スーパーロボット大戦OG 魔神伝   作:”蒼龍”

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皆様おはようございます、第18話を投稿致します。
今回は前回入り切らなかったインターミッション回となります。
そしてアンケートも予定通り締め切らせて頂きました。
その結果を受けてアレコレと話を構築していこうと思います。
では、本編へどうぞ!


第18話『閑話:DC戦争後の情勢』

───EOT特別審議会───

 

 

 

 

 此処はEOT特別審議会、地球連邦軍の抗戦派閥をその権力と裏工作で押さえつけ、ビアンやシュウ達がDC決起に踏み切る原因となった者達の巣窟である。

 其処に議員の一人であるアルバート・グレイが慌ただしく『カール・シュトレーゼマン』議長に報告すべく部屋へ駆け込んでいた。

 

「議長! 

 シュトレーゼマン議長!」

 

「騒々しい…何事か?」

 

「ビアン・ゾルダークがハガネとの戦闘において死亡したそうです」

 

「そうか…。

 ビアンが死んだか」

 

「各地のDC部隊は撤退を開始している模様です」

 

 そして自身達の権威を脅かし、ゲストとの交渉を台無しにしたビアンが死んだ事を嬉々として喜ぶアルバート・グレイに対し、カール・シュトレーゼマンは静かに、しかし利己的に状況を把握して行っていた。

 

「コロニー統合軍の方は?」

 

「総司令のマイヤー・V・ブランシュタインもまた…衛星軌道上のヒリュウ改との戦闘で戦死したそうです。

 これで、我々EOT特別審議会の最大の障害が無くなりました」

 

「(…今回の反乱の首謀者がほぼ同時に戦死か…Dr.ヘルとサオトメ博士が戦死していないのが気掛かりだが…所詮ビアンと比べても求心力の少ない科学者共 、対応は通常通りで構わんか。

 だが、流れは此方に向いて来たな…)」

 

 そしてコロニー統合軍の司令官マイヤーの戦死と合わせてEOT特別審議会を脅かす者がほぼ居なくなった事をカールは内心でほくそ笑み、Dr.ヘル達は脅威では無いと判断して政治的に発言を封殺すると同時にEOT特別審議会を始めとする降伏派閥に流れが向いたと情勢を読んでいた。

 そしてそれは、抗戦派閥の締め付けを更に強める事が可能になる事も意味していた。

 

「あの2人の死で、漸くこの戦争が終わりますな」

 

「終わってなどいない。

 本当の戦争はこれから始まるのだよ、アルバート」

 

「…そ、そうでした。

 我々にはまだエアロゲイターと言う敵が…」

 

「これ以上、地球の情勢を不安定にさせて、異星人共に隙を見せるのは得策では無い。

 ノーマンに命じて、DCとコロニー統合軍の残党狩りをさせるのだ」

 

「では、安全保障委員会と連邦議会への根回しは何時もの様に…」

 

 そして、カール・シュトレーゼマンは異星人に隙を晒したくないとしながらもDCとコロニー統合軍の残党狩りを敢えて抗戦派閥にさせると言う愚行を行い、抗戦派閥が力を蓄える事を阻止する行動に入り始めていた。

 これが降伏派閥、そしてEOT特別審議会のやり口である………自分達の手は汚さず、敵対派閥の戦力を疲弊させて自分達の発言が通り易くする卑劣な者達なのだ。

 もしこの場に抗戦派閥の誰かが居ればこの愚行に血管が切れる程の怒りを見せていただろう。

 更にカール・シュトレーゼマンは次の手を打とうとしていた。

 

「それから…ニブハル・ムブハルにコンタクトを取れ」

 

「あの男と? 

