ヒナタの姉は死水竜!   作:ルクスティ

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第三話

私はスキルで自分をナビゲートしながら、ミリムちゃんを空から探していた

 

…いた!

 

ディーネが上空から精霊竜(エレメンタルドラゴン)と楽しげに遊んでいるミリムを見つけた。父と母の死を知らぬ、幸せな表情で

 

「避けて!ミリムちゃん!」

 

ジャヒルが魔法をミリムに向かって魔法を放つ。ディーネは咄嗟に叫んだ。同時に庇おうと動いたが、間に合わない

 

嫌!もう失いたくない!

 

ジャヒルの魔法がミリムを貫く…かに思われたが、遊んでいた精霊竜(エレメンタルドラゴン)がミリムを庇い、貫かれる

 

「え…?あ…?」

 

庇われたミリムは呆然とする。初めて見る身近な生き物の死、混乱するな、冷静でいろ、という方がおかしなことだろう

 

「ハハハハ!ワシに従え!竜の姫!」

 

精霊竜(エレメンタルドラゴン)を殺して調子に乗ったのか、魔導大帝が傲慢なことを口にする

 

「お前が…!こいつを!オマエェェェェ!!!」

 

ミリムが正気を失う。同時に割と遠くで見つけたため到着に時間のかかったディーネが到着した

 

わお、ガッツリ暴走してる…止められるかな…お兄様の力の半分…その上理性がない。なかなか厳しそうだけど、ギィ達が来るまでは持たせられるかな。

 

「やめなさい!ミリ…ムっ!?」

 

ミリムを止めようとするディーネだが、突如横からの攻撃を受ける

 

何事か、そう思ったディーネが攻撃が来た方向を見ればそこには異世界人と思しき男がいた。

 

「ねぇ、攻撃してきたのはあなただよね。なんでか、教えてくれない?」

 

もうミリムとジャヒルの戦闘が始まってるから攻撃をやめてくれるとありがたいんだけど…

 

目にも留まらぬスピードで動いたあと、ディーネが襲撃者に話しかける

 

「…!?貴様、竜種か?」

 

「質問に質問で答えないで!敵対するなら殺す!」

 

「そうか、ふっ…幸運だな、俺は。今宵、二体もの竜種を殺すのだから!」

 

そう言い、襲撃者…軍服のようなものを着ている男…は剣を取り出し、構える。──プツン。何かが切れる音がした。同時に体の制御が利かなくなる。いつぶりだろうか、ここまでの怒りを覚えたのは。そして私はその衝動に身を任せる。横で暴れ、すでに国の四分の一を滅ぼしたミリムのように、暴れ出す。…確かな殺意と目的を持って。

 

─────

 

どれだけ時間が経ったのだろう。ここは何処だろう?何かに包まれているような…?

 

「お姉様?」

 

ディーネが目覚める。はじめに目に入ったのは2番目の姉であるヴェルグリンド。ディーネは彼女に抱きかかえられるような体勢で目覚めたのだ。

 

「あら、ディーネ、おはよう」

 

何が…?確か私は…

 

「ディーネ、暴走してたけど何があったの?」

 

そこでディーネは暴走する寸前の記憶と暴走途中の記憶の一部を思い出した。

 

「やっば!ミリムは!?」

 

ヴェルグリンドに優しく抱かれていたディーネは慌てて暴走したミリムについて聞く

 

「ん〜、ミリムならあそこよ。今ギィとラミリスがなんとかしてるわ。」

 

「あちゃ〜…やっちゃったか…」

 

やだなー…どうしようか…私は…私が止めなきゃいけなかったんだけど…

 

「どうしようか…って顔してるわね。何もしなくていいのよ。ただ、生きてさえいれば。それで」

 

優しく、諭すようにヴェルグリンドが言う。それは、すべてを背負い込み、溜め込んできた彼女にとって、最愛の妹が父を殺し、弟は蒸発し、母は病み、最早叶うことはないと思っていた彼女の、ただ一つの夢。"愛されたい"、"見てほしい"そんな当たり前の望みを叶えること。

