やっほー。
みんな大好き風鈴ちゃんだぞ☆
さて、今私たちがお邪魔させていただいているのは〜!
なんと! あの魏中央軍本陣でーす!
愛しのレイオーさんに会いに行くために、風鈴ちゃんは槍を突き上げてくる魏兵たちを剣で刻んじゃってまーす☆
うん、ちょっとテンションがバグってるけど、それも仕方がないと思うの。
だってあの魏火龍のレイオーさんの本陣にお邪魔してるんだよ!?
これで興奮しないほうがおかしいよね。
おっと、少し感動していたら、私の馬を狙おうと槍を突き刺そうとしてくる不届者がいる。
多分機動力を落としたいのだろうけど、無駄だよ。
そのまま槍の先っちょに剣を当てて、ちょこっと横に力を入れてあげれば、槍は見当違いの方向を突き刺す。
そうなると大きな隙ができるため、そのまま馬で接近して首をポンと刈り取る。
蛮兒が私にプレゼントしてくれたこの馬、名前は春って言うんだけど、とっても賢いし目もいい。
今も私の斬撃に合わせて敵との距離を詰めたし、ぶっちゃけ言うと超オキニの馬だ!
そんな愛馬に槍を突き刺してくる魏兵の皆さん。絶対許さないからな。
さて、チラリと前を見てみれば、レイオーさんのいる本営まであと半分といったところ。
まあこの速度でいけば脱出はされないだろうから、問題ないけど、嫌な予感がするからちょっとするから、スピード上げようかな。
うーん。けどそれにしても私達の速度が早すぎる気がする。
いや、感覚的な感じなんだけどさ。
いくらなんでも本陣の兵士がこんなに弱いのって、怪しくない?
なんか誘われてる気がするけどなぁ……。
「っ! 風鈴様! 右方より敵騎馬隊接近! 数は三百!」
〈……あれは乱美迫!? 〉
(誰それ)
〈魏火龍霊凰の側近であり、霊凰軍最強の
(まさかり?)
〈つまり超強い敵です! 〉
まじか! やっぱり誘われてたのか!
今私たちは横腹見せてるから、超ピンチじゃん!
普段ならスルーするけど、参謀ちゃんが超強いっていうからね。
しかも誘われていたってことが判明した以上、これ以上進むのは危険。
だからって今すぐに撤退もできない。横から敵が迫ってるからね。
ということで迫ってきてる敵をぶち抜いて退却しよう! そうしよう!
「右に旋回。敵の騎馬隊を叩く」
「ハッ! 右に旋回ィ!」
よし、わざわざ方向を変えて正面から突っ込むんだ。
そっちも避けるなんてこと、しないよね?
幸い乱美迫も真正面からぶち破るつもりなのか、矛を構えてさらに速度を上げる。
雰囲気的に多分結構腕は立つんだろうけど、まあやってみなくちゃ分からないよね!
〈マスター、乱美迫がいるのは予想外です。離脱をお勧めします〉
(うん。なんか敵に今回の急襲を予測されてたっぽいし、これは失敗かな)
〈はい。少し魏火龍を舐めていました〉
(まあだからと言って、ここで逃げるのは危険だから、この乱美迫の騎馬隊をある程度削るべきかな)
うん。
ぶっちゃけ事前の参謀ちゃんの予測では、魏火龍霊凰の主力は丘を降りて秦軍を追撃してるって言うものだった。
そんな中で魏の本陣に霊凰の最強の鉞がいることは想定外も想定外。
丘から降りていると思っていたやつが、なぜこんなところにいる?
それは丘から降りて秦軍の追撃を行うよりも、より大きなメリットがあるからに他ならないってことだよね。
この場合で言うと、私の首、とかね。
いやー私もレイオーさんに首を狙われるほど、偉くなっちゃったか!
うんうん。そこはちょっとだけ嬉しいけど、詰みかけているのは変わらないんだよなあ。
敵にこの奇襲がバレている時点で、ここは既に対私用の狩場が作られているはず。
つまり、超ピンチって感じだね! うん!
