スーパーロボット大戦OG 魔神伝   作:”蒼龍”

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皆様おはようございます、第25話目を投稿致します。
これはリアル事情が酷くなる前に何とか書き上げた物になります。
なので前回の後書きにてお知らせしたリアル事情はこれからあるので正確には今回から亀更新がもっと亀更新になります。
さて、今回は前回あるべきシナリオ後デモとその次の戦闘マップまでが詰め込まれた話になります。
そして今作のオリジナル展開が…?
では、本編をどうぞ!


第25話『毒蛇の牙』

 ハガネの食堂にて、リューネがヴァルシオーネから降りるとツルギやコウジを初めとするハガネ組に囲まれた後大事な話として此処に連れられていた。

 なお、食堂には連結連絡路を通ってヒリュウ改組のメンバー…オクト小隊+ラーダがおり、そちらとも挨拶を済ませ名前を把握した後その話…ビアン生存説を口にしていた。

 

「…と言う事で、俺達は確かにビアンを打倒してDC戦争を連邦の勝利に導いたが、ビアンが初代ゲッターチームの手で救出され、生きている可能性があるんだ。

 これが俺達の伝えるべき大事な話だ、リューネ」

 

「うっそだろおい、敵の親玉が生きてるなんて…!!?」

 

「………そう、親父が………。

 ありがとう、それを伝えてくれて。

 後で何で連絡を寄越さないんだって親父をぶっ飛ばせる様になれるかもね」

 

「(リューネ…やっぱ死んでたと思ってた親父が生きてるかもしれないって知れば嬉しいよな)」

 

 ヒリュウ改組はまさか総帥ビアンが初代ゲッターチームの荒業で生きているかもしれないと聞かされ、特にカチーナはこの事実に衝撃を受けていた。

 一方リューネはビアンが生きてる可能性がある事を知り、口ではぶっ飛ばせると言いながらも目尻に涙が溜まっており、それを見たマサキはその気持ちに寄り添っていた。

 もしも自身もラ・ギアスで剣技を習った養父にして師である『ゼオルート・ザン・ゼノサキス』がもしも生きていたら………そう考えれば分からなくない想いであるからだ。

 

「さて、話は代わるがタスク、お前が救出した敵パイロット、凄い美人だってな?」

 

「チェック早いッスね。

 実はそうなんですよ。

 あ、でも…一番最初に彼女をお茶に誘う権利は俺が貰いますよ」

 

「ちぇっ、だったら俺が助けときゃ良かったな「………リン・マオ」ヒェ、ヘビクラ中佐いきなりボソッと囁かないでくれ!!」

 

 そんな中でイルムはタスクが助けたレオナが美人と言う情報を聞き、お近付きになろうとした所でヘビクラが彼の耳元でリンの名前を出してビビらせていた。

 一方ヘビクラは趣味である盆栽を食堂に持ち込んで枝の剪定をしていた。

 …その盆栽している物がかつて自身が訪れ、ガイとジャグラーの道が決裂するきっかけとなった『王立惑星カノン』に生えている命の樹、その若木である事を知るのはクレナイと、丁度休憩で格納庫から食堂に来ていたバレルのみである。

 その後ろではタスクからブリットに投げられた会話のドッチボールがエクセレンに拾われ、弄られている真っ最中だった。

 

「で、その助けられた子って確かライの従姉妹なんだろ、エクセレン少尉?」

 

「耳が早いわねコウジくん、その通りよん」

 

「となれば…ブランシュタイン家の従姉妹である彼女もまたエリート、となれば当然英才教育を受けている事だろう。

 そうなればトロイエ隊へと配属される実力が付くのも当然、と言う事か」

 

 その脱線し始めた話をコウジが元の着地点に戻すと、レオナの素性を聞きクレナイは成る程と関心しつつその英才教育を物にしエリート部隊へと配属されたレオナの資質を高く買い始め、彼女が今後エアロゲイターとの戦いで共に並び立つ事になれば心強いとまで感じていた。

 

「あ、そう言えばエクセレン少尉、お前ヒリュウ改に居たんだろ? 

 DC戦争の時確かマオ社を守ったとかそんな戦果を上げてたよな? 

 なら、リン・マオも知ってるだろ?」

 

「モチのロン、マオ社のシャッチョーさんね」

 

「うっ、アイツと会ってたのか…俺の事、何か言ってなかったか?」

 

「うーん…。

 聞かない方が良いかも」

 

「お、おい! 

