引退したソシャゲに異世界転移したらヒロインが全員病んでた件   作:西沢東

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主人公が一人でずっと唸り続ける回です。因みにこの段階でステータス画面のことがウララやミハルにバレると特ア対本部に報告されてしまい、そのまま本部監禁BADENDに直行します。『統率者』が直に接していたキャラは本部所属が多いので、本部周辺はド級の地雷だらけです。

なおウララにバレるかミハルにバレるかで、報告する相手が変わるので藍田君の運命が変わります。四肢欠損か薬漬けかの2択なのですが。


ステータス画面とは

 ウララとミハルに助けられた翌日。俺は与えられた部屋の床に座り込んで唸っていた。

 

「一夜明けて冷静になったけど、俺が戦うしかないんだよなやっぱり。とはいっても『ノイルコード』の主人公は戦わないタイプだったけど」

 

 ソシャゲのRPGは二つの種類に分類される。すなわち主人公が戦えるか、戦えないかだ。これらがどうやって決まるかといえばもうそれは世界観とストーリーによる違い、としか言いようがない。

 

 例えば主人公がファンタジー世界の剣士なら、戦えないとストーリーとしておかしいし、逆にモンスターマスターを目指す物語でいきなり主人公が戦い始めたらそれは違和感が凄い。お前じゃなくてモンスターが戦うべきじゃないのか、という話になるわけだし。

 

 そして『ノイルコード』は後者の、主人公の『統率者』が戦わないタイプのゲームだった。いわゆる病弱設定で、濁刃の侵食や戦闘の負荷に耐えられない。そこでステータス画面の力を他者に使用し、戦ってもらう。

 

 だからこそ戦えないけど特殊能力を持つ主人公、戦えるけど特殊能力を持たないキャラクターの間で関係性を自然と生むことができた。『統率者』が体調を崩して倒れて、ヒロインが心配して、なんてお決まりのパターンもあったなぁと思い出す。

 

「まあ俺は健康体だから関係ないんだけど」

 

 そう、それはそれとして俺は『統率者』ではない。いや『統率者』を操っていた(?)人間である可能性は極めて高いのだが、本人などではない。『統率者』の立ち絵は絶妙な幸薄系細身のイケメンだったが、一方俺は超健康モブ顔中肉中背高校生である。

 

 となれば昨日の決意を実行するのであれば、やはりデバフが全くかかってない俺自身にステータス画面の能力を適用、強化して戦った方が500倍マシなのは間違いない。少なくとも状態異常まみれの二人よりは遥かにマシだ。

 

「というわけでステータス画面の開示っと。やっぱここら辺の数字は昨日出てなかったし、俺の意思に応じて表示するステータスを変えている感じか?」

 

 そう言いながら自身を対象に透明なステータス画面を表示させる。そこには昨日見た少女たちのステータスとは少し異なる表記のものが表示されていた。

 

 

 ──────────────────────────────

 藍田ショウ

 種族:人間(異世界人)

 Lv:3 (1→3)

 職業:無し

 年齢:18歳

 侵食度:0%

 保有スキル:無し(空3枠) 残スキルポイント12

 HP:27 ST(スタミナ):11

 STR:7(+1) DEF:8 AGI:14 DEX:21

 状態異常:[トレーニング(STR)] 筋肉痛発生、及びSTR上昇

 

 [各種Tipsを表示するにはここをタップ]

 ──────────────────────────────

 

「お、なんかTipsが出てきたぞ」

 

 昨日は見えていなかったTipsが見えている。これは俺が調べよう、と考えたから出現した可能性が高いなと思い、早速表示してみることにする。

 

 

 [Tips:ステータス:ノイルコードの一種。使用者の意思に伴い■■■■■■■■■を経由し各種物理現象を数値化、並びに変更を可能とする。ただし(以下は侵食度が不足しているため表示制限)]

 [Tips:Lv:戦闘経験を数値化。戦闘経験及び戦闘教本を本画面にて消費することで上昇。戦闘時の各種行動に補正、スキルポイント獲得]

 [Tips:侵食度:オメガ流体による侵食度。侵食度上昇によりパラメータ上昇、並びに(以下は侵食度が不足しているため表示制限)]

 [Tips:保有スキル:スキルにより各種行動に大幅補正、特殊能力獲得。3枠まで取得可能、取得にはスキルポイントが必要]

 [Tips:パラメータ:身体能力を数値化したもの。ただしパラメータが実際の身体能力を超えていた場合、■■■■■■■■■を経由し物理現象に補正をかける]

 

 

「むずいむずい文字数が多い、インターネットに馴れきった俺に3行以上の文字は読めないんだって!」

 

 AI要約をこれほどして欲しいと思ったことはない。とりあえず涙目になりながら、俺はゲームでの情報を元に雪崩の如く出てきた情報を整理していくこととする。

 

 一般的にソシャゲにはキャラクターを強くする要素が存在する。例えばLv。例えば装備。そういったものでキャラクターを成長させ、さらに強い敵を倒し、さらに強い装備や能力を手に入れる。その繰り返しが一般的だ。

 

『ノイルコード』のゲーム内では以下の要素が育成要素として用意されていた。

 ・キャラクターの基礎Lv

 ・濁刃のカスタマイズ

 ・トレーニング(ステータスの割り振り)

