていたのだが…

 

「思った以上に夏休みの課題の量がエグ過ぎて草」

 

 その通り、夏季休暇に出された課題の量が通常の倍以上はあってこのまま遊び呆けていたら、いつまで経っても終わりが見えない。

 そう判断した俺は急遽、呼べる友達を呼んで臨時勉強会を開催しようとしていた。

 

 そんな訳で――

 

「急遽集まって貰って悪りぃな!」

「……別に俺も課題の量がおかしいと思っていた所だ」

「ボクも同じだね」

「うへぇ〜夏季休暇に入った途端にこの課題地獄があるんよなぁ〜一体教えはどうなってるんだマジで」

 

 ――俺達、1年C組の野朗共が我が家で勉強会を開催する。

メンバーは俺・朔夜・廣仁・彰人の4名。

 ただ勉強会をするだけじゃつまんないので無いので、お泊まり会を兼ねて来て貰っていた。

 

「よーし、それじゃあ早速課題を終わらせて行くぞ!」

「「「おー!」」」

 

 こうして俺達の夏休みの課題との戦いが幕を開いた。

 

 

 

△ △ △

 

 

 

「…………意味が分かりませーん!」

「……出オチ過ぎるだろ」

 

 俺は国語の課題と向き合っていたのだが、途中の難問で心が早速折れてしまった。

 隣に座る朔夜からツッコミを貰ったが、分からないものは絶対に分かるまでは頭が理解を拒むのだ。

 

「はぁ…国語の問題で引っかかる所を教えてくれ。ヒントぐらいは教えてやらん事も無い」

「流石は文系で好成績を残す彰人様だ。教えて下さいマジで」

「……どんだけ困り果てているんだお前は」

 

 彰人に『此処の問題は一学期に出された応用問題だな。此処の文は――』とヒントを教えて貰いながら課題を解き進めて行った。

 

「つまり此処の問題は心理描写を汲み取り――」

「ほうほう」

「そんで、此処と此処は――」

「ふむふむ」

 

 彰人はなるべく理系の俺にも分かりやすくヒントとなりそうな所をそれとなく教えて貰い、俺もスムーズに解けていた。

 彰人の奴、文系の問題になると比較的分かりやすくて助かるけどその他の理系などになると駄目になるんだよな。

 

「……なあ、少し教え過ぎじゃないか?樹の奴を甘やかし過ぎても成長をしなくなるぞ?」

「あー確かに…んじゃ此処からは出来るな?いっ君さん」

「俺を見捨てないでぇ…」

 

 

 

△ △ △

 

 

 

「フハハハハハ!理系の時間じゃ!これでもう何も怖く無い!」

「盛大なフラグ発言だな…と言いたい所だけど得意分野だからそうでも無いのか」

 

 今度は国語とは逆に俺や朔夜が彰人に数学や理科を教えていた。

彰人の奴に『ヘルプミー』と救援要請を出され、借りを返すつもりで専門用語を出して教えていたのだが…

 

 彰人の奴が目をグルグルとし、理解を拒むようになっていたので慌てて朔夜が分かりやすいように教えて貰っていた。

 

「……4回とも1〜5の目のうちの何れかが出る確率(6分の5)から、4回とも1〜4の目のうちの何れかが出る確率を引けば良いって問題か。此処は――」

 

 そう言って朔夜は彰人に比較的分かりやすいように教える。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

(6分の5)4-(6分の4)4=1246分の369=144分の41。

 

 次に上記と同様に――

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

「次に此処と此処を先に計算し、その後に此処を計算すると答えが必然と出て来る筈だ」

「成る程…少しずつ頭が追い付いて来たような気がする」

 

 数学嫌いの彰人でも比較的分かりやすい復習を教える朔夜には俺も頭が上がらないですわ。

 

 

 

△ △ △

 

 

 

「えっと…英語は普段の日常会話やポスターなどの日本語を英語に変えてみるって問題だね。じゃあ…」

 

 そう言って廣仁はネイティブな英語の発言をした。

 

「Good morning. Summer vacation starts today. How are you spending your time?」

「おはよう。今日から夏休みだけど如何かな?って所か」

 

 まだ此処は簡単だな。

んじゃ、俺が廣仁の話し相手になってやるか!