 では…」

 

「うむ。

 先手を打って、彼等との交渉を再開する…」

 

 EOT特別審議会の次なる手とは無論ニブハルを通じてのエアロゲイターとの和平交渉である。

 一見すれば良い判断だが、結局和平交渉と言う名の降伏、売星を行い地球人類の存続を彼等の管理の下で図ろうと言う情け無く、更に特権階級を維持しようと言う打算ありきである為、何処までも愚行なる行動なのだ。

 故にEOT特別審議会に抗戦派閥は靡かない、何としても政治的突破口の糸口を見つけねばならないのだ。

 …だがEOT特別審議会は、南極に来たゲストを=エアロゲイターの本体と誤認しており、そもそも南極に来た異星人達の正体を知らないのだ。

 故に裏事情全てを知る者からすればこの愚者達は道化以下でしか無いのだ。

 

「それにしてもジャグラスジャグラー…奴の悪戯な情報で抗戦派閥が勢い付いた時は肝を冷やしましたな」

 

「フン…所詮は一介の異星人1人、我々の政治基盤を失わせるには程遠い」

 

 ともすれば、アルバート・グレイはジャグラスジャグラーの話題を出すとカール・シュトレーゼマンは忌々しい名を聞いた事で不機嫌になっていた。

 ジャグラーの存在がEOT特別審議会の権威を揺るがし、抗戦派閥を『一纏め』にしてしまった事で勢い付かせてしまったからである。

 しかし、勢い付き始めた段階で何とか贈賄・脅迫等で政財界の日和見達をこちら側へ靡かせ、抗戦派閥を押さえ付ける事に成功させ、更にゲストとの和平交渉まで漕ぎ着き実質抗戦派閥の反抗をタイムアップにさせたのだ。

 

「(…量産されたゲシュペンストMk-IIの大半とジャグラスジャグラーから齎された『キングジョー』を此方が押さえるのも苦労させられた。

 …地球人を助ける正義の味方気取りの異星人めが…)」

 

 それでも量産型ゲシュペンストMk-IIの生産ラインをある程度確保され、現在の地球には1500機程の量産型ゲシュペンストMk-IIが存在している。

 更にストレイジが有していた特空機3号の素体となるキングジョーと合わせてゲストの癇に障り交渉が難航したので、それ等を降伏派閥が差し押さえたまでは良いが、その分裏で流れた金も馬鹿に出来なかったのでジャグラーは見つけ次第始末しなければならないのだ。

 …しかしEOT特別審議会は知らない、ジャグラーは既に彼等が考える程度の物が生温い程の地獄を味わい、復讐心も嫉妬も禍根も乗り越え戦い続けた事を。

 ジャグラーは正義の味方や光の戦士達とは違う『闇の風来坊』である事を…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

───アイドネウス島───

 

 

 

 

 

 一方アイドネウス島にて、その設備を使いハガネや機動兵器の修理を急ピッチに進めていたハガネ部隊達は、訓練と警戒態勢を維持しながら漸く終えた『DC戦争』から英気を養い、互いの生存を喜び合っていた。

 

「………けど、最後は何か釈然としなかったな。

 何でゲッタードラゴンがビアンを殺害し、ヴァルシオンを破壊したんだ?」

 

「ああ、それ俺やリュウセイも気になってた所だったんだ。

 だからさ、これからイングラム少佐やテツヤさん、ヘビクラ中佐達に見解を伺わないか? 

 少なくとも、俺達には初代ゲッターチームがやった事の意味を知る権利があるからさ」

 

「それに、俺達以外にも皆も知りたがってるからさ」

 

ゲッタードラゴンはクロガネと共にアイドネウス島から去ったとダイテツ艦長達は話していた。

 ならば、エルザムも初代ゲッターチームと口裏を合わせている筈だ。

 その真意を必ず俺達は知らなければならない…これが俺達の総意だ」

 

 その中でマサキ、コウジ、リュウセイ、ライは初代ゲッターチームの起こした行動の意味を知るべきだと口にし、アヤやラトゥーニ達も頷いて機動部隊パイロット総出でブリーフィングルームへと向かいイングラム達へ見解を伺おうと言う流れになっていた。

 そしてブリーフィングルームにはイングラム達のみならず、ダイテツやオノデラ達も居り、何かを話し合っていた所であった。

 

「お前達、今はハガネや機動兵器の損傷状況確認、及びこれからの任務を連邦軍統合参謀本部に打診する所だぞ?

 何故此処に来た?」

 

「丁度良かったぜダイテツのおっさん、イングラム少佐達。

 俺達はある事の見解をあんた等に確認しに来た所さ」

 

「…そのある事は、初代ゲッターチームの行動…だな?」

 

「流石だぜイングラム少佐、話が早い。

 ならさ、俺達に分からない部分を教えてくれないか? 

