引退したソシャゲに異世界転移したらヒロインが全員病んでた件   作:西沢東

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箸休め回です。何故か初めに考えていたよりナナの登場機会が遥かに多い謎。




移動要塞はロマンだけど何故かイメージしにくい

「そういえば真面目ちゃんは~?」

「非常に残念ながら、腹の中が『チャージスピン! ベーゴマバトル!』と化しているらしい」

「か、かわいそ~」

 

 ウララの腹を破壊した翌日。ウララ不在ということで任務は休みとなり、暇つぶしとして俺とナナは基地の見回りをすることとなった。まあウララ無しだと道が分からないから、迷子ENDという可能性があることを考えればそりゃそうなんだけれど。因みにミハル先生を連れていくのも視野に入れたが、やはり却下。一定確率で道案内失敗するからなあいつ。

 

 それに、一日くらい見回りしなくてもなんてことないでしょ。そんなわけで、基地の見回りという名目で俺はナナに連れられて「とある場所」に向かっていたのだった。

 

「しかしとんでもない高さだな」

「大型アブラクサスが来る可能性もあるから当然~」

 

 俺たちがいるのは、基地をぐるりと取り囲む分厚い金属壁の上だった。壁の上には数多の砲台が設置されている。アブラクサス相手でも貫通可能な、まるで中世の大砲かのような姿をした武器たちだ。

 

 足元に敷かれた装甲板は、かつて別の場所から引きはがしてきたものらしく、溶接痕や塗装の痕が残っている。つぎはぎだらけの鉄板はたわみ、歩くたびに金属音が低く響いた。それらを見つめると、酷い状態のステータス画面が出てくる。

 

 

 ────────────────────────

 対アブラクサス三式火砲 Lv1

 状態異常:[老朽化:小]

      [錆び:中]

 Lvアップが可能です。保有のアブラクサス素材を使用しますか? (YES/NO)

※通常より高コストな対価が必要かつ感知リスク有り

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 対アブラクサス円形型巨大装甲壁 Lv1

 状態異常:[老朽化:大]

 [錆び:中]

 [溶接強度劣化:中]

 Lvアップが可能です。保有のアブラクサス素材を使用しますか? (YES/NO)

※通常より高コストな対価が必要かつ感知リスク有り

 ──────────────────────────

 

 

 

 うーん、これも強化はできるが、やはりダンボールと同じく感知リスクやら高い対価が必要、しかもダンボールと比べて体積も遥かに大きい。アブラクサスの臓器の欠片程度ではすまなさそうである。

 

「しかし昨日はウララに悪いことしちまったな」

「気にするの無意味~。スープでお腹壊すなんて想像できないじゃん」

「いや、それに加えて俺が最近調子に乗り過ぎて迷惑かけてたし」

「それは最初からだよ~」

「おい」

 

 冗談抜きに割と後悔しているのだ。せっかく仲直り成功、久々にまっとうな食事? ができた途端にこれである。ちなみに材料が悪かった、とかはない。全部ステータス画面で確認してるからな。つまり完全な俺の配慮不足である。

 

 それ以外でもウララには色々と迷惑をかけてしまっている。思えばダンボールも割とノリで押し切ったが、向こうからすればマジのストレスだったはずだ。命をかける場面であんなことをしたのだ。俺視点からすればステータス画面というファンタジー能力があるとはいえ、向こうからすればただの異常者。うん、お詫び申し上げるしかない。説明すればいい……とはいっても、こんな能力どうやって説明するんだって話だしな。やっぱり俺がヤギだった説の方が説得力がある。というか能力が知られた際に変に祭り上げられたら困るし、何より嫌な予感するんだよな。こういう時の直感には従うに限る。

 

 それとは別に、よく分からん存在の感知リスク、なんていうものをあまり考え無しで踏んでしまったのも頂けない。確率が低く何も起こらなかったから良いものの、万一が起きてしまったらそれどころではないのに。

 

 まあそんな訳で反省はしているのだが、俺の内心に反して壁の上では爽やかな風が吹いている。壁から基地内部を見下ろすと、壮観な眺めであった。貨物コンテナがいくつも並び、その隣には居住棟が立っている。何台もの大型の車と古びたバス、装甲車が居住棟の後ろには置かれており、その近くにはミハルの作業室のある建物がそびえたっている。食堂の近くでは少女たちがたむろし、遊んでいる子もいれば近くの畑を耕している少女もいる。

 

「あれがジャガイモ畑、昨日使った片栗粉の出所~。人類が万一新たに土地を得たときにすぐ栽培できるよう、一応準備はずっとしてあるんだ~」

「いやぁ、片栗粉とパン粉があって助かったぜ。これらがなかったら唐揚げを作れなかった」

「ちなみに一般的に、パン粉を使うのは唐揚げじゃなくてチキンカツ、あと下味は醤油を使うことも多いって~」

「馬鹿な、我が家秘伝のレシピは異端だったというのか……!」

「あと余ったパン粉、どうしよう~」

「4トン、マジで砕き切ったもんなお前ら……」

 