 

「Hello! My angel! You look so cute today! I'm so happy to have met you!」

「……やあ!私の天使!今日も可愛いね!君に出会えて私は最高だよ!……何を言っているんだお前は」

 

 本当だよ、何を言ってるんだろうね俺。

皆が俺を呆れた目で見て来るが、お前らだって廣仁の可愛い一面を見たら顔を赤くするんじゃないか!!

 

 

 

※ ※ ※

 

 

 

 そうして勉強会をして数時間が経過し、現在時刻は14時過ぎ。

俺達は昼飯を犠牲にかなりのハイペースで課題を終えた。

 

「ふはぁ〜“づ”が”れ”だ”ぁ”〜」

「……何気に一番集中していたのは樹、お前だったよな。お疲れ」

「お疲れ様ぁ〜少し目が疲れたよ…」

「うへぇ〜もう暫くは勉強したく無いわ」

 

 俺達は机に寄り掛かりながら一斉にそんな事を呟いた。

いやはや、勉強なんか一気にするもんじゃねぇわ…(反省)

 だけどかなり減らす事は出来たし、先にやっといて良かったのかも知れないな(遠い目)

 

「……に、しても腹が減った」

「うん…集中していたから気が付かなかったけど昼過ぎか…」

「こんな暑い中、コンビニまで行くのとか面倒なんだけど」

 

 今から何かを作るにしても簡単な料理ぐらいしかなぁ〜…

俺は麦茶を取りに冷蔵庫を開け、余った食材を見てふと思った。

 

「なあ、お前ら?」

「「「ん?」」」

「俺の男飯で良いならご馳走してやるぜ?」

 

 俺は満面の笑みを浮かべながら言った。

 

 

 

△ △ △

 

 

 

 使い古しのエプロンを身に付け、キッチンに立つ。

俺はシンクに渡した作業台の上でテキパキと料理をこなして行く。

 芯を避け、キャベツの外側、柔らかい葉の部分だけを細く千切りにする。冷水に晒してシャキッとさせ、刻んだ茗荷と大葉、かいわれを混ぜ込んだ。水気を切って冷蔵庫に閉まっておけば完成だ。

 玉葱を薄切りにしていたら鍋のお湯が沸いて来たので、ざく切りにしたキャベツの芯を入れる。出汁はシンプルに白出し。

 態々、自分で取ったりはしないが、そこは大雑把な男飯って事にしといてもろて。

 それから豚バラ肉を切ったりなどして――

 

「はい、男飯の完成!」

「「「おぉ!!」」」

 

 出来上がった料理をリビングに運び、カフェっぽい木製のトレーごとランチマットの上に置く。食器や茶碗から箸置きまで全て人数分は辛うじてあった。

 

「……美味しそうだな」

 

 朔夜が呟いた。

見た目もそうだが、味の方も保証はしてあるぞ?

 

「えっと遠坂君。メニューを聞いても良いかな?」

 

 廣仁から質問が来たので、俺は早口で答える。

 

「豚バラ肉の生姜焼き、キャベツの千切り薬味ミックス、コーンバター味噌汁。キャベツに旬の薬味を加える事で、よりさっぱりと、飽きずに食べる事が出来る。次にバラにしたのは、この付け合わせにこってりが合うから。味変でマヨネーズ、豆板醤も添えてある。辛いのが苦手なら混ぜてみるのも良い。そして最後にコーンバター味噌汁はそのまんま。味噌汁にコーンとバターを入れた物だ。コクがあってこれが中々美味い。ベストは冬だが、夏でも行けるゾ⭐︎」

 

