何やってるんですか!?飛鳥さん! 作:駒鳥
初っ端からオリキャラが暴れています。
⚠︎︎(2026/04/26)ちょびちょびと、本文を加筆、修正しています。
「どうして母様の目は赤いのですか?」
太腿に頭を乗せて気持ちよさそうに伸びていた息子が、不意に小さな口を動かし不思議そうに尋ねた。
「赤い木の実を食べたから……かしら? ふふっ」
それだけ言って口を閉じると息子は不満そうな顔で私を見つめる。
でも、その愛おしい顔は数秒経ったら崩れ、息子は私から目を背けてしまった。
「……どうして━━━私の目は黒色なの? 私も母様と同じ色が良かった」
苦しそうに小さな声で呟く。
目には涙が溜まってい瞬きするだけで零れてしまいそうだ。
「…………それは、この世で一番綺麗な色が黒だからよ。……貴方のその目は誰よりも美しいの」
さらさらとおでこにかかる髪を退けながら額を優しく撫でつける。
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「━━ほらほらぁ !! 腕が無くなるまで刀を振り続けろぉ! 止めたら骨を折るからな!!」
「し……師匠……腕が無くなれば、私は剣士になれません! 」
「……別にいいだろう!!」
「良くないです!」
滝のように汗を流しながら刀振るう
元鬼殺の隊士で、物凄い数の鬼共を炎の呼吸を使って蹴散らした。だから自分は無敗なのだと。
「よしっ今日はもう終いにするか。飛鳥、水を汲んでこい」
「……はい」
汗ひとつたらさずに、背筋を伸ばして立つ勝炎。その真逆に、飛鳥はふらついた体をそこら辺に落ちている長い木の棒で支えていた。
プルプルと足を震わせ、杖のように木の棒を使って歩く。まるで足腰の弱い老人のようだ。勝炎の方が歳をとっているのに、これじゃあ飛鳥の方が年寄り見える。そんな飛鳥を見ながら勝炎はそう思った。きっとこれを口にしたら、飛鳥は木の棒を大事な師匠に向かって投げつけるだろう。だから口の滑りやすい勝炎は我慢して自分の口に頑丈の錠を掛けた。
ゆっくりと一歩ずつ井戸の方へ足を進ませている飛鳥を見て、勝炎は顔をぷくりとふぐのように膨らませた。勝炎の体はプルプルと震え今にも笑い吹き出しそうだった。
───あいつ、馬鹿正直すぎて詐欺に騙されたことあるだろ……我慢ならねぇ今にも笑っちまいそうだ
勝炎が笑い、吹き出しそうになるのは、修行中の飛鳥が馬鹿みたいに面白いからだった。
修行といっても、勝炎を笑わせる修行等ではない。ただの普通の修行。剣士になるための”普通”すぎる修行だ。
それなのに勝炎が笑ってしまいそうになるのは、飛鳥が馬鹿正直で普通では無いほどにおかしかったからだ。きっとそれは誰が見ても、勝炎のように飛鳥を笑い飛ばすだろう。
可哀想なことに、飛鳥は自分を普通だと思っているようだ。
『飛鳥、もしお前の母親を名乗る者から手紙が来て、その内容は大金を貸せという物だった……はい! こういう時はどうしますか! 三秒以内に答えろ飛鳥ァ!』
『私の母はっ、凄いほど金持ちなのでっ……そんなこと言いません! 』
『あぁそうだろうなっ! ……そうだけどちょっと違うんだ! 』
『何がですか?』
『……もういいっ……お前はずっと刀を振るってろ!!』
勝炎と飛鳥が真剣で打ち合いをしていた時、勝炎は自分で腹筋を破壊する爆弾を自ら投下してしまった。
『普通の修行ではつまらない……ならば難しい物事を幾つも並行してできるようにするという修行をしよう!』という訳の分からない発言のせいで勝炎は自分の腹筋を痛めることになった。