 あの戦いを生き残った俺達は全員、それを知るべきだって考えてるからさ」

 

 そしてイングラムがリュウセイ達が知りたがる事をピタリと当てると、ダイテツ達も頷きつつイングラム、ヘビクラ達に視線を合わせ話す様にとジェスチャーを送っていた。

 対するヘビクラは溜め息を吐きながらも、ごもっともな事でもあるのでコウジ達に席に座らせブリーフィングルームを閉じ、更に記録機器の電源も落としていた。

 ………これを外部に漏らす訳には行かない、ダイテツ達はそう判断し、機動部隊の全パイロットにのみ伝わらせなければならないのだから。

 

「さて、ゲッタードラゴンがヴァルシオンを破壊した事についてだが………俺達は幾つかのパターンをお前等が来るまでに話し、そして恐らくこれだって推察していた。

 それをお前等に教えるぜ………決して外部には漏らすなよ? 

 それだけこの推察は重大事案だからな?」

 

「りょ、了解…」

 

「んじゃ………恐らくだが、初代ゲッターチームはサオトメ博士の命令を受けて行動し、そしてそれを達成したと考えられる。

 しかもあのエルザムまで初代ゲッターチームと多分グルと考えると、ビアン博士の謀殺は先ずあり得ないとして俺達は除外した。

 となれば何かと言うとだな………あいつ等、多分ビアン博士を『救出』したんだと考えるぜ」

 

『きゅ、救出!?』

 

 そしてヘビクラは元教導隊としてエルザムの性格を知る者として、更に今は格納庫で機動兵器の修復作業中のジュウゾウ博士………サオトメ博士達の事を良く知る者との見解合わせで経た推察…恐らく真実である事をコウジ達に話すと、当然全員驚愕していた。

 が、初代ゲッターチームの目的がビアンの救出だったならばあの行動も一定の理解が出来るとライやラトゥーニ、更にコウジやイルムは考えていた。

 ビアンの死を偽装する為に最後の最後まで現れず、そして荒い方法だがそれを成し遂げたのだと。

 …最も、下手すれば彼等がビアンを殺してしまったかも知れないやり方だったので開いた口が塞がらないままとなっていた。

 

「そして、俺達は統合参謀本部の抗戦派閥の上役達に口裏を合わせて『初代ゲッターチームがヴァルシオンを破壊した』と言う部分を伏せて流布する様にお前達が来る前に伝えたのだ。

 ビアン博士が生きている、この事実を降伏派閥の者達に知られればこの戦争を終結させる事が不可能だと俺達は判断したからだ。

 幸いにしてアイドネウス島攻略はハガネ部隊のみで行ったので…他の連邦軍兵に一切最後の部分が漏れていないのも抗戦派閥やその傘下たる我々にも有利に働く要素だったのだ」

 

「…では、何故初代ゲッターチームがビアン総帥を生き延びさせたのか…その動機は?」

 

「それについては全く不明だ。

 事実を知るには、当人達の口を割らせるしか無いのだ…では皆、元の配置に戻るのだ」

 

 そうしてハガネ部隊はビアン生存説を共有しつつも、その動機については不明のままダイテツの命令により少佐以上の上官組をブリーフィングルームに残しそれぞれ元の配置に戻るのであった。

 ………その中でコウジは、ビアンの警告が耳に残り………もしかしたら、それが初代ゲッターチームの行動に繋がったのではないか? 

 マジンガー乗りであるツルギも敢えてそれを口にせず、ヘビクラ達と見解合わせをしたのではないか? 

 そんな事が脳裏を過ぎり、それを確認すべくコウジはジュウゾウ達の元へと向かっていた。

 そして肝心のジュウゾウ、更にケンゾウは現在マジンガーZとグレートマジンガーの修理を行っている最中だったのでアッサリと合流していた。

 

「おっ、コウジよ? 

 その様子だとダイテツ艦長達と話した様じゃな? 

 ならマジンガーZ、グレートマジンガーや他のPT達の修理を手伝っておくれ。

 ワシやケンゾウ達だけでは少し手が足りんのじゃ」

 

「その前に父さん、お祖父ちゃん、俺に教えてくれ。

 ………マジンガーZに秘められてる魔神パワーって奴を」

 

「っ………コウジ………………………そう、だな。

 ビアン博士からその事を耳にしたのだからその考えに行き着くと私やお父さんは考えていた。

 だが………コウジ!! 

