私には密かに思いを寄せてる先輩が居る、小さな頃から近所で遊んでくれた兄のような存在だ
「お~い、みこちすいせいお前らそろそろ期末試験だけど勉強大丈夫か~?」
「今回は大丈夫にぇ!!」
「お前そう言って毎回すいせいと一緒に泣きついてくるじゃねぇかよ……」
「ねぇ、兄貴ここなんだけどさ」
「ん?ここか?ここはな▲を○すれば□になるだろ?」
「あっそうか!こうすれば」
「そうそうそんで次の問題もこうすれば解けるだろ?」
すいちゃんがおにぃに話しかけてるとモヤモヤしてくる
「おにぃ!これわがんない!!」
「それ基礎中の基礎じゃねえか……」
そう言って呆れた顔をしながらも分かりやすく教えてくれる
期末試験が終わると
「みこち、すいせい、試験終わったろ?点数予測してやるから後で俺んち来い」
そう言っておにぃの家に行くと
「とりあえず試験お疲れさん、採点終わるまでこれでも食っとけ」
そう言ってプリンを出てきた、恒例となった試験後の点数予測におにぃの自家製プリン、試験は嫌だけどこのプリンがあるなら頑張って良かったなって思える
季節は巡り春の足音が聞こえてくると
「みこち、すいせい、合格おめでとう、これで俺の後輩だな」
そう言って頭をワシワシしてくる
「ちょ、兄貴恥ずかしい!!」
すいちゃんはそういいながらも満更でないような顔をしている
おにぃと一緒の大学に進学してみると思った以上にやる事が少なく1年がもうすぐ経とうとしていた、おにぃやすいちゃんといる時間が少なくなり一人でいる時間が増えてしまった、そうなると頭に浮かぶのはおにぃの事だった、そんな事を考えてるとおにぃから連絡が来た
「時間ある時ちょっと家に来てくれ」
そんなメッセージが来た次の日早速家に行ってみると
「おっ、早速来たなみこち、歌うのは好きか?」
そう聞いてきたおにぃに
「好きだけどなに?」
そう返すと
「今さちょっと歌を作るのにハマっててさ何曲か作ったんだけどさもし良かったら歌ってくれないか?」
そう言われて楽譜とメロディの入ったCDを渡された
「さくらかぜ??」
「そう、すいせいにも何曲か渡してるんだけどさ、この曲はみこちに歌って欲しいなって」
そう言われて思わずにやけてしまう
「おにぃ!歌うのはいいけどその代わり何処か連れていくにぇ!!」
「ん?それぐらいならいいけど?」
そう返事を貰いウキウキで自宅へ帰ると来週近くの神社である桜まつりに一緒に行くことを約束するとメロディを聴きながら歌詞を口ずさんだ
約束の日になり集合場所に行くとおにぃは先に待っていて
「遅いぞ、みこち」
そう言われ咄嗟に
「約束の時間には遅れてないにぇ!!」
そう返すと
「こういう場合はな先に着いてて「待ってないよ」って返すもんなんだぞ」
と言われたが
「それっておにぃが言う方では?」
と返すと
「まぁそれもそうか」
と言って神社へ続く石段を登っていく
石段を登りきった先には満開の桜が出迎えてくれた
「キレイだにぇ……」
「あぁ、そうだな」
そう言って桜を見ているとあっという間に時間は過ぎ
「そろそろ帰るか」
そうおにぃが言うと
「…にぇ……」
「ん?」
「まだ帰りたくないにぇ……」
「また連れてきてやるから今日は帰ろうな?」
そう言われおにぃの後をついていく、家の前に着いた時
「じゃあなみこちまた今度」
そうおにぃが言った時
「おにぃ、聞いて欲しいことがあるにぇ……」
そう咄嗟に口から出てしまった
「みこち、なんだ?」
「みこは、みこはおにぃの事が好き、だから彼女にしてくれませんか?」
言ってしまった、たった1度のデートとも言えない、でもずっと胸の中に秘めていたこの思いを隠しておけなかった
「……そうか」
おにぃはそう言うと
「みこち、俺はなずっとみこちがそうだったんじゃないかと思ってた、けどお前から言ってくるまでは隠しておこうと思ってた、けどお前から言ってくるなら、俺は受け入れたい」
そう言ってくれた
「おにぃ……」
「だけど今日はもう遅いからまた今度な?」
そう言っておにぃは逃げるように家に帰って行った
その日から私とおにぃのお付き合いが始まり、おにぃが大学を卒業する時が来た。
どうやらおにぃは就職先の研修でしばらく帰って来れないらしい
「みこ、帰ってきたら桜まつりに行こうな」
そう言って空港で見送ってはや1ヶ月
今日やっとおにぃが帰ってくるのを空港で待っていた
「みこち~楽しみだね~」
空港ですいちゃんとおにぃが乗ってる飛行機を待っていると空港のテレビから
「□○航空▽▲便が○□上空で消息を断ちました」
そんな音声が流れてきて
「嘘だ……」
しかし当初聞いていた到着時刻をすぎてもおにぃが乗った飛行機は空港に到着しなかった
それから数日経っておにぃが乗った飛行機は山に墜落した姿で発見された
「みこち……そろそろ時間だよ、行かないと」
今日はおにぃの葬式だった、あれからずっと部屋に引きこもりおにぃと過ごした日々を振り返り現実から目を逸らしていた
「みこち!!」
そうしてひたすらかけられた声を無視していたらすいちゃんがドアを蹴破ってきた
「あんた兄貴の彼女なんでしょ!!だったら最後まで見送りなさいよ!!」
そう部屋に飛び込んできたすいちゃんに胸ぐらを掴まれ言われた
そうして着いた葬式会場、おにぃの両親に会釈すると
「あの子のね荷物から貴方に宛てた手紙が出てきたの」
そう言って数枚の便箋を渡された
葬式が終わり家に帰ってから便箋を読んでみると
「みこちへ、この手紙を読んでるってことは多分助かってないってことなんだろう」
「ごめんなみこち、一緒に桜まつりに行くって約束守れなくて」
「出来ることなら俺の事は忘れて前を向いて生きて欲しい、みこの幸せを祈ってる」
「もし俺の事を忘れられないと言うならあの神社の桜の下で待っててくれ、生まれ変わって必ず行くから」
そこまで読んで涙か溢れてきた
残りの便箋には走り書きで歌詞が書いてあった
それから毎日学校の行き帰りに桜の木に寄るのが日課になってたそんなある日の学校帰りにいつもの様に桜の木に寄ると木の下に1匹の猫が寝ていた
「みこちどうした?」
「いや、なんでもないにぇ」
そんなやり取りをしていると白い猫がこちらに寄ってきた
「みこち?なんかみこちに懐いてない?」
「珍しいにぇ」
その時ふとおにぃからの手紙の
「桜の下で待っててくれ必ず会いに行くから」
その言葉を思い出した
「もしかしておにぃ?」
そう猫に声をかけると
「にゃあ」
と返事をした
「おにぃ、お帰りにぇ」
そう言うとおにぃは私の肩に飛び乗るとそのまま寝てしまった
「みこちどうするの?」
そうすいちゃんに聞かれると
「連れて帰るにぇ」
「そっか」
そういいながら神社の石段を降りていくと桜が散り始め桜吹雪のようになった
あの歌を口ずさみながら家に向かっていると帰ってきたおにぃとまた過ごせるひびを思うと心が弾んだ