あけましておめでとうございます。今年は平和な一年になるといいですね。
本話、キャラのエミュがかなり微妙です。この子はこんなこと言わない!この子はこんな口調じゃない!とか思ってもそれはひとえに私のキャラ理解不足です。大変申し訳ございません。許して…できれば後学のために感想などで指定をいただけると非常に助かります。
話は変わりますが、この小説のタグにわざわざ書いてる2人、ほとんど登場してないですよね。大丈夫?詐欺にならない?予定のままいくと次のさらに次辺りの登場になるんだけど大丈夫か?
…『徒労』。
なんというか、なんなのだろうか。ここ数日、数ヶ月。それどころか、私の大体一年ぐらいが、丸々無駄になって、ぽかーんと隙間が空いてしまったような気がする。
ぎぃぎぃと若干嫌な音を鳴らす椅子に体重を預けながら、目の前の画面から視線を外す。
息を吐く。誰もいない部屋でこれをやってもただただ空気が重苦しくなるだけだが、わかっていてもそうせざるを得ない。
普段ならばいくつか舞い込んでいる仕事を片付けているのだが、それすらもできそうにない。とても作業に没頭できるような気持ちではなかったし、仕事で気を紛らわすことができるような状態ではないと思う。
もう、端末に向かって座ることすらも億劫になっているのにこうして定位置に座ってしまっているのは惰性からか、それともまだ諦めたくないというちっぽけなプライドからか。
ただとりあえず一つだけ分かることがあるとするのなら、今はとにかく1人でゆっくりと考えごとをしていたかった。それだけは確実なのだろう。
もう一度大きく息を吐く。腰が椅子を滑ってだらしない格好になっているが気にしない。
また思考に耽る。ああ、なぜ私ではだめだったんだ?なぜ、届かなかったんだ?なぜ、なぜ、間に合わなかったんだ?
なぜ、なぜ、なぜ、なぜ、なぜ、なぜ、なぜ、なぜ、なぜ、なぜ、なぜ、なぜ、なぜ、なぜ、なぜ、なぜ、なぜ、なぜ、なぜ、なぜ、なぜ、なぜ、なぜ、なぜ、なぜ、なぜ、なぜ、なぜ、なぜ、なぜ、なぜ、なぜ、なぜ、なぜ、なぜ、
「…副部長、流石にそろそろ休んだ方がいいと思います」
ぱちりという小気味いい音と共に部屋が1段階明るくなる。眩しさに一瞬目を細めた。糸のようになった目から入ってくる光が落ち着いてきたころに椅子を回して入り口の方へと体を向ける。
「……コタマ、“また”それ?わざわざ言わなくても分かってるから。どこかで休む…」
「嘘です。ここ1週間…いえ、言い方を変えます。ヨウコさんが見つかってからずっと、そこに居ますよね」
「だから、なに?」
「認めたくないんじゃないんですか。自分が見つけられなかったことを」
何も言い返さない。言い返せない。だから、つい
「…辛いって事は分かります。私だって、そうです。でも、でも!それが、ヨウコさんの顔を見に行かない理由にはならないはずです!」
「……黙って…!」
「一緒に行きましょう!今動かないと、きっとこのまま…」
「黙ってよ!!」
つい、近くまできたコタマを突き飛ばしてしまった。はっとして目を見つめる。気丈にこちらを見続けているようであっても、その目の奥には恐れが見える。
「…すみません、出過ぎた真似をしました。今日はここで失礼します」
「待っ──」
──て。
その一文字が喉を出かけて、すぐに引っかかる。今、私が引き留めてもいいのか?引き留める権利は、一体あるのか?