 ・追加スキル3枠

 

 まず、Lvは戦闘経験を示す。Tipsに書かれている通りLvアップに必要なのはクエストクリアの報酬EXP及び、戦闘教本と呼ばれるアイテムを消費することである。恐らく俺は昨日の逃走劇を乗り切ったからEXPを貰うことに成功したのだろう。LV1は一般高校生、Lv70はグリーンベレー、みたいなイメージである。知らんけど。因みにLvが上がってもステータスは上がらない。代わりにスキルポイントを貰えてそれでキャラクターを強化する、という仕組みである。

 

 なお、この戦闘教本という経験値アイテムは凄く余る。ログインでも貰えるしクエストクリアの報酬でも貰える。そのためガチャキャラはすぐLv最大にまで一瞬で上げることが一般的だったりする。

 

 ただ、リアルに考えると凄い不自然だよな。戦闘教本を与えた瞬間、戦闘経験のない少女が達人に変貌するんだから。そりゃLvアップなんて能力使えたら『統率者』様なんて呼ばれるわけである。この経験値アイテムが実在するかはさておくとして。

 

 次に濁刃のカスタマイズ……は濁刃を保有していないので後回しとする。先にトレーニングについて、だ。今の俺のパラメータには、STR:7(+1)と表示されている。この後ろの値こそがトレーニングの効果である。

 

「昨日のトレーニングの効果は+1……実感はないけど本当に上がってるのかなぁ」

 

 ゲームでは放置育成要素として、トレーニング室にキャラクターを預けると時間経過で特定のステータスが伸びるという機能があった。例えばジムに突っ込めばSTR強化、お絵描き教室でDEX強化……といった具合である。

 

 合計で100ポイントまでパラメータを割り振ることができる。キャラクター事に最適解が違うのでWIKIを見ながらそれぞれ個別に割り振るの、大分面倒だった記憶がありげんなりするがそれはさておきとして。今大事なのは俺が自分だけでできるステータス上げ手段だということだ。ペースは遅いが、堅実な手段のため大切にしていきたいところだ。

 

 そして最後にスキル。このゲームのややこしさを100倍までに引き上げる諸悪の根源である。スキル取得画面を開くと、無数の文字列が表示される。

 

 [戦闘感覚]:2SP 戦闘時感知能力UP(小)

 [属性耐性(火)]:1SP 火属性ダメージ20%DOWN

 [身体能力向上]:10SP 全パラメータUP(大)

 :

 :

 :

 

「出たなゴミ表記ブレと無数の選択肢……」

 

 ゲーム制作者のインタビュー曰く、カスタマイズ性を持たせることでキャラの役割を固定化しないように……みたいな話だったのだが、このスキル制は大層不評であった。

 

 まずは選択肢の無意味な多さ。高Lvになれば明らかに使わないスキルも選択肢に表示されるため、何百というスキルを調べ性能の高いものを選んでいかないといけない。

 

 次に最悪な表記ブレである。(小)や(大)という表現と20%という数字が並んでいるが、これらが何を意味するのか中々分からないのである。(小)と書いている癖に15%だったり35%と実数値が異なったり、20%と言っておきながら各スキルで計算式が微妙に異なったりするのである(例えばあるスキルは基本パラメータのみに効果が適用されるが、あるスキルでは侵食度による上昇分にも適用される、なんてことがある)。

 

 そのため説明文を読んだだけではなく、しっかり複数条件で計算しないとまず効果の内容が分からないのだ。プレイヤーのことを考えてほしい。

 

 と、愚痴はさておくとして。これらから3つを選び、キャラクターを強化することができるわけだ。高Lvともなればかなり強化の幅は広く、特化したり万能型にしたりと様々な選択肢を取ることができる。

 

「……というのでできる強化は全部のようだけど、纏めるだけでこんなに疲れるとは、昔のチュートリアルが少なくてシンプルなゲームに戻りたいよ……」

 

 俺はため息をつきながら、今後のことを考える。

 

「とりあえず経験値アイテムの戦闘教本があるかないかを調べるべきか。Lvさえ上がればスキルの選択肢も広がるし、無いなら地道にLv上げをする方針に転換することもできる」

 

 時計を見れば既に数時間が経過しており、ステータスについて調べるだけで昼食の時間になってしまっていた。昼飯を貰うついでに、ミハルに余った戦闘教本が無いか聞いてみることにしよう。ゲームでは倉庫に数千個くらい余ってたし、この基地にもいくつかはあるだろ。

 

 

 

 ◇◇◇◇◇◇◇◇

 

 

 

 

「戦闘教本? ああ、あの鍋敷きのことな。気になるなら持って行っていいぞ」

 

 ……経験値アイテムが余ってるのって、現実だとこんな感じになるんだな。

 




IF BADEND回、書きたい(書くとは言っていない)

因みに鍋敷きは比喩で、実際はやかんや熱した濁刃の部品などを置きます。というのも鍋の材料はこの基地にはほとんど存在しませんので……。

次回、濁刃とミハル回です。


ミッション
☑ ステータス画面の機能を理解しろ
□ 濁刃を手に入れろ
□ 自身のLvを70まで上げろ(NEW! 前提条件達成)
□ ウララの好感度を10まで上げろ
□ ミハルの好感度を10まで上げろ
□ ■■■■■の襲来に備えよ

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