魔法科高校の後輩   作:パクチーダンス

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少し長いかも 魔法描写しっかりしないとな


第五話 その実験の名前長すぎやしませんかね?

 新入部員勧誘週間になると、大なり小なりトラブルが発生する。イザヤと泉美の初めての生徒会のお仕事は、生徒会室から問題が発生した場所に風紀委員、部活練の治安部隊等に連絡を送り、現場に向かわせることであった。イザヤにとっては退屈な仕事であるのは変わらない。ただ椅子に座ってるだけなんてつまらない。だが、与えられた仕事はきっちりこなさないといけない。

 

(まったく、なんでこうなったのやら)

 

イザヤは自分の横に座って同様の仕事をしている泉美を見つめていた。こうなった原因はお前にあるんだぞ、というような視線を向けている。そんな視線に泉美は気がついたのか、

 

「どうしましたか?」

 

何かありましたか?、みたいな表情を浮かべていた。

 

「いいや、なんでも。ただ、退屈で死にそうなんだ」

 

こんなつまらない仕事早く終わらせたいとイザヤは大きく欠伸をした。

 

「そんな覇気のない気持ちでどうしますか。あなたはもう生徒会役員の一人なんですよ、自覚を持ってください」

 

なんて怒られてしまった。泉美は与えられた仕事に誇りを持っているようだ。それは、深雪に自分を誉めてもらいたいという気持ちが大きいだろう。イザヤには彼女の頭の中が見え透いている。そんなことを考えていると生徒会室の扉が開き、深雪が入ってきた。

 

「調子はどうですか?」

 

深雪は泉美に話しかける。

 

「はい、大丈夫です深雪先輩。お任せください」

 

泉美は深雪が入ってくると途端に立ち上がり、目を輝かせていた。

 

「折紙君も頑張ってくださいね」

 

深雪はイザヤにも声を掛ける。

 

「ええ、仕事はさせていただきますよ深雪先輩。あと、折紙なんで言わずにイザヤと下の名前で呼んでくださいよ。僕のそっちの方が好きなので」

 

イザヤは深雪にそう言うと、

 

「わかったわ、イザヤ君。あなたも頑張ってね」

 

深雪はそのまま生徒会室から退室した。そのまま二人は机に向かい、トラブルが発生するまで待機していた。だがしばらくして、

 

「イザヤ君は…」

 

「?」

 

「イザヤ君は深雪先輩がお好きなのですか?」

 

(突然何言い出すんだこの子)

 

イザヤは泉美がなんでそんなことを言い出したのかわからなかった。だが、とりあえずは答えておこう。

 

「好きかと問われれば、好きだよ。だってあんなに美人だしね」

 

「それは、顔が好みということですか?」

 

「まあ、平たく言えばそういうことだね。僕だけじゃなく他の男子生徒もみんな同じ気持ちだと思うけどね」

 

イザヤの言葉に泉美は呆れる。

 

「男共は皆、そんな人たちばっかなんですかね」

 

「綺麗な女性をそばにおきたいのは、男のさがだと思うけどね」

 

泉美はやれやれといった感じで、首を横に張っていた。そこに不意をつくようにイザヤは、

 

「もしかして泉美ちゃん、僕のこと好きなのかい?」

 

「……なんでそうなるんですか」

 

泉美はイザヤと距離を取るために動かした。あなたのなんて好きではありません、そんな顔をしていた。

 

「いやなに、君があんな事を聞いてきたからもしかして僕に気があるのかもってね」

 

「100% あり得ませんね。前も言いましたが、あなたは得体の知れない人ですから」

 

イザヤはニコニコしているが、泉美はどうでもよくなったのか喋らなくなった。イザヤもその後、トラブルの連絡が来るまで黙っていた。程なくしてから、

 

「こちら風紀委員の七草香澄。バイク部とロボ研が新入生をめぐって言い争いをしていると連絡が入りました。対処に向かいます」

 

香澄からの連絡が入ってきた。

 

(香澄ちゃんは風紀委員に入っていたのか。全然知らなかったな)

 

「了解、香澄ちゃん。応援はいるかな?」

 

「私一人で十分よ」

 

(頼もしい限りだが、はたして彼女にその場を制すことが出来るかな?)

