神殺し兄妹と女神様   作:ダッソー

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二十二話

静花は空中へ空間転移すると、聖句を唱えた。

 

「白狼よ、悪しきもの共を討伐せよ。汝の名は大口真神」

 

すると、静花の周囲から白い霧が湧き上がった。

その霧の中から、体長二十メートルほどの巨大な白狼が姿を現す。

 

後に『駆ける白狼』と呼ばれる大口真神より簒奪した静花の第二権能だ。

 

静花はその背に乗り、白い毛を掴んだ。

 

次の瞬間、白狼は咆哮を上げ、静花を背に乗せたまま地上へと落下する。

 

狙いはただ一つ。

老魔王を、ホテルごと押し潰すことだ。

 

白狼がホテルを押し潰そうとした、その瞬間だった。

 

轟音と共に、ホテルの一角が内側から爆ぜた。

 

瓦礫を撒き散らしながら飛び出してきたのは、体長三十メートルほどもある巨大な狼だった。

 

静花の白狼すら上回る巨体。

灰色の毛並みを持つ大巨狼は、崩れ落ちる建物をものともせず、白狼へと牙を剥いた。

 

「このヴォバンに狼で挑むとは! くくく。なかなか面白い趣向ではないか!」

 

大巨狼から、ヴォバンの声がした。

 

魔王は自ら獣へと姿を変え、静花の白狼を真正面から迎え撃ったのだ。

 

二頭の巨狼が、夜の庭園の上で激突した。

 

衝突の瞬間、空気が爆ぜた。

庭園の池が大きく波打ち、石灯籠がひび割れ、崩れかけたホテルの外壁がさらに音を立てて崩れ落ちる。

 

「ぐっ……!」

 

白狼の背に乗っていた静花は、衝撃に身体を持っていかれそうになる。

だが、次の瞬間には空間転移で地上へ逃れていた。

 

大巨狼の牙が、白狼の首筋へ食らいつこうとする。

白狼はそれを前脚で弾き、逆に喉元へ牙を剥いた。

 

ふと気づけば、空は黒雲に覆われていた。

 

先ほどまで月明かりの差していた庭園に、冷たい風が吹き荒れる。

木々が激しく揺れ、池の水面には大粒の雨が叩きつけられ始めた。

 

嵐だ。

 

おそらく、ヴォバンが呼んだものだろう。

 

さらに、静花の前に死人たちが現れた。

 

『死せる従僕の檻』に囚われた、老魔王の犠牲者たち。

生者の気配を持たない騎士たちが、剣や槍を手に、音もなく隊列を組む。

 

そして次の瞬間、彼らは一斉に静花へ斬りかかってきた。

 

「死んだ人まで道具扱いとか、どこまでも救いようがないクソジジイね」

 

静花はそう毒づくと、能力を切り替えた。

 

「恐るべき門よ。鍵持つ我が今こそその門を開こう」

 

聖句を唱えた瞬間、庭園一帯の熱が奪われていく。

叩きつける雨は白く凍り、池の水面には薄氷が走った。

濡れた石畳には霜が広がり、吹き荒れる風さえも凍てつく刃のように冷たく変わっていく。

 

嵐を呼ばれたことで、ただでさえ気温は下がり始めていた。

この能力は気温を贄にする以上、周囲が氷点下まで冷え切ってしまえば発動できない。

 

ならば使えるうちに使っておくべきだろう。

 

静花が手を振るうと、凍てついた風が吹雪となって庭園を駆け抜けた。

 

稲妻は一度では終わらない。

続けざまに二条、三条と、稲妻が静花めがけて落とされる。

 

静花は即座に氷壁を作り出した。

蒼白い雷光が氷壁へ叩きつけられ、分厚い氷が爆ぜる。

破片が雨の中へ散り、白い蒸気が立ちのぼった。

 

砕けた氷壁の陰で、彼女は吹雪の力を圧縮していく。

渦巻く冷気が掌の周囲に集まり、やがて複数の球体となって宙に浮かび上がった。

 

