魔法科高校の後輩   作:パクチーダンス

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少ない


第十三話 イザヤ「これが決戦兵器 雫ロボだ!」 ほのか「なん、、だと、、」

 「ん、、ここは?、、」

雫はベットから体を起こし、辺りを見渡す。ここはどうやら自分の部屋らしい。時計の針を見るとなんと午後五時を指していた。

「もう、こんな時間、私、今までずっと眠っていたんだ」

まだ頭が回らないようだ。独り言を呟いて、雫はベットから出て、部屋から廊下に出る。

(……イザヤ)

雫はイザヤを探しにリビングへ向かう。そこには、イザヤの荷物が置かれていただけで、イザヤの姿は見えなかった。

(どこいったんだろう?)

そんな事を思っていると、玄関のドアが開く音がした。雫は玄関に駆け寄ると、

「あ、先輩、目が覚めたんですね」

イザヤと北山家の使用人である黒沢知恵理がいた。

「雫お嬢さま、ヘリのご用意が出来ました」

どうやら迎えのヘリが着いたようだ。

「さあ、先輩帰りの支度をしましょうか」

「そう言ってイザヤはリビングの方に歩いて行った。

雫も後を追いかけようとすると、

「雫お嬢さま」

黒沢知恵理が雫を呼び止めた。

「何?」

「‥何もありませんでしたよね?お母様も心配されていました」

「大丈夫、何もされていないよ」

そう言うと、黒沢知恵理はホッとした。

(そんなに心配しなくても良いのに)

そう思いながら、雫は帰り支度を始めるのだった。

 

 

 

 北山家に着いたのが午後九時の事であった。あたりはすっかり真っ暗である。二人はヘリから降りると、北山潮と北山紅音が待っていた。

「おかえり雫、ずっとヘリに乗ってて疲れただろう」

「おかえりなさい」

「ただいま、お父さん、お母さん」

雫は両親に言葉を返す。その後イザヤも雫の両親に対して、

「こんな夜までかかってしまい、申し訳ありません」

イザヤがそう謝罪すると、

「いや、問題ないよ。娘も元気に帰ってきたしね」

「………」

北山潮は気にするなと言った感じだが、北山紅音の方はイザヤの方を見てジッと見つめている。

「……明日も学校なので、そろそろ僕も帰らないと行けませんから、ここでお暇しますね」

「イザヤ、また学校でね」

そう言って雫は北山潮と共に家の中に入って行った。しかし、北山紅音の方は依然動かないままである。

「少しよろしいかしら?」

イザヤに声をかける。

「なんでしょうか?」

「……あなたは、雫のことがお好きなのかしら?」

イザヤに疑問をぶつけるが、

「潮さんにも言われましたが、ただの先輩後輩です」

イザヤはキッパリと答える。

「ただの先輩後輩の関係で、別荘に泊まり込みなんて、あるのかしら」

母親として娘が心配なのだろうとイザヤは考える。しかし、言えないことは言えないのだ。

「……何かあるとお思いなら、娘さんに直接聞いたらどうですか?、まぁ、聞けることは何もないと思いますが」

その言葉に北山紅音はムッとする。

「潮さんから聞きました。今回の別荘での起きたことは何も話さないと」

「ええ、そうです」

「教えてもらえないのかしら?」

「無理です」

「……今後、貴方と一緒にいるのは控えろと、雫に言ってもですか?」

「それは雫先輩の為にはならないので、言わない方がよろしいと思いますよ」

北山紅音は眉を顰めて、イザヤは軽く睨む。

「それでは、これにて失礼します」

そしてイザヤは北山紅音に一度礼をした後、使用人に連れられて玄関まで案内され、そのままイザヤは帰路についた。

 

 

 

 次の日、イザヤは朝から授業を受けるのがめんどくさいので、昼から登校することにした。明日はいよいよ定期試験がある。生徒たちは、良い成績を取ろうと奮闘しているようだが、イザヤにとっては遊びと変わらない。今回のテストは、宣言通り全教科90点を取るつもりである。テストは二日間で行われる為、雫との特訓はテストが終わった次の日になる。特訓の間が空くのは避けたいが、こればかりは仕方がない。

(十一時半か、このまま食堂でご飯にするかな)