彼女は、少し危ういところがあるとイザヤは思っていた。焦って軽率な行動をしてトラブルを拡大しないようにと考えていたその時、

 

「こちら部活練の治安部隊執行部の七宝琢磨です。バイク部とロボ研が言い争いをしている現場を目撃しました。対処します」

 

琢磨からの連絡が入ってきた。

 

(なるほど、七宝琢磨は執行部に入ったのか…)

 

イザヤはほんの数秒思考を巡らせたのち、

 

「おい、聞いているのか?」

 

「はい、そのまま対処をお願いします」

 

イザヤの顔は笑みを浮かべていた。

 

(面白い事になりそうだ)

 

 

 

 イザヤの思惑は大成功。香澄と琢磨はバイク部とロボ研と言い争いをそっちのけで睨み合っていた。

 

「ここは俺たちが預かると言ったぞ、七草。それともハッキリ言わないとわからないか?お前は違うところで対処しにいけよ」

 

「ふぅん…七宝君、私のこと知っていたんだね。でもお生憎様、風紀委員は執行部の指示に従うことはないわ」

 

香澄はうっすらと笑みを浮かべ、その目は挑戦的な光を宿している。

 

「七草………俺に喧嘩を売ってるのか?」

 

彼の目には冷たい光を宿している。明らかに彼女を敵視しているようだ。

彼は左袖を引っ張り、ブレスレット形態のCADを彼女に見せた。

 

「そうね、その喧嘩、安く買い叩いてあげる。二度と私に喧嘩なんて受けないようにね!」

 

彼女も琢磨同様左袖を軽く引っ張り、CADが姿を見せる。

 

「片割れがいないようだが、一人で俺の相手が出来るのか?」

 

「なに?二対一で負けた時の言い訳が欲しいの?」

 

二人は臨戦体勢を整えていた。今の二人には、他のことに目が入っていない。このまま戦闘になると思った時、

 

「ちょっと待った!二人とも、落ち着いて!」

 

十三束鋼が二人の間に入り、仲裁しようとしていた。

 

「十三束先輩、邪魔しないでください」

 

「落ち着け、七宝」

 

「七宝君を庇うのですか?十三束先輩」

 

「七草さんも落ち着いて」

 

バイク部とロボ研の言い争いそっちのけで物騒なムードを作り出している二人のおかげか、二つの部活は逆に冷静になってその後の成り行きを見守っていた。その時、もう一人の仲裁者が入ってきた。

 

「その辺で良いのではありませんか?もうお戻りになられては?」

 

我が校一番怒らせてはいけない人間、司波深雪の登場である。深雪の登場により、香澄と琢磨は腕を下ろし、CADを隠した。かくして、このトラブルは一見落着したと言える。

 

「「ふんっ」」

 

二人は互いを睨みつけながら、それぞれ逆の方に歩いて行った。

 

「助かったよ、司波さん」

 

十三束鋼が深雪に感謝を伝える。

 

「十三束君、ちゃんと七宝君の手綱を引いてきてくださいね」

 

「ああ、ごめんね」

 

そうして十三束は七宝琢磨の後を追いかけた。

 

(少し、注意が必要みたいですね)

 

深雪はこのことを達也に報告しに戻った。

 

 

 

 

 

 「……ということがあったのよ」

 

香澄はその夜、泉美の部屋を訪ねて今日あったことを説明していた。

 

「ホント最悪、あいつ明日も突っかかってくるよ」

 

「よく我慢できましたね、香澄ちゃん」

 

香澄は泉美に愚痴をこぼしていた。

 

「あの時、手を出さなくて良かったけど。もし手を出しても良かったのなら、ボクはぶっ飛ばしていたよ」

 

すると香澄は持っていた枕に二、三度パンチをお見舞いした。

 

「香澄ちゃん、一人称が「ボク」になってますよ。学校では「私」ですからね。」

 

