何やってるんですか!?飛鳥さん! 作:駒鳥
「今宵は鬼殺隊最終選抜にお集まりくださってありがとうございます」
年は
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最終選別が行われる藤襲山に何とか着いた飛鳥は、階段を登りながら思う。
(藤の花が綺麗だな。だが、階段が長い……)
飛鳥が見える範囲内でだが、藤の花は山一面を咲くようして広がっており、枯れた花は一枚もない。とても美しく魅了されてしまう。
最初は階段が長いと感じた飛鳥だが、藤の花を眺めていればあっという間に階段の終わりが見えてきた。
(人が沢山いる。二十……二十五くらいか。)
階段を登った先には、沢山の人。全員は帯刀していて、今にも鬼を殺さんというばかりの真剣な目をしている。
空気が重い。
飛鳥は
最終選別に行く一週間くらい前のこと、勝炎がとある話を教えてくれたのだ。
その教えたことは残酷で聞きたくもないと思う程不快な話だった。その話の内容は……『最終選別は地獄だ。夜になったら悲鳴が聞こえて、走っていれば血にまみれた着物を見つけてしまう。それを七日間、鬼に隠れながら耐えるんだ』というもの。
その話をした途端、勝炎の目から光が抜けてげっそりとした顔になってしまった。
自分から話したことなのに、と飛鳥は呆れながら残酷な話を聞く。
最終選別は七日間ある。藤襲山という藤の花が山をぐるっと一回り咲いた山で生き残ること。
これだけ聞けば簡単じゃないの? と思うかもしれないが『鬼』と戦いながら生き残るという条件が付いてしまったら難易度が爆上がりする。
鬼は、人間を二、三人喰った雑魚鬼かもしれないが、そう思うのは鬼に出くわさなかった最初の時だけ。雑魚だろうが目の前に立たれると恐怖で震えたり、呼吸を忘れたり自分のことで精一杯になって頭が混乱する。
だから、あまり鬼を舐めない方がいい。もしかしたら、その雑魚鬼に殺されるかもしれないから。
「━━━━では、行ってらっしゃいませ」
(!?)
その話を思い出してぼーっとした飛鳥は行ってらっしゃいという言葉にビクリとした。いつの間にか説明が終わっており皆歩き出している。
最初らへんは少しだけ声は聞き取れていたもの勝炎の話を思い出すのに夢中になって黒髪の少年の声は飛鳥の耳に入らなくなってしまっていた。
(しまった……)
飛鳥の内心汗だばだば。めっちゃ焦っていた。もし勝炎から説明されたことと違っていたりしたらどうする、もう何年前のことだし違うところもあるかもしれない。
すみませんもう一度お願いします。なんて言えるわけはなく。飛鳥はガチ焦りで皆の何歩か後を遅れて歩くのだった……。
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「鬼に遭遇しない…………」
もう四日も経ったのに。
飛鳥は頭を抱えた。森の中でぽつんと座っていても鬼がやってくる気配はない。見晴らしがいいのに誰一人いない。時々悲鳴が聞こえて、心の中で手を合わせるだけ。まじでいない。
運がいいのか悪いのか……。
別に鬼を沢山殺したいとは思っていない。鬼にはできるだけ会いたくないし、疲れるから動きたくない。
でも、鬼を倒して自分が戦えるかの証明をしたいのだ。鬼殺隊に入ろうが鬼を倒せなかったら意味が無い。ずっと隠れ続けて、逃げてもただ恐怖で怯えるだけだ。
「はぁ…………」
誰か鬼連れてきてくれないかな……と飛鳥は願うのだった。
一日目は森を駆け抜けるだけで終わってしまった。
二日目は周りより少し背の高い木に登って観察したが鬼は飛鳥の元に現れなかった。
三日目は鬼を倒すところを目撃した。悲鳴が聞こえるところにも向かったがそこには鬼も人も居なかった。
そして今。
「た、助けてくれ!! お願いだ! 俺はまだ死にたくない!!!!!!! 」
座っていた飛鳥の肩を怪我をした男ががしりと掴んで前後に揺らした。目の焦点はあっていなく、顔は水を浴びてきたんですか? というほどの汗をかいている。凄く焦っていて何かに怯えている。
「俺は鬼を二匹狩ったんだ! ここで死ぬ訳にはいかないんだ、助けてくれえ!! 」
ずっと飛鳥の肩を揺さぶって訴える。その様子に飛鳥は可哀想と思いながら助けるということを承諾した。
「わかりました。鬼は何処にいるんですか? 」