食堂に入ると、まだ生徒は一人もいない。それもそのはず、まだ授業の途中なのだから。食堂のおばさんは、もう生徒が来たことに驚いていた。イザヤはそんなことも露知らず、食券を買う。定食を受け取った後、大きめのテーブルを陣取って座る。黙々と昼食を食べていると、授業が終わるベルが鳴る。しばらくすると、生徒が次々に食堂へと入ってくる。イザヤはそれをボーッと眺めながら、食べ物を口に運ぶ。

「イザヤ君」

横から自分を呼ぶ声が聞こえる。顔を向けると、

「やあ、泉美ちゃん」

泉美がトレーを持ちながら、こちらを見ていた。

「また、午前の授業サボりましたね。明日が定期試験だというのに」

「明日が定期試験だったら関係ないよ。僕がサボりたいと思ったからサボるんだよ」

「またそんな子供みたいな事を言う、、」

泉美は、ハァとため息をついて、イザヤと対面に座る。そして一呼吸おいて、

「……北山先輩と何にもありませんでしたよね?」

「会って早々、話をするのがそれでいいのかい?」

イザヤは泉美の言葉にフッと笑う。

「………」

ジッとこちらを見つめる泉美に対して、

「君が頭の中で妄想している事は何も無かったよ」

「‥…私の頭の中が分かるんですか?」

「頭ピンクちゃんだからね」

「‥…その名前やめてください」

泉美は、まったくもう、と言った感じで昼食を食べ始める。イザヤもそんな泉美に対してニコッと笑い、食べ物を口に運ぶ。その後、ほのかや雫、深雪が来て、午後の授業が始まる時間まで談笑していた。

 

 

 

 定期試験が終わった次の日、さて、だんだん九校戦の選手登録の期日が近づき、雫の特訓もそろそろ終わりが近づいてくる。

「さて先輩、手始めに、軽く魔法の打ち合いをしましょうか」

「うん」

演習室ではイザヤと雫の魔法の応酬が繰り広げられていた。そんな中、雫はあることに気がつく。

(まだ息があがらない。もう五分は経ってるのに)

雫は自分の変化に驚いていた。イザヤは自分の変化に気がついた雫に対して、魔法の連射速度を増していく。雫は干渉領域を拡大し、全てを無力化する。

「準備体操はこれくらいで良いでしょう」

イザヤが魔法を中断する。

「私、まだやれるよ」

まだまだ余裕があると雫は言う。

「やれやれ、ならこれならどうですか?」

そう言うとイザヤは、雫に全方位から魔法の雨を浴びせる。雫は『情報強化』をしながら、魔法を分散させていく。

「これで終いにしましょう」

イザヤは雫に手をかざすと、雫を中心とした半径二メートルの空気中の密度の濃度を上げる。これは、七草の双子の『窒息乱流』である。いや、それよりも洗練された魔法であった。

(!?)

雫は、自分の領域干渉を押し切られ、魔法を発動された事を瞬時に理解できた。雫の感覚は、以前と比べて研ぎ澄まされていた。

(私の周りの空気が違う)

そう思ったのはただの勘である。何をされたのか分からないが、良くないことが自分の身に降りかかると、思った瞬間、雫は魔法で突風を発生させて、自分の周りの空気を吹き飛ばした。イザヤはその行動に目を丸くした。

(想定以上だ!!貴方の力は司波深雪に届く!!)

イザヤは今までにないくらいに興奮していた。

「ハハハハハハ」

これまでにないくらいの笑い声に雫は困惑していた。

「大丈夫?」

雫は心配するが、

「大丈夫じゃないですよ先輩!!、こんなに気持ちが昂ったのは久しぶりだ!!さあ、先輩!もっと見せてくださいよ!!」

そうして二人の魔法の撃ち合いは、雫が体力の限界で力尽きるまで続いたのだった。

 

 

 

 雫は目を覚ますと、自分の寝室にいた。窓の外を見ると暗くなっている。時計を見ると、午後七時になっていた。

(あれ、私どうしたんだっけ)

雫は数時間前の記憶を思い出す。

(イザヤと魔法の撃ち合いをしてて、イザヤが高笑いしてて、イザヤが何かわからない魔法を発動して)