「分かってるよ、泉美」

 

七宝琢磨のことをまた思い出したのか、香澄はイライラして枕に連続パンチを繰り出した。

 

「アイツ、完全に喧嘩を売ってるよ。私にじゃなくて、七草にさ!」

 

「確かに私的な敵意が感じからますね」

 

泉美もクラスで七宝琢磨に見つめられていたが、あれはそういう事なのかと考えた。

 

「香澄ちゃん、明日また七宝君と今日と同じようなことがあっても絶対に魔法を使ってはいけませんからね」

 

泉美は香澄に魔法の使用はダメだと警告する。

 

「分かってるって。あの時は頭がカッとなったけど次は大丈夫だから」

 

香澄はそう言うが、

 

(本当に大丈夫でしょうか)

 

泉美は心配だった。そして、その心配は決闘という形で帰ってきたのだった。

  

 

 

 

 

 次の日、達也は生徒会室に生徒会全員を呼び出した。なんと、この魔法科高校に野党議員の視察が入るという説明を聞かされた。その議員は、魔法科高校が軍事教育の場と化しており、学校が生徒に軍属となることを強制していると、非難したがっているらしい。ならばこちらは、軍事目的以外にも、魔法教育の成果を出せば良いと考えたのである。その日は、マスコミも入ることが許可されており、部外者への警戒が厳しくなるだろう。

 

「それで達也先輩、その神田議員とやらに、僕たちは軍属であるであると主張させないためにどういったデモンストレーションを行うというのですか?」

 

イザヤは達也にめんどくさいコイツらをどうやって追い払うの?、と尋ねている。

 

「今から見せよう」

 

座っている皆んなに見せるようにテーブル真ん中にタブレットを置いた。その内容とは、

 

「常駐型重力制御魔法式継続熱核融合炉?」

 

ほのかがその言葉を噛まずをサラサラと呼んだ。

 

「本当にできるんですか?加重系魔法の三代難問の一つを」

 

泉美は信じられないようだ。

 

「この実験を成功するために皆の協力が必要なんだ。力を貸してくれ」

 

達也が皆に頭を下げる。皆が顔を見合わせると、最初にはほのかが、

 

「やりましょう達也さん」

 

そう言うと続いて 

 

「ああ、やろう達也君」

 

「お手伝いいたします」

 

五十里啓、泉美も続いて返事をする。達也は頭を上げて皆の顔を見る。イザヤは返事はしてないが、この実験に参加する意欲があるのかニコニコしながら頷いている。そのイザヤが、

 

「それで達也先輩、役割分担はどうしますか?」

 

「ああ、まずは……」

 

 重力制御 司波深雪 クーロン力制御 五十里啓 

 

 第四態相転移 七草香澄 七草泉美 

 

 ガンマ線フィルター 光井ほのか

 

 中性子バリア 桜井水波 

 

この五人に役割が割り振られた。しかし、その中にイザヤとあずさの名前は無かった。

 

「ボクとあずさ先輩はただ見てるだけでいいですか?」

 

「いや、イザヤと中条先輩には全体やバランスを見てもらいたい。それと、イザヤお前には特に周りの警戒にあたってほしいんだ」

 

(ただ見てるだけと変わんないな)

 

イザヤの役割は実験の警備という事らしい。全体のバランスを見るのはあずさ先輩一人で大丈夫だろうとイザヤは思う。その日は、風紀委員や執行部も警備をするのでイザヤの仕事はほぼないに等しい。

 

「イザヤ、サボるなよ」

 

達也はイザヤに釘を刺した。

 

「ええ、わかりましたよ」

 

そうして説明は終わり、実験の準備に皆が取りかかった。そして、大きな問題も無く、当日の常駐型重力制御魔法式継続熱核融合炉の実験は成功をし、見事野党議員とマスコミの記者たちを撃退することに成功した。

 

(つまらないな)

 

イザヤは終始、座って眺めているだけに終わってしまったのだ。

 

「イザヤ君」

 

泉美が声を掛けてくる。

 

