何やってるんですか!?飛鳥さん! 作:駒鳥
「月の呼吸なんざ聞いたことねぇよ」
「えぇ、ほんとに? ……やっぱり存在しないのかな…………でも」
「あったとして何の派生なんだ? 」
「ちょっとまってて……今
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「━━━どうして鬼狩りをしたいと思ったの? 鬼は怖いのよ、死ぬかもしれないのよ……」
奥様の言う通りだ。
鬼は老いない、死なない、人間より何倍も強くこの世に存在してはいけない生き物だ。
私達人間の脆さを侮辱して、容易に殺して、人間を何度も絶望へ叩きのめした化け物。
「それでも━━」
「━━━━私は嫌です! これだけは絶対にダメです……飛鳥様、この御無礼を許してくださいとは言いません。ですが鬼狩りになるなど言わないで欲しい」
「ミナちゃん……」
「い や で す」
「えぇー?……そこは、はいって言うところでしょう!? 嫌ですってそんなに拒否らなくてもいいじゃないですか!」
こんの頑固者め!
鬼狩りになりたいなど継国家全員に言ったらどうなると思ってるの!? きっと飛鳥様はこめかみグリグリの刑よ!
何としても止めなければ……
「ミナちゃん。飛鳥がやりたい理由、まだ聞いてないでしょ? それを聞いてから考えればいい」
……くだらないものだったら全身こちょこちょの刑だから。と奥様は言う。
さすが奥様! 容赦がない!!
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飛鳥はビシッと継国巌勝のことが書いてある紙面を指さす。
「母様の日記に書いてある先祖様の情報は少ないですけど、その少ない中での先祖様は凄く凛々しくてとにかく凄くてっ、…………私はきっと先祖様の剣技に惚れてしまったんです……」
あまり表情を変えない飛鳥が、顔を赤らめ饒舌に訴えるように語った。
見たことのない飛鳥に百合はまぁ!と声を出して固まる。ミナも同様に飛鳥を見つめ動かなくなってしまった。
飛鳥は巌勝の記憶を見ていなくても巌勝がどれぐらい凄いの百合の日記を見てよくわかった。
百合の日記に書いてある巌勝は美化されているかもしれない、でも百合はそんなことはせず綺麗に巌勝についてのことを纏めたのだ。
それのお陰で巌勝がどんな人だったか、どんな剣術を使うか想像がしやすく飛鳥は目を輝かすことになった。
「そう……飛鳥は先祖様みたいになりたいのね」
何もかもを優しく包み込むような声で百合は話す。
同時に飛鳥の髪を梳かすように撫でた。
「飛鳥様……申し訳ございません。ちゃんと最後まで話を聞けばよかった。ごめんなさい……」
ミナはさっき言った事を後悔した。
何も聞かずに止めようと必死で、飛鳥に失礼なことを言ってしまった。
この無礼を謝らなければ……と正座をして頭を深く下げようとする。
「私の方こそ申し訳ありません。突然鬼狩りになりたいなど急がすぎました。」
「そんなことありません……飛鳥様がやりたいことを支持するのが私達使用人の仕事なのに…………私、切腹します」
「ちょっと落ち着こうかミナちゃん! 飛鳥もこう言ってるんだから、別にいいじゃない」
「いえ、切腹します」
「この頑固者め!! 」
「ふっ……あははははは!」
「「!?」」
不器用な笑顔を作って笑う飛鳥は、生まれて初めて幸せそうに笑った。
継国巌勝のお陰で飛鳥の表情はいつもより動かしやすくなっていた。
いつも真顔で何も感情を出していなかった飛鳥がこんなにも笑っている。
それほどまでに、巌勝を尊敬し、巌勝のことが好きになったのだ。
突然飛鳥が笑い出すので百合とミナは金縛りにあったように体は動かなくなり、一瞬思考が吹っ飛んだ。
「はっはっはっは!」
「ふっ……相変わらずミナちゃんの笑い声は大きわねっ……ふふっ」
百合とミナは目を合わせ二人同時に大きな声をあげて笑った。
狭くも広くもない部屋に、幸せそうな笑い声が三つ響いた。
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「人様の日記を勝手に見ていいのか? 」
「大丈夫大丈夫。もう何回も見てるし」
紙面を何度もめくっていくがおかしな所はないし今のところ月の呼吸という文字すら出てきていなかった。
「あれれー? 確かこの日記に書いてるはずなんだけど……」
「本当にあるのか? 」
「うん。 えっと……もうちょっと先だった気が━━━あ、ここ! 」
勝炎が指をさしたところには月の呼吸について細かく書かれていた。
「━━━━━━本当にあったのか」
「うん。……これ凄く細かく書かれてて分かりやすいよな。字も綺麗だし読みやすい」
「でも、壱から参までの型しか書かれていない。壱弐参の型だけなのか? 」
「飛鳥によるとそこまでしか書けなかったらしい。まだまだ型はあるらしいぜ」
「そうか……」
日記を読み進めていくとさらに月の呼吸についてもっと詳しく書かれている。
まるで指南書のようだ、と槇寿郎は思う。
「勝炎、何故月の呼吸について聞いてきた? 一番聞きたかったことなのだろう? 」
「……飛鳥が剣士になりたい理由は聞いたか?」
「あぁ」
「飛鳥はさ、ここに書いてある月の呼吸を使うやつに憧れて俺のところに来たんだ。でも俺は炎の呼吸の使い手だ。だから、月の呼吸についてもっと知りたいと思ったんだ……それで槇寿郎に相談しようと思って」
「……家に帰ったら歴代達の炎柱ノ書を読んでくる。月の呼吸についてなにか書かれているかもしれない」
「━━━ありがとう、槇寿郎」
▲
「この子に剣術を教えて欲しい。タダでとは言わない」
「はぁ? 」
最初見た時は吃驚した。
こんなちぃせぇ子が俺に剣術を学びたいだと?