飛鳥はこれについて頭に疑問符を浮かべた。今までの修行だけでも辛いのに、もっと下手な修行をしてどうするのだ。師匠が一体何をしようとしているのか、全く持って分からない。
しかも、勝炎下手な説明のせいで、飛鳥の思考は知恵の輪のように複雑になる。
そうして、幾分か勝炎の話を聞いた飛鳥は、何となくだけれど勝炎の考えに辿り着くことができた。
『成程。師匠は私に判断能力求めている訳ですか……』
飛鳥は正直言ってこれに賛成したくない。けれど、勝炎の考えはとても理にかなっていた。
自分には足りないものが多すぎる。その中で一番足りないもの、そして一番必要とされているもの。それが判断能力だった。
だから勝炎はこの修行案を提案してくれたのだろう。
全く嫌になるものだ。馬鹿だと思っていた師匠が自分のことをよく考えてくれていたなど、知りたくもなかった。自分の足りない部分は自分が一番わかっているのだから、師匠よりも早く他の修行の仕方を提案していればよかった。
『ぶわっはっはっ!! ヒィ──! 死ぬっ! 腹痛いっ! あっはっはは!! 』
『こうですね? こう……ちゃんと見てますか師匠! 』
左足の足裏には湯呑み。
右足には勝炎特性の重り。
両手には真剣。
頭の上には鶏の卵。
まるで大道芸のような格好で飛鳥は真剣を素振りをする。
右足を浮かせ左足だけで立っているから今にも倒れそうだ。
湯呑みの上に乗っているせいで、湯呑みがコロコロと転がり飛鳥の体は仰け反ったり俯いたり前後左右に揺れて上手くバランスが取れずに今すぐにでも転けてしまいそうだ。
浮かせている右足には重りが付いていて足を上げ続けるのは相当辛いだろう。
頭の上にある卵を落としてしまったり割ってしまった場合、勝炎次第で素振りが何百回と追加されるのだ。
もうめちゃくちゃだ。飛鳥は本当に後悔していた。
師匠にもっと他のことをしないかと、真剣に抗議すればよかった。あの時少しだけ舞い上がっていたから、あの人の不要な言葉を受け流した。
あぁ、馬鹿だ。
そうだ。自分のことは一番自分がわかっている。
▼
「師匠。ただいま戻り……まし……た。……?」
飛鳥が井戸の水汲みから戻ると、そこには勝炎だけでなくもう一人いたのだ。
その人は勝炎の傍に立ち、二人で何か話しているようだった。
飛鳥はその人をじっと見つめ、つま先から頭の先までじっくりと目を通す。
少し乱れた着物からはすね毛が見えていて、体つきはよくがっちりしており一目見てよく鍛えているのだとわかる。首から上の部分は下半身とは異なり一般的とは言えない程の派手髪。
──黄色と赤色…それにぎょろぎょろした目……すごい組み合わせだ。
飛鳥は勝炎に呼ばれるまでずっとその男の髪を見ていた。なんせこんな派手な髪色をした人は見たことないもので、失礼ながらも目を細めるように見てしまった。
──師匠と仲がいいのだろうか……鬼殺隊時の同期か? それともただの知り合い? ……よく見るたら背中側が少し膨らんでいる。刀を隠しているのかもしれない。
「おーい飛鳥! 客人が来たから茶の用意をしてくれ。世界一美味い茶を用意してやれよー」
勝炎から声がかかるとやっと飛鳥は黄赤髪の男から目を離し、遠くからでもわかるように少し深いお辞儀をして小屋の方へ走った。
その様子を勝炎と飛鳥がずっと見ていた男が見て一言……
「お前の弟子、頭の上に水桶乗せながら走っていったよな……? あれどうなってるんだ張り付いてるのか? 」
