スーパーロボット大戦OG 魔神伝   作:”蒼龍”

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皆様おはようございます、第27話前編を投稿致します。
今回は原作からかなり異なる話になるので、サブタイトル自体は一緒でも起こる事が全て一緒にはなりません。
特にテンペスト少佐関連とか。
それ等を踏まえて今作のジュネーブ前の話をご覧下さいませ。
では、本編へどうぞ!


第27話『ゲイム・システム(前編)』

───アースクレイドル───

 

 

 

 

 此処はアースクレイドル、プロジェクト・アークと言う人類と言う種を万が一の時の為に保存し、先の見えない未来に願いを託すと言う理念から生まれた大規模人工冬眠施設である。

 その内部の第3管制室にてアードラー達とリリーが合流し、ジーベルが此処に辿り着けなかった…即ち戦死した事実が伝わっていた。

 

「…ジーベルめ、戦死しおったか。

 フン、所詮奴は小物…惜しくは無いわ」

 

「………」

 

「(良く言うぜ、アンタもそうだっての)」

 

「…ジュネーブ攻略作戦の準備は整っているのか?」

 

「無論じゃ。

 貴様が連れて来たシャイン王女、そしてあの機体が完成すれば…ワシが世界の主権を握る日も近い…フヒヒヒ…」

 

 だが、リリー以外はジーベルの戦死を重く受け止めておらず…会話はアードラー派の最大目標の1つであるジュネーブを墜とす作戦の話題に移っていた。

 当然アードラーには自信があり、シャイン王女と自身の作り上げた『ゲイム・システム』と呼ばれるマン・マシン・インターフェースと秘密兵器、この3種が揃ったその時が全てを支配する日が来ると確信していた。

 そして、このアースクレイドルの兵器開発プラントを使用する事で秘密兵器の完成が迫っていたのだった。

 

「なぁ爺さんや、例の量産型の1号機か3号機…俺に回せや」

 

「何じゃと?」

 

「2号機は渋々このハンスっつうスパイ野郎に回す事になったって知ってんだぜ。

 だから、俺にも残りの機体をくれよ。

 それで奴等を皆殺しにしてやるっての」

 

 そんな中、テンザンは秘密兵器たる『量産型』の残りを回せとアードラーに要求していた。

 本来差異次元では2号機はテンペストが乗る事になっていたが、この世界ではそんな事が起きなかった為アードラーは本格的なパイロット経験の無いハンスに『これがあれば素人でも絶対に死なないし敵を撃破出来る』と謳い文句を付けて2号機を回したのだった………正規軍人の被験体(モルモット)が欲しい為に。

 次にアードラーはテンザンの様な者がゲイム・システムにどれだけ耐えられるかを確かめたかった為、少し思考した後にその悪魔の返答を口にしていた。

 

「良かろう、お前に3号機を与えてやろう」

 

「ホ! 

 任せろ!」

 

「ハンス、リリー…お前達はDCに参加して日が浅い。

 ハガネとヒリュウ改を阻止する事で、我々への忠誠を示して貰うぞ、良いな?」

 

「…分かっております」

 

「了解だ…」

 

 そしてアードラーは自身が思い描く世界征服を実現すべく、リリーやハンスにも命令を回してハガネとヒリュウ改と言うこの世界で有数の戦力を保有する部隊の打倒ないしジュネーブ攻略作戦の際に邪魔立てされぬ様に時間稼ぎをさせる命令を下したのだった。

 その中でリリーもまた………己の使命を果たす為に今は沈黙と承服の姿勢を見せるのであった。

 

 

 

 

 

 一方兵器開発プラント管制室にて、ゼンガーはグルンガスト零式を修復完了を見届けた後、アースクレイドルの責任者である『ソフィア・ネート』博士と会話し、互いに少し平行線であったものの…ソフィアはゼンガーに確かな責任感、そして揺るがぬ使命がある事を知り、更にアースクレイドルが戦場にならぬ様にすると言う言葉まで贈られたのだった。

 これがゼンガーとソフィアのファースト・コンタクトであり、そしてソフィアの中でゼンガーと言う漢が如何なる者なのかと刻まれた時であった。

 

「ハロー、アースクレイドルの責任者さんと武人さん?」

 

「っ、誰ですか!?」

 

「…貴様はジャグラスジャグラー、どうやってこのアースクレイドル内部に侵入した?」

 

 其処に何とジャグラスジャグラーが乱入すると言う想定外が発生し、ゼンガーはソフィアを庇いながら手持ちの刀に手を掛け抜刀しようとしていた。

 そんな2人を余所にジャグラーは自身の目的を果たす為に2人に言葉を投げ掛け始めた。

 