 というかジャガイモ畑あるならポテチ作れるじゃねえか。絶対どこかで試してやろう。そんなことを思いながら壁の上を歩いていると、ふと奇妙なものが目に入る。

 

 

 

 ──────────────────―

 機動補助噴射機 lv1

 状態異常:[未完成:バランス制御機構使用不可]

 [オメガ流体未装填]

 [老朽化:大]

 [錆び:小]

 Lvアップが可能です。保有のアブラクサス素材を使用しますか? (YES/NO)

※通常より高コストな対価が必要かつ感知リスク有り

 ──────────────────―

 

 

「ん、なんだあれ?」

 

 俺は今まで正面のゲートからしか基地の壁を見ていなかったからあまり気づけなかったが、よく壁を見ると巨大なブロックが横向きについている。ブロックの側面には無数の配管と噴射口が取り付けられていた。

 

 ナナは何でもないことかの用に言う。

 

「ああそれ、歩く用~」

「基地が!?」

 

 基地が歩くわけないだろJK(死語)、などと俺は思う。だってここって自衛隊の基地を改造したみたいな話あったよな。だから割と変な機構とか無いイメージだったんだけど。中もSFっぽい設備そんなに無かったし。が、ナナの説明によるとそれは事実らしかった。

 

「初期のころは、汚染もまだ深刻じゃなかったからさ~。移動しながら戦う要塞、って考えはあるにはあったわけ。しかもオメガ流体というアイテムも出てきたから、技術的難点も解消されていったから」

「確かにSF小説とかでは移動都市とか出てきたな。ここは後付けで改造した感じなのか?」

「そうだね~、アブラクサスの中には地中を動ける奴もいるから、それ対策も兼ねて基地の地下に金属の骨組みを作って、いざという時に持ち上げられるようにって。まあ当然の如く資源や人員の不足で中止、今は基地を浮かす用の噴射機がくっついてるだけだね~。その噴射機を下に向けてONすれば、基地が凄い音と共に浮き上がって、その隙に足で移動、みたいな~」

「まあロマンあるし出来たらすごいんだろうけど、そりゃ無理だよなぁ」

「実際、超電磁砲持ちのアブラクサス相手に射線を切れたりするから、完成さえすればそれなりに使えはするんだよ、一応他の基地には今でも歩けるところがあったりするよ~」

「……なんかそう言われると、メインストーリーの本部でもそんな描写あった気がするなぁ」

「?」

 

 ナナは当然のようにスラスラ話すが、俺は情報を整理するので手一杯だったりする。この2週間、結構色んな人と交流してこの世界の情報を得たはずだ。さらに言えば、原作知識というのも存在する。しかし所詮は2週間の会話と、適当にポチポチ読んでいた画面上のデータにすぎない。

 

「俺の知らないことがまだまだ沢山あるなぁ……」

「そりゃね。藍田っちの知らない55年があるから。ほら、あそこのコンテナ行ったことある?」

「ないけど、あれでっかいな」

「実はあの中、アブラクサスの素材で一杯~、でも加工できる人がいないし他の基地への輸送も大変だから放置されてる~」

 

 そんなことを話していると、俺たちはついに目的地に着く。壁の外壁に突き出すようにその小屋は建てられていた。鉄骨と装甲板を溶接しただけの粗雑な作りではあったが、防弾ガラスと数多取り付けられた大きな望遠鏡はそこが最前線の眼であることを示している。

 

 ナナは扉を4回ノックした後少し時間を置いて、1回ノックする。すると扉ががらりと開いた。

 

 

 

 そこは、別世界だった。

 

「さあ映画の時間よ!」

「お、藍田くんだ、何みたい!?」

「今日のお勧めは「サメVS総理大臣VS墾田永年私財法」!」

 

 壁につるされた布にはプロジェクターで投影された映像が映っている。狭い小屋の中で、10名ほどの傷病兵(自称)たちは思い思いにリラックスしている。

 

 そう、この場所こそは。

 

「藍田っち、サボり小屋へようこそ~」

 

 ま、まあ。時には息抜きも大事だよね。











やっぱり落差っていうのが大事だと思うこの日頃。


ミッション
☑ ステータス画面の機能を理解しろ
☑ 濁刃を手に入れろ
☑ 自身のLvを70まで上げろ
□ ウララの好感度を10まで上げろ 
□ ミハルの好感度を10まで上げろ
□ ■■■■■の襲来に備えよ カウントダウン:1
☑ ウララとミハルを仲直りさせろ
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