何やってるんですか!?飛鳥さん!   作:駒鳥

11 / 11

タイトル詐欺ですか? そうです。すみません。

第十一話も、嘔吐表現があります。嘔吐注意です
オリ主人公が可哀想。





第十一話・目に焼き付けてね。鱗滝さんを!!

 

 

「━━━カァァァ、カーッ! 」

「うわぁっ何!? 鎹鴉!? 」

「御前ガ、一心勝炎(いっしん しょうえん)カ? 継国飛鳥(つぎくに あすか)カラ伝言ヲ預カッテイル」

「飛鳥!? 今、飛鳥って言ったか!? 」

「ウルサイ黙レ。伝言ノ内容ハ、帰ルノガ遅クナル。トイウモノダ」

「飛鳥、合格したんだな……。 良かったあ、ありがとうな鴉」

「タマダ!私ノ名前ハ、タマ。タマ様ト呼べ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うぅ……」

「ほら、起きなよ。鱗滝さんがご飯作ってくれたんだから、起きて? 早くしないと冷めちゃうよ?? おーきーてー」

 

真菰は寝ている飛鳥につんつんと頬を突いたり、抓ったりする。ぐっすりと眠っていた飛鳥は眉間に皺を寄せて唸った。

先程まで飛鳥と同じように寝ていたはずの真菰は、食欲をそそる香りがしてばっ!とすぐに起きた。囲炉裏端がある方を見れば、鱗滝左近次がいつもより豪華なご飯を作っていた。隣には真菰の弟弟子達、冨岡義勇と錆兎が手伝いをしている。

その様子に、真菰も何か手伝いをとみんなの方へ向かおうとしたが、足の方を一瞥してやめてまった。

足はしっかりと手当てしたが、棒を片足代わりににして歩くか、匍匐をするかしないと動けない状態だった。こんな状態では邪魔になるだけ。

なら!

 

「ご飯だよー、飛鳥ー」

 

隣に眠っている飛鳥をご飯の準備が終わる前に起こそうと思い先の行動を起こしたのだ。

 

「真菰、起きたのか。まだ寝ててもいいのに」

「そうだよ。怪我凄かったんだからもっと休んだ方がいい」

「ううん。大丈夫、ありがとう二人とも」

「痛い。やめて、痛い痛い。起きてる、もう起きて痛っ」

 

 

飛鳥は真菰を送った後すぐ帰るつもりだった。だが、それは成せなかった。

疲労のせいで倒れてしまい、鱗滝の家でお世話になることになってしまった。すぐ帰ろうとしても、そんな怪我では動けないだろう泊まってけと言われてしまい帰れなくなってしまったのだ。別に家族とかめちゃくちゃ仲がいい訳でもなかったし飛鳥は疑問に思った。こんな使えない怪我人がいても邪魔なだけだろうと思っていたから、分からなかった。

 

「痛い。頬が痛い」

 

飛鳥の頬は少し赤くなっていた。真菰が何度も突いたり抓ったりするからヒリヒリと痛むのだ。幸いにも、最終選別で負った怪我が痛まなかっただけマシなのかもしれない。

飛鳥の体は包帯だらけ。包帯特有の匂いと薬品の匂いが混じって診療所にいるような感覚だ。

 

 

「鱗滝さんの料理をよく噛んで味わってね!」

(私は本当にここにいていいのか? )

 

 

艶々とした綺麗な白米が入ったお椀を持ちながら思う。そんなこと言われても頭の中では料理を楽しむよりここに居ていいの? という気持ちの方が強くて、口に入れた白米はただもちもちとした食感がするだけで味はしないように感じた。

普通は、誰かとご飯を食べるとめっちゃ美味しくなると思うが、そうはならなかった。真菰と真菰の師匠と弟弟子。それと飛鳥。真菰だけが飛鳥と知り合いで、飛鳥は三人を知らない。同じく三人も飛鳥を知らない。

知らない人同士でご飯を囲って美味いのか? と問われれば、何がとは言わないけど、気まづいから普通かなとしか思わないだろう。めっちゃ美味しいとは言えなかった。

ゆっくりとご飯を口に入れて黙々と食べる。美味しいという感情を表情に表した方がいいのはわかっているが、生憎飛鳥の表情は変わらなかった。

 

「美味しい? 美味しいよね? もっと食べなよ」

(強要しないでくれ、怖い)

 

真菰が食えと言わんばかりに皿を突き出してくる。知ってるか? 私は意外と少食なんだぞ。こんな量食べれるわけが無い。

 

「……真菰それくらいにしておけ。困っているだろう」

「鱗滝さんがそう言うなら…………」

 

真菰の師匠が真菰を止めてくれて沢山の白米を盛られることはなかった。良かった。

 

飛鳥はふと気がついた。

(━━━あれ。 私、自分の名前言ってなくないか……忘れてた)

ごっくんとまだ口に入れたばかりの白米を飲み込む。

 

 