本当は今すぐ離脱したいけど、なんかすぐ近くに敵の最強の
具体的に言うと、普通に私以外死ぬ。
流石に今ここで部下のほとんどが死ぬのは、今後の活動に大きく響くからそれだけは避けたい。
と言うことで正面突破を行う。
ぶっちゃけなんやかんや言って、背を向けて逃げるよりも正面からぶち抜いたほうが死ぬ率は低い。
パッと見相手もかなりの精兵だけど、質ならこっちも負けてない。
それでいて数だけならこちらの方が上。
なら負ける道理はないよね?
と言うことで行くよ、蛮兒!
しっかりと私の背中についてきなさいね!
「フゥゥゥゥ!」
「……」
すっごい興奮したような声を出しながら向かってくる。
もう完全に変態としか思えないけど、気迫は本物だ。
あれはかなりヤる部類だと思う。
ああ、キミも戦場で迷う存在なんだね。
ならいいよ。しっかりと相手をしてあげる。
「蛮兒、ついてきてね」
「! ハッ!」
まさか二日連チャン曲刀を掲げることになるとは思わなかったけど、これほどの相手なんだ。掲げずにはいられない。
ふふ、じゃあしっかりとついてきてねッ!
「ヴァルッ!」
「ふっ!」
ふぐぅッ! マジか!
結構本気で殺すつもりだったけど、乱美迫は素早く私の曲刀を受け止める。
このままだと力で押し負けそうだ。
と言うことで素早く曲刀を引き戻して、今度は腕を狙おうとするが、これもまた防がれる。
弱いとは思ってなかったけど、ここでま刃が通らない相手も久しぶりだ。
なんだか楽しくなってきた!
ああ、そこまでできるんだ!
ならもっと本気を出しちゃう、ねッ!
「ふっ! はっ!」
「!? フォォォ!」
矛は長柄であるため、攻撃圏内が広く、それと同時に威力も大きい武器だ。
それに比べて私は曲刀と言う片手武器である。
相手の懐に入らなければまともな攻撃を与えることはできないが、懐に入って仕舞えばこっちのものであった。
この中華では、基本的に槍や矛が主装備である。なので懐に入りさえすれば、大抵の敵は曲刀の連撃に耐えることなく、スパンと首を切り落とせていた。
けど、この乱美迫は違う。
矛だと言うのに、私の曲刀の剣撃を受け止めるどころか、たまに反撃してくる余裕さえ見せている。
この反撃はかなり重く、曲刀でなんとか逸らしているが、無限に防ぎ切れる気がしない。
相手は私よりも体が大きい。一・五から二倍くらいはあるんじゃないだろうか。
知らんけど。
そんな巨体から繰り出される反撃を、十六歳のピチピチな少女が永遠に受け流せ続けるとでも?
無理ですねはい。
一応速度は私の方が上なので、何回か防御をすり抜けて相手に傷を負わせることはできている。
ただ、致命傷とは言い難いし、傷を受けたことで乱美迫すっごい興奮したような声で、さらに素早くなり始めるしで、いいことばかりではない。
「なんだあの小娘! 乱美迫様と拮抗……いや、むしろ押している!?」
「チッ、加勢したいがあれは無理だ。あの小娘の部下を狙うぞ!」
「貴様ら如きが……舐めるなよ」
どうやら魏兵は乱美迫と張り合っている私に、そこそこ動揺しているらしい。
そのせいで私の部下達への集中がうまくいっていないみたい。
蛮兒は初撃でかなりの魏兵を吹き飛ばしている。いいね。
「ヴァァル!」
「はぁッ!」
ただ、正直それ以上周囲を気にしている暇はなくなった。
よそ見をすれば小さな隙が生まれるし、その小さな隙を見逃すほど
わかってるよ。よそ見をしたのはごめんって。
今からはキミを見るから許して、ねッ!
いや、結構本気で腕切断を狙ったんだけど。
私は一瞬乱美迫の首へと剣を向かわせて、すぐに向きを変えて矛を持つ腕を狙ったのだけど、それを読んでいたかのように乱美迫は防いで見せた。
いや、私かなりの速度で向きを切り替えたんだけど、まさかそれを認識できたの!?
