あと延命ってさ…すごい…えっちじゃない?
ネタは一時の思いつきなので続きは書いていない。
『また喧嘩したの、2人とも…そりが合わないのはしってたけど、一周回って仲良いんじゃない?』
そう言って私達に対し朗らかに笑う彼女。なんとか互いに理解をしてもらおうとしたけど、結局理解した上でああだから諦めたんだっけ。
『2人ともー!ゲームしようよゲーム!せっかくのお休みなんだしさー!』
ある日、テレビゲームをしようと提案してきたが…案の定、彼女は負けた。惨敗した。結局私とヒマリの一騎打ちになって、彼女は野次馬をしていた。決着は…ここでは言わないでおく。
『…私は、私、は…ごめん。少し、考えさせてほしいな』
何か、致命的な対立が私達に起こった時にどちらにつくのか。そんな質問を戯れにしてみた。それはただの言い争いから発展した、一種の賭け事でしかない。でもそれに彼女は真剣に考えこんでいた。
その答えはついぞ聞くことは無く。それは、私達の仲を引き裂く一助となった。…そんなこと、思っていなかった。
決断までに、時間は無かった。
その日、いつも通りの『廃墟』の調査。いつも通りAMASで何か情報がないか探ると同時に何か変化がないか調べようとした。
厄災へ向けて何かできることがないかを探して。…とはいえいつもこうして探索をしているわけではない。廃墟はミレニアムの郊外。他自治区でもないためにAMASを飛ばせば探索は比較的容易だ。すぐに探索できる地表部分は概ね調べ尽くしている。この日は多分、息抜きかなにか。気まぐれで出てみただけだったはず。
きっとその気まぐれが無ければ、今こうして罪悪感に苛まれることも、後悔をし続けることも…きっと…いや、たらればの事を話しても仕方がない。それに出ていても出ていなくても、きっと後悔をするだろう。
あの日、私は見た。廃墟で血塗れになって地に伏す彼女の姿を。片腕は捥げ、腹に穴が空き、足は削り取られ、眼があった場所は抉れている。片耳は毟られて体の関節があらぬ方向に曲がっている。
側から見たら死んでいると思うだろう。でも死んではいなかった。息があった。友人…親友のあまりにも酷い姿にパニックになった私はAMASに彼女を隠れ家まで運ばせ、一心不乱に処置をした。
…それは、未だ前例のない機械の移植。それも大規模なもの。肉体の耐久力や回復力が高いキヴォトスの生徒達において欠損等の事故の事例は少なく、義肢などの技術も発展途上。それなのにリスクの高い機械の移植、それもほぼ全身を機械化するなどほとんど前例が無かった。確かに先天性疾患などの事情により移植などを行なった事例もあるものの、それは身体の一部のみ、疾患を治療するためのものだ。
分の悪い賭け。
前例なし。余裕なし。資材もプランも行き当たりばったり。手術台も、もしも何かがあった時を考えて作っていたために万全ではあるが機械移植への対応なんて済ませてはいない。
頭の中が真っ白になりながらも必死に処置のためにできることをする。彼女をここまで運んでくるまでの時間にパーツを3Dプリンターなどで片っ端から制作し、脳内でプランを考える。
見ただけで分かるだけの内部臓器の損傷は?止血はどうする?脳の状態は?もしものための予備プランは幾つ要る?
…もしこの手術が成功したとして、彼女の意識は戻るのか?
考えないようにしたその可能性は何度も頭を過ぎる…それを考えないように考えないようにと意識し続け、気づいたころに手術は、終わっていた。
結果は、成功。彼女はなんとか一命を取り留めた。体の大部分の機械によって命が繋がれている状況で、少し破綻すれば活動は愚か生命維持すら怪しい。しかし生きている。
だが、彼女が目覚めることはない…いや、確かに彼女は目覚めた。だが、その体から聞こえたのはあの朗らかな声ではなかった。
『生命維持装置の起動を確認。本機の行動においてはなんの問題も無いと判断。指示をお願いします』
それの声は無機質な機械音声。彼女の喉から発せられたものではなく、もしものために付けたスピーカーによる発話。
その内容も指示を待つ機械のようで。それはまるで、彼女はもうこの世界にはいないと言っているようで。
その機械のような声も、こうなったのはお前のせいだ、という意味が込められているようで。お前がこんな体にしなければと言っているようで。
そんなはずはない。これは被害妄想だ。こんなことを考えるなんて合理的じゃない。
彼女がこうなったのは誰のせいだ?
