千手扉間とうずまきナルトのラブロマンス   作:かっぺー@じゃこ天

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ご機嫌な二代目火影とついていけない五代目火影

書類に目を通す綱手の耳に、扉の叩かれる音が聞こえた。

「─── 入っていいか、綱」

「……どうぞ」

 扉の先にいる人物をおおかた綱手は予想し、渋々だが、綱手は入るように促した。遠慮なく扉の開く音がし、案の定、そこには自分の大叔父である、千手扉間が立っていた。

「大叔父様じゃないか。今日は何の御用で? また、私のやり方に口を出すつもりですか」

「いや、頼みがあって来た次第だ」

「……頼み、とは?」

「─── ナルトに、一週間の休暇をやってくれ」

「は?」

 綱手が面食らったような表情をしているのにも頓着せず、扉間は話を続けていく。

「彼奴はワシとともに、しばらく湯隠れに行く。そのために、彼奴の休暇を申請する」

「ちょっ、ちょっと待て! 大叔父様!」

「……何をそこまで狼狽する必要があるのだ、綱」

「いや、ここ最近、ナルトは復興に向けてかなり頑張ってるようだったし、むしろ頑張りすぎて疲れが見え見えだったしな! だから、休暇を申請すること自体は構わないのだが、一つ疑問がある」

「疑問だと?」

「そうだ。なぜ、ナルトが大叔父様と温泉に行くのだ⁉︎ 湯隠れに行くというのは、そういうことだろう⁉︎」

「……フッ、愚問だな、綱。そこは察するべきだろう」

「は?」

「ワシは、ナルトを愛しておる」

「……えっ?」

「ちなみに、ナルトもワシを愛しておる」

「は⁉︎」

 突然の情報量が多すぎて、綱手はますます意味が分からなかった。耳を疑ってしまう。

「つまり今回の温泉巡りは、ナルトの疲れを癒すだけではなく、ワシと二人きりでのデートでもある」

 ますます、開いた口が塞がらない。綱手は、返す言葉が見当たらないままだった。綱手のそんな様子にもお構いなしに、扉間は淡々と続ける。

「……生前は独り身だったからな、存分に楽しむつもりだ。ナルトをあえてクタクタにさせたのも、このためよ」

 大叔父はにやりと口元を歪ませて、満足そうに、悪い顔だが笑っている。幼少時、まったくこの人と付き合いがなかったわけではない。ただ、愉快な祖父とは真逆なタイプで、近寄りがたいような、常に堅い雰囲気を持っていたから、綱手は祖父ほどには懐かなかった。

 しかし、ここまでに普段以上に何か愉しみを見つけたというようにしている大叔父は初めて見る。先ほどの、ナルトと付き合っていると聞いたときは驚いたが、綱手はナルトにはあらためてつくづく感服した。

「で、どうするのだ、綱。ナルトに一週間の休暇をやってくれるのか?」

「ああ、もう分かったから、ナルトに一週間の休暇をやる。……ので、もう好きにしてください」

「ほう、言ったな? なら、ワシは好き勝手させてもらうとしよう。言質は取ったぞ、綱」

「一体、何の言質だ……。とにかく! 用はそれだけなら、さっさと出ていってもらえないか? あなたがいると、仕事が滞って捗らないんだ」

「ワシの要望は通ったからな。邪魔をしたな、綱。お前にも手土産を用意しておくから、楽しみにしておいてくれ」

 べつに楽しみになどするものか、と言いかけた綱手だったが、それよりも先に火影室の扉が閉まり、扉間がいなくなるのが先だった。

 しばらく扉のほうを見て茫然と立ち尽くしていた綱手だったが、一気に疲れが溜まったように感じられ、椅子にぐたりと凭れかかる。

「……どっと疲れたな」

 言うだけ言って、急に来て急にいなくなる。まるで嵐のようだと、綱手は悩ましげに頭を掻くだけ掻いて、頭を抱えた。これでは仕事をする気にもなれない。

「綱手様、お疲れですか?」

 正反対に、入れ違いで来たシズネを見て、いつもの安心感を得る。

「……嵐が通りすぎていった、タチの悪い嵐が」

「は、はぁ……?」

 何のことだかさっぱりというように困惑していたシズネを尻目に、綱手はわずかに微笑んだ。いきなり来て無理難題なことを言われたが、むしろそれが、平和なことを実感できたような気がした。

 

 

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