 そりゃどう言う意味だ!?」

 

「【ドン、パチッ!】あっ!? 

 あ〜…」

 

 其処から更にヘビクラが話を脱線させてリン・マオの話をさせるとイルムはエクセレンに聞かない方が良いかもと言われて詰め寄ってしまい、その際にヘビクラの背中にぶつかってしまう。

 その際にヘビクラは誤って別の枝を剪定してしまい声を上げてしまい盆栽をいたわり始めていた。

 

「ふふ、やっぱり此処に来て正解だったよ。

 じゃ、あたしとヴァルシオーネはあんた達の力になるから今後もよろしくね!」

 

 そんな食堂の様子を見てリューネは笑みを溢し、そして自身とヴァルシオーネが力になると話せばマサキやコウジ、タスク達も笑みを浮かべて歓迎したのだった。

 但しカチーナは微妙な空気を纏わせており、彼女とリューネが打ち解けるのはまだまだ先になりそうであった。

 

 

 

 それから格納庫にて、ジュウゾウや休憩が終わったバレル、更にコウジとタスクがリューネの許可の下でヴァルシオーネを調べており、其処にリュウセイとラトゥーニが訪れていた。

 

「おっ、早速ヴァルシオーネを整備してんのか! 

 いや~、コイツは何度見ても可愛いよなぁ!」

 

「でしょ。

 親父が私にヴァルシオンをプレゼントしようって言ってたんだけど…あんまり見た目が趣味じゃないから可愛い女の子のロボットが良いって言ったら作ってくれたんだ」

 

「娘に自分の傑作を好みじゃないって言われたビアン博士の心中は如何に…。

 でもヴァルシオーネ、見た目は確かに可愛い女の子型ロボットだけど、中身は間違いなくヴァルシオンの同系列って事が良く分かるよ。

 特にディバイン・アームやクロスマッシャーが共通点として目立つ装備だな、本当に良く出来てるよ」

 

「この見た目でヴァルシオン並のハイスペックロボとか、色々ヤベェよ。

 しかもサイフラッシュみたいなMAPWも搭載、非の打ち所がねぇよ…何この技術者泣かせのロボは?」

 

 リュウセイが話を振れば、コウジとバレルがヴァルシオンとの共通点や性能を口にし、それぞれ忌憚無き言葉を口にしていた。

 が、まさかこんな見た目のロボがヴァルシオンに負けず劣らずのロボである事にリュウセイもビックリしており、せめてもの救いはメガ・グラビトンウェーブが搭載されていない程度の物であった。

 

「………リュウセイは、ああ言うのが好みなの?」

 

「うん? 

 そりゃ可愛いロボは好みだぜ。

 完成されたデティール、無骨なロボとは違う華やかさや線の細さかとかな」

 

「あ〜、リュウセイの言ってるのはアレだ、クロスマッシャーやサイコブラスターを使う時みたいなカッコいいポージングとかをするのに映えるって言いたいのさラトゥーニ」

 

「そうそう!」

 

 一方ラトゥーニの質問にリュウセイはまたしてもヴァルシオーネを可愛いと言うと、コウジが横からリュウセイが何に惹かれてるかを教えると、ラトゥーニは何処か安心した様な………しかし、矢張り何処か複雑と思う心があったのだった。

 

「で、あのレオナって子のガーリオンはまだ直せば使えるよねお祖父ちゃん?」

 

「うむ、駆動系やらがイカれていないのが幸いしておるのう。

 これならば修理すれば思う存分に飛べるぞい」

 

「あ、なら俺も手伝わせて下さい! 

 レオナちゃんのガーリオン、俺が直してやりたいッス!」

 

 次にレオナのガーリオンを直せるか否かの話になれば、ジュウゾウ達の見立てでは直せば動くとの太鼓判がありタスクも名乗りを上げて修理作業に参加するのだった。

 どうやらタスクは本気でレオナに惚れ込んでおり、行動でそれを示す様子であった。

 更に艦長室ではレオナがハガネ・ヒリュウ改部隊に力を貸す事をダイテツ達より打診され、それを受け入れたり、カチーナがイングラムやヘビクラに直談判した結果R-GUNに搭乗する事を許可されたり、そのついでにイングラムとヘビクラがラーダのヨガの餌食になったり等の出来事があった。