(鬼に会えるから丁度いい……のか? )
「あっちの方向だ! すぐ近くにいるからわかると思う、お願いだ殺してくれ! 」
今度は涙目になって必死に訴えてきた。恐怖で今にも漏らしたそうで、怪我も痛そうで飛鳥は再び可哀想と思った。
「貴方は止血をした方がいいです。包帯は持っていますか? ないなら私が」
「━━━ある! あるから早く行け!!!!!!! 」
男はマジのマジで鬼を早く倒してきて欲しいらしい。
「……わかりました」
飛鳥は肯いて、男が指を指した方向へ走っていく。近づいて行くたびに嗅いだことの無い異臭が濃くなっていく。人間を二、三人喰った鬼の匂いではない。もっと沢山の人を喰った鬼の匂いだ、それほどまでに臭かった。
飛鳥の額に汗が滲む。一体どんな鬼なんだ、強いのか? 私はそいつを殺せるのか? 頭の中が疑問でいっぱいになった。もし強い鬼だった場合飛鳥は死ぬ。無駄に足掻いて死んでしまうだろう。
飛鳥は強くも弱くもない、普通だ。弱い相手なら少し疲れるけど殺せる。でも、強い相手なら一分も経たずに殺される。それでも戦わなければならない。死は怖いけど、怖くないと言わなければならない。
(私は死なない)
死ぬなと言われたなら、死なないよう頑張る。
正直言ってクソほど怖い。足が震えて走る速度も落ちた気がする。
走った先は地獄だろうか。
クスクスと気持ち悪い笑い声が聞こえた。
(笑い声? 鬼━━━━━)
「━━━━━みんな俺の腹の中だ。鱗滝が殺したようなもんだ…………」
鬼の見た目が見えた途端飛鳥の足は凍りついたように動かなくなった。鬼から目が離せず一歩も動くことができない。
(……は?)
乾いた声が出そうで出せなかった。おかしくて失笑しそうになった。
鬼は人型を留めておらず、異型で全身緑色で、体中に沢山の手を纏った気持ち悪くて気味悪くクスクスと笑う鬼が女の子を掴んでいた。
「うあああああああああ!!!!!!!!!!」
「っ!? 」
四肢が鬼に掴まれている女の子が叫び出す。
飛鳥は叫び声のおかげでやっと刀に手をかけることが出来た。震えは止まらないが、体は鬼と女の子の方へ動こうとしている。上手く回らない頭で状況を判断して、飛鳥は決意した。
━━━━ 月の呼吸 弐ノ型
たくさんの息を吸い込んで、素早く足を動かし瞬きよりも早く刀を抜く。少女を斬らないように、四肢を掴んでいる鬼の手だけを下から斬りあげるようにして刀を三回振る。
少女を抱え鬼の元から少し離れると、ドサッと鬼の手が落ちる音が森の中に響いた。
「━━━なッ!? 」
「このまま走るっ! 舌を噛まないようにしろっ!!」
飛鳥は少女にそう告げ、足を大きく動かして速度をあげた。
(さっきのは不意打ちだったから、気づかれなかったから、斬れただけだ。このまま戦っても、私もこの子も死ぬ!)だから早くもっと早く! 今まで一番の速度を出すんだ。と頭の中で何回も言い聞かせて走る。止まらずに、振り返らずに走る。
足も手も震えて、今にも転げそうだった。足は疲れるし呼吸をするのもしんどいし、全身の穴という穴から汗が吹き出し緊張も恐怖も止まらない。
どこまで走ればいい? 鬼は着いてきているのか? 女の子は大丈夫か━━━━
「━━━━もういいっ!止まって!!!!」
「……ゲホッ……はぁはぁ……」
「アイツの気配は無いし、ここまで来ればもう大丈夫だと思う。……その、落ち着いた方がいいよ」
少女の優しい声を聞いた途端、飛鳥は足が崩れ落ちるように転けてしまった。
もういいと言われたからか、鬼の気配が無くなったからかやっと安心して息ができるようになった。
「深呼吸して……吸って、吐いて、吸って━━━」
少女の掛け声の通りに呼吸を繰り返し落ち着きを取り戻した。でも、段々と体中の汗が気持ち悪くなってきて鳥肌が止まらなくなった。
「……もう大丈夫そうだね。良かった」
心の中では目の前にいる飛鳥を不快と思いながら、少女は優しく接した。
少女は疑問でならなかった。こんなにも鬼に恐怖を抱いているのに何故私を助けたのだと。あそこで見殺しにしても良かったものの、鬼の不意を打ち、鬼に見つからないところまで走ったのだ。
正直言って助けて欲しくなかった。鬼の挑発に乗ってしまった自分が情けない、あそこで死ねばよかったと思った。でも、あんな綺麗な剣技で鬼の手を斬って……こんなにも震えているのに怖いはずだろうに、何故を私を助けたのか。