 これだけは知ってくれ、我々は魔神パワーの全てをお前にも伝える訳には行かないのだ!! 

 ………この世界の、存続の為に………」

 

「世界の………存続!? 

 どう言う事だよ、父さん、お祖父ちゃん!?」

 

 そして、コウジは鬼気迫るジュウゾウとケンゾウから世界の存続と言う言葉を聞き、余りのスケールの大きな話に驚愕しながら2人に改めて魔神パワーの事を知ろうとしていた。

 そのコウジに………ジュウゾウ達はカブトの血を引く男として折れさせられないと判断し、最後の第7のパワーだけは口にしないと互いに視線で会話し、そしてコウジを格納庫の奥へと連れて行き3人のみで話し合うのだった! 

 

「…先にこれだけは伝えておくぞ、コウジよ。

 ワシは、ワシは誓ってマジンガーZに魔神パワーを『搭載はしておらん』。

 アレは、南極事件の際に突如としてマジンガーZに発現した恐るべき力なのじゃ。

 それこそ、真に世界を滅ぼす事も可能な程の…」

 

「お祖父ちゃん…わ、分かった、俺はお祖父ちゃんを信じるよ。

 だから教えてくれよ、魔神パワーの事を」

 

「………魔神パワー、それは今のマジンガーZに搭載された7つの段階から成る恐るべきパワーだ。

 第1のパワーは再生、第2のパワーは吸収、第3のパワーは強化、第5のパワーは変態。

 此等はグランゾン、そしてヴァルシオンとの戦いで目に見える物として理解出来る筈だ」

 

 其処からコウジはジュウゾウを信じるとしながら魔神パワー………7段階ある恐るべきパワーの1〜3、5番を知りどれもグランゾンとヴァルシオンとの戦いで痛感していた。

 マジンガーZの損傷を再生し、ディストリオンブレイクやメガ・グラビトンウェーブを吸収し、グランゾンやヴァルシオンに負けぬ程に強化され、突如としてアイアンカッターが生え、右腕が威力が段違いの強化型ロケットパンチに変貌した事がそれをより物語っていた。

 更にコウジはジュウゾウ達が敢えて第4のパワーを省いて説明した事で、これが他のパワーよりも危険なのでは無いかと推論を立てながら話を更に聞くのだった。

 

「そして第4、第6………これがマジンガーZを無敵たらしめるパワーだ。

 第4は高次予測、これはコウジ、お前に無数の未来を見せ其処からマジンガーZにとって良き結果の未来へと導くパワーだ。

 第6は………ワシの封印措置がギリギリ働き、此処までは開く事は無かったが………第6は因果律兵器。

 文字通り因果律に干渉し、マジンガーZが勝利する未来を手繰り寄せるパワーじゃ。

 これを高次予測と組み合わせれば…言わずとも分かるな?」

 

「…なら、第7のパワー…それが、俺に教えられない物、なんだね?」

 

「………そうだ、第7のパワーの詳細………それをお前に教えれば、マジンガーZは忽ち第7のパワーまで開放し世界を………そしてお前を………」

 

 そして高次予測、因果律兵器と言うとんでも無く恐ろしいパワーを耳にし、コウジは高次予測についてはヴァルシオンとの戦闘中に見えたあの『無数の未来』がそれなのだと理解し、因果律兵器に関してはジュウゾウの封印措置なる物が働き開放される事は無かったとして安心し………しかし、同時に第7のパワー。

 これが自分には伝えられない物であると理解して敢えて口にすると、ジュウゾウやケンゾウは俯きながら肯定しつつ不穏な言葉を口にしていた。

 ………恐らく、第7のパワー………マジンガーZを正義の魔神から破壊の悪魔に変えると思しき物、その詳細を知れば自身が死ぬ。

 そんな結論に行き着いたコウジは2人の肩に手を回しながら抱き締め、自身が知れる範囲の情報を自分に教えてくれた2人に感謝していた。

 そんなコウジにジュウゾウは涙を流し、ケンゾウも申し訳無さから汗を何時も以上に流すのだった。

 

「………それでお祖父ちゃん、魔神パワーを搭載していないって事は構想はした事はあったんでしょ? 