 が、それよりもマサキとリューネの2人を戦艦内に散歩させた事でマサキの方向音痴が発動し、リューネと共に迷子になる事態が起き掛けたのでリュウセイとコウジ、更にマスターテリオンとエセルドレーダが急いで2人を探し出すと言うちょっとした騒動もあったのだった。

 

 

 

───南米ペルー沖───

 

 

 南米ペルー沖にて、エルザムが食材を入手してクロガネに戻った直後、エルザムやテンペスト、ビアン達はエアロゲイターの『レビ・トーラー』と名乗る者が地球全土の降伏と30日の猶予の機会を与える降伏勧告を聞き届けた後、次のクロガネの行動先を考えていた所で緊急の暗号通信が艦橋に入っていた。

 

「緊急暗号通信………内容は?」

 

「はい………『アードラーの指令で伊豆基地の蛇が動く、シャイン王女の身柄確保が目的』との内容です」

 

「何…!」

 

 その内容は伊豆基地の蛇、即ちスパイが動き出す事、目的もシャイン王女を狙った物だと言う内容だった! 

 その内容にエルザム達の目は険しくなり、いよいよアードラー派がジュネーブ、その次に連邦軍の統合参謀本部を攻め落とし世界征服を成そうとするべく行動を起こした事を示していた! 

 更にテンペストはあのビルトラプターのパイロット、ラトゥーニと同世代のシャイン王女が予知能力を持っているとは言え、あんな若い戦争と無縁の少女が巻き込まれる事に憤りを覚えていた! 

 差異次元と異なりこの世界のテンペストは俯瞰的に自身を顧みて冷静な判断が出来る様になっており、それにより娘のレイラが生きていたら同じ位になっていた………そんな若い子を戦争に利用する事を是としていないのだ! 

 

「テンペスト少佐、今から君が動こうとも恐らくは間に合うか間に合わないかの瀬戸際だ。

 それでも………君は、シャイン王女を救いたいか?」

 

「ビアン………」

 

「総帥………私は………私は、確かにDCに忠誠を捧げ、この身を粉にして地球圏を異星人より守り抜くと誓いました。

 しかし………ヘビクラ達に、俺の友達に言われて気付きました………復讐に囚われ過ぎてた俺は、過去に縛られあのラトゥーニと言う若い子の命すら奪おうとしていたと。

 アンナとレイラの居ない未来など守る気が無かったとも………! 

 しかし、今は………今は、少しは頭が冷え、復讐心はこの身に残れどシャイン王女の様な戦争と関係無い子供が争いの道具として利用されるなどあってはならないと、漸く頭で理解しました! 

 だからこそビアン総帥、サオトメ博士、Dr.ヘル、エルザム、俺は………伊豆基地へ向かう!!」

 

 そうしてテンペスト・ホーカーは此処に来て漸く復讐心に囚われ過ぎた心が地球圏やあたら若き子供達の未来を考えるレベルまでの平常さを取り戻し、ビアン達に自身の考えを告げた後間に合わずとも伊豆基地へと向かうとまで宣言していた! 

 その魂の叫びを聞き届けたビアン達は………全員頷き、Dr.ヘルとサオトメ博士はテンペストのガーリオン・カスタムの整備と行き限定の特注ブースターとプロペラントタンクの取り付け作業に入り、ビアンもエルザムに許可を出し、艦長のエルザムはクロガネのクルー達を見渡しながら声を上げた!! 

 

「全クルーへ、これよりクロガネは伊豆基地の防衛ラインギリギリまで接近し、テンペスト少佐のガーリオンを出撃させる! 

 メインエンジン点火、面舵回頭急げ!」

 

「エルザム、ビアン総帥…!!」

 

「テンペスト少佐、我が友よ…貴方の魂の叫び声を我々は聞き届けた。

 流石にクロガネの位置を知られるのは拙いので単独で向かって貰う事になるが、最善を尽くす事を約束しよう!」

 

「…済まない!!」

 

 そしてテンペストは未だに友と呼んでくれたエルザムやビアン達の心意気に感謝しながらガーリオン・カスタムへのコックピットへと向かい、出撃準備を整え始めた! 

 今から間に合うか、間に合わないか、それは神のみぞ知るがそれでも動かない訳には行かない………テンペストは全神経をシャイン王女を救う事に注ぎながら、DC戦争時よりもスッキリとした目で前を見据えながら操縦桿を握り締めるのであった…!! 