「ああ、お疲れ様。泉美ちゃん」

 

イザヤは労いの言葉をかける。

 

「あの腹黒そうな議員さんは記者と共に早々に退散したよ。いい逃げっぷりだったね」

 

非魔法師たちがこちらの世界に踏み込んできても何もできやしないというのに。反魔法師運動もただ魔法師を悪と断罪して行動しても、僕たち魔法師には何も痛くない。

 

(どこの国も似たような事があるんだなー)

 

なんて心の中で呟く。

 

「さて、泉美ちゃんはもう戻りな。後片付けは、僕がやるからさ」

 

「はい、お願いします」

 

そう言って泉美はスタスタと校舎の中に入って行った。

 

 

 

 次の日は通常に戻り、イザヤと泉美は同じように生徒会室でトラブルの発生の連絡が来るまで待機していた。

 

(さて、あの二人をどうやって鉢合わせさせようか)

 

イザヤの頭の中は企みでいっぱいであった。泉美はそんなこともつゆ知らず、

 

「今日も頑張りましょうね」

 

なんて言葉を掛けてくる。

 

「ああ、そうだね」

 

イザヤは軽く返事を返した途端、早速連絡が入って来た。

 

「こちら、執行部の七宝琢磨です。SSボード・バイアスロン部とスピード・シューティング部 が新入生を巻き込んで言い争いをしていると連絡を受けました。対処します」

 

「お願いします」

 

(きたきた、待ってたよー七宝琢磨)

 

そのトラブルにはすで香澄が対応しているはずである。イザヤは心の中でほくそ笑む。

 

そうしてしばらくしてから、生徒会室の扉が開いた。

 

「泉美ちゃん、申し訳ないけど来てもらえないかしら?」

 

扉から入って来たのは深雪であった。

 

「なんのようでしょうか?」

 

泉美は連絡用のヘッドホンを外し尋ねると、

 

「どうやら、七宝君と香澄ちゃんが決闘を行う事になったの」

 

「え!?」

 

泉美は深雪の言葉を驚いているようだった。対してイザヤは、

 

(うまく事が進んだみたいだね)

 

イザヤはこうなることをあらかじめ予想していた。二人は必ず話し合いでは解決する事ができず、互いに実力で黙らしてやろうと行動する事が。

 

「場所は第二演習室よ、ついて来て」

 

「分かりました」

 

そうして深雪と泉美は生徒会したから退出し、第二演習室へ歩き出した。

 

(さて、僕も行こっと♪)

 

イザヤは二人の後について行った。

 

  

 

 

 

 第二演習室には、七宝琢磨と七草香澄の他に司波達也、光井ほのか、北山雫、十三束鋼も居た。泉美は演習室に着くなり。香澄の方に走り出した。

 

「香澄ちゃん、一体どういう事ですか?」

 

泉美はなんでこうなってしまったのか理由を尋ねる。

 

「アイツが私たち七草を侮辱したのよ!」

 

アイツ、七宝琢磨の方を指差してそう答えた。

 

「やっと来たか、七草泉美。これで揃ったな」

 

「いいわよ、返り討ちにしてあげるわ!」

 

七宝琢磨と香澄の目には火花が血走っている。今すぐにでも手が出そうなくらいに。そんな二人を見ながら、イザヤは雫とほのかの方に近づいていき、 

 

「こんにちは、先輩方」

 

「あっ、折紙君」

 

「ん、来たの?」

 

イザヤの声にほのかと雫もイザヤの方を振り向き声をかける。

 

「ほのか先輩、イザヤでいいですよ。ところで、雫先輩、眠そうですね」

「ん、はやく終わって欲しい」

 

雫はこの戦いがどうでもよいらしく、欠伸をしていた。しかし、イザヤはそうは思わない。

 

「でも先輩、もしかしたら、珍しい魔法が見れるかもしれませんよ」

 

「珍しい魔法?それって…」

 

そう雫が疑問に思った時、

 

「只今より、七宝琢磨対七草香澄、泉美による試合を開始する!」

 

達也先輩の試合の合図が聞こえた。

 