「ううん。違う違う。普通に頭に乗っけてるだけ」
勝炎の言葉のせいで現炎柱はさらに頭にはてなを増やすことになった。
「この人は煉獄真寿郎、現炎柱様だ。飛鳥ちゃーんと挨拶しろよ」
「初めてお目にかかります。”継国”
「いやいやっちょっとまてぇい!! 飛鳥てめぇなんで俺が迷惑をかけるんだよ!? 急に謝りやがってなんだよもう!」
「違うのですか? 」
「違うよ!? 」
「━━でも一昨日は近所にうるさいと言われ迷惑をかけましたよね? 」
「…………そうだけど今は違う」
「あーなんだお前の弟子もお前みたいに変わってるんだな。類は友を呼ぶってか」
「師匠と同じにしないでください……吐き気がします」
「お、おう」
「は?」
飛鳥は口を抑えながらふと思った。
何故ここに炎柱様が来たのだろうか。勝炎が迷惑をかけた訳でもないのなら鬼殺隊のお偉いに伝言でも頼まれてきたかそれでも伝言や文通をする時は鎹鴉を使ってやり取りをするから……と飛鳥は考えていた。
勝炎と槇寿郎は炎の呼吸の使い手だ。
柱になれなかった勝炎と柱になった槇寿郎。
そう呼ばれているせいで二人の仲は悪いのではないかと噂がある。
でもそんなことはなく勝炎と槇寿郎は凄い程仲が良かったのだ。なぜ仲が良いのかというと同じところで修行したということもあったり幼かった頃にお互いに兄弟のように思っているから。
喧嘩することもあるし絆が解きかけたことも何度もある。だが今でも変わらず仲良しなのだ。
「槇寿郎……」
「勝炎……」
「「━━━今日は沢山飲むぞ!!」」
「……」
どんっ! とすげぇでかい酒瓶を置いたと思えば片手には盃、もう片方には魚の干物。
勝炎と槇寿郎は目を合わせそして盃を掲げ……
「「乾杯っ!!」」
と言い酒を飲み干すのだった。
「いつ酒を盃に入れたんですか……?」
飛鳥は呆れながら二人を眺めた。
「ほらほらぁ〜飛鳥も呑みなよぉ」
顔が真っ赤に染まり呂律も上手く回らない勝炎の顔を飛鳥は手のひらで押し拒絶を示す。
飛鳥の表情筋は壊れていてこいつ臭い無理という表情は出せないが雰囲気でがちでむりですという感じを出し一生懸命拒絶する。
「むりですねむいですくさいです」
「ひっく……飛鳥はまだ十一だろ? 杏寿郎のひとつ上かぁひっく」
槇寿郎は盃を持ちながら一人で息子達について永遠と喋っている。誰も聞いてなくても一人でずっとべらべらと喋り続け口を止めない。
(もう何時だと思ってるんだ……そろそろ鳥達がチュンチュンと鳴き始める頃だろう…………あぁ眠い、くそ眠いなぜ私は寝ずにずっとここで座り続けることにしたのだ)
ぼさぼさの髪をもっとボサボサにして飛鳥は正座を続けた。
飛鳥の足は痺れ感覚が無くなっていた。
急に立とうとすれば足が滑ってしまい転んでしまうだろう。
(この人達本当にただ呑みたかったから集まったのか……。師匠は弟子にこんなところを見られていいのか? 炎柱様はちゃんと柱なのか……? こんなので鬼殺隊は大丈夫か? )
寝過ごしたせいで飛鳥は馬鹿みたいな脳になって馬鹿になった。
「おい嘘だろこいつ正座で寝てやがる」
「勝炎お前もおかしいだろコの字型で寝てたぞ」
「お前は全身伸びてたぞ。綺麗に手先や足先まで伸ばして」
「「…………」」
勝炎と槇寿郎が起きたのは昼過ぎ。
二人共変な寝相でいびきをかいて寝ていた。
飛鳥が起きたのは夕方。姿勢はピンと伸び顔は俯かず前を向きずっと綺麗に正座をしてすぅすぅと寝ていた。