 

 

 

───地球連邦軍極東支部・伊豆基地───

 

 

 

 伊豆基地の格納庫にて、整備士達はカイ少佐のゲシュペンストMk-IIを含めた機体の整備をしていた。

 その中にはテスラ・ライヒ研究所から出向して来たミストも当然居り、せっせと駆動系やモーターの摩耗チェックを終えて次は戦闘機を整備しよう………としていたが、1機のタウゼントフェスラーに目が移り、そちらが気になっていた。

 

「お~いミスト、どうした〜?」

 

「あ、すみません、あのタウゼントフェスラーは何ですか? 

 見た感じ何時でも離陸出来る様になってるみたいですけど?」

 

「ん? 

 え~と………あれ、タウゼントフェスラーの離陸予定表なんてウチに届いてないぞ? 

 可笑しいな、極秘任務でも必ず整備して離陸可能状態にしろって命令は届く筈なのに………」

 

 そうしてミストから飛んだ質問に伊豆基地の整備士がチェック表を確認し、ともすればタウゼントフェスラーの離陸予定など一切報告が上がってなかった。

 整備士は他の者にも聞くが誰もが知らぬ存ぜぬで何ぞこれ? と疑問符が頭に浮かんでいた。

 そうしてミストは深く考え始めると………『向こう側』にて『恩人達』より齎された情報と照らし合わせた結果、あのタウゼントフェスラーの正体と今はDC戦争後、更にホワイトスター出現後と言う『時期』が重なり、それが今かと答え合わせをすると慌てて行動を開始する! 

 

「皆さん、あのタウゼントフェスラーに誰も近付けないで下さい! 

 俺、何か怪しい予感がするので基地内を巡回して来ます!! 

 良いですか、相手が誰であろうと近付けさせないで下さい!!」

 

「あ、おいミスト!!」

 

 それからミストは整備士達の制止を振り切りつつ、タウゼントフェスラーに誰も近付けるなど忠告を入れると伊豆基地のある場所………シャイン王女が匿われている一室に向かい始めた! 

 そう………向こう側で得た情報、伊豆基地からシャイン王女が誘拐され、自分がそれに関わり僅かに時間を稼いだと言う話をタイムパラドックスを起こさぬ様にするべく行動を開始したのだ! 

 そしてミストの身体能力は『アトリーム防衛隊』、更に地球に転移後は『シャドウミラー』にて隊長達に鍛え上げられており、一般兵程度ならば無駄無く鎮圧が可能なレベルまで高いので、『人質を救い出しながら裏切り者を制圧する』など朝飯前であった! 

 

 

 

 

 そうしてミストは単独でシャイン王女の身柄を確保しようと行動を開始し、通路を走っている途中でシャイン王女とジョイスが一般兵とハンス・ヴィーパー中佐に囲まれながら歩いている様子を通路の陰に隠れながら確認する。

 しかも………護衛にしては一般兵はサイレンサー付きのアサルトライフルをジョイスに向けて、ハンスは同じくサイレンサー付きのハンドガンをシャイン王女に向けており、見るからに人質であると言う事が伺い知れていた。

 

「………すぅ~、はぁ~………。

 よし、1、2、3!!」

 

【バッ、トトトトトバキッ、ドガッ、ドガッ!!】

 

「な、何だ!?」

 

 ミストは一呼吸入れた後、己の格闘術で先ずはジョイスの周りに居た兵士達を制圧、更にシャイン王女も救おうとした………が、残りの兵士とハンスは直ぐに状況に対応して銃をジョイスへと向けて放とうとした為、ミストは彼の安全の為にその身を抱えて通路の物陰へと走り、無傷でジョイスだけでも救出が出来たのだった! 

 

「あ、貴方は一体!?」

 

「何か可笑しい輸送機があったのでちょっと見回りをしてたテスラ研のミスト・レックスです! 

 けど………くそ、あの人数じゃやっぱり1人を救い出すのがやっとだった! 

 後は整備士の皆が止めてくれたら良いけど、ハンス中佐が人質を取ったら通しちゃうよな…!! 

 あの、貴方を安全な所に誘導しますから「いえ、私の身よりもシャイン王女をお救いしなければ!!」…ですよね~、分かりました、ならアイツ等の後を追いましょう!! 