しかも鬼殺隊に入りたいから呼吸も教えてくれとか……友達の頼みでも受けたくない話だわ。
おっさんとはたまーに喋るくらいの仲で仲がいいとも悪いともどっちでもなかった。
ただ顔見知り程度だと思ってた。
「こんなチビが鬼殺隊に入れると思ってるのか? おっさん、脳味噌洗ってきた方がいいと思うぜ」
「無理を言っているのはわかってる。でも君にしか頼めないんだよ、一心君」
「わかってないだろ。あのな俺は育手じゃないんだ。元隊士ってだけで鬼殺隊とはもう関係ない」
「君の才能を次の世代に継ぎたいと思わないのか? 」
「思わない」
俺は何度も断った。
でも何度も何度もおっさんがチビと一緒に家に来るもんだから俺は仕方なく一週間だけ見てやると言ってしまった。
チビの名前は飛鳥と言った。
飛鳥は覚えが早く、俺の超辛いと思う修行を逃げようともしなかった。
筋肉も握力もないくせに必死に抵抗してきて……はぁ、俺は何をやってるんだか。
こんな子供を虐めて何が楽しい。
「一心様、どうしましたか? 」
様なんてつけやがって……。
もっと子供らしくしろっての。
もっと子供らしく笑って普通に暮らせばいいのに。
「わかった、認めるよ。お前の覚悟」
「……ありがとうございます? 」
「だからこれからは勝炎師匠と呼ぶんだな。わかったか、飛鳥!」
「はい! 勝炎師匠!」
俺が教えれる事は少ないかもしれない。
でも、俺の全てをお前に賭けてこの世で最強の隊士にしてやるよ。
飛鳥。
「じゃあまず呼吸について教える。俺が使ってるのは炎の呼吸ね。だから飛鳥には炎の呼吸の型を全部覚えてもらおうと思うんだけど……どうしたんだ? 」
「あの……私が教えてもらいたい呼吸は月の呼吸なんですけど…………」
「ん? 」
「月の呼吸」
「月? 」
「はい。今日は良く見えますね……あれですよ」
「月━━━━━━」
▼
「良かった。これで君が少しは楽になるかと思って」
「まさか……嵌めたのか?」
「うん。だって君ずっと思い詰めたような顔して楽しそうじゃなかったんだもん」
「いい年したおっさんがもんとか、おえー」
「御館様も言ってたよ。」
「『今を生きて』ってね━━━━」
「……そうかよ」
人物紹介〜
継国飛鳥(つぎくに あすか)
主人公
先祖様凄い
継国百合(つぎくに ゆり)
飛鳥の母
記憶の遺伝
一心勝炎(いっしん しょうえん)
飛鳥の育手
月の呼吸って何?
煉獄槇寿郎(れんごくしんじゅろう)
勝炎の友達
家に帰ったら十一代目炎柱ノ書読んできます
飛鳥の父様
勝炎の友達?
友情出演〜
ミナ
明治コソコソ噂話〜
飛鳥が不得意としていることは髪を櫛で梳かすこと。
櫛で梳かしても梳かしても何度も引っかかったりしてその内髪がボサボサになっちゃうんだって。
継国家にいた時は、継国百合や使用人達に髪を梳かして貰っていたけど、一心勝炎のところに来てからは梳かしてくれる人が居なくて毎日寝癖ばっかりの髪で修行しているらしいよ。
次回・黒小僧