「私は継国飛鳥と申します。名を申すのが遅れてすみません。」

「儂は鱗滝左近次。真菰の育手だ」

「あ、なら俺達も。俺は錆兎だ、こっちは━━」

「おいおあいうう」

「…」

「冨岡義勇だ。義勇、口の周りに米をつけすぎだ」

(どんな食べ方をしたら、そんなに口の周りが汚れるんだ)

「義勇はいつもこれだから気にしないで。可愛いよね」

「(…)」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あの、何か手伝った方がいいですか?」

「問題ない」

「ですが……」

「遠慮するな。怪我人は休んでいた方がいい」

「ありがとうございます」

 

食事を終え、食器を重ねて運ぼうとしたら、錆兎と義勇に止められて皿を取られてしまった。皿を持っていた手は空を掴んでいた。手にも巻かれた包帯がちょっとだけ血が染み込んでいたり所々解けたりしている。食器に血がついてないといいな、と思いながら手を眺めた。

飛鳥は手鬼に叩きつけられた時が一番重症を負ったが、その前にもいくつ怪我を負っていた。

飛び出ている枝に腕を切りつけられてしまったり、手の豆が潰れてしまったり。飛鳥が気づいていないだけで沢山怪我をしている。

 

こんな怪我を負ったのはいつぶりだろうか、まだ父親が生きていた頃に多数の人から暴行を受けた時くらい、いやまだこっちの方が酷いか。生きてきて初めての痛みだ。……きっと、鬼狩りをしていれば生死を彷徨うことだってあるだろうな。

 

「…」

 

 

 

「ねぇ飛鳥。手鬼のことは私が言っておくから寝てもいいんだよ? そんなところで蹲ってないで布団に入ったら? 火が暖かいのはわかるけどさ」

「……しばらくだけこうさせてくれ」

「変なの」

 

 

 

 

「━━━最後に刀を造る鋼を選んだよね」

(急だな)

「飛鳥はさ、何基準で選んだの? 私は目の前にあるやつを取ったんだ」

(……眠い)

「でも、今思うともっと観察してから選べば良かったなって思ってる」

「…」

「刀は相棒になるんだから」

「……」

「…………飛鳥? 」

 

 

 

「寝てるの? ちゃんと布団で寝なよ……」

 

膝を抱えながら座り、耳をすませばわかる程の寝息を立てて寝ていた。顔は膝に埋めていて傍から見れば泣いていると間違えられそうだ。

食事をしたから眠くなったのだろう。囲炉裏端の近くにいるから体が温まり眠気がきたのだろう。

飛鳥をじっと見ていた真菰も眠気がきて欠伸をした。

 

 

 

 

「あ、飛鳥寝たんだ。布団に移動した方がいい? 」

「うーん。重そうだし別に……そんなこと無かった。身長も小さくて筋肉もそんなについてないんだった」

「うぅ……」

「魘されてる。悪夢でも見てるのかな」

 

蹲って寝るなんて変な人だな。筋肉が疲れちゃって、起きたら体が痛いだろうな。

そういえば、真菰が錆兎と俺と飛鳥は同い年だよって言ってたけど……本当なんだよね?さっき真菰が言ってた通り、背は低いし筋肉もついてないから最初見た時は年下かと思ったな。でも、私とか難しい言葉を使ってたから、きっと俺よりも大人なのかもしれないな。

布団はこっちに引っ張ってきて、飛鳥は布団の方に転がしておこう。

 

 

 

 

 

 

 

「鱗滝さん。話したいことがあるんですけど、いいですか? 」

 

真菰は手鬼の顔を思い出す度にズキズキと痛む足を一瞥して、鱗滝に真っ直ぐな目を向けた。真菰の空気が変わったと気づいて、鱗滝も話を聞く姿勢をとる。

家の中には寝ている飛鳥と、話をしようとしてる真菰と鱗滝だけ。錆兎や義勇は修行をしに木刀をもって外に出ていた。別に話を二人に聞かれても構わないのだが、手鬼の所業に腹を立てて殺すとかいいかねないので、居ない方が良かった、都合がいいなと真菰は思う。

 

「これから話すことは、私達がどうしてこんなにも重傷を負ったかの話です。私達は━━━」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「飛鳥、ごめん……」

 

ぶち

 

ぶち

 

 

ぐちゃ……

 

 

 

 

「っ…ぁあ、ぅぁ。ぅそだ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「っ!はぁ…はぁ……」

「うわぁっ!?吃驚した、大丈夫飛鳥?すごい魘されてたけど━━」

「━━ぁ、真菰……?」

「汗も酷いし、どうしたの?」

 

全身から汗が吹き出して気持ちが悪い。鳥肌も、手の震えも止まらない。

こんなにも嫌な夢を見たのは久々だ。妙に現実味があって夢と思えなかった。あぁ、思い出したくない。脳にこびりついて離れそうにない。頭が痛い。手鬼にやられた傷がじわじわと痛み出す。