 俺が早口で言い終わると、廣仁は大体は聞き取る事が出来たのか嬉しそうにしていた。

 

「それじゃ冷める前に頂くとしようか」

「……その前に手洗いを忘れるなよ」

「あ、そうだった」

 

 三人は手洗いを済ませ、机の上を整理してから…

 

「「「「頂きまーす」」」」

 

 四人で少し遅めの昼食を摂った。

俺はそのまま三人の様子が気になり、顔を窺った。

 

 廣仁がコーンバター味噌汁を啜る。

すると廣仁の顔が華やかな笑みに変わり、

 

「うん!美味しい!」

 

 もう一口。今度は具材のもやしやキャベツ、豆腐を口にして、

 

「遠坂君!これ美味しいよ!」

 

 廣仁に言われ、俺も口にして見た。

 ――うむ。良い出来栄えだ。豚バラを炒める時に出た脂を加えて見たが、如何やら功を成したようだな。

 

「……生姜焼きも美味いな。付け合わせとの相性が良い」

「いっ君さんって料理も得意なんだな。初めて知ったよ」

 

 皆から褒められ、俺はむず痒くなってしまった。

けど悪いものでは無いので、サムズアップをして笑みを浮かべた。

 

「あ、そう言えば朔夜」

「……ん?何だ?」

「今度の7月31日ってお前の誕生日だろ?その時に欲しい物とかって無いかなって」

「……あーもうそんな時期か。……特に欲しい物は無いな。強いて言うならお前達と一緒に過ごすこの時間を満喫したい」

「朔夜……」

 

 俺と朔夜は目を見つめ合い、例の目と目が合う〜とかの曲が流れそうになったが…

 

「二人って仲良いのね〜」

「本当になぁ〜?親友って感じじゃない?」

 

 そんな二人から言われ、俺と朔夜は突然気恥ずかしくなってしまった。 

 

「ん、んん!?そ、そう言えばこの後はどうする?勉強ばかりしてもつまんないだろ?」

「……そうだな。久し振りにカラオケとかでも行って見るか?」

「あ、ボクそれに賛成!」

「まあ、時間的に見ても良いんじゃね?」

 

 そんな訳で昼食後は久方振りのカラオケに行く事にしようとしたのだが…

 

「「「「あ、暑い……」」」」

 

 俺達は自宅の外に出て少し夏の太陽を見ていた。

 冷房を入れていたリビングとは違い、外に出ると36℃の猛暑。

とても外に行けそうな雰囲気にはなれなかったので…

 

 ――俺は悪戯で外にある蛇口にホースを付け、廣仁達にぶっ掛けた。

 

「ちょっ!?おい!!水掛かっちまってるって!?」

「もう!?」

 

 彰人と廣仁に命中し、二人はびしょ濡れになっていた。

……くくっ、水でぶっ掛けた男の娘。これは中々良いですな()

 

 と、俺が思っている間に、

 

「……おっと悪いな」

「うへ!?ふにゃぁぁぁ!?」

 

 いつの間にか背後に回っていた朔夜に擽られ、手に持っていたホースを落とし、そのまま朔夜に奪われ…

 

「喰らえ!!樹!!」

 

 朔夜がホースの先を俺に向けて、蛇口を全開にする。

平たいレーザーのように変化した水が、勢い良く俺の全身に直撃した。

 

「ちょっおい!?何するんだ!?」

「俺達に悪戯を仕掛けて来たお返しだ!取り敢えず食らっとけ!」

「ふぁ!?返しやがれ!?」

 

 俺と朔夜はホースの奪い合いをし、結局ホースが上に向けられて俺も朔夜も全身びしょ濡れになる。

 

「おい!?お前らだけ狡いぞ!」

「そうだよ!ボク達にもやらせろ!」

 

 そう言って俺と朔夜の争いに廣仁と彰人も乱入し、俺達は全員で全身をびしょ濡れになるまで遊び尽くすのだった。

 