その数は八つ。

 

冥府の冬を圧縮した氷の爆弾が、大口真神と組み合う大巨狼へ向けて一斉に撃ち出された。

 

大口真神は、大巨狼の動きを押さえ込んでいた。

白狼が牙を立て、爪を振るい、灰色の巨体をその場に縫い止めようとする。

 

「風よ、吹け」

 

ヴォバンの言霊とともに、風が唸り始めた。

 

「雨よ来い。みぞれとなり、雪を呼べ」

 

風は暴風となり、雨はみぞれへ、そして雪へと変わっていく。

静花が呼び出した冥府の冬に、ヴォバンの嵐が重なり、庭園一帯の空気がさらに荒れ狂った。

 

「我は風を呼び、雨をしたがえ、雷を集める。灼熱の風も凍れる風も我が配下と知れ。疾速怒涛の狂乱を、この地にもたらしてやろう!」

 

ヴォバンの言霊が響いた瞬間、空が吠えた。

 

黒雲が渦を巻き、暴風雪が庭園を呑み込む。

静花の放った氷の爆弾は、ヴォバンへ届く寸前で暴風に煽られ、軌道を逸らされた。

 

八つの氷弾は暴風雪に巻かれ、軌道を大きく逸らされていく。

あらぬ方向へ飛ばされ、地面やホテルの残骸に激突して白い爆発を起こした。

 

凍気が弾け、瓦礫も大地もまとめて氷に閉ざされる。

だが、狙うべき老魔王には届かない。

 

「くくく。冥府の冬を呼ぶか。悪くない」

 

大巨狼の喉奥から、ヴォバンの声が響く。

 

「だが、風も雨も雪も雷も、嵐の内にあるものだ。このヴォバンの狩場で、それらを我が物にできると思うなよ」

 

「偉そうに……!」

 

その時、大口真神が再び咆哮した。

 

白狼の巨体が空を蹴り、嵐の中へと飛びかかった。

大巨狼もまた、暴風を足場にするかのように跳躍した。

 

二頭の巨狼が、空中で激突する。

 

牙と牙が噛み合い、爪と爪が火花を散らす。

暴風雪の中、白と灰の巨体が絡み合いながら、夜空を裂くようにぶつかり合った。

 

「空中で怪獣大乱闘とか無茶苦茶でしょ!」

 

その大乱闘を引き起こしている片割れは、自分が呼び出した怪獣なのだが。

そこは棚に上げて、静花は思わずそう叫んでいた。

 

空中では、大口真神と大巨狼が激突を繰り返していた。

 

白狼は暴風雪の中を自在に駆ける。

地を蹴る必要などない。空そのものを足場にするように跳ぶのだ。

 

大巨狼の牙が迫った瞬間、大口真神の身体が一気に縮んだ。

二十メートル級の巨体が、通常の狼ほどの大きさにまで収縮する。

 

ヴォバンの牙が空を噛む。

 

その隙に、大口真神は大巨狼の顎下をすり抜けた。

そして次の瞬間、再び巨体へと膨れ上がり、灰色の脇腹へ体当たりを叩き込む。

 

だが、大巨狼は吹き飛ばされなかった。

 

「くくく。姿を縮め、膨らませるか。面白い。だが――」

 

ヴォバンの巨体もまた、ぐにゃりと輪郭を変えた。

 

三十メートル級だった灰色の巨狼が、一瞬で二メートルほどに縮む。

大口真神の体当たりを潜り抜けるようにかわし、そのまま白狼の懐へと潜り込む。

 

「このヴォバンにも同じことができるのだよ」

 

次の瞬間、ヴォバンの身体が再び膨れ上がった。

 

急激に増した質量が、大口真神の腹部を下から突き上げる。

白狼の巨体が空中で大きく弾かれた。

 

「大口真神!」

 

地上から静花が声を上げる。

 

大口真神は空中で身をひねり、姿勢を立て直す。

だが、ヴォバンはそれを見逃さない。

 