…簡単な話じゃないか。廃墟の、機械達。そして、それの調査をしていた私。きっと私が調査をしなければ彼女はあの廃墟に足を踏み入れることは無かった。
「私の、せい…」
推測でしかないことすらも事実のように思えた。心が悲鳴をあげているのが分かる。だが、止まるわけにはいかない。
「キヴォトスの存続のため…そして、彼女への償いのために。私はもう止まれない」
止まることは許されない。これが私から彼女にできるたった一つの償いだから。
ゲーム開発部、無名の司祭の王女、その他面倒な事件やらが終わってキヴォトスには平穏な日々が戻った。しばらくすればまた何か事件が起こるだろうが、今はとりあえず束の間の平穏を楽しむとしよう。
「“それで…”」
「はい。ここがあの泥水女…リオから送られてきた座標です。逆探知は失敗しました」
あの女、こういう所は無駄にしっかりしてますねと忌々しそうに呟く。
ヒマリはこの事件である物を投入されたことで、大変ご立腹のようだった。
以前行方不明になった友人と同じ顔をしたアンドロイド…それが戦闘に投入されたと。その友人がどういう人だったのか私は知らないが、きっといい人なのだろう。
「“行方不明…なんだよね、その友人って”」
「…はい。一年ほど前のある日に突如失踪しましてね。セミナーからも緘口令が敷かれているので迂闊に手出しができず…まぁ、十中八九あの女が手を回したのだと思いますが」
そう言いながらもモニターに情報を次々と表示させていくヒマリ。そこには、外部からは至って普通の施設にしか見えない建物。監視カメラをハッキングしたのか、少し高い位置からの写真が多い。その中で一つだけ、異彩を放つ写真があった。それはまるで、患者が入院している病室を映しているようだ。
「内部を撮れた映像はこれだけ…そうそうこんなヘマをやらかすとは思えないので、恐らくわざとでしょうね。この『患者』の顔は見えないのでよく分からないのですが…まぁ、どうせ体のいい厄介払いでしょう」
どうせトキと同じでしょうと言って、ヒマリは車椅子をこちら側に向ける。
「先生とエイミ、それとトキにこの建物の調査を頼みたいのです。この事は2人にも伝えてあります」
「“私に?”」
「ええ。先生なら、何かあってもどうにかなるでしょうから」
「“わあすごい投げやり”」
だが、生徒の頼みとあれば断ることはできない。この入院中の人物についても気になる。その好奇心のまま、私はその建物に向かった。
「“ここだね”」
「うん。リオ会長からの住所はここだね。多分、セーフハウスの一つだから本人はもう居ないと思うけど」
「それじゃあ早速行きましょうか」
トキが扉を開け放つ。鍵がかけられていなかったのかトキが開けたからなのかは分からないが、案外あっさりと開いた。場合によってはハッキングも考えていたので呆気に取られてしまう。
中に入ると生活感は無く、物音一つしないガラリとした空間が広がっていた。
「リオ様〜?いらっしゃいますかー?」
…トキの声は空間に虚しく響く。やけに広いのも相まって不気味にも思えてきた。そんな中、テーブルに置いてある紙を見つけた。部屋の間取りが書いてあり、その部屋の一つには赤い丸がつけられている。
「これは…」
「多分、私達の目的の『患者』の居る場所だと思う。でも、なんでわざわざ教えるようなことを?」
「“分からない。でも、何か伝えたいことがあるんだと思う”」
この見取り図に何か嫌な予感を感じながらも、進む。その部屋は廊下の突き当たりにあった。扉には一枚の紙が貼り付けられている。
内容を見るに…手紙、だろうか。
『この手紙が読まれているということは、きっと私を探しに来たのでしょう。でも、私はここには居ない。その代わりなんて言うつもりは無いけど、一つ頼み事があるの。これを読んでいるのがヒマリでも、エイミでも、トキでも…あるいは、先生でもいい。私では…とても背負えない物だったから。この扉の奥にあるのは、私のエゴ、罪そのもの。本当は私以外に押し付けることなんてしたくなかった。ただ、それでもいいと言ってくれるなら、彼女をどうか助けてほしい。私ではできなかった事を…どうか、あなた達で…』
全身に悪寒が走って、ドアを乱暴に開く。内装は今までの無機質な物とは異なり、病院のような設備が揃った清潔感のある空間だった。ベッドらしき物を囲むカーテンの奥には大仰な機械が見える。