そのせいで飛鳥は数時間程立てなかった。立とうとすれば横に転がってしまったり土下座をする体制になったり。最終的には手だけ使った匍匐をすることにしたのだ。
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「あの、炎柱様に聞きたいことがあるんですけど……お話いいですか? 」
「あぁちょうど勝炎は薪割りに行ってるからな……勝炎は手伝えとうるさかったがいいだろ」
『お前ら手伝えよ!! 飛鳥修行はどうした! 槇寿郎お前は柱だろう!』
飛鳥は正座のせいでまともに足が動かず、槇寿郎はただのサボり。そういうことなので勝炎はすこーし納得してぷんすかと家を出ていったのだ。
飛鳥は正座が出来ないのでならべく正座に近い形で座り、改まって槇寿郎に話しかけた。
「……勝炎さんってなんで鬼殺隊を辞めたんですか? 四肢は欠損していないですし臓器に損傷もありません。あんなに元気なら鬼狩りを続けられたのでは? 」
その質問に槇寿郎は何度か聞き覚えがあった。
勝炎の同期に何度も、なぜ辞めたのかとよく聞かれたことがあったのだ。同期達は勝炎は槇寿郎と一番仲がいいと思っているから槇寿郎を頼ったのだ。
でも……
「俺も知らない。何も聞かされてねぇんだ……だからそういうことは勝炎に聞いた方がいい」
槇寿郎は何も知らないのだ。だからいつも質問の答えは同じだった。
「……わかりました。ありがとうございます」
飛鳥は少し俯いて礼を言った。
飛鳥は勝炎のところに来てもう二年が経っている。
二年もの間飛鳥が見て思ったことは、元気すぎる人ただそれだけだった。別に目立つような人でも無ければ静かすぎる人でもなかった。
飛鳥に修行を付けていても勝炎は息切れどころか汗すらかかなかった。
鬼とまだ戦える実力を持っているくせに戦おうとしない。
飛鳥はそれが疑問でしかなかった。
「飛鳥は何故剣士になろうと思ったんだ? 杏寿郎はな「息子さんの話はもういいです」そうか」
このまま続けてしまえば飛鳥が話してまう前に槇寿郎の息子達についての話が永遠と続いてしまうため飛鳥は手を伸ばし待ってくれという体制を取る。
槇寿郎は少ししょぼんとしたが飛鳥は止めない。
(このまま話させると夜まで息子達の話を聞くことになる……止めねば)
という強い決心を飛鳥は貫いていた。
「なぜ剣士に……ですか。これだけは確信を持って言えますよ。私は憧れたのです」
「━━━剣士に憧れ? なーんだ杏寿郎とおな「……」わかったわかったから」
「私は鬼に家族を殺されていないし鬼を恨んでいるわけじゃないです。炎柱様は先祖から繋がれてきたからそれを未来に繋げようと剣士になったんですよね? 」
「あぁそうだな。……鬼狩りになる人は鬼に身内を殺されて鬼を憎んでいるやつが多いが、ただの憧れで自ら死地に進むとは」
飛鳥と槇寿郎の言う通り、鬼狩りをしている人のほとんどは身内を殺され鬼を憎んでいる人ばかりだ。
飛鳥みたいな憧れで鬼狩りをしたいという人は鬼殺隊の中で珍しいと言われる。もちろん、飛鳥は鬼の始祖鬼舞辻無惨を許せないと思うが憎んでいる訳ではない。憎んでいる訳では無いが殺せるなら殺したい相手。
飛鳥の憧れの人は、鬼舞辻無惨を追い詰められる程強い人だったのだから。
人物紹介
飛鳥(あすか)
本作の主人公
母様
主人公の母
一心勝炎(いっしん しょうえん)
主人公の育手
元鬼殺隊・炎の呼吸使用者
明治コソコソ噂話〜
勝炎の好きな食べ物は、おでんの大根が好物だそうです。
熱いですね。
次回・飛鳥。もう自分の名前も言えなくなっちまったよ