目の前にいる飛鳥が不快で仕方なかった。
「助けてくれてありがとう。ここまで連れてきてくれてありがとう…………でもね、私あいつを殺さないといけないの。だから私は戻るよ」 「やめた方が、いいですよ。」
「……やだな」
早くここから立ち去りたいと思いながら、少女は少し痛む足を動かす。でも、それを飛鳥が掴んで阻止した。掴む力は弱く直ぐに動かせそうだった。
飛鳥は息を吸って落ち着いた声で言う。
「あなたは山を降りた方がいい。足を捻っていては……上手く動けないだろう」
その言葉を聞いた途端、少女は顔を顰め大声で拒絶した。
「嫌だ……絶対に嫌! 山を降りるならあいつを殺してから降りる! こんな怪我どうってことない……だから……」
怒鳴られようとも飛鳥は続ける。
「やめた方がいい。その怪我で、一体何が出来る? あの鬼の餌になる気ですか? 」
「戦えるっ! 私はまだっ……」
「無理ですよ。きっとすぐ死んでしまう」
どんどん少女の顔は怒りに満ちていく。でも、飛鳥の言葉は止まらない。どれだけ顔を顰めようと、どれだけ飛鳥を怒鳴ろうと言葉を止めようとしなかった。
「━━━あなたは強い。だからあんな奴に殺されるより生きて、もっと強くなってから殺しに来ればいい。仇を打つのは今じゃなくてもいいだろう? 」
「……でも、今殺さないと、あいつのせいで鱗滝さんがまた悲しい思いをすることになる…………今じゃないとダメなの」
ぎりぎりと少女の握る手は強まっていく。爪がくい込んで白くなっていくのがわかる
「無理だ。あなたの今の実力じゃ殺せない。あなたがあいつに殺されて鱗滝という人を悲しませるだけ。わかったなら、ここから離れましょう」
さっきと馬鹿みたいに様子が違う飛鳥が、少女に手を伸ばす。あんなにも怯えていたのに今は落ち着いている。あの時の震えはどこに行ったのだろうか?
「…………」
「……死にたいと言うなら置いていきますが」
「━━━━わかった、一緒に行く。でも、後で何発か殴らせてね」
「はい……はい?」
そうして話し合いを終えるとさっきの場所よりももっと遠くの場所へと鬼のいない、開けた場所を向かうことにして、二人は歩いていった。
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「飛鳥。あなたが使ってた呼吸って何? 私見た事なかったんだけど……自分で作ったの?」
二人とも互いに名を言い合い、真菰は飛鳥に強烈なパンチを食らわせた後にふと疑問に思ったことを言った。
その問いに頬を腫らした飛鳥は少し遠慮気味に答えた。
「私が使っていた呼吸は月の呼吸というものです。見た事がないのは……仕方ありません。私は作っていませんよ、元からあった呼吸です」
「……飛鳥、敬語やめて欲しいな」
「…………わかった。」
敬語を使う飛鳥ってなんかあれだね……うん、と眉を八の字にした真菰が呟やく。真菰の呟きに飛鳥はすぐ敬語をやめた。変えて欲しいと言われたなら変えよう。別に敬語が好きな訳でもないし、と飛鳥は思いながら真菰の話を聞いた。
「━━━月の呼吸……って何?」
その言葉に飛鳥の内心は汗だらけ。だって説明めんどくさいんだもん。聞いて欲しくなかった。
「見た方が早い」
「え? 」
真面目に答える飛鳥に真菰は困惑した。ちょっとくらいは説明してくれてもいいんじゃないの? 見た方が早いって……え?
「明日鬼が出たら呼吸を使うから、それでわかってくれ」
「…………うん、わかったよ」
月の呼吸は他と違うところがいくつもある。それを説明するには時間がいるし長くなってしまう。あと先祖様のことも話さなくてはならないのでちょっと嫌だ。
継国
飛鳥も継国巌勝の存在を離したくはない。凄い人だと伝えたいけど、伝えたくはなかった。数人しか知らないという特別な存在でいて欲しかったから。
「真菰。糞……ではなく、飴玉いるか? 」
「糞って言ったよね? 今糞って」
「言ってない」
「えぇ………………」
人物紹介〜
継国飛鳥(つぎくに あすか)
主人公
飴玉いる?
真菰(まこも)
これから友達になるかも
飴玉……じゃないでしょこれ!?
明治コソコソ噂話〜
飛鳥と真菰、二人とも足が早くて体も小さい、握力は飛鳥が上ですが周りの人達と比べると弱いです。二人とも似た者同士で気が合いそうですね。
次回・こうじゃ!もっと声を出して!!