 なら、それをマジンガーZから取り外す事も可能なんじゃない?」

 

「………コウジ、ワシ達はマジンガーZの内部に生えた7つの魔神パワー、そのブラックボックスを何度も何度も取り外しているんじゃ。

 だが、外した次の瞬間には再びマジンガーZに搭載されている事態に陥り………最早取り外す事は叶わん、ならば封印措置をして第7の魔神パワーが絶対に開放されない様に立ち回るしか無かったんじゃ…。

 そして、もしも第7のパワーが開放されたその時用の為に…ワシ達はマジンガーZのブラックボックスを解析し、魔神パワーを隅から隅まで理解し、それをコピーしてグレートマジンガーに搭載しようと試みておる。

 無論第7のパワーを除きだが………現在、ワシは第1から3、そして4と5を解析仕切りコピーに成功しておる。

 だが未だに第6のパワー、因果律兵器のブラックボックスは解析仕切れておらん。

 魔神パワーを構想した筈のワシの頭脳を以てしても、第6のパワーを解析するのは難航しておるのじゃ。

 じゃが、必ずやワシ達は第6のパワーも解析し…グレートマジンガーを第7のパワーまで開き切ってしまったマジンガーZの対抗策に仕上げるつもりじゃ」

 

「それを信じて、そして魔神パワーに溺れずに戦うのだコウジよ。

 それしか今は道が無いのだ…済まない、こんな無力な私達を許して欲しい」

 

 そして、魔神パワーは絶対に取り外せない謂わば呪いの装備と化しているとコウジは理解し、更にジュウゾウ達が第6のパワー、即ち因果律兵器の解析とコピーに成功する未来を信じてこれから来る脅威…エアロゲイターやスペースビーストとの戦いを魔神パワーに頼らず勝ち抜く使命を課せられたのだった。

 それにコウジは頷くと、3人は改めてマジンガーZの修理を行うのだった。

 幾らそんな危険な爆弾が仕込まれていたとしても、マジンガーZ自身の力はこれからの地球や人類の未来を護る為に必要な物である為、コウジはこのおっかない相棒とこれからも共に戦い抜こうと決意するのだった。

 ………そんなコウジの意志にマジンガーZは双眸を誰にも気付かれる事無く少し光り、そして双眸からオイルが涙の様にほんの少し漏れた事もマジンガーZの損傷が其処まで深かったとコウジ達に思わせながら、その躯体が修理されて行くのだった………。

 

 

 

 

 

 

───次元の狭間───

 

 

 

 

 一方その頃、光の国から使命を帯びたウルトラマンゼロはウルティメイトイージスを纏いながら次元の狭間を突き進んでいた。

 その中で徐々に強くなる因果の歪みを肌で感じ取り、改めて自分が挑むのはかつてのウルトラマンベリアル以上の脅威だと理解するのだった。

 

「さぁて、一体どんな奴が因果の歪みを生んでやがるやら。

 まぁ………どんな奴だろうが、俺を…俺達ウルトラマンを止められねぇって思い知らせてやるぜ」

 

 だがゼロはそんな未だ見ぬ強大な敵に全く臆する事無く闘志をギラつかせ、その目に決して折れぬ光を宿しながら次元の狭間を跳んでいた。

 そうしてゼロの目に幾つもの並行宇宙、マルチバース世界が流れて行くと遂にその目に決定的な『2つ』の世界………『今にも滅びそうな手遅れな崩壊寸前の世界』と直感で理解出来る片方と、其処から発せられる強い因果の歪みに巻き込まれて『影響を受けつつある世界』が映るのであった! 

 

「アレか!! 

 どうやら………片方は俺が行っても、もう滅びるしかない様だな………すまねぇ、俺達が遅かったばっかりに………。

 だが、もう片方はまだ無事の様だな………なら、そっちに向かって対になってる世界からの影響を遮断するのが先決か………これは俺だけじゃどうも足りねぇ、『ジード』や『ギンガ』達、それに下手すれば親父達の力も借りなきゃならねぇな…」

 

 更にゼロはこれは1人だけでは手が足りず、今の状態ではせめて無事な世界をもう片方の世界からの影響を遮断する程度の措置しか出来ないと判断し、応援を呼ばざるを得ないとしてウルトラサインを光の国へと飛ばそうとするのだった。

 ………だが、そんなゼロを嘲笑うかの様に崩壊寸前の世界から突如として自身を吸い上げる次元の穴が発生し、強烈な勢いでゼロを吸い始めるのであった!! 

