〜遠坂樹side〜
――8月31日。
夏休みの最終日、俺は廣仁と夜にLIN◯通話をしながら色々と話し合っていた。
「どーもどーも!いっ君さんだよ!」
『あ、こんばんは!廣仁だよ!』
大体20時に通話を開始し、俺から話を始め、廣仁はそんな俺の話に大体返してくれ、逆に俺から廣仁に聞いたりもする。
「そう言えばさ。7月の始め頃に短冊でお前の願いを聞いたと思うんだけど……正直如何だった?」
『あー…そう言えばボクの願い事をいっ君さんが叶えてくれたね。
その節は大変有難う!お陰で沢山の思い出を作る事が出来たからいっ君さん大好き!』
「ぐはっ!?」
通話越しからの突然の告白に俺は理性を耐え切れず興奮して鼻血を出してしまった。
通話の向こう側から廣仁が『大丈夫!?』と心配されたが、大丈夫問題あると答えておいた。
『いや、問題ある時の返答だよ!?本当に大丈夫!?』
「だから興奮して鼻血を出しただけだって…」
『何で鼻血を出すんだこの人…』
何処か廣仁に呆れられてしまった気がするゾ…。
『てか、前々から思っていた事だけどさ?何で遠坂君ってボクの事がそんなに好きなの?同性だし、好きになる所とか無いよね?』
と、突然廣仁からそんな疑問を投げかけられ、俺は――
「そんな訳あるか!先ず俺が廣仁を好きになった理由は入学式の日に俺がお前に一目惚れした所から話が始まる。最初は見た目が俺のドンピシャで可愛い女子だと思っていたらまさかの男の娘だった!しかし何とは言わないが付いている方がお得!興奮するじゃない!次にお前はそんなに自信が無いのかも知れないが、お前と言う人間が好きだからに決まってるだろ!誰にでも優しくてお淑やかでかと思えば親しい人には毒舌も吐いたりもするし、そんな所も良い。そして何より一緒にいて好きで楽しいからこそ俺がお前と居てだな!これからも一緒に居たいと思うし、何より結婚したいと――」
『ストップストップ!わ、分かったから大人しくして!?』
おっと、俺の熱意がつい暴走してしまったな。
こりゃ失敬失敬。だけどこれで分かってくれたよな?
『もうっ!結婚なんて無理だよ!だってボクと遠坂君は同性だし!友達と言う意味では好きだけど、だからと言って結婚だなんて…。遠坂君には望月さんが居るんだからボクは無理に決まってるよ』
「何でそこで眞希の奴が出て来るんだ?別にアイツは女友達だし。それに海外では同性婚だって当たり前になっているんだし、俺もお前で海外で式を執り行って皆に祝福されようじゃないか!」
『え、えぇ……(ドン引き)』
何故か完璧にドン引きされたんだけど…何で?
※ ※ ※
〜東雲朔夜side〜
……どうも、東雲朔夜です。
今日で夏休みが終わり、明日から二学期が始まる訳なのだが…
――今年の夏休みはこれまで以上に楽しかった。
思えば大体は樹の提案からこの夏休みは始まった訳だよな。
海で泳いだり砂浜でバーベキューをしたり、花火大会に行ったり…後は他の奴に誘われてカラオケやら家族と原宿とか色々行ったな。
〜回想〜
ある日の原宿。
俺は咲希と諷歌ちゃんを連れて原宿の竹下通りを歩いていた。
『わあ!?これが最新のファッションだよお兄ちゃん!』
『……地雷系の間違いでは?』
『それが可愛いんですよお兄さん』
まあ、確かに可愛いけども…
咲希と諷歌ちゃんは美少女だから余計に可愛く見えるんだろうな。
俺は目の前で服を確かめ合う妹達を見守りつつ、そんな妹達に向けて邪な視線を向けて来る陽キャ共に睨みを利かせておく。
そうすると大抵の奴等は俺に恐れを成して逃げて行くものだ。
――全く可愛い妹達にナンパとかさせる訳がねぇだろうが?
『ん?如何したの?』
『……何かいましたか?お兄さん』
おっと二人に心配されてしまったな。
俺は優しい笑みを浮かべて二人に言った。
『……気にするな。何にも無かったから』
〜現在〜
「……流石に妹離れした方が良いとは分かってはいるんだがな。それでも可愛い妹達から卒業出来そうにも無いし、如何したものか」
俺が自分自身に苦笑しつつ、夏休みの残った課題を終えさせる。
――その課題と言うのが……
『夏休み、あなたが見つけた事を教えて下さい』
※提出は不要です。あなたの「何か」を誰かに教えて下さい。
と言うものだった。
最初見た時は何だこれとは思ったが、今思い返して見ると沢山の思い出が詰まった大切な夏季休暇だったと思う。
俺はそれを誰かに伝えようと内心思うのだった。
※ ※ ※
〜藤澤彰人side〜
どーも、藤澤彰人です。
明日から二学期が始まる中、俺は課題を初日に粗方終えてしまっていたので、比較的自由な時間を過ごしていた。
自室でライトノベルを読んだり、YouTubeで猫ミーム等の動画を見たり、ダラダラと過ごしていると…
――ライン!
LIN◯に一件の着信が来た事に気付き、俺はそれを確認すると…
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天宮さん
『こんばんは〜20時頃に送ってごめんね?』
『今日って凄い雨だけどそっちは大丈夫?』
『うわ!?そう言っている間にも外が凄い雷の音がするよ>_<』
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――何だこの人、可愛いかよ。
俺はつい寝ていた体勢から飛び起き、慌てて返信をする。
「えっと『大丈夫だよ。比較的まだマシな方だから』っと…」
追加で『だけど凄い雨だよね。大丈夫かな?』を送ってと。
――やったぞ!天宮さんの方から連絡して来てくれた!
多分、向こうからすると何気無い会話なのかも知れないが、俺からすると大変嬉しいものだった。
俺は暫く天宮さんとメッセージのやり取りをするのだった。
※ ※ ※
〜望月眞希side〜
――現在時刻、23時59分。
ウチは夏休みが終わるこの瞬間を寂しく思っていた。
……嗚呼、この楽しかった夏休みも後1分もしたら終わる。
そう思った瞬間、ウチは過去の事を思い返しつつ、これから先の出来事に思いを馳せる。
9月から先は文化祭があったな。
そして文化祭と言えばカップルが出来る時期の一つでもあった。
そう思った矢先、ウチの脳裏には遠坂樹の顔が思い浮かんだ。
中学時代から今に至るまで唯一長い付き合いがあり、ウチの事をちゃんと見てくれる存在。そんな彼と付き合えたらウチは――
そう思った瞬間、ウチは顔を真っ赤にしながらいると、時計の針が0字を指し、9月に突入した事を告げた。
「…………さよなら夏休み、初めまして今年の9月、かぁ…」
ウチは秘めた想いを文化祭で遠坂樹に告げる事を覚悟し、
「よーし、アイツに何としてでも付き合えるように頑張るぞ!」
ウチはこれまで逃げて来た遠坂樹に対する想いに決意を改め、文化祭に向けて期待を寄せる。
こうして夏は過ぎ、新たな時期に移り変わろうとしていた。