この合図と同時に両者は魔法を発動した。

 

魔法を打ち合っているのは琢磨と香澄であり、泉美領域干渉を展開して、相手からの攻撃を防御している。最初から二体一であるため、七草が有利なのだが、

 

「どう思う、雫?」

 

「今のところは、…互角だと思う」

 

雫は少し自信なさげに言う。 

 

「いや、互角といえばそうですけど、香澄ちゃんは七宝琢磨を怪我させないように場外勝ちを狙っているようですね。全く、甘いことで」

 

七宝琢磨は、泉美の領域干渉を破れないと悟り、魔法『エア・ブリット』を放ち、攻撃を変える。しかし、泉美の領域干渉に入った瞬間、圧縮された空気の弾丸は拡散されてしまう。

 

「彼は『エア・ブリット』の使い方をよくわかっていないようですね」

 

「そうだね、それは泉美の方も同じかな」

 

イザヤと雫が会話を続ける。

 

「確かに、この部屋全体の領域を支配すれば試合はすぐを終わりますが、そんな事ができるのは深雪先輩ぐらいではないですかね」

 

「工夫を練習した事がないのかな?」

 

「まだ、新入生ですから」

 

「それは、イザヤも同じじゃないの?」

 

そんな会話をしている間にも戦いは続いていく。七宝琢磨はさらに攻撃を変えるが決定打にはならない。膠着した状態が続いていく中で、先に七草姉妹が切り札を切った。 

 

(これは…窒息乱流《ナイトロゲイン・ストーム》)

 

空気中の窒息濃度を引き上げる魔法と、それを移動させる魔法の複合技。酸素濃度が極端に低下した気流を少しでも吸い込んだ場合、低酸素症でたちまち意識をなくしてしまう。こんな高等魔法、滅多にお目にかかることはない。

 

(しかし、二人で魔法を行使しても荒さが目立つな。まあ、そんなバンバン発動できる魔法ではないから、練習不足という他ないかな)

 

一方、七宝琢磨はシールドを張っているのも限界が来たのか、向こうも切り札を使用するようだ。七宝家の切り札の一つ『ミリオン・エッジ』周りの紙吹雪が無数の刃と化して七草姉妹に襲いかかる。七草姉妹はそれに応戦して紙の刃を焼き払おうとする。もし、このまま試合が続けば、両者とも無事では済まないだろう。

 

(ここが潮時かな)

 

そう思いながら、イザヤは達也の方を見る。

 

「両者そこまでだ!」

 

達也は拳銃形態特化型CAD、シルバー・ホーンを右手に持ち、全ての魔法式を無効化した。魔法式がバラバラに砕け散る様子を三人はただ呆然と眺めていることしかできなかった。そして、

 

「この試合は双方失格とする」

 

審判として達也が判定を下した。しかし、その反対に最初に意を唱えたのは香澄であった。

 

「どういうことですか!?」

 

「あのまま試合が続けば、両者とも危険だと判断したから強制的に試合を止めたまでだ」

 

「この場合…」

 

達也に近づいた泉美が強い口調で質問する。

 

「この場合、どのような決着になるのでしょうか?」

 

「両者とも負けということになる」

 

泉美はともかく香澄まだ不服そうである。それに対して達也は、 

 

「自分たちでもわかっているだろう。窒息乱流はまだコントロール不足であったと」

 

そういうと、二人は黙ってしまった。しかし、

 

「納得できません!!」

 

まだ達也に食ってかかる奴がいるようだ。

 

「先輩が止める前に決着はついていました!!」

 

なんて言葉が飛び交う。

 

(そこまで勝ちにこだわる必要はないだろうに…)

 

まだ納得ができないのか七宝琢磨は達也にもう抗議する。

 

(今回の試合はあまり胸踊る事はなかったが、次はどうしようかなー)

 

また何かを企もうと考えているイザヤに対して、

 

「なんで笑ってるの?」

 

雫はイザヤが笑ってるのがとても不思議だった。 

 

「表情筋が緩いんです」

 

「?」

 