その一瞬の逡巡が終わる頃、彼女はすでに背を向けて部屋の外に立っていた。
伸ばした手を所在なげに下ろして、椅子にどすんと座り直す。
また椅子がぎぃぎぃと音を立てる。ここに来た時よりも、空気は一段と重く、私を押し潰しにきていた。
ミレニアム、食堂にて。副部長に追い出されてどうすればいいのかも分からず校舎をぶらぶらしていると、もう昼になってしまいました。
適当な食事を受け取り、席を見繕って座ります。周りの会話に耳を傾けてみれば、やれあの人がとか、やれ行方不明やら色々な話題が聞こえてきました。ここ最近の浮かれようを見ると、やはりあの人の影響力をひしひしと感じられる会話だと思ってしまいさう。
…見つかっただけ幸運だ、と言う人もちらほら見えますが、あの副部長の荒れ様を見るとそれが本当に幸運だったのかすら疑いたくなってきました。見つかっていなかった時の、目を血走らせて端末を向き合う姿のどちらの方が健常か、私にはもう分かりません。
「…はぁ」
「珍しいね。コタマ先輩が露骨にため息を吐くの」
視界の端で白い髪が揺れる。後ろから声をかけられ、一度食事から目を外して声のした方を向けば、トレーに聳え立つ500mlサイズのエナジードリンク缶が目に入りました。
「ああ、ハレさんでしたか。食事中に空気を重くしてしまってすいません」
「大丈夫。チヒロ先輩のことでしょ?」
「まぁ、はい」
やってきていたのは、後輩の小鈎ハレでした。彼女も私も、既にヨウコさんのお参りは済ませています。痛々しい姿でした。目を背けたくなりますが、ああなった以上は受け入れるしかありません。
「ヨウコ先輩も見つかって、これで副部長も一安心…かと思ったけど、まさかあそこまで荒れていたとは…」
「ええ。最近は私達に見せていないだけで、ずっと探してましたから」
麻空ヨウコは、私達ヴェリタスとしても非常に…こう、扱いに困る人でした。セミナーと繋がっていましたし、リオ会長とは友人同士。そのくせヒマリ部長とも仲がいいという、なんというか、面倒というか…
最初は疎ましく思っていることもありましたが、しばらく入り浸っている内に、自然と受け入れてしまいましたね。
それからはハッキングなんかの技術を教えたり、逆にセミナーの様子を教えてもらったり…まあ、色々とありましたね。
そんな中、彼女の失踪が告げられたのは突然のことでした。即座に私達は捜索を開始。当時の人脈、機器、そして私達の技能をもって対応しました。
結果は、惨敗。リオ会長の巧妙な隠蔽によって私達はヨウコさんの居場所を見つけることはできませんでした。私達も捜索には参加していましたが、捜索の主力は部長と副部長でした。2人は特に仲が良かったので、当然でしょう。
しかし、部長が特異現象捜査部に引き抜かれてからは主に副部長1人での捜索となり…そこから、妄執に取り憑かれているようになってしまいました。
舞い込んだ依頼を片付けた後は毎日コンピュータと向かい合い、そして何度も溜息を吐き、そして苛立ちからか頭を掻きむしる。
はっきり言って、やめさせたかったです。体調は言わずもがな、精神的にかなり追い込まれていることなんて分かりきっていましたから。しかし、副部長とヨウコさんの関係を見ていると、それで止めてしまうのも悪い気がして。
今の様子を見ると、殴られてでも止めた方がいい気がしますけどね。
「…どうすれば良かったんですかね」
「コタマ先輩…」
そこからは2人で黙々と食事をしていました。マキもここ最近は副部長に何かを感じているのかグラフィティを描きに行くのを遠慮している始末です。…なんというか、どうにもならないものです。
「コタマ先輩、もう一度行ってみたら?」
「なぜ…」
「大丈夫。…多分悪いようにはならない…と思う」
自分の今までは、無駄だったのだろうか。
電灯を消し、再び薄暗くなった部屋で膝を抱え座る。
大事な友人1人も救えず、大事な部員達を傷つけそうになり、そうして、今はただ引き篭もっている。今の私に、これからこの組織を率いて生きていく価値はあるのだろうか。
そういう自己嫌悪がさっきからぐるぐると頭を回っている。
どうやっても止められそうにない。ずっとここに居ても噂話というのは何処からか聞こえてくる。眠ったままだとか、酷い状態だとか、そういう、もう人として生きていけないんじゃないかと思ってしまう噂話ばかりだ。
頭を抱えて膝に埋める。何も見たくない。何も聞きたくない。
もう、何も考えたくない。
「────ょう」
「──部長」
「…副部長」
「…なに、コタマ」
「一度、ゆっくり話しましょう。幸い、今はこの周りに人はいません。本音で、正直に」
自らの体に絡めていた腕を外され、半強制的に目を合わせる。
「私にぶつけてきてください。副部長…チヒロさんの苦しみを。辛さを。全て」
…そのどこまでも真っ直ぐな目と、何も気にしていないような、そういう姿に。
私は酷く苛立った。
「っ、!」
激情のまま掴みかかる。勢いのそのまま壁にぶつかり大きな音を立てた。壁の辺りには確か高価な機材が幾つか敷き詰められていたはずだが、そんなことも気にしていられない。
一瞬遅れて、座っていた椅子が倒れて騒音になる。その音は残響となり部屋を覆うが、それに掻き消されない大きさで叫ぶ。
「コタマ…あんたが、あんたは…っ!」
「いつも横から見ているだけで、私の気も知らずに…!」
「無駄だと突きつけられて、友人の変貌した姿を見せつけられて、それで、もう何をしろって言うの!」
ぎりぎりと服を引っ掴んだままコタマを持ち上げる。怒りに身を任せて睨みつけるも、その目の奥から恐怖を感じない。強い意志の元、こちらにもっと吐いてしまえと訴えかけているように。
その確信のような予感に身を任せ、口を開き続ける。
何を言ったのか、どんな酷い言葉をかけたのか、覚えていられなかった。私が落ち着いたのは、もう息が切れて言葉を紡ぐのすら億劫になる頃だった。
「落ち着き、ましたか」
何も言わない。下だけを向いて、言葉を待つ。
「それだけ、ですか」