すると、雫の部屋の扉がガチャッと開く。

「雫!起きたんだね良かった」

北山潮が安心した顔をして雫の側に近づいてきた。

「お父さん、私どうしたの?」

「気絶した雫をイザヤ君が家まで運んできてくれたんだ」

「……そうなんだ」

雫はポツリと呟く。頭のどこかで、意識がしっかりとしない中、誰かに背負われて運ばれてきた記憶がある。それがイザヤだろう。

「…雫、もしかして、危険な事をしてはいないかい?私は、雫が背負われて運ばれてきたと知り、とても心配したんだよ。お母さんもイザヤ君に相当詰め寄っていたからね」

「‥…イザヤはなんで言ってたの?」

「……定期試験の疲れが出ただけだと言ってたよ」

「嘘が下手だね」

そう言って雫は笑う。そんな雫を見て北山潮は、

「‥…雫、本当に何も言えないのかい?父親としては、娘に何かあったらと思うと、とても不安で夜も眠れない」

父親の不安な顔を見て、雫は心が痛む。しかし、

「………お父さんごめんなさい。それでも言ってはいけない約束なの。心配してくれているのはわかってる。けどね、今とても楽しいんだ。それに、今辞めたら一生後悔する。私を変える一生に一度のチャンスなの」

「……雫………分かった。お前がそこまで言うんだ。もう私は何も聞かないよ。お母さんも私が説得しよう」

「ありがとう、お父さん」

 

 

 

 次の日、深雪、雫、ほのかの三人は、食堂で泉美とイザヤが二人で使うには大きめなテーブルで食事をしているのを見かけた。

「二人とも、一緒に食べてもいいかしら?」

「深雪先輩!!どうぞ泉美の隣に座ってください!」

「ええ、構いませんよ」

そうして三人は座って昼食を食べようとした矢先、

「雫先輩」

イザヤが雫に声をかける。

「ん?」

「昨日はすいませんでした」

イザヤが雫に対した深く頭を下げる。

「いいよ、あの後、お母さんに質問攻めされたんでしょ?」

「ええ、まあ、全部は聞いてられなかったんで途中で帰りましたけどね」

イザヤは頭を上げてそう答える。

「だからお母さんあんなに怒ってたのか」

雫が北山潮と話し終えた直後、北山紅音が勢いよく入ってきて、「あんな男と一緒にいるのはやめなさい!!」とすごい剣幕で言われたのである。

「途中で話を切って帰るなんて、すごいねイザヤ君」

ほのかは、あの人に対してすごい度胸だなと思っていると、

「いいえ、ただの馬鹿です」

泉美はそう指摘する。

「まあ、どう思われていようが僕にはどうでも良い事です。肝心なのは雫先輩の事だけなので」

イザヤはそう言うと、

「イザヤ君、あの土日でどんな特訓をしたの?」

深雪も箸を止めて皆の会話に混ざる。

「それは秘密」

雫がイザヤの代わりに答える。

「誰にも言っちゃいけないってイザヤとの約束なの」

「……そうなの」

雫の言葉に深雪はそれ以上聞く事はなく、箸を進めようとした時、

「深雪先輩」

イザヤが深雪に話しかける。

「何かしらイザヤ君?」

「ハッキリ言って、僕は雫先輩を舐めてました」

「え!?」

そう声を上げたのは他の誰でもない、雫である。

「ですがね、雫先輩は僕の予想を遥か上をいく結果を残してくれました。達也先輩との賭けなんて、正直もう、どうでもよくなっているんですよ。後は、貴方と戦うだけだ」

「‥…それぐらい、雫の成長は著しいと?」

「言葉では表現出来ないくらいですよ」

これ以上のない、イザヤの最大級のお褒めの言葉である。その言葉に雫は顔を赤くする。

「……そう。なら、最初から手加減なんてしないわ」

「ええ、その気持ちで来て下さい」

こうして、お昼休みが終わり、それぞれが午後の授業に入った。

 

 

 

 選手登録を明後日に控え、雫とイザヤは最後の特訓を行っていた。

「明日はようやく、深雪先輩と試合ですね」

「うん」

「後はもう、明日に備えるだけですね」

「うん」

イザヤと雫は魔法の撃ち合いをしながら、明日のことについて話し合っていた。他の生徒から見れば、高度な魔法を繰り広げているだろう。しかし、雫にとっては、日常と何ら変わらない。

「あと教えるとすれば、それは心、精神を強く保つこと」

「精神?」

「精神と魔法は深く結びついている。どれだけ素晴らしい魔法師としての才を持っていたとしても、精神が未熟ならば意味がありません」

「わかった」

そうしてイザヤと雫は、閉校時間ギリギリになるまで魔法の撃ち合いするのだった。

(さあ、明日が楽しみだ)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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