まーじで化け物じゃんこの人。
これは私が守りに入ったら負けちゃうかもね。
守りに入った途端、私の斬撃すら防ぐほどの速度であのバカ重い攻撃し、そうなると私が地面に叩き落とされる未来しか見えない。
ああ、もう!
私も筋肉もりもりになればよかったのかな!?
けどなんかこの体必要以上の筋肉がつかないし、ほんと神様呪うよ!
〈マスター、よくないお知らせです。敵の歩兵部隊が包囲網を形成しつつあります。このままでは脱出すら困難です〉
(……もう潮時?)
〈残念ながら、乱美迫が出てきた時点で引き時です〉
(そっか。……わかった。撤退する)
「乱美迫ッ! その名前、覚えたから」
「フォォォ! 」
私が引くことを察知したのか、逃がさぬとばかりに矛を振り下ろす乱美迫。
ごめんね。私ももう少しキミと殺り合いたいけど、時間だから!
足で春の腹に合図を送り、一気にその場から離脱する。
直後、後ろの地面が爆ぜる音がしたかと思うと、視界の隅に後ろから飛び散る土が映る。
あー結構私が引くことにブチギレてらっしゃるみたい!
ごめんじゃん!
けどこのままじゃ私負け確定しちゃうし、許してね!
「通さぬわァ! 小娘ッ!」
「じゃま。蛮兒引くよ」
「ハッ!」
じゃまだよ君たち!
雑に曲刀を振るうと、抵抗もなしに吹き飛ぶ魏兵の首。
なんか乱美迫の後にこの人たちと戦うと、すっごい楽だね!
と言うわけで邪魔なのでどいてくださいな!
「逃すなッ!」
「追えェ!」
すっごい気迫で叫んでいるけど、残念。
すでに君たちの部隊は半壊してるし、乱美迫の馬も適度な傷を負ってるから全力で追うことは無理だろうね。
あーもう!
本当ならレイオーさんの首取るつもりだったのに!!
悔しいなぁ……!
「逃すな! そこの女将の首には多大な褒賞が出るぞ! 必ず討ち取れェェ!」
「オオォォ」
うわ、めんどくさい。
褒賞という言葉に、士気を大きくあげる魏兵たち。
そのせいで付近の魏兵部隊もこっちに集結してるし、あーもうこれ脱出行ける?
下手に足を掴まれると、後ろから追ってきている
〈いえ、薄いところはやめておいた方が良いかと〉
(え、なんで? あーもしかして罠?)
〈はい。薄いところは身を隠すにちょうど良い岩の遮蔽物が多いです。突破できないことはないですが、時間はかかります〉
(んーならどこ?)
〈左斜め前の部隊がおすすめです。隊列は最低限整っているだけの
(おけ)
「左に旋回。あの部隊をぶち抜く」
「ハッ! 左に旋回だ!」
チラリと後ろを見れば、生き残っているのは約五百ほど。
おおよそ二百ほど脱落した計算だね。
うーん、やっぱり部隊員の消耗が早い気がする。
まあそこら辺は戦争が終わってから追々って感じかな。
とにかく今は民兵部隊を突破して、この丘からさっさと降りことを考えよう。
「く、来るぞ!」
「槍を構えろォ!」
「じゃま」
装備は正規兵と同じような装備だけど、うん。
練度は圧倒的に低い。
敵はこちらと同数だったけど、難なく突破することができたし。
さて、あとは下で戦っている魏軍の背中を奇襲して、秦軍と合流しよう。
じゃあねレイオーさん!
ちょっと今回ばかりはヒヤッとしたよ!
けど次は必ずあなたの首をもらうからね!
……あとキミもしっかりと首を洗って待っていてね。乱美迫。
今更なんですけど、この小説は執筆即投稿&見切り発車なので、誤字や設定ガバるところが、もしかしたらあるかもです。
もし善性の塊のような方がいましたら、是非とも感想で知らせていただけますと、作者が出動しますので、よろしくお願いします。