第一話 新たな1年生 ダブルセブン編
新しい春が訪れた。司波達也は、国立魔法大学付属第一高校の入学式の新入生の誘導を行っていた。そこで七草真由美と出会い、少し昔話に花を咲かせていた。しかし、そのとき、「コラーーーーーー!!」と、怒りを乗せた甲高い声が響いた。
「お姉ちゃんから離れろ!!ナンパ男!!!」
「誤解だ。俺はナンパ男じゃない」
達也は声の主に言い返した。しかし、その声の主は小柄で華奢な少女であり、その小柄な女性は達也に跳び膝蹴りをくらわそうとしていた。
「香澄ちゃん!」
「やれやれ」
達也は、新入生の跳び膝蹴りを手で受け止め、香澄の体は空中で止まった。
「え?うわぁ!?」
そのまま香澄が地面に落っこちようとしていた時、
「香澄ちゃん、大丈夫ですか!?」
「泉美、助かったよ」
泉美と呼ばれた少女は、魔法によって香澄の地面への落下速度を極限まで緩めて、香澄を怪我なく地面に降ろした。少女2人は並んでみると瓜二つである。
この少女たちが七草真由美の妹にして、「七草の双子」と呼ばれている姉妹であることは達也には容易に理解できた。
「何をしているの!!」
真由美の声が学校に響く。
「まったく、入学早々から魔法の無断使用かつ上級生に膝蹴りとはな」
達也は朝から問題に巻き込まれていた。
場面は変わって、司波達也の妹である司波深雪も新入生の誘導を行なっていた。すると、桜の木の下で、ベンチで横になりながらアイマスクをしている男子生徒を見つけた。
(こんな所で寝ている?新入生かしら?)
深雪は、そろそろ入学式が始まる頃だったのでその男子生徒に近づいて声をかけた。
「起きてください。後少しで入学式が始まりますよ」
その男子生徒は欠伸をしながら体を起こした。
「あれ、もうそんな時間ですか?どなたか知りませんが、起こしてくれてありがとうごさいます」
その男子生徒はアイマスクをとって辺りを見渡し、起こしてくれた深雪と目があった。
「おや、あなたは司波深雪先輩ではありませんか?」
この男子生徒は自分のことを知っているようだった。
「私のこと、ご存知なんですか?」
深雪はそう問い返した。
「知ってるも何も、あなたは去年の九校戦のアイス・ピラーズ・ブレイクで優勝されていたじゃないですか。僕、あの時、観客席で見ていたんですよ。素晴らしい魔法だなと惚れ惚れしちゃいましたよ」
「ありがとうございます。ですが、そろそろ入学式が始まるので講堂に入った方がよろしいですよ」
深雪は、男子生徒に感謝を伝え、早く講堂に入るように誘導していく。
「そうですね。早く入らないと座りたい席に座れないかもしれませんからね」
そして、男子生徒はベンチから立ち上がり、そのまま講堂に向かって歩き出し、深雪に、
「また会いましょう」
そう言い、横を通り過ぎた。
(また会いましょう?)
深雪は疑問に思ったが、あまり深く考えず、達也との合流しようと歩き出した。
(あれが司波深雪か、近くで見ると、すごい美人だな。そして、素晴らしい魔法の才能を兼ね備えている。あんな才能を持つ人間が十師族でないなんてあり得ない。なんて、実は知ってるんだけどね。あーあ、兄の方も早く会いたいなぁ)
講堂の中は新入生でいっぱいになっていた。
(さて、どこが空いてるかな)
空いている席を探していると自然と前の方を歩いて行くことになった。
(わずかに、一科生と二科生の差別は残っているか)
周りを見渡してそう思っていると、長いソファがあったので、そのソファに座ることにした。
(さて、総代はどんな奴かなぁ)
と、頭の中で考えていたとき、
「あのー、すみません」
そんな声が横から聞こえてきた。すぐにその声の主の方に顔を向けると、
そこには顔が瓜二つな少女達がいた。
「ん?どうしたの?」
声を掛けてきた理由を尋ねる。
「もしよろしければ、このソファに私達も座ってよろしいでしょうか?」
そう声を掛けてきた少女は、お淑やかでゆったりとした雰囲気を纏っている。
「ねぇ、一人で座ってないで横に詰めてくれない?」
もう一人の少女も声を掛ける。この少女は、体育会系というか、活発な女の子の印象を受ける。
「あぁ、いいよ。この長いソファで一人で座るのはなんか寂しくて」
そう言うと、彼はソファの端に座り直した。このソファは最低でも四人座ることができる。なので、少女達は、彼の横に一人分の座るスペースを空けて座ることになった。
「君たち顔がそっくりだね。もしかして双子?」
彼がそう尋ねると、
「ええ、その通りです。」
「もしかして、僕たちのこと知らないの?」
双子達が自分にそう言い返す。
「君たちは有名人なのかい?」
「まぁ、名を知られている方ではあります。」
お淑やかな少女は、そう答える。
「そう言えば、名前を聞いていなかったね。教えてくれるかな」
「わたしの名前は、七草泉美。そして、横に座っているのが七草香澄です。」
「どうも」
姉妹は自己紹介をする。
「ねぇ、あんたの名前はなん言うの?」
香澄がそう自分に問いかけてくる。
「僕の名前は、イザヤ。折紙イザヤだ。よろしく泉美ちゃん、香澄ちゃん」
「いきなり下の名前で呼ぶの、しかもちゃん付けだし」
「だめだったかい?僕の名前もイザヤと呼んで構わないよ」
イザヤは、彼女達にそう告げる。
(ふーん、この学校も少しは楽しめるかな?今まで同じ場所に長くいた事がないからね)
イザヤは、頭の中でこれからの学校生活が自分にとって面白いから否か、そう考える。
「名前が折紙ってなんかかわいいですね」
泉美がそうイザヤに言う。
「そうだね」
(やっぱり、適当に名前を考えたのは間違いだったかな)
イザヤは、軽く後悔をしていた。講堂の中でアナウンスが流れ始める。まもなく新入生の入学式が始まろうとしていた。
(あーあ、なんか面白い事起きないかなぁ)
そう、心の中で吐露する。この男、折紙イザヤは、新しいおもちゃを探している。自分を楽しませてくれる人間を探している。
(香澄ちゃんは難しそうだけど、泉美ちゃんは僕を楽しませてくれるかもしれないな)
イザヤは、この姉妹が新しいおもちゃになり得るかどうか考えている。
(この世は遊び、ゲーム、ただそれだけだ)
これは、物語の始まりにもなっていない。
下手くそでごめんね