アンキングダム   作:ラクらる

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ごめんなさい短いです


009:「なんかアリンコの行列みたい」

 はい、私の動ける部下七百ほどを引き連れてやってきましたは、とあるお山の山頂部分!

 小山といっても、雲が身近にあるほどの標高の山ではなく、ちょっと高い程度のお山だ。

 

 木々が適度に生い茂っている、本当に健康的なお山だね。

 木が多すぎると影が多くできちゃって、地面にまで日光が届かないケースが多いけど、このお山は木々はそこまで多いわけではないから、花もたくさん生えていて、一瞬ここが戦場であることを忘れちゃうほど。

 

 まあ、ここにまでも血の匂いは漂っているし、なんというか長閑というよりは死の花園って感じだね!

 まず間違いなくこういうところにレイドボスはいるでしょう!

 

 ホラゲとかだと、なんか曰く付きの場所になっちゃいそう。

 血溜まりの庭園、みたいな?

 絶対行きたくないね。

 

 まあそんな健康的なお山の山頂にいるんだけど、チラリと眼下に映るのは、ゾロゾロと人数を膨らませている魏左翼軍の残党。

 

 そう、今眼下で集結中の彼らは、結構激し目に抵抗を続けていたあの彼らである。

 彼ら左翼軍の大将と副将の将軍は討ち取られているというのに、頑強に抵抗していた。

 

 と思ったら、急に軍を崩れ始めたと思ったら、いつの間にか蜘蛛の子を散らすかのように戦場から離脱していった。

 

 あんなに激しく闘いっていた連中がいきなり離脱したことにびっくりしたけど、なーんだ。こんなところで再集結してたのね。

 

 多分参謀ちゃんが言っていたように、奇襲を仕掛けるつもりなんだろう。

 結構遠いから細かくは見えないけど、重症者はほとんどいないように見受けられる。

 やっぱ元から魏左翼軍は崩壊する予定だったのかな?

 

 まあ元々その予定とはいえ、崩壊しちゃったら大火傷をするのは魏軍なんだし、それを止める策でも用意しておけばいいのにね。

 

 崩壊した魏左翼軍を摎サマはぶち抜いて、中央の戦場に向かっちゃってるし、このままじゃ魏軍は足止めすら出来ずにすりつぶされてしまうだけだよ? 

 

 まあそもそも私たちは足止め用に軍を展開しているだけだし、勝つ必要はなかったんだけど、なんか案外すんなり陰晋を攻略できそうな感じではあるよね。

 

 〈いえ、そのためには魏軍を徹底的に潰さなくてはいけません。彼らは陰晋を落とされると国境線が大きく後退することはわかっているはずです。なので死ぬ気で抵抗しますよ〉

(めんど)

 〈ええ。つまり死兵となった彼らを後ろに抱えながら、陰晋攻略は不可能です〉

(そっか。なんかこの話前もした気がする。けど改めて納得)

 〈まあただの死にたがりの群れならばいくらでも料理することはできたのですが、総大将があの大軍師と噂の魏火龍ですので。勝つことはできても陰晋の攻略を行えるほど私たちに体力はないでしょうし〉

 

 はへー。

 じゃあどうやっても戦略的には魏の勝利じゃん。

 あ、そういえば南部の国境を侵攻してる秦軍がいるんだった。

 

 まあそこが勝てなきゃ本当にこっちの負けだね。

 つまり私たちの働きが意味のあるものだったのかどうかは、南で戦争している友軍にかかっているということだ!

 

 がんばれ友軍! 失敗したらぶち殺すね♡

 

 遠くにいる戦友へのエールはこのくらいにしておいて、問題は眼下の集結中の魏軍だよね。

 今の所、数は五千くらいだね。

 多分最低でも八千。多ければ一万を超える軍になるって、参謀ちゃんが言ってた。

 

 まあぶっちゃけこの程度の数じゃ、王騎大将軍を討ち取ることはできないと思うんだけど。彼ら重傷者こそいないけど、ぶっちゃけヘトヘトな感じだし、半分以上が何かしら負傷をしている。

 

 そんな状態で何をしようとしてるんだろうか。

 

 〈いえ、多分彼らはそこそこに強いはずですよ。わざわざ戦場から離れる、なんて手間な事をしてまで奇襲をしようとしているのですから〉

 

 ふーん。まあ確かに戦場から離れて仕舞えば、意識は彼らから中央に向いちゃうものね。しかも散り散りになって戦場から離脱したんだし、なおのこと予想外の戦力となり得る。

 

 摎サマはすでに中央に向かっちゃったし、この再集結中の軍に意識を向ける人間はほとんどいない。まぁ俊哲(似非軍師)は訝しんでたけど、すぐに摎サマの元へ行っちゃったし。

 

「……風鈴様。いかがなさいますか」

「ん。捕捉はできたから、離れる」

「ハッ」

 

 悔しいけど、今彼らに仕掛けるのは流石の私でも厳しいものがある。

 だって、相手はそこそこ強いって参謀ちゃんがいうんだ。多分正規兵で構成されている。

 先日一万の歩兵団相手に突撃したじゃないか?

 

 そう思う人もいるかもだけど、あの時はみんなフィーバー状態だったっていうのと、傷をそこまで負っていなかったからっていうのが大きい。

 

 今続々と脱落した連中が復帰し始めているけど、それでも結構無茶したせいで全力を出すのは多分無理。

 全体で見ると七百くらいいるけど、実際は四百から三百程度の働きしかできないだろう。参謀ちゃんも同じくそのくらいの戦力判断で間違いないって言ってた。

 

 なるほど。これが摎サマのいう戦力を悪戯に消耗するべきでは無い理由なのかな!?