暴風をまとった灰色の巨狼が、白い影を追うように空を駆けた。

二頭の狼が、暴風雪の中で白と灰の閃光となって交錯する。

 

牙が打ち合い、爪が火花を散らす。

 

「悪くないぞ、小娘! 狩りの獲物としては上出来だ!」

 

そう言いながら白狼へと喰らいつく。

 

静花はその光景をみながら頭上へ片手を掲げた。

 

吹雪が渦を巻き、冷気が一点へと収束していく。

やがて空中には、数十メートルほどもある巨大な氷柱が形成された。

 

それはもはや、氷の塔とも呼ぶべきものだった。

 

だが、その瞬間。

再び、死せる騎士たちが闇の中から姿を現した。

 

それだけではない。

 

空中で大口真神と激突している大巨狼の毛並みがざわりと波打つ。

抜け落ちた灰色の毛が嵐に舞い、次の瞬間、馬ほどの大きさを持つ狼の群れへと姿を変えた。

 

狼たちは地上へ降り立つと、雨と雪を踏み散らしながら静花を取り囲む。

 

「活きのいい獲物をくれた返礼に、私の軍勢と戦わせてやろう!喜ぶがいい!」

 

「面倒なことを……!」

 

静花は舌打ちし、放とうとしていた氷柱を中断した。

 

空へ伸びていた巨大な氷の塔が、そこで砕け散る。

無数の破片となった氷は、吹雪の中へ溶け込み、次の瞬間、庭園一帯を白く塗り潰した。

 

氷柱混じりの吹雪が荒れ狂う。

 

鋭い氷片が風に乗り、死せる騎士たちの甲冑を削り、狼の群れへと突き刺さる。

白く凍てついた風は、触れたものを凍らせ、裂き、押し流す冥府の嵐だった。

 

だが、その吹雪を、さらに巨大な嵐が上から押し潰した。

 

黒雲が低く垂れ込める。

その奥で、蒼白い光が瞬いた。

 

「――っ!」

 

静花が息を呑むより早く、一筋の雷が天から落ちた。

 

それは吹雪を裂き、氷片を蒸発させながら、嵐の中心へと突き刺さった。

 

稲妻は立て続けに空を裂き、何度も静花へ向かって落ちた。

 

「くっ……!」

 

静花は吹雪の力を圧縮し、頭上に吹雪の壁を築く。

蒼白い雷光がそこへ突き刺さり、凍てついた風と氷片が激しく弾け飛んだ。

 

一条、二条、三条――。

雷は間断なく降り注ぎ、そのたびに吹雪の壁は軋み、削られ、内側から青白く照らし出される。

 

だが、脅威はそれだけではなかった。

 

死せる騎士たちと、馬ほどの体躯をもつ狼たちが静花の周囲を取り囲んでいる。

 

「次から次へと……!」

 

静花は舌打ちし、吹雪を操って騎士たちを押し返し、狼の群れを氷槍で迎え撃つ。

だが、一体を砕けばまた別の一団が迫る。

狼を薙ぎ払っても、その向こうから新たな影が雪煙を裂いて飛びかかってくる。

そして、そのすべてを追い立てるように、頭上からは雷鳴が絶え間なく降り注いだ。

 

守る。

防ぐ。

迎え撃つ。

 

だが、攻めに転じる余裕はない。

 

騎士たちが前へ出て、狼が横から食らいつき、嵐が上から押し潰す。

従僕どもは途切れることなく押し寄せ、絶えず静花を消耗させていく。

 

静花は暴風雪をさらに激しく渦巻かせながらも、じりじりと防戦一方へ追い込まれていった。

 

「真神! こっちに来い!」

 

静花が叫ぶ。

 

空中で大巨狼と激突していた大口真神が、白い軌跡を描いて身を翻した。

ヴォバンの牙を紙一重でかわし、巨体を一気に縮めながら地上へと降りてくる。

 

同時に、静花も吹雪に乗って空中へ舞い上がり、大口真神の背へ飛び乗った。

 

「こっちから突っ込んでやる!」

 

大口真神が応えるように咆哮する。

 