 行き先は格納庫のT5です!!」

 

 ミストはジョイスに触りだけでも説明をして見回りをしていたら偶然と言う体で話を進めていた。

 しかし………矢張り『恩人達』の言う通り人数差でシャイン王女まで手が回らなかった事に自身の力量不足を感じ、もっと訓練しなければと考えながら、シャイン王女を救いたいと願い出るジョイスと共に輸送機T5がある格納庫へと向かい始めた! 

 それから辿り着いた頃には既にT5は離陸態勢に入っており、整備士達が苦虫を噛み潰した表情でそれを見つめていた! 

 

「あの、ハンス中佐は!?」

 

「すまねえミスト! 

 何とか時間を稼ごうとしたんだが、王女様を人質に取られてT5の中にみすみす………!!」

 

 どうやら整備士達もミストの忠告を聞き届けてハンス中佐達の行動を妨害しようとしたらしいが、矢張りシャイン王女を人質に取られてしまい中に通すしか選択肢が無かったらしかった! 

 そして、獅子身中の虫達が乗り込んだT5は格納庫から出ると離陸し始めるのであった…!! 

 

 

 

 

 

 

第25話『毒蛇の牙』

 

 

 

 

 ハンスの命令で警戒レベルがDまで引き落とされた伊豆基地にて、T5が離陸し基地からの離脱を図ろうとしていた。

 其処にカイが乗り込んだゲシュペンストMk-IIと戦闘機が出撃し、輸送機に通信を行っていた! 

 

「ゴースト1よりT5へ! 

 直ちに停止せよ!!」

 

「そうは行かん。

 人質の命が惜しければ、私の邪魔をするな」

 

「人質だと!?」

 

「降ろして! 

 私を何処へ連れて行くつもりなの!? 

 ライディ様ぁっ!!」

 

 そうしてサカエ参謀やカイ、戦闘機のパイロット達はT5の中には人質としてシャイン王女が居る事をその叫び声で理解し、ハンスは何をしていると困惑していた! 

 更にハンスはカイの暑苦しい顔も見納めと言う言葉を発した瞬間、警戒レベルDまで引き下げられた基地のレーダーが漸く接近して来た所属不明機を確認した! 

 その直後、戦闘機は落とされ迎撃機が収められた格納庫が大破し機体の発進が不可能になった! 

 なおこの時整備士とミストは何とか無事であり、その接近して来た所属不明機を瞳に映していた!! 

 

「あれは、DCの残党!!」

 

「すると、ハンス中佐が警戒レベルのランクを下げさせた理由は…」

 

「奴等をこの基地へ導く為か! 

 おのれ、よりにもよってDCと内通していたとは…許せん!!」

 

 そうしてミストやサカエ参謀、カイが憤りを見せる中、1機のガーリオンからT5へ通信が入る。

 その人物はアイドネウス島決戦でビアンのDCに見切りを付けたトーマス・プラットその人であった! 

 

「首尾はどうだい、ハンス・ヴィーパー?」

 

「アードラーの依頼通り、シャイン王女の身柄は確保した」

 

「グッド! 

 これで例のお宝は頂きだな」

 

「…トーマス・プラット少佐だったな? 

 上官に対しては敬語を使って貰おうか」

 

「スパイ風情が偉そうな口を利くんじゃねえよ。

 こっちは態々日本くんだりまで迎えに来てやってんだ。

 プリンセスさえ手に入れば、あんたなんざどうなったって良いんだぜ?」

 

「貴様…!」

 

「まあいい、あんたの逃げ道だけは確保してやる」

 

 ハンスはトーマスの口振りにピキリと青筋が立ちそうになったが、トーマスの言う事も一理あり、ハンス風情がどうなろうとシャイン王女さえ確保出来ればそれで良いのだ。

 にも関わらず逃げ道だけでも確保してくれるのは破格の扱いだった為、ハンスはこれ以上の口答えが出来ずT5を前進させる命令を出したのだった。

 一方カイはサカエ参謀からハガネとヒリュウ改が間もなく基地へ帰還すると伝えられ、その場を何とか持ち堪えさせつつT5の行動を止めようとしていた! 

 

「(しかし………この数、敵を撃破出来てもT5は止められん。

 おのれ、ハンス中佐…!!)」

 

「………これは、サカエ参謀、基地に更に接近中の機体あり! 