 

「うっ…ああ…おねぇ…さまぁ…」

 

必死に…無駄な抵抗であろうと歯を食いしばり、泣くまいとする彼女の下にもう一人の姉であるヴェルザードが来て、ディーネの背中側から抱きしめる。普段とは違う、大人の女性の姿。二人の、その豊満な、ずっと求めた"母性"に顔を埋める形になったディーネの"こころ"は堤防もいとも簡単に決壊した。

 

「わた、し、は、、いい、の?こんな、わたし、が、しあわせに、なっても、いい、のぉ…?」

 

「いいのよ。誰もダメなんて言わない。言わせない。例えあなたがどんな悪いことをしても私たちは、」

 

「私たちだけは、何があろうと、」

 

「「愛してあげる。だから、好きなだけ甘えて、泣きなさい。」」

 

二人の言葉は、彼女の心核に"こころ"に届いた。十数年、大きくなり続けた歪、ヒビの入った心を二人の下心のない、純粋な愛情が包み込む。

 

「あっぁぁぁ…!」

 

言葉にならない言葉、嗚咽が泣き声に変化し、ディーネはひたすらに泣く。第三者視点で見ると、不毛の大地を作り出すような大きな戦いを横目に美女が幼女を抱きしめる…と言うシュールな状況なのだが、気にせず抱きしめ続ける

 

「うぅ…お姉さま…息が…おっぱいに溺れる…!」

 

顔の全面を二人の胸に埋めているディーネが二人の肩を叩きながら助けを求める。

 

「あら、ごめんなさい。ディーネ」

 

「そうね、そろそろギィ達の戦いも終わるでしょうし、帰りましょうか」

 

二人は抱きつくのをやめ、ヴェルグリンドとヴェルザードがディーネの腕を自らの肩にかけ、ディーネの体を支える。暴走時に大量の魔力を消費したため、落ちないようにするためだ

 

「うん。帰ろー!」

 

子どものような屈託のない笑顔でディーネが笑い、3人は仲良く白氷宮に帰る。

 

あぁ、幸せだな!転生してよかった!

 

その後、私は旅に出て、たくさんの人と交流した。温暖な大陸の南の方で魔導王朝サリオンの王様の王妃様…サリオンさんとシルビアさん、2人とは前から交流があったけど、ミリムの暴走とかの件で最後にはサリオンさんは死んじゃったみたい。その後は、カオスドラゴンが暴れてたあたりにあったジャヒルの国のあたりにいたカザリームさん達とも少しの間一緒にいた。カザリームさんの隣にいた関西弁のピエロさん、どこかサリオンさんと似てる気がしたけど、気の所為だよね!

 

そうして、すっごく長い時間が経った

[newpage]

ん?あれは…

 

白氷宮でベットの上で寝ていたディーネが突然立ち上がり、南の方を見る。それを見ていたヴェルザードが不思議そうに

 

「ディーネ?どうしたの?」

 

「えっとねぇ、私が転生者って話はしたじゃん、転生前は妹がいたんだけど、その妹がこの世界に転移してきたみたいなんだよね、だから会いに行ってくる!」

 

「あら、そう。いってらっしゃい、でも、服は着ていきなさい」

 

少しさみしそうな様子のヴェルザード、うきうきわくわくな様子のディーネは今、生まれたままの姿であった。

 

「あっ!そうだった。スキルで服作って…っと、お姉様!行ってきます!」

 

「いってらっしゃい」

 

ディーネが自室のバルコニーから飛び立ち、瞬く間に見えなくなる。

 

「私もついていきたかったけれど、前世のあなたと私は関係ないものね。でも、ディーネの妹ってことは、私の妹にもなるのかしらね?」

 

可笑しそうに笑みをこぼすヴェルザード。彼女は母のような顔でディーネが飛び去った方向を見つめていた。

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