「行け!」

 

静花の号令とともに、大口真神が空を蹴った。

 

吹雪を裂き、雷をかいくぐり、白き神狼が大巨狼へ向かって突進する。

静花はその背で白い毛並みを掴み、もう片方の手を前へかざした。

 

凍てついた風が前方へ集中する。

 

静花が手を振るうと、圧縮された吹雪が白い弾丸となって放たれた。

いくつもの氷弾が暴風雪を突き抜け、大巨狼へ向かって飛ぶ。

 

だが、ヴォバンの嵐もまた即座に応じた。

 

暴風が唸り、蒼白い雷が走る。

稲妻は氷弾を撃ち砕き、残る弾もまた荒れ狂う風に逸らされていった。

 

だが、静花の攻撃はそれで終わりではない。

 

静花はさらに手を振り上げた。

吹雪が渦を巻き、その前方に巨大な氷柱がいくつも形成されていく。

 

数十メートル級の氷塊が、その切っ先をヴォバンへ向けた。

 

「串刺しになりなさいよ!」

 

次の瞬間、氷柱が一斉に撃ち出される。

 

白き尾を引いて飛ぶ氷の巨槍。

吹雪そのものを纏ったそれらは、空を切り裂きながら大巨狼へ殺到した。

 

対するヴォバンは、嗤うように吠えた。

 

「手ぬるいな!この程度か!」

 

黒雲から垂れ下がるように現れた暴風と雷が空を裂く氷柱と正面から激突する。

 

暴風が刃となって荒れ狂い、巨大な氷の槍を削り、雷が粉々にしていった。

 

砕けた氷片が暴風に巻き上げられ、白い破片の嵐となって夜空へ散る。

 

「なら、これでどうよ!」

 

彼女は吹雪の力をさらに圧縮した。

掌の前で、白く渦巻く球体がいくつも生まれる。

 

冥府の冬を極限まで押し固めた冷気の塊。

八つ、十、十二――。

凍気を凝縮したそれらは、周囲の空気さえ白く凍らせながら、大口真神の周囲を巡った。

 

「行け!」

 

合図とともに、圧縮された吹雪の弾丸が一斉に放たれる。

 

それらはただ直進するだけではない。

暴風に煽られてもなお、静花の呪力に導かれ、軌道を変えながら大巨狼へ迫った。

 

ヴォバンの側でも嵐が牙を剥く。

 

暴風が唸り、進路を遮り、稲妻が空間を裂いて降り注ぐ。

冷気の弾丸と暴風が衝突し、圧縮された冬が暴風の中で爆ぜる。

 

吹雪と暴風が夜空で幾重にもぶつかり合い、絡み合った。

 

「くくく! よいぞ、小娘!ひとかたの暇つぶし程度には力があるようだな!」

 

「暇つぶしで終わると思うないでよ狼ジジイ!あんたの息の根を止めてやるわよ!」

 

静花は怒声とともに、さらに吹雪を収束させる。

 

大口真神が空を蹴り、その直感で稲妻をすり抜ける。

その背で静花は人ひとり程の大きさ氷柱を無数に生成し、手を横薙ぎにに振るった。

 

吹雪の奔流が一直線に走る。

そこに無数の氷柱が混ざり、一本の白い濁流となってヴォバンへ襲いかかった。

 

同時に、ヴォバンもまた咆哮する。

 

暴風が一気に膨れ上がったのだ。

 

黒雲の奥からは雷が立て続けに落ち、嵐そのものが迎撃の槍となって白き濁流へぶつかった。

 

激突。

 

吹雪と暴風が正面から噛み合う。

暴風雪と強風がぶつかり合い。氷柱に雷が落ちて空中で炸裂する。

 

その衝突の余波だけで、下の庭園の木々がなぎ倒され、凍りついた池が砕け、ホテルの残骸が吹き飛んだ。

 

その破壊の中を、ヴォバンが突き抜けてくる。

 

「っーー!」

 

静花は即座に無数の氷柱を形成し、渦巻く吹雪とともに撃ち放った。

 