 識別コードは………DCです!」

 

「何っ!? 

 此処に来て更に増援が来るのか!!」

 

 その時、警戒レベルのランクを何とか元に戻しつつあったオペレーターから更にDC機が接近して来たと報告があり、サカエ参謀はDC残党は其処までしてシャイン王女を確保しようと必死になっていると思いながら戦域に侵入した機体を見つめる。

 果たしてその機体は、行き限定のブースターとプロペラントタンクをパージして武装を構えた1機のガーリオン・カスタムであった! 

 

「あん、その機体………あんた、テンペスト少佐だな? 

 クロガネと一緒に行方を眩ませたあんたが何で此処に居やがる?」

 

「何、テンペストだと!?」

 

「………貴様等、戦争と関係無いあたら若き者を人質に取り、自身等の野望を叶えんとするとは………!! 

 貴様達にDCの名を語る資格は無い、此処で朽ち果て、シャイン王女を返して貰おう!!」

 

「何ィ!?」

 

 するとテンペストは近くに居たリオン等をバースト・レールガンで撃破しながら伊豆基地上空に接近し、T5を確保しようと機体を動かしていた! 

 しかしトーマスは直ぐにその道を阻み、2人が戦闘態勢に入るのだった! 

 

「テンペスト、何のつもりだ!?」

 

「カイ………俺は、確かにDCに忠誠を誓い、アンナとレイラの復讐を果たそうとはしたが………こんな事を許す為に連邦軍に銃口を向けた訳では無い!! 

 今更ではあるがシャイン王女は何としても救い出す、力を貸して欲しい!!」

 

「………了解だ、シャイン王女を救いたいと言うならば俺も共に戦ってやる! 

 だが、後で必ず1発殴らせろよ?」

 

「ああ、勿論さ」

 

 カイとテンペストは短く通信を交わすと、互いに目的は同じくシャイン王女の救出、即ちT5の確保であるので元教導隊同士で連携し伊豆基地襲撃部隊と戦闘を開始していた!! 

 しかし矢張り数が多過ぎるのか上手くT5に近付けず、テンペスト機もトーマス機に執拗に狙われていた!! 

 

「テンペスト少佐、てめぇ裏切りやがったな!!」

 

「裏切ったのは貴様等の方だ!! 

 ビアン総帥のDCならば、シャイン王女の様な者を人質に取るなどあり得なかった!! 

 だが貴様等アードラー派は卑怯にもリクセント公国を襲撃した挙句、今尚もシャイン王女を戦争の道具として利用しようとしている!! 

 そんな者共を、俺は許さん!!」

 

「黙りやがれこのロートル野郎が!! 

 だったらそのくだらねぇ正義感を燃やしながら此処で死にな!!」

 

 そうしてテンペストとトーマスは戦闘を行い、同じガーリオン・カスタムで空中戦が繰り広げられていた! 

 …が、その軍配は矢張りと言うべきか、本来の自身を取り戻しつつあるテンペストの技量がフルに発揮され、トーマスのガーリオン・カスタムを一方的に追い詰めつつあった!! 

 トーマスはあのカイと言う男や自身に屈辱を与えたヘビクラと言いこのテンペストと言い、元教導隊の連中はどいつもこいつも自身を超えてると感じながら冷や汗を掻き始めていた!! 

 一方カイのゲシュペンストMk-IIも上手くリオン等を捌きながら撃破していた!! 

 しかし、T5は変わらず前進して行き………遂に戦闘空域離脱ラインまで到達してしまう! 

 

「これより本機はこの空域から離脱する」

 

「くっ!! 

 間に合わなかったか!!」

 

「おのれ、ハンス! 

 裏切り者めがっ!!!!」

 

「(よし、これで今回のビジネスは終わりにさせて貰うとするか。

 元教導隊の連中もそうだが………今の戦力でハガネやヒリュウ改と戦うのはナンセンスだからな )良いか、てめぇ等は残って基地を破壊しろ!」

 

 そうしてT5は離脱し、そのドサクサに紛れてトーマスも部下に基地破壊命令を出しながら離脱して行くのだった! 

 この時カイとテンペストの怒りは頂点に達しており、向かって来る敵を反撃で落としつつ2機だけでも基地を防衛し切れる程の活躍振りを見せていた!! 

 これこそが本来の元教導隊の力であり、そんな者が2人以上連携すればそれだけでも一騎当千の力となるのだ! 