 

……吐きそう。

 

 

「すまない、真菰っ」

「えっちょっ! どこ行くの!? 」

 

 

 

 

 

 

「おぇっ、ゲホッぅっ……っぁ」

 

胃からさっき食べた物がどんどん上がってくる。勿体ないとわかっているのに、止められない。気持ち悪い。

冷や汗が止まらないし、なんだか耳がキーンとしてきた気がする。

 

「ゲホッゲホッ……ぉあ」

 

 

……吐くのは疲れるな。

埋めるか。

 

「━━━大丈夫か?」

「━━!?」

「顔色が悪いぞ、熱は……ないな。何か悪いものでも食べたか? 」

「…」

 

後ろから音もなく出てきた人は、飛鳥が吐いた吐瀉物に気分を悪くするわけでも、怒ったりするわけでもなかった。ただ飛鳥の背に手を置いて優しくさすった。惨めな醜態を晒しているというのに気にせず喋りかけた。顔色が悪い飛鳥のおでこに手を置いてみて熱を測ったりもした。

気にせず喋りかける人に飛鳥は疑問がった。

 

(普通気持ち悪いとか言うもんじゃないのか? 信じられない。私の師匠でさえ鼻を抑えて顔を顰めるのに……)

「立てるか? 口をすすぎに行こう」

「ありがとう。立てるか、ら……ぅわ」

「無理に立たなくて大丈夫だ。ゆっくりでいい」

 

 

錆兎はどうしてこんなにも手慣れているんだろうか。飛鳥はそれが気になって仕方がなかった。

 

井戸に行く道中も飛鳥を支えて歩幅を合わせながら歩いてくれた。

 

 

ゴシゴシと顔と手、口の中を洗った後飛鳥は錆兎に聞きたかったことを口にした。

 

「気持ち悪いと思わなかったのか? 」

「思わないな。だって皆することだろう? 」

「そうだな。……ありがとう錆兎」

「あぁ。まだ顔色は悪いけど少しは良くなったな、良かった」

 

(皆することだけど、私は人の吐瀉物を見ると吐き気がするぞ。臭いし、見た目が気持ち悪いし……食欲が無くなってしまう。なぜ錆兎は何も無かったみたいな顔をしてるんだ? )

忘れようとしてくれているなら、それでいいのだけれど。

真菰に謝らなければな。……う、また吐き気が。

 

 

 

「あ、錆兎! どこに行ってんだよ、帰ってくるのが遅、い……大丈夫? 」

(もうやめてくれ。これ以上恥を晒したくないんだ)

飛鳥の(ライフ)(ゼロ)よ!

 

 

 

 

 

 

「もう! どこ行ってたの! 心配したんだよ。……探さなかったけど」

「最後の一言いらないと思う。すまない」

 

全くもう、怪我してるのに急に走り出して吃驚したんだよ。傷口が開いたりしたらどうするの。はぁ、何回言ってもどうせ聞かないと思うけど。

 

しょぼんといつもより眉毛を下げた飛鳥はガチで反省しているように見える。

真菰が惨い死に方をする悪夢を見てしまい、それで吐き気が止まらなくなって吐いちゃったとか、失礼だろう。真菰は生きてここに立っているのに、勝手に死なせないで欲しいものだ。

 

「錆兎と義勇は修行はもう終わったの?」

「まだ続けるつもりだ。」

「ちょっと休憩」

「そうわかったよ。じゃあ飛鳥、布団に入って寝てね。さっきより顔色が悪いよ、それと包帯に血が染み込んでる。変えようか」

「眠気はないから大丈夫だ。包帯は自分で変えよう」

 

真菰が寝ようと言った途端に顔色を悪くした。眠たくなくなるまでにあの悪夢をもう一度見てしまうかというのが嫌で、眠気なんてどこかへ飛んでしまっていた。

 

 

「飛鳥。吐いちゃったんだね」

「……え?」

「手の包帯に水が着いてるし。後、吐瀉物の色したものが染み込んでる」

「なぜわかるんだ」

「だって最終選別の時も吐いてたし……」

「…」

 

 

 

 

 

 

 







人物紹介〜

継国飛鳥(つぎくに あすか)
主人公
沢山吐いてる……???

真菰(まこも)
友達
吃驚

鱗滝左近次(うろこだき さこんじ)
真菰の育手


錆兎(さびと)
友達?
男なら我慢するべ……き。

冨岡義勇(とみおか ぎゆう)
友達?
安定の義勇

明治コソコソ噂話〜

四人仲良くしている所を、鱗滝左近次は微笑ましく見ていますよ。

次回・男なら立つんだ!飛鳥!!
まだ怪我治ってないのに……酷い
━━━━━━━━━━━━
余談

飛鳥の悪夢は、【真菰死亡してたら】として書こうとしたものをぶっ込んどきました。
手鬼は充分なトラウマ製造機になりますからね。悪夢を見るのも仕方ありません。


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。