取り敢えず(*・ω・)ノ。ポイッ ピューン ⊂投稿⊃
金髪の少女と緑髪エルフと出会って黒龍の事を聞かれたが、素材は拾った物であり作ったのも亡くなった友人という誤魔化しを通して、ダンジョンへと向かう前に腹を満たす為に何か食べようと思って去ろうとしたのだが…
今現在の俺はというと……
「……」
「……」
「いや、すまないな」
何故か一緒に金髪少女と緑髪エルフと共に彼女達のファミリアであるロキファミリアの本拠地へと向かうことになっていた。
なんでこうなったんだ????
途方に暮れながら俺の黒いローブの端を掴んでいる金髪少女の顔を見つめる。
「?」
何故か不思議そうな表情で此方を見返している。だがしかし手を離す様子は微塵も感じない。今の状況の表現を言うなら刷り込みでもされた雛に懐かれているその辺の人という感じだろう。
「どうしてこうなった……」
「すまん、アイズが何故か離したがらなくてな…」
「……一緒」
「何故こんなに懐かれているのかも私にもわからんからな…」
「俺もわからん…」
先程まで緑髪エルフによる金髪少女への説得という名の話か何かがあったが、その苦労も報われることはなく金髪少女から解放されることはなかった。
説得であった会話というとーー
「アイズ、ファミリアに入るわけでもない他者を無断でいれるわけにもいかないんだぞ!」
「嫌、一緒」
「いいか!年頃の女が年頃の男と何かあったらどうするんだ!?」
「?別に彼なら気にしない」
「知らない人を連れたら駄目だと前に言っただろう!?」
「??」
「みろ!黒いローブ姿でいかにも怪しい格好で闇派閥の者だったらどうする!?」
「別に、普通だよ?」
「ロキにあってみろ!何をされるかわからんぞ!?」
「その時、私が守るから大丈夫」
こんな感じの会話が繰り広げられていた。一部失礼じゃないか?とも思ったが離してもらえるならいいかと聞き流すことにしてたのだが、緑髪エルフの奮闘虚しく散っていった。
同じファミリアの仲間を心配するというより、内容的にも娘を心配する母親だったがな……種族は違うのに親子かな?と思ったのは内緒である。
まあ、そんなこんなで何故か一緒にロキファミリアとやらの本拠地へと向かうことになっていた。おかしい……俺は今頃腹を満たしてからダンジョンへと向かっていたはずなのに何でこうなった?
黒龍か?黒龍の素材なのか?何を刺激して金髪少女に懐かれたのかまるでわからんぞ!?
「それで、あー……アイズ、彼の名前は?」
「?知らない」
「…………」
「名前も知らない男にどうして、こんなにも懐いているんだ…?」
「??」
「何故会話が通じないんだ…」
金髪少女と緑髪エルフとの会話が成立しているようで成立していない状況である。
離れてみてる分には面白そうな光景ではあるのだが、隣でコントの様な会話を広げられてるからなんとも言えない気分だ。
「はぁ……アイズは置いておくとしよう…君、名前はなんと言う?私はリヴェリア・リヨス・アールヴ、長いからリヴェリアで構わない、ロキファミリアに所属している」
「俺はーースエル、スエル・ハーヴだ。今日オラリオの外から来た新参者で所属ファミリアも恩恵もない」
「そうなのか?(ふむ……所属無しか)その方が都合がいい、か…」
緑髪エルフ、もといリヴェリアは俺と自己紹介をした後何か思案し始めた。紹介した後にローブが引っ張られ其方を見ると、金髪少女が不満そうな表情で頬を膨らませて睨んでいた。
「ずるい」
「何がだ?」
「名前、私が最初に知りたかった…」
「はぁ…………俺はスエル・ハーヴだ。君の名前は?」
「………」
不満そうな表情の金髪少女に自己紹介をするが返事が返ってくることがなく、不機嫌そうに俺のローブを掴んで歩いているだけだった。
「……わかった、何か言うことを一つ聞こう」
「!!!」
俺が一つ言うことを聞くと言った瞬間、先程までの不満と不機嫌はどこにいったのかと言わんばかりの真逆の表情へと変わった。
「私はアイズ・ヴァレンシュタイン、アイズでいい」
「わかった」
「うん」
「……」
「……」
「……」
「……むぅ」
「……何だ?」
「名前」
「ん?」
「名前、何で呼ばないの?」
「…………」
どうして俺はこんなにも面倒目にあっているんだ???さっさと解放されたいんだがな。ファミリアってことは神もいるということだろう?面倒そうになりそうだから逃げたいんだが……
「……」
目の前の金髪少女…もといアイズは期待を込めた瞳で俺を見つめている。そんなに名前を呼んで欲しいのだろうか?俺は別に刷り込みも催眠も暗示類いも何もやってない、というか出来ないんだがこんなに好かれる要素はないと思うんだけどな。
「アイズ」
「ーーうん、もう一回」
「……アイズ」
「もう一回」
「…………アイズ」
「うん、スエルもう一回」
何だこれは???まるで一目惚れでもしたのかのような懐かれ方というか、まさか本当に一目惚れされたのか??自分で言うのも何だが黒いローブに異形の黒い爪剣背負ってるってだいぶ怪しいと思うんだけど。
「コホン、そこまでだ」
「………リヴェリア」
「何か考えていたみたいだが、もういいのか?」
「ああ、もう成り行きに任せることにしようと思ってな。まあ、思考してたら隣が何やら桃色の空間になっていたが…」
展開したくて展開したんじゃないんだけどな。隣をローブを掴むという行為じゃ嫌なのか、飽きたのかわからないが俺の左腕に腕を絡ませ更に近づいて歩いている。
周囲からは何やら騒がしいくらいの声と視線を感じるが、俺は何も知らない。「剣姫が恋人のように寄り添っている奴は誰だ!?」「まさか剣姫の彼氏!?」「殺す殺す殺す殺す」「呪呪呪呪呪…!」「あれって…アイズとリヴェリア?おーiむぐっ!?」「ちょっとティオナ、面白そうだから黙ってなさい!」
とかそんな話は聞こえないきこえない。聞こえないったら聞こえないんだよ!無心でいないとやってられないぐらいの殺意と視線と人混みがあるのだから。
「……取り敢えずさっさと向かうぞ、大変な……もうなってはいるが、これよりも酷い状況はごめんだからな」
「うん、いこ?」
「……ああーーーーーーどうしてこうなった?」
「…それには同感だ」
「???」
一人不思議そうだが嬉しそうな表情のアイズを他所に疲れ果てた俺とリヴェリアはロキファミリアと向かうのだった。去ろうとした背後からは何やら騒ぎになっていたが、俺はもうどうとでもなれと思いながらアイズに引っ張られつつもロキファミリアへと足を運んだ。
ーーアイズ・ヴァレンシュタインーー
彼を見ていると昔を思い出す。まだ父と母がいたあの頃を…仲が良かった幼馴染みの彼を一番大好きだった彼。
「おうきくなったらけっこんしよ!⬜⬜⬜⬜⬜⬜」
「ーーーーーーー」
初めてあった時から不思議と彼を思い出す。嫌な思いはならなかった。むしろ胸の奥からポカポカとした感じが膨らんでくる。
「フフッ」
二度と離さない。私の私の…もの、私だけの英雄、私の大好きな英雄(スエル)