 そうしてテンペストとカイの連携で基地の防衛が保つ中、遂にハガネとヒリュウ改が伊豆基地上空に到着したのだった! 

 

「参謀、シャイン王女は?」

 

「も、申し訳ありません…。

 ハンスに連れ去られました…」

 

「そ、そんな…! 

 間に合わなかったのですね…」

 

「くっ………!」

 

「………おい、何でDCのテンペスト・ホーカー少佐がカイ少佐と一緒に戦ってるんだ!?」

 

 ハガネ・ヒリュウ改部隊の面々はそれぞれ悔しさを滲ませていたが、そんな中でコウジはテンペストがカイと共に戦い伊豆基地を防衛している事に驚き、他の面々もそれに気付き驚いていた。

 するとテンペストより通信が入る。

 

「ハガネ・ヒリュウ改へ、此方はテンペスト・ホーカー少佐。

 ハンスの蛮行を阻止しようとしたが………済まない………」

 

「………テンペスト少佐、取り敢えず聞くがお前は敵なのか? 

 それとも味方か?」

 

「俺は異星人の敵…そしてアードラー達DC残党を名乗る愚か者達の敵だ。

 信じてくれとは言わん、だが…せめてシャイン王女の救出に力を貸させて欲しい…!!」

 

「…ダイテツ中佐、レフィーナ中佐、今のテンペストの言葉は信用出来る。

 アイツのガーリオンのシグナルを味方登録してくれ」

 

「…良かろう、テンペスト少佐を味方として数える」

 

 通信の先に居るテンペストの目はDC戦争時の復讐心で満ちていた頃よりも幾分か透き通っており、復讐心その物はまだあるがそれでも冷静な判断が出来るとツルギやヘビクラ達も確認していた。

 それによりテンペストはハガネ・ヒリュウ改側から味方判定を貰うのだった。

 そうしてツルギ達も出撃して元教導隊組が5人揃い、それぞれがDC残党に睨みを利かせていた! 

 更にその後ろから続々とハガネ・ヒリュウ改部隊が出撃し、伊豆基地防衛に当たり始めていた!! 

 

「くそ、ハンスの野郎!! 

 DCのスパイだったのかよ!!」

 

「その上女の子を誘拐するなんて…アードラー達は地に落ちたものだね!」

 

「…だがこれでハンスの一連の行動の理由が分かったな。

 ビルトラプター墜落事故もあの頃連邦軍に単独飛行が可能なPTを渡したくなかったんだろうな」

 

「それでキョウスケはとばっちりを受けたのね」

 

「…ならば、そのツケは返させてもらうだけだ。

 今は伊豆基地の防衛を優先するが…ハンス・ヴィーパー…あの男とのケリは必ず付ける。

 俺なりの流儀でな…!」

 

 そうしてリュウセイ達を始め多くの者がハンスへの怒りを滲ませながらリオン、バレリオン等を撃破して行き、中でもビルトラプター墜落事故に巻き込まれたキョウスケはかなり頭に来ており、これまでツケられた物を全て返さねば気が済まない所まで来ていた! 

 そうしてイングラムやイルム、コウジやマサキ、カチーナやラッセル達も奮戦する中、元教導隊組の連携は凄まじかった。

 ヘビクラが動けばクレナイがアシストし、カイの後ろを狙う者が居ればツルギが仕留め、テンペストが切り込めばフリーになった者が追撃を行うと言ったPTのモーションやTC-OSの基礎を作り上げた者達の阿吽の呼吸をDC残党達に見せ付けていた。

 そうして、伊豆基地はハガネ・ヒリュウ改部隊やカイ、テンペスト達の奮戦もあり防衛が完了するのであった…!




此処までの閲覧ありがとうございました!
テンペスト少佐はアードラー派と合流しなかったので此処でハガネ・ヒリュウ改部隊に合流となります。
因みにクロガネは警戒レベルDランクまで下げられた伊豆基地のレーダーでは探知出来なかったのでまた行方知れずになります。
そして………ミストの素性を此処でしれっと明かしましたが、ミストのOG1での活躍は此処で終了予定です。
さて、策士(失笑)さんと共に毒蛇さん(失笑)もコウジ達ヘイトを買ったので多分碌な目に遭わないでしょう………。

次回もよろしくお願い致します、感想等もお待ちしております!
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