その奥にあったのは…
「先生!?」
「どうかしましたか先生?」
「“これは…!?”」
大量の機械に繋がれた、1人の少女だった。
即座にエンジニア部が招集され、彼女の状態を診始めた。
「…駄目だ。下手に機械を分離させれば、生命活動に支障が出かねない。それくらい、彼女の状態は怪しい」
「部長、仕様書とカルテらしき物が見つかった。見た感じ、生命活動のほとんどを機械に委ねてる…これじゃあ、機械に生かされてるような感じだね」
「ありがとうヒビキ。やはり、切除は無理と言った方がいいね。はっきり言って、ここから動かすのもあまりオススメしない。それに…」
「“それに?”」
「…いや、なんでもない。とりあえず、様子を見た方がいいだろう。その間に、何か方法がないか…」
開きっぱなしのドアから何かが入ってきた。その正体は…
「“ヒマリ!?”」
今回の突入を指揮したヒマリであった。
「な、う、うそ?なんで?なんで、ここ、に?あ、あぁ、大丈夫です。あの女に“そう”されたのでしょう?大丈夫、大丈夫、です。すぐにそんなもの解いてあげますから。ほら、起きてください。ね?ほら、早く…?なんで、なんで?なんで起きないんですか?あぁ、きっとこれのせいですね。ほら、外してあげるから早く…」
「ヒマリッ!!」
車椅子からずり落ちるように彼女に縋り付くヒマリ。すぐさまウタハが抑えつける。
ヒマリをよく見ると涙を流しているようで、布団の一部はシミができている。
「先生。このカルテ、見て」
「“ん?”」
ヒビキから差し出されたカルテを見れば、機械が繋がれた経緯や、延命処置が事細かに書かれている。紙製のそれには所々皺や染みができており、これを書いたリオがかなり苦悩したことが窺える。
「多分、会長もかなり苦悩したんだと思う。流石に、日記みたいな物は見つからなかったけど…」
「“うん。これは…”」
少女が背負うには重すぎる、人の命というもの。投げ出してしまったリオを、責める事なんてできない。
「ウタハ先輩!起動コードらしき物が見つかりました!」
「…どうする、先生。コードを入れた果てに、何があるのかは分からない」
「“…入れてみよう。ヒマリ、大丈夫?”」
「ぇあ、う、あ…だ、大丈夫、です。少し取り乱しただけですから。えぇ、大丈夫です」
ウタハは、コトリから受け取ったコードを入力する。
そして起動した彼女から聞こえてきた音声に、私達は絶望し、ヒマリ、そしてウタハも泣き崩れた。
その事実は、そうするのに十分だった。
何処とも分からないセーフハウス。どこか諦めたような目を空に向ける少女。
「私ではできなかったけど、きっと、きっと、あなた達なら…」
その右手には一枚の学生証が握られている。乾いた血が付いており、こう書いてある。
『
過去、麻空ヨウコが使用していた武器種は?(お気軽にどうぞ)
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AR(アサルトライフル)
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SR(スナイパーライフル)
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HG(ハンドガン)
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SMG(サブマシンガン)
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MG(マシンガン)
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SG(ショットガン)
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RL(ロケットランチャー)
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GL(グレネードランチャー)
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RG(レールガン)
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FT(フレイムスロワー)