 

「うおおっ!? 

 コ、コイツは…『ブルトン』よりも強い次元の歪み、だとぉ…!? 

 だ、駄目だ、これじゃウルトラサインも………うおああぁぁぁぁ………!!!!」

 

 そしてゼロはウルトラサインによる救援コールも出す事が出来ずに次元の穴に吸い込まれ、次元の狭間からウルトラマンゼロは姿を消し、更には『この世界の今の時間軸』から姿を消すのであった………。

 

 

 

 

 

 

 

───M78星雲・光の国───

 

 

 

 

 ウルトラマンゼロの反応が消失した、この事実は忽ち光の国へと伝わりウルトラ兄弟達はウルトラの父や『ウルトラの母』も交えて緊急会議を開いていた!! 

 更に光の国随一の科学者にしてウルトラ兄弟の末弟たる『ウルトラマンヒカリ』は、ゼロの反応が消失する直前のデータを洗い出し解析を行っていた!! 

 その結果、ゼロは突如として発生した次元の穴に吸い込まれたと言う所まで解析が進んでいた!! 

 

「…その世界に近付くだけで発生する次元の穴…それに吸い込まれゼロの反応が途絶えるとは…!! 

 ヒカリ、ゼロのその先の反応はまだ分からないか?」

 

「すまない………何度も解析しても、突然『この世界から消えた』としか言えない状態になってる………!! 

 恐らく、これは………!!」

 

「………それは、『ゼロがこの世界の時間軸を超え、2つの世界の内の片側の、何処かの時間軸に飛ばされてしまった』事を意味する………」

 

『っ、『ウルトラマンキング』!?』

 

 更にその会議に本来『キング星』から動かない筈の光の国のウルトラマン達を超える超人………ウルトラマンキングが混ざり、ゼロが消えた詳細を事細かく伝えていた!! 

 ウルトラマンキングすらも動いてしまう、そんな事態にゾフィーやウルトラセブンも戦慄し、されど次なる手を講じるしか現状は存在していない事も全員理解していた!! 

 よって、その情報を加えながら会議は進んでいた!! 

 

「………ならば、ゼロの代わりに直ぐに動けるウルトラ戦士を派遣するしか無い」

 

「そして今の段階で動けるのは………『ウルトラマンジード』と『ウルトラマンゼット』、更に『ウルトラマンタイガ』達『トライスクワッド』のみか………!」

 

「………ならば直ぐにタイガ達を派遣するしか無い、か………ヒカリ、直ちに待機中のタイガ達に此処へ来る様に連絡して欲しい」

 

 そして、現状で動けるウルトラ戦士は『ニュージェネレーションヒーローズ』の5人のみとタロウ達は認識すると、ウルトラ兄弟達はヒカリに指示して光の国に待機していた5人を会議に呼び寄せるのだった! 

 それから直ぐに緊急事態として呼び寄せられた若き戦士5人、特にウルトラマンゼットは詳細を確認すると、ゼロが消えたと言う事実に絶望感が胸を締め付けていた! 

 

「そ、そんな………ゼロ師匠………!!」

 

「………では、僕達がゼロの代わりに今直ぐその2つの世界に向かう必要があるんですね?」

 

「ああ、それもどちらも地球を中心に歪みが発生しているが………反応を見る限り、片側の世界は最早手遅れだ。

 よって我々は、もう片方の世界を何としても救うしか道が無いのだ…!」

 

 そして、ゼロが寸前まで確認していた片側は手遅れと言う情報も共有し、ならばせめてもう片方の世界に住まう多くの命を救う為に動くしか無いとジード達に指示し、ジード達も苦渋の決断としてそれを受け入れざるを得ずにいた! 

 

「………なら、ジード以外の俺達は先ず地球に向かう為には地球人に化けるか、或いは『ヒロユキ』達と融合してから向かうしか無いな」

 

「ゼット、しっかりするんだ! 