手から力が抜けて、ざりざりとコタマの背中が壁と擦れる音がした。
「じゃあ、私からも言いいます」
首辺りに衝撃を感じた。次に、背中に痛み。ああ、さっきの体勢が反対になったんだと理解する前に、怒号が耳を貫いた。
「私も辛いです。チヒロさんと同じぐらいとは、口が裂けても言えません!でも…」
「あの人がいなくなってずっと…!みんな、辛かったんです…!」
「最後には、目を逸らしてしまいました。私も、ハレさんも。目を逸らさずに、ずっと、ずっと探していたのはチヒロさんだけでした」
「だから、今度は逃げたくありません!目を逸らしたくありません!もう、私は、失いたく、ありません…!」
目を合わせる。目の奥には強い信念が宿っているが、表層は潤み、大海のように深く広く悲しみを湛えている。
「だからっ、笑っていてください…!せめて、せめてあなただけは…!笑顔のチヒロさんは…!」
…何秒経っただろうか。気がつけば私は床に膝をつき、コタマは私を抱き抱えて涙を流している。
何をしていたのだろう。何を言われたのだろう。でも、確実に背中に纏わりついていた無力感は流れ落ちている。
「…すみません。手荒な真似をしました」
「いや、大丈夫…丁度、目が覚めた」
若干黒ずんでいた視界は明るく、そして視野も広い。辺りを見回せば暗いだけだったこの部屋も機械からの光で照らされているのが分かる。
…狭くなっていた世界が広がっていく。
「立てますか?必要なら手を貸しますが…」
「流石に立てる。っ、よっと…」
一瞬ふらつきはしたが、それだけ。倒れていた椅子を戻して出口の方へ向かう。
「…ヨウコの顔を見に行ってくる」
「無理はしないでくださいね。…あの時は、結構怖かったので」
「分かってる。もしそうなってたら、殴ってでも止めて」
「…そもそもならないでくださいね?」
大丈夫、大丈夫と心の中で一言呟き、校舎の出口を目指す。目的地は、麻空ヨウコの病室。
いつも億劫に感じていたこの一歩が、今は羽根のように軽く感じた。
「…入るわよ」
もちろん、部屋の中から声は返ってこない。それでいい。それが普通だ。悲しいが、それでいい。
がらがらとそこそこな音を立てそうなドアに手を掛け、そして開く。予想よりも幾分か静かにドアは開き、病室の景色が目の中に飛び込んでくる。
…聞いていた噂の通り、機械に繋がれている。着せられた患者服の隙間からは傷跡が見え隠れし、どのような目に遭ったかは想像に難くない。
すぐさまそこら辺に置いてあった椅子をベッドの横に置いて座る。まじまじと見つめると本当に死んでしまったように思えてくる。彼女の生存を確約するものは上下する胸部と規則正しく音を鳴らす心電図しか無い。
「ねえ、私、頑張ったよ。急にどこかに行っちゃった友達を探そうとしてさ」
「結局どうにもならなかったけど…。努力ってどれも報われるわけじゃないって改めて分かったよ」
「…1年間を無駄にした、なんてこと言うつもりはないけど」
「新しい後輩もできたんだ。小塗マキっていう…ちょっとグラフィティを描く頻度は減らしてほしいけどね」
「…ねえ、起きて。もう遅刻だよ?」
「みんな、待ってる。コタマも、ハレも、私も」
「…ねえ、起きてよ」
いつの間にか、視界とベッドには無数の染みができていた。眼鏡を外して拭こうとしても、手が震えて上手くできない。
ようやく分かった。私は、ずっと、ただ悲しかっただけだったんだって。それでも、意地を張りたかったってだけで。友人がいなくなったことが。もう話せないってことが。それがどれだけ悲しいか、理解したくなかっただけで。
泣いた。ただ泣いた。悲しみのゆりかごに揺られるまま涙を流した。日が沈む頃まで泣いて泣いて泣き続けて、ようやく上を向けた。
何も変わっていない髪を撫でて立ち上がる。
座っていた椅子をしまい、病室を立ち去ろうとする。ドアを閉めようと振り返った瞬間、どこからか風が吹いた。
…彼女は、微笑んでいるように見えた。それが事実であろうと、幻覚であろうと、なんだかそれを嬉しく感じてしまう自分がいる。いけないな、浮かれている。そう自覚しながらも、頭の中でリズムを刻みながら病院の廊下を進んでいく。
……きっといつか、麻空ヨウコがしれっと起き上がる。そう信じて。
アンケートは継続中です。次回までを締め切りにしようかなと考えています。ぜひぜひポチポチ押していってください。
過去、麻空ヨウコが使用していた武器種は?(お気軽にどうぞ)
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AR(アサルトライフル)
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SR(スナイパーライフル)
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HG(ハンドガン)
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SMG(サブマシンガン)
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MG(マシンガン)
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SG(ショットガン)
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RL(ロケットランチャー)
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GL(グレネードランチャー)
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RG(レールガン)
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FT(フレイムスロワー)