ブルアカにドMを生やしただけ   作:ナギサ様の臀部

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IF ムイがアビドスに流れ着いていたら 3

 

 

 

 

【砂漠と廃墟の】アビドスよいとこ一度はおいでPart5【ユートピア】

322:名無しの砂粒

騙されたぁあああああ!!!

 

323:名無しの砂粒

イッチのバカぁあああああ!!!

 

324:名無しの砂粒

(血)祭りじゃぁあああああ!!!

 

325:名無しの砂粒

>>324

その血はカイザーのでもイッチのでもなく私らの血だボケェ!!

 

326:名無しの砂粒

どこ……オフ会会場どこ……? おいしいご飯と楽しいお祭りがあるって話じゃなかったの……?

 

327:名無しの砂粒

えー、イッチに案内されたここはカイザーの基地でごさいます。皆さんはイッチがボスを殴りに行く間下っ端を押しつけられる側です。なるべく耐えてくださいね。

 

328:名無しの砂粒

当のイッチはどこに消えたんだよぉおおおおお!!!

 

329:名無しの砂粒

前線からたまに戦車とかオートマタの残骸が飛んでくるじゃろ。それやってるのイッチ。

 

330:名無しの砂粒

ひえっ。

 

331:名無しの砂粒

ああっ、哀れなゴリアテの腕が引きちぎられた!

 

332:名無しの砂粒

そしてそのまま上空のヘリへ投げつけられる腕!!

 

333:名無しの砂粒

ヘリは下にいた雑魚を巻き添えにしつつ大爆発!!!

 

334:名無しの元アビドス生

えっ、何この阿鼻叫喚。

 

335:名無しの砂粒

大量のPMC兵士と戦いながらスマホぽちぽちしてるって、さては言ってるほど余裕無いわけじゃないなこいつら。

 

336:名無しの砂粒

>>335

銃撃戦の中でもソシャゲができるように愛銃にスマホホルダー装着するのは基本だろ?

 

337:名無しの砂粒

>>335

反動強いやつ嫌だからって弱いのにしたら結果的にスマホ片手に持ちながらでも使えるようなのになっただけですが何か。

 

338:名無しの砂粒

>>337

お前か! さっきから豆鉄砲でフレンドリーファイアしまくってるバカは!!

 

339:名無しの砂粒

>>334

あっ、元アビドスネキ!

 

340:名無しの砂粒

特定班仕事だぁあああああ!!!

 

341:名無しの砂粒

元アビドスネキを連れて来ぉおおおおい!!!

 

342:名無しの特定班

任せろ! ヴェリタスに喧嘩売ってボコボコにされた私のハッキング技術を見せてやるぜ!

 

343:名無しの砂粒

>>342

なんかちょっと期待しづらいんだよなぁ。

 

344:名無しの砂粒

でも引きこもってオフ会に出席しないと言い張ってた数十人の住所と黒歴史を特定してアビドスに引き摺り出した功績の持ち主だよ。すごいね♡ 犯罪者風情がよっ!

 

345:名無しの元アビドス生

分かった! 何も分かんないけど大体分かった! とにかく行けばいいんだろ!? 分かったから私のパソコンのフォルダを勝手に漁るなこの野郎!!

 

346:名無しの砂粒

草。

 

347:名無しの砂粒

草じゃないが。

 

348:名無しの砂粒

枯れ草。

 

349:名無しの砂粒

……ヨシ!

 

350:名無しの砂粒

ここまでテンプレ……じゃない!?

 

351:名無しの砂粒

結果的に襲撃したのはこっちなのに、なんで私たちの悲鳴ばっかり戦場にこだましてるんだろうな……。

 

352:名無しの砂粒

なんでやろなぁ。

 

353:名無しの砂粒

不真面目にやってきたからよ。

 

354:名無しの砂粒

>>353

このスレで一番ふざけ倒してるはずのイッチの笑い声が絶えず聞こえるのも怖いんだよ! なんなんだここ!!

 

355:名無しの砂粒

そりゃあ、移動中のカイザーのお偉いさんをイッチが襲撃してブラックマーケットの一角を更地にしながら砂漠に追いやった結果存在が発覚した謎の基地だが?

 

356:名無しの砂粒

過程から結果の何から何まで理解できるものがないのはどういうことだ。

 

357:名無しの砂粒

バ先でカイザーとヘルメット団の関係についての資料を入手

学校の仲間に相談するも資料の出所を隠した結果口論に

とりあえず学校から逃げてカイザー側に問い詰める

はぐらかされる

イッチ、キレた!←今ココ

 

そろそろ戦闘も落ち着いてきたからここまでの流れざっくり纏めたけど、こんな感じで合ってる?

 

358:名無しの砂粒

>>357

有能。

 

359:名無しの砂粒

>>357

正直ちょっと何が起きてるのか分からなくなってきてたから助かる。

 

360:名無しの砂粒

キレた結果が覆面で襲撃なわけですね分かりません。

 

361:名無しの砂粒

うわっ、まだなんか出てきた。

 

362:名無しの砂粒

デカい蛇だ!