 ゼロは必ず生きてこの世界に帰って来る、それを信じ我々は行動するしか無いんだ!」

 

「ゼット、俺もゼロの事が心配だよ。

 けどゼロなら………『俺に構わず成すべき事を成せ』って言う筈だ。

 だからゼット、心を強く持ってその世界へ向かうんだ!!」

 

「タイタス先輩、タイガ先輩………くぅぅぅ………!! 

 分かりました………俺、『ハルキ』と融合してその世界の地球に向かいます!! 

 ジード先輩は次元の狭間に突入するのは俺達を待ってからにして下さいっ!!」

 

 それからジード、トライスクワッドは直ぐに気を張り直し、ゼットを鼓舞しながら前を向かせていた! 

 そうしてトライスクワッドは『工藤ヒロユキ』、ゼットは『ナツカワ・ハルキ』と融合し直してからその世界へ向かう事となり、4人のウルトラマンは共に戦った地球人の下へと向かい始めた! 

 なお、次元の穴が再び開く危険性を考慮してジードは次元移動手段である『ネオブリタニア号』を光の国で待機させ、先に変身を解除し『朝倉リク』の姿でネオブリタニア号内で待機するのであった…!! 

 

「(………これで良いのだな、マジンガーZERO、ゲッターエンペラー、そしてオーマジオウよ………)」

 

 そして………ウルトラマンキングはゼロが消えた原因たる存在………最終にして原初の魔神たるマジンガーZERO、ゲッターロボの果てたる虚無の皇帝であるゲッターエンペラー、全ての仮面ライダーの頂点に立つ魔王、オーマジオウの考えを読みながら光の国の空を見上げ、自身のキングレッドアイでその姿を捉えながら別の時間軸に飛ばされたゼロに超えるべき試練としてその場で思案するのであった…!! 

 

 

 

 

 

 

 

 

「流石はウルトラマンキング、私達の考えは読んでいる様だな」

 

今の段階でウルトラマンゼロを我らが監視している世界に降り立たせればその先が詰む。

 故に別の時間軸の『向こう側の世界』に降り立たせ、何が原因でこの事態が起きたのか知る必要がある…

 

『さてウルトラマンゼロ、我々が飛ばした先の世界で君は生き残り、『こちら側の世界』へと跳ぶ事が出来るのか見届けてさせて貰うぞ』

 

 そうして因果の果てにて………その中でもウルトラマンキングや伝説の超人『ウルトラマンノア』にしか理解出来ぬ因果地平の彼方にて、世界を片手間に滅ぼす事も新たな世界を生み出す事すらも可能な存在。

 マジンガーZERO、ゲッターエンペラー、オーマジオウの三者はウルトラマンノアに認められ、ウルトラマンベリアルと幾度も戦い抜いた若き最強戦士たるウルトラマンゼロに期待を寄せながら………されど非情なる試練を課しながらその動向を見守るのであった。

 全ては『終焉の魔神』による世界の『破局』を防ぐ為に………2つの世界に存在する『可能性の光』達や全ての可能性の存続の為に、今日も因果すらも捉えるその眼で2つの世界を見守るのであった。

 最も、『向こう側の世界』は既に『終焉の魔神』や獣達により崩壊寸前であるが、其処に生きる者達の選択を見守るのもまた彼等の仕事であるのだ…。




此処までの閲覧ありがとうございました!
本作の地球連邦軍は抗戦派閥が頑張ったお陰で量産型ゲシュペンストMk-IIを1500機まで用意出来ました…が、その大半はEOT特別審議会が差し押さえています。
ジャグラーが手見上げに持って来たキングジョーも秘匿されており、彼等が存在する限り地球側の戦力は完全に整う事が出来ません。
…但し、EOT特別審議会がツケを払う時は近いのでその問題は直ぐ解消されるでしょう(但しキングジョーのカスタマイズは間に合わない)。
またウルトラマンゼロは『こちら側の世界』にストレートに来る事が出来なくなりました。
そんなゼロが吸い込まれた先には何があるのか…L5戦役終結後にその辺りを描きますのでお楽しみにです。

次回もよろしくお願い致します!
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