探索者が求める平和な並行世界 作:探索者
情報HO《魔術》
作中世界に於いて知的生命体が行使する超自然的事象全般を指す。植物を介して
雑に言えば『強固な思い込みを魔力に叩き付けて現実にする』力を魔術と呼び、その力を行使する存在を
情報HO《呪文》
作中世界に於いて
①宇宙の本質を記すものであり、人類の認識を超えた恐るべき真実である。根本的には人間には相応しくないし、親切でも無い。
②基本的には呪文>魔術である。ただし、下準備等の手間を考慮する場合は魔術の方が手軽ではある。
③呪文は『探索者』であるHO1にしか使用出来ない。また、仮に呪文を作中世界の人間に教えようとした場合SANcが入った上でその呪文は欠陥呪文となる。
新マレウス(神格)の『祝福』に関してはまたいずれ。
情報HO《探索者》
作中世界の人類からすれば圧倒的人外。本作のHO1-逆月数馬のポテンシャルは比叡山PCレベルと言えば伝わる人は伝わる。火縄銃の弾とか和弓の矢を刀で受け流せる連中。
そうでなかったとしても平均的ステータスなら小口径の拳銃を1発喰らったくらいじゃ死なないし、親から貰った1%で戦車でも飛行機でも操縦出来る人種。1クリチャレンジは赦してはならない。
猟犬を振り切って目的の世界へと来たは良いけど、出口までは考えて無かったからか見渡す限りの森。一瞬間違えて
ただ、それならそれで土地勘のない場所に単身放り込まれてる状態だ。植物学*1的な観点で植生を調べてみるなら一応日本っぽいとは分かるけど、人里が近くにあるかどうか……。
取り敢えずなにかめぼしい物は無いか良く周囲を見渡してみると、一部の地面に掘り返した跡の様な物がある事に気が付いた。
土の馴染み具合からして掘り出してやや間が空いている。範囲的には素手で掘ったとは考えにくい、野生動物の仕業かも知れないが、埋め直されている事を考えると誰かが一度穴を埋め立てに訪れている。
普通なら気にしない。ただ、“普通”じゃ無い経験を散々してきた直感が何かあるとそう訴えてきた。
此処はレイ・ラインの上だ。呪文の行使を行うには打って付けの魔力が力強く通っている事が霊視*2して理解した。そして、そこに良く無い物がある事も。
俺はスラックスのポケットから手袋*3を取り出し、“倉庫"の中からスコップを掴むと地面を掘り返す。
神話呪文的知識*4から1mは掘らないとダメかと考えてたけど、少し掘り進めると、バラバラと大量の紙が出土する。大半はノートやルーズリーフ、それ以外に少しだけ学校のプリントの様な物の裏地にこっくりさんの様な物が書かれている。
パッと見ると上に鳥居、中央にあいうえお表、左右に謎の文字列、下に回答欄の様な枠が書かれている。
回答欄には酷く乱れた文字で何かしらの問いに対する答えが返って来ている様だ。ただ、途中から筆跡が二、三度変わっている事から、降霊中に意図的に内容を書き換えたのかも知れない。
他の紙も似た様な状態になっている事から、これがこのこっくりさん擬きの手順なのだろう。しかしそうなると、降霊術としては些かリスクが高い改変がされている。
まず、猟犬の存在を抜きにしても『未来』を改変するコストが明らかに足りない。
未来の改変はそう簡単に出来る物じゃ無い。時空間に関する一部の神と契約するか、イス人の様なそもそも時間旅行が自由に出来る存在に接触でもしない限り、呪文で運命を曲げるなんて事は無理だ。と言うかそんな回りくどい事するくらいなら理想に向けて超絶努力した方が楽だし確実だと言える。
仮にこの世界に神話呪文に相当するナニカがあるとして、俺の知らない方法で未来視が出来るのかもしれないが…………にしても霊視の結果としても呪術の域を出ない。やっぱり左右の良く分からない文字列に秘密があるパターンか。
「サンスクリット語……か? けど文法的には別の……いや、魔術的な改変っぽいなこれ、見た感じ招来……いや接触の呪文、イスならこんな事しなくていいし……ティンダロスの猟犬でも無差別に呼ばせる気か? いや、気配が無い。となると……概念に?」
「────ねぇキミちょっと良いかしら?」
調べ事に夢中になっていたからか、人の接近に気が付かなかった。反射的に身構えつつ、彼女の顔色を伺う。
容姿は整っている。ウルフカットでバストサイズは平均より上、身長は目測164~168cm、体躯や顔立ちから20代後半~30代前半、山中で背広を着て居る事から先ず“普通”じゃないと判断。
瞬間的に霊視を使用するが、
装甲持ちか……それにしても表情を見るにかなり俺を警戒してる。山中に居るからとは言え、別に怪しい格好をしてる訳じゃ────。
①弾痕、刀傷が残る制服。なんなら少なくない血痕付き。
②ティンダロスの猟犬とやり合った時にこびり付いた異臭*5。
③山歩きには不似合いな格好+土汚れ等が見られない。
④呪文の触媒らしき物、しかも土塗れな物をしげしげと調べている。
いやバチクソ不審者だったわ。
やべーよ。下手したら《銀の鍵》でこの世界に来た瞬間も見られてるまであるぞ??? 記憶を曇らせる*6か? いや、あの装甲がその手の呪文も弾く可能を考慮するなら得策じゃない。
生命の察知*7を使って周りを索敵する事も一瞬考えたが、相手が神話呪文を察知するリスクを負うだけだろう。素直に言いくるめた方が良さそうだ。
「えっと……なんの、用ですかね?」
「私は山城県警捜査一課の冴島霞。この場所にはある事件の捜査に来ていて、証拠品らしき物を持っている貴方を見かけたから声を掛けさせて貰ったの」
「…………警察手帳を拝見しても?」
「警戒心が強いのね、はいどうぞ」
山城県、聞いた事が無い。日本語で会話が成立しているから大きく世界がズレてる訳じゃ無さそうで、先ずはその点は安心した。
警察手帳の提示も問題無く通じた。内容も旧字体が多少見られるが、日本語で問題無い。自分の常識が大きく逸脱していないと一旦は仮定して……どうするかな。
捜査一課と言う事は、この案件には死傷者が少なからず出ている。そして、態々それを捜査一課が調べていると言う事は『民間に被害が出ていて』『警察は犯人が存在する物』として捜査をしていると言う事だ。
うへぇ……この状況で見つかった俺、容疑者じゃん。
情報HO《日本》
作中世界では日本と言う国名は共通の物ではあるが、県名が多々変わっている他、歴史的な背景が若干異なる。概ね誤差範囲だが、第二次世界大戦が降伏では無く停戦となっているなど、大きな違いもない訳では無い。財閥解体が為されていない事もあり景気は現代よりも上、権威の影響力も同じくだが。