 

363:名無しの砂粒

……デカすぎんだろ!?

 

364:名無しの砂粒

ちょっと待てアレここら一帯を薙ぎ払うつもりじゃってスマホ弄ってる場合じゃねぇ!!

 

365:名無しの砂粒

あっ、イッチが殴り飛ばした。

 

 

 

 


 

 

 

 

 かつて、私はアビドスで暮らしていた。連日砂嵐が吹き荒れ、砂漠化が進行し、街も砂に埋もれるような状態だったが、それでも私はアビドスが好きだった。

 

 多額の借金があると聞いても、私の意思は変わらなかった。それどころか、どうやって借金を返済するかを中学生なりに考えたものだった。

 

 借金なんてどうしようもないと話す同級生はいたが、彼女も転校しようとはしていなかった。

 

 私たちが頑張ったところで、たった三年間でどうにかできるはずがないというのは理解していた。それでも利息+αを払い続ければ、次に繋ぐことができる。

 

 オアシスが枯れてしまっても、砂漠化の歯止めがきかなくても、来年の全校生徒が私と同級生とたった一人の先輩だけだとしても、私の心は折れなかった。……あの日までは。

 

 その日、天気予報によれば晴れのはずだったにもかかわらず、私は突然の砂嵐に見舞われた。何かお宝でも落ちていないかと砂漠を歩いていたタイミングだった私は、自分の不幸を呪った。

 

 一応こうなってしまったときのための備えはしていたものの、いざ砂嵐に巻き込まれてみるとどうにもならなかった。恐怖と混乱が頭を占める中で、私は確かに大きな音を聞いた。

 

 気がつけば砂嵐は止んでいた。

 

 代わりに、目の前には巨大な機械の蛇がいた。

 

 ……情けないことに、直後に気絶したせいでその後のことはよく覚えていない。同級生が砂に埋もれて倒れていた私を見つけて病院に運んでくれたので、命に別状はなかった。

 

 でもあのトラウマだけは、しっかりと心に刻まれていた。仮にアビドスを復興させられたとしても、あんなのがいたら街なんてすぐに破壊される。戦えと? あれと? 倒せと? あんなのを?

 

 そうして私はアビドスを捨て、他所に転校した。

 

 だから、たった数ヶ月でこうしてアビドスに戻ることになるとは思いもしなかった。

 

 ……イッチが殴ったり手頃な戦車の砲弾を投げつけるたびに装甲が凹んでいくあの蛇を見ることになるとも、思いもしなかった。

 

「わはははは!! 大きいだけですかぁ!? 図体ばっかり大きいだけですかぁ!? その大きな図体を活かして何かできたりしないんですかぁ!? ほらほら早く見せてくださいよあなたの本気をぉ!!!」

 

 私がいたのは戦線からかなり離れた場所だったが、足がすくんだ。理由は簡単。イッチが怖い。

 

「今のは痛かった……痛かったですよ!! もーいっかい! もーいっかい! ……なーんて、二度も当たりませんよウスノロ! だからもっと別のを見せてください! できればもっと凄いのを!!」

 

 跳ねて、走って、たまに隠れて。イッチはちょこまかと蛇の注意をひきながら、着実にダメージを与えていた。それでいて、スレ民が安全な場所まで退避できるように射線も調整して。

 

 心の底から理解できないのは、蛇の方がイッチに合わせて動きを変えているのに、イッチもそれに適応して動きに磨きをかけている点だ。なんなのあいつ。やっぱ転校して正解だったかも……。

 

 しばらくして、騒ぎを聞きつけた元同級生がイッチを回収し、そいつに敵意は無いと感じたのか、蛇は砂に潜ってどこかへ去って行った。イッチはジタバタしていたが。

 

 その光景を呆然と眺めていたおかげで、私は元同級生……小鳥遊ホシノから逃げるタイミングを見失った。

 

「……久しぶりだね、ホシノ」

「ユイ……これどういう状況??」

「それは私にも分からん。そいつに聞け」

「ネットで募集をかけたらいっぱい来てくれました! ユイさんも、ありがとうございます!」

 

 米俵のように担がれたイッチは、本名を土江ムイと言うらしい。一眼見て苦手なタイプの人間だと分かった。どうしてこんなのが場末の掲示板に入り浸ってたんだ……。

 

 現実逃避するように視線を騙されて集まったスレ民たちの方へ向ける。

 

『わーっしょい! わーっしょい!』

「貴様らぁ! 私を誰だと思っている!!」

「誰だお前は!」

「地獄からの使者!?」

「キノコ狩りの男!?」

「格闘技キヴォトスチャンピオン!?」

「誰だそいつらは!?」

 