首を傾げる雫を横目に達也と七宝琢磨の会話を聞いていた。彼は今日一番の大声をあげた。

 

「ウィードのあんたに言われたくない!!」

 

演習室に七宝琢磨の声が大きく響いた。

 

「俺に言われるのは不満か?」

 

(まだ話してるのか、見たいものは見れたし、そろそろ帰ろうかなー。)

 

そうして一人演習室を出ようと歩き出した時、

 

「もういいよ、七宝。そこまで負けたくないんだったらさ、あんたの勝ちでいいよ」

 

「いいんですか、香澄ちゃん?」

 

「うん、よくよく考えたらそんな暑くなる事はなかったと思って。それに、やりすぎだったのは司波先輩の言うとおりだし」

 

香澄はすっかり冷めている様子であった。

 

「香澄ちゃんがそう言うのでしたら、私はもう何も言いません」

 

そうして香澄は達也の方に歩いてから行き、

 

「司波先輩、すみませんでした」

 

達也に謝罪した。泉美も続いて達也に頭を下げた。そうして二人は演習室から退室した。すると、

 

「イザヤ、二人のこと任せてもいいか?」

 

最後に面倒ごとを頼まれてしまった。

 

「ええ、いいですよ」

 

そうしてイザヤは、二人の後を追うことになった。二人が女子更衣室から出てくるまでイザヤは壁にもたれながら目を瞑っていた。更衣室の扉が開いたとき、

 

「あれ、イザヤ君?」

 

泉美がイザヤのことに気がついたのか、声をかける。

 

「なんであんた、ここにいるの?」

 

香澄は嫌な顔をしていた。

 

「なんでって、君たち二人を待っていたのさ。帰る前に、喫茶店でも寄って行かないかい?、奢るよ」

 

イザヤの言葉に二人は悩んだのちに、

 

「分かりました」「いいよ」

 

そう言って、イザヤ達は学校から近くの喫茶店「アイネブリーゼ」に寄った。

 

 

 

 「さあ、なんでも頼んでいいよ。さっき派手に運動したから小腹が空いているんじゃない?」

 

「いや、そんなに空いてないよ」

 

「ええ、わたしも」

 

二人はあまりお腹が空いていない様だった。

 

「じゃあ、飲み物だけでいいね。すみません、注文お願いします」

 

そうしてイザヤはアイスコーヒー、香澄はカフェオレ、泉美は紅茶を頼み、飲み物がくるまで静かにしていた。しかし、その沈黙が耐えられなかったのか、香澄はイザヤに質問した。

 

「ねぇ、さっきの試合、見てたんでしょう?どうだった?」

 

「もう終わった話をまた繰り返すのかい?」

 

香澄は俯いてしまった。それを見兼ねた泉美が、

 

「イザヤ君の目から見ても、私たちの魔法はコントロール不足であっと思いますか?」

 

「そうだね、達也先輩と同じ意見だよ。ただ、一つ言わせてもらうなら、あの粗さはないなと思っただけだよ」

 

「「!?」」

 

「僕はもっとうまくできると思っていたんだが、期待外れだっだよ」

 

「あんたにそんなこと言われたくない!」

 

先ほどまで俯いていた香澄が顔を上げ、イザヤを睨みつけて、テーブルを叩いた。

 

「おや?怒ったかい?仕方ないじゃないか本当のことなんだし」

 

「なら、あんたには出来るの?僕たち姉妹よりも、もっと上手くさぁ」

 

イザヤに我慢ならない香澄が挑発的な言葉を投げ掛ける。

 

「いいよ、明日見せてあげるからさ。どこかの演習室を貸してもらおうか」

「上等じゃない。泉美、生徒会権限で演習室借りてきてよ」

 

「出来るかどうか分かりませんが、言ってきますね」

 

泉美も言われぱっなしは嫌なのか、イザヤを強い目で見つめた。

 

(CAD用意しないとな)

 

なんて思いながら頼んだ飲み物が来た。それを飲み干すまで三人の中で会話はなかった。

 

 

 

 

 

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