 

 

△ △ △

 

 

 

 水掛け合戦の後は、全員で近くのスーパー銭湯に行った。

猛威を振るう太陽のお陰で歩いているうちに少し乾いたけど、まだ湿っている服を併用のコインランドリーにぶち込み、15時頃からの源泉掛け流しの湯を堪能する。

 

「はぁ〜生き返る〜」

 

 岩に囲まれた露天風呂に肩まで浸かったら、自然とそんな言葉が漏れていた。

 

「……生き返るってまた、高校生らしからぬ言葉が出たな」

「まあまあ、さっきの水掛け合戦とかは完全にやってる事ガキだったんだから良いじゃんか」

 

 呵呵と俺は笑う。

 

「かぁ〜完全に遊んだわ。あんだけ楽しむと夏休みって感じがして俺は楽しかったぞ」

「ボクもかな。何やかんや楽しかったしね!」

「廣仁……!」

 

 俺は全裸の廣仁に思わず興奮しながら抱き着こうとしたが…

 

「はいステイ。お前の息子が完全にフルボッキーしてるから」

「おっと、これは失礼」

「何この人怖いよ…」

 

 本当に俺の性癖ってどうなってるんだ?俺自身が聞きたいわ。

 

 そうして暫く銭湯を堪能している間に、服の洗濯と乾燥も終わっていた。

 

「……さて、この後は何をする?」

「この猛暑でカラオケに行く気力が無いので家で大人しくするに一票」

「右に同じく」

 

 全員が我が家で大人しくしたいと言う事なので、素直に帰る事にしました。

 

 

 

△ △ △

 

 

 

 それから時間が経ち、俺達は近くのレストランで晩飯を済ませ、順番に風呂を入れ、現在は全員で電気を消して恋バナをしていた。

 

「んでさ?お前らって好きな人とかって居ないの?」

「……薮からに棒だな。特に居ねえよ。居たらお前らに紹介してるか秘密にしてるかのどちらかだよ」

「うーん…ボクも居ないかな。遠坂君の紹介で望月さん達を紹介して貰った事はあるけどあの人は…うーん…可愛いけどボクを見る目が怖いと言うか…」

 

 あー…確かにアイツって廣仁を見る目がヤバいもんなぁ〜…

 ……え?発言がブーメランだって?ナニヲイッテルンダオレハシンシニフルマッテイルジナナイカ!

 

「……一応、言っておくが樹?お前も大概だからな?」

「そうだよ!幾ら友達だからってやり過ぎは怒るからね!」

「ひ、ひぃ!?わ、分かりました!!」

「よっっっわ」

 

 ……彰人?お前は後で覚えておきなさい^^

 

「へぇ〜?彰人君?そんな事を言って良いのかなぁ〜?君は天宮さんの事が気になってるんじゃなかったけぇ〜?」

「っ!?お、お前…!!」

「天宮さんって…あー…あの可愛くて大人しい子だっけ?」

「……ふーん。彰人、お前にも春が来てたんだな」

 

 俺達は一斉に彰人に向かってニヤニヤすると、当の本人は顔を真っ赤にしていた。このウブな奴め。

 

「〜〜〜!!こんのぉ!!」

 

 そう言って彰人は寝るように置いてあった枕を俺の顔面にクリーンヒットしやがった。

 

「うぐぁ!?」

「へへ!ザマァみろ!ってへぶらっ!?」

「その言葉返してやらぁ!」

「……お前ら……っ!?」

 

 俺と彰人は唐突に枕投げをし、朔夜達に呆れられていたが…

お前ら、他人事みたいに言ってるが…隙だらけだぜ?

 

「相手の顔面にシュート!超エキサイティング!」

「………樹?お前やられる覚悟はあるんだろうな?」

「もう皆してふざけ…うわっ!?やったな!」

 

 こうして俺達は暫く恋バナから枕投げにシフトチェンジして遊び呆けるのだった。

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