だが、その前に従僕となった犠牲者たちが雪煙を裂いて躍り出る。

さらにヴォバンの体毛から狼たちが次々と飛び出し、己が身を盾として氷柱を受け止めた。

 

氷の槍は騎士や狼の身体を容赦なく貫き、砕き、吹き飛ばす。

それでもなお、彼らは壁のように立ちはだかり、主へ届くはずの一撃を削り取っていく。

 

その向こうから、ヴォバンの巨体がなおも迫った。

 

大口真神がその場から逃れようと身を翻した、その瞬間。

 

ヴォバンのエメラルド色の瞳が妖しく閃いた。

 

直後、大口真神の巨体が、空中で縫い止められたかのように硬直する。

 

ーー『ソドムの瞳』。

それはヴォバンの権能のひとつであり、都市ひとつ分の住民すら塩へ変える邪眼だ。

 

流石に神やカンピオーネ、あるいは彼らが直接使役する神獣を塩に変えることは叶わない。

だが、その動きをほんの一瞬奪う程度ならば可能なのだ。

 

「真神!?」

 

静花が叫ぶ。

 

しかし、その声が響くより早く、眼前まで迫っていたヴォバンが腕を振り上げた。

 

白い氷片と雪煙が一瞬で弾け飛ぶ。

大口真神の巨体は空中で大きくのけぞり、その背にいた静花も激しい衝撃に全身を揺さぶられた。

 

「が……っ!」

 

白き神狼の体が上空をきりもみし、静花もまた背から放り出される。

 

静花は咄嗟に吹雪を操り、落下の勢いを殺した。

それでも衝撃を完全に相殺することはできず、凍てついた地面へ転がるように着地する。

 

上空では、大口真神が苦しげに身をよじっていた。

白い毛並みのあちこちが裂け、吹雪の中に鮮血が散っている。

 

「メインディッシュの前の前菜としては、中々に愉しめたぞ、小娘」

 

対するヴォバンは、嵐のただ中にあってなお悠然としていた。

 

「久方ぶりの狩りの相手としては悪くはなかった。刺激的な時間だったぞ」

 

灰色の大巨狼は暴風をまとい、まるで嵐そのものを従える王のように夜空へ君臨している。

 

「だが――これで終わりだ」

 

そう告げるや、ヴォバンは静花へ向かって飛びかかった。

 

静花は、制限時間の迫る『冬』の権能を切り捨て、次の力へと切り替える。

 

「クロノスの御子よ――」

 

その詠唱とほとんど同時に、ヴォバンが吠えた。

 

「背を砕き、骨、髪、脳の髄汁を抉り出せ! 血と泥とともに踏みつぶせ! 鋭く近寄り難き者よ、契約を破りし罪科に鉄槌を下せ!」

 

言霊とともに、『猪』が飛び出した。

 

「ぬおおっ!?」

 

『猪』は放物線を描くように空中へ躍り上がり、ヴォバンへ真っ向から飛びかかる。

その牙が巨狼の身へ深々と食い込み、そのまま凄まじい勢いで地上へ叩き落とした。

 

次の瞬間、両者は地面へ激突する。

 

轟音とともに地が震え、庭園に地響きが走った。

 

「お兄ちゃん!」

 

静花が叫ぶ。

 

「静花。何、ひとりで突っ走ってるんだよ」

 

『猪』とともに、兄である護堂が姿を現した。

 

「あなたがあの獣の好き勝手にされているのは、面白くないな」

 

そう言いながら、大鎌を携えたアテナもまた姿を現す。

 

「アテナさんも来たんだ」

 

「ああ。あの巫女が獣の好きなように蹂躙されるのは、気に食わん」

 

アテナは不快げに言い放った。

 

「おおおおお……!」

 

その一方で、ヴォバンは『猪』の首へ牙と爪を突き立て、その巨体を吹き飛ばす。

 

「前菜のみならず、副菜も来たか。ようやく食いがいのある獲物が並んだな」

 

愉快げにそう言い放った。

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