 ここで先日の被害をより少なくするようにしてれば、この眼下の連中に凸することができた。

 

 あー悔しい。

 確かに先日の戦果はとても大きかったけど、そのせいで今私が戦うことができないと思うと、なんかむしゃくしゃする!

 

 過去の私を殴りたい!

 

 ただ、先日の戦果は絶大だったのも事実だし、やっぱりあの無茶な突撃は間違いでもなかった……んじゃ無いかな?

 

 っていうかあれ、基本的に参謀ちゃんが考えてたからやってただけで、私は別にあんな無茶な突撃をするつもりはなかったんだけどね?

 

 〈マスター、勝手に曲刀を掲げたの忘れてませんよね? あれを掲げると配下は全員、護りの配分が無になるのわかってます? 〉

 

 あーそれは完全に剣を抜き放った私が悪いですね。

 いやけど聞いてくださいよ!

 部下達がみんな期待した感じで微笑んできたんですよ(獰猛に笑ってきたんですよ)!?

 抜かずにはいられないじゃないですか!

 

 〈で? 〉

 

 はいすみませんでした私が調子に乗りました!

 いやほんと参謀ちゃんのいうとおりです!

 イエス、マイ、サンボー!

 参謀ちゃんしか勝たん!

 

 〈はぁ……まあ学んでいけばいいんですよ〉

 

 うう、参謀ちゃん優しい!

 ちょっと呆れた感じがするのは、気のせいだよね!

 

 

 

 

 

 

 

 あれから大体三時間くらい経ちました。

 彼らはあの後一時間ほどで集結。どこからか引っ張ってきた馬に乗馬して、中央の戦場に行っちゃいました。

 なのでしっかりと私たちもその後を追ってます。

 

 というか一体どこから馬を出してきたのか全くわからないんだけど、もしかして事前に用意していた感じ?

 もしそうなら、ちょっと魏火龍さんのこと、舐めてたなーって感じる。

 

 用意されていた馬の数は数千頭。そんな莫大な数を、こんな戦場から少しだけ離れた場所に用意しておくなんて、一体何対策にそんな事をしたのか聞きたいくらいだ。

 

 多分摎サマを警戒してのことだとは思うんだけど、それでもだからと言って、一万の軍を散らし再集結させるだなんて、事前に考えることができるだけで、規格外だということがわかる。

 

 ぶっちゃけ魏火龍のレイオーさんは、私の百倍頭がいいんだと思う。まあだからどうしたって話だけどね。

 頭が回るのは何もレイオーさんだけじゃないしね!

 

 さて、今私たちはコソコソと再集結した奇襲軍一万の後ろを行軍中なわけなんだけど、見事に奇襲が成功しちゃってる。

 

 どこに奇襲したんだろうって思って馬の上に立ってみたんだけど、やっぱり彼らの狙いは前線にまで出てきちゃった王騎大将軍だったみたい。

 

 手薄だった王騎大将軍の背後を奇襲してるせいで、丘を攻めていた秦軍はかなり動揺してる。

 そんな動揺を魏火龍のレイオーさんが見逃すはずもなく、どんどんと秦軍は突き崩されてるね。

 

 〈じゃあそろそろ移動しますよ〉

(え、移動するの? このまま王騎大将軍の救援に向かうんじゃないの?)

 〈いえ、そんなことをしても意味ないので移動します〉

 

 え、意味ないの?

 けど王騎大将軍かなり押し込まれちゃってるけど……。

 というか救援のために私たち彼らの後をついてきたんじゃないの?

 

 〈いえ、マスターに狙っていただきたいのは魏火龍のレイオーさんの首です〉

(え、まじ? けどあそこの防御固くない? 数万の秦軍が攻めても攻めきれてない場所にあるんだよ?)

 〈ご安心を。今魏の中央軍は丘から降りて秦軍に攻め込んでいます。つまり丘は比較的手薄です〉

 

 あー確かに。

 さっきまで丘にガン籠りだった魏軍は、動揺した秦軍を突き崩すためにその多くが出払っている。

 いやけどそれでも無理じゃね?

 

 だって攻めに転じてる魏軍を突破しなくちゃいけないんでしょ?

 突破はできるとは思うけど、その時にはすぐに防御固められそう。

 

 〈いえ。秦軍は想定通り、大きく後退をしています。そのため戦線が大きく拡大。魏軍と秦軍は大小様々になり、乱戦の雰囲気を模様し始めています。そうなった戦場ならば、いくらでも付け入る隙はあります〉

 

 ほへー。

 じゃあすり抜けれそうな部隊を見つけて、そこを短期的に突破。

 そのあと本陣を襲えばいいってことね?

 

 〈はい。そうなります。まああとはマスターの力量次第ですね。敵の本陣は三千ほどです〉

 

 オッケー。じゃあいっちょやってやりますかね。

 

「蛮兒、いくよ」

「ハッ!」

 

 いつも通りな返事に聞こえるけど、蛮兒もなんとなく私が魏火龍の首を取りに行くと察したのかな。心なしか声が弾んで聞こえる。

 まあ私の勘違いかもしれないけど。

 

 パッパと魏強襲軍一万から離れた私は、まさに秦軍に突撃しようとしていた騎馬隊にそのまま突っ込む。

 

 彼ら、横から私たちが襲ってくるのが予想外すぎてそのまま私たちに殲滅される。

 まあ突撃中の騎馬隊ほど、横からの挟撃にめっぽう弱くなるからね。

 

 意識してないところから急襲されちゃったら、まともに対処をすることができないだろうしね。

 私たちが圧勝してしまうのも仕方がないよね。

 

 ということで君たちに非はないよ!

 まあ死んでるから聞こえてはないだろうけどね!

 

 さて、じゃあレイオーさんのいる本陣にお邪魔するとしますかね。

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