 そこでは、カイザーのお偉いさんがスレ民たちによって胴上げで運搬されていた。確かにあれなら助けに入られないし、抵抗もされないだろうけど……。

 

 ちなみにそのままヴァルキューレにぶち込まれたらしい。罪状は噂のミスター・くろまめが集めてくれたとか。

 

 

 

 


 

 

 

 

 口論になってすぐに、ムイは鞄を持ってどこかへ行ってしまった。私は追いかけることもせずにしばらく教室でちゃんと説明しないムイが悪いんだと自己弁護していたが、すぐに気がついた。このままでは前と同じだと。

 

 先輩……に探しに行かせると二次遭難になりそうだったから、とりあえず私一人で急いでムイの後を追う。足跡が砂に残っていたからそれを追いかけるけど、ほんの数分でどこまで行ったのか、どれだけ追っても影すら掴めない。

 

 砂の少ない市街地まで来てしまえば、足跡を追うこともできない。ムイならどこに行くか、そんなことを考えようとしたその時、背後から誰かに話しかけられた。

 

「クックック……お困りの様子ですね」

「お前は……黒服!」

「ククッ、その名前も気に入っていましたが、今は別の名前を名乗っているので、そちらで呼んでください」

 

 そこにいたのは、全身真っ黒な怪しい大人。以前からアビドスの借金を減らすことを条件に私の身柄をよこせと言ってくる、確実に悪い大人だ。名前は分からないので、見た目からそのまま黒服の人と呼んでいる。

 

 まさかムイに何かしたというのか。いざとなれば撃ち殺すことも厭わない覚悟で私は黒服を睨むが、そいつは恭しく一礼すると今の名前とやらを名乗った。

 

「今の私はミスター・くろまめです」

「は??」

 

 黒服改めミスター・くろまめは、普通に私をムイのところまで案内した。案内された先では見知らぬ大勢の学生がカイザーと戦っていて、その中心でムイが巨大な蛇のロボットと戦っていた。

 

 わけがわからない。ミスター・くろまめの心変わりといい、この光景といい。とりあえず、私は久々の友人との再会を喜ぶことにした。

 

 

 

 


 

 

 

 

 その後の話をしましょうか! 機械の蛇……ビナーと呼ぶらしいあれを撃退した私たちは、まずはカイザーの悪事を暴いてあれこれしました! 面倒な手続きはミスター・くろまめに一任したのでよく分かっていません!

 

 とりあえず、PMCの理事はブタ箱送り、借金は少しだけ減って連邦生徒会相手に返済するという形に落ち着きました! これで少しは青春できそうですね!

 

 ユイさんはアビドスには戻らないそうです。なんでも、今の学校にもそれなりに思い入れがあるのだとか。募金は続けるからこれからも頑張れ、とのことです!

 

 あ、あと何より、ミスター・くろまめがアビドスに赴任することになりました! 先生というやつですね! 実験するならこちらの方が効率的とかなんとかとのことで、ホシノさんは嫌がっていましたが賛成多数で可決されました!

 

 ミスター・くろまめは確かにあまり良い大人ではないかもしれませんが、こちらも同じ土俵に上がって強気に交渉すればある程度譲歩してくれるものですよ?

 

 さてさてそんな調子なわけですが、私たちの日常には大した変化はありませんでした。今日も今日とてバイトに賞金首狩り。たまに砂漠がクセになったというスレ民のガイドをするくらいです。

 

 あ、柴関ラーメンは常連客が増えたそうですよ。手頃な価格でおいしいですもんね!

 

 カイザーを襲撃した私たちの記録は、これもミスター・くろまめがどうにかしてくれました。助けられてばかりですね……返せるのなんて、実験台になることくらいなのに。

 

 唯一残っていた証拠の覆面は、現場を見ていたらしい子供にせがまれたのであげちゃいました。何に使うつもりなのでしょうね?

 

「インターネットを介し、不特定多数の神秘を束ねる……クックック、これはまた面白いことを考えたものですね」

「少しでも狙ってやったと思っているのであれば大間違いですよ!」

「行動自体は偶然の産物であろうと、この結末は必然と言えましょう。単なる敬称以上の意味を持たなかった『ミスター』が、先生を表す記号に変化したのも……クックックックック、やはりあなたに付いて正解でした」

 

 ミスター・くろまめは相変わらずよく分からない話をして、実験を見守るホシノさんは何かあればすぐに飛び出せるようにとフル装備で、ユメ会長は手を振ったら振り返してくれるような呑気さで。

 

 そうですね、はい。アビドスは今日も平穏です!

 

 

 

 

 二年後、後輩たちと再びカイザーの悪事を暴くことになろうとは思いもしませんでしたし、ヒフミさんの頼みでトリニティに向かった時に見たあの人の所に残りたいと言った私と、絶対に連れて帰りたいホシノさんとの間で喧嘩が勃発することになるとも、思いもしませんでしたが。

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