「ナイトレイダーからの情報だ、タクラマカン砂漠にビースト振動波が検知されて調査したが…『何も無かった』らしいぜ?」

 

「…戦死者の遺体すら無かった…と言いたいのですか、貴方は?」

 

「そう言う事だ。

 それに、連中の話では一瞬妙なエネルギー反応が検知しちまったって話だ。

 このアースクレイドルに居てマトモな連中に忠告する為に俺はやって来たって訳さ。

 まっ、少し気にしとけや」

 

「…メッセンジャー、と言う訳か。

 アースクレイドルの警備システムを抜けた理由は…恐らくナイトレイダーに居るとされるツカサ・カドヤの力か。

 ………承知」

 

「んじゃ、俺は俺のやる事をやる為に帰るぜ。

 あばよ、ゼンガー・ゾンボルト」

 

 ジャグラーはゼンガーが先程まで居たタクラマカン砂漠に戦死者の遺体が消えた事や妙なエネルギー反応と言う物、更にビースト振動波と言うキーワードとそれにより何かがあると言う忠告を入れると、ツカサ・カドヤが開いたオーロラカーテンの中へと消えて行ったのだった。

 ゼンガーはジーベルの死体すら消えた事に言い知れぬ予感を持った為、それをリリーにも伝えるべく動いたのだった。

 更にソフィアもプロジェクト・アークの同志である『イーグレット・フェフ』博士にもこれを伝えるべく互いにその場から離れたのだった。

 

 

 

 

 

 

「これで俺のアースクレイドルでの役目は終わりっと。

 サンキューな、仮面ライダーディケイド」

 

「連邦軍、しかもハガネ・ヒリュウ改側に居るお前があのゼンガーと言う男に忠告を入れる為にこの忠告をしに来た俺を利用するとはな…。

 それ程ゼンガーと言う男は重要な奴なんだな?」

 

「ああ、そしてソフィア博士もな。

 何方も地球に必要な奴等だ、ならお前等があの戦闘直後に俺達に伝えた事…それを彼奴等にも伝えるのは吝かじゃないって奴さ」

 

 一方アースクレイドルの外でジャグラーとツカサが会話していた。

 実はタクラマカン砂漠の戦闘から1時間後、ハガネ・ヒリュウ改にツカサが現れこの忠告を齎したのだった。

 無論ハガネ・ヒリュウ改の面々はゼンガー達と同様に嫌な予感と言う物を抱き警戒していた………そんな中でヘビクラ=ジャグラーは友であるゼンガーや面識があったソフィア博士にもこの忠告を伝える為にツカサを足代わりに使ったのだった。

 一方ツカサもゼンガー・ゾンボルトやソフィア・ネートの名前を覚え、記憶に留めるのだった。

 

「んじゃ、ハガネに戻ってイングラムやガイとかとこの忠告への対策を考えておく。

 あばよ、ディケイド」

 

「ああ、俺達もエネルギー反応………ダイゴやユーゼス、そして俺や魔王があの場で感じた闇の力って奴の正体を確かめておいてやる。

 お前達はDC残党アードラー派の連中を黙らせて、地球防衛の意志を統率しておけ。

 じゃあな、ジャグラスジャグラー」

 

 そうしてジャグラーとツカサは互いに別々のオーロラカーテンへと入り、それぞれの目的と対策案を講じる為に動くのであった。

 これも全てはこの星………否、『この次元世界』を護る為に必要な事であったのだった………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 タクラマカン砂漠での戦闘後、ハガネ・ヒリュウ改が黒海沿岸を航行し、伊豆基地に残ったジョイスからの連絡でシャイン王女は予知能力を持っており、それをDC残党は利用しようとしていると言う推察を聞き届ける中、セバストポリ基地がDC残党部隊に襲撃されてると緊急入電が伝わってしまった! 

 そしてセバストポリ基地は2艦の航路上に存在する為、敵の目的はハガネ・ヒリュウ改部隊の足止めだとダイテツ達は予測していた………が、迂回してもDC残党アードラー派によるジュネーブ襲撃・陥落は免れないと判断したダイテツは即座にセバストポリ基地へと第1戦速で向かうのであった! 

 そして、コウジやリュウセイ達もまた出撃準備に入るのであった! 

 

「(………何だろう、嫌な予感が止まらない………)」

 

 しかし、その中でコウジは言い知れぬ予感がしており、この戦いで何かが起きる………そんな事を感じ取りながらマジンガーZを動かし始めたのだった………! 

 

 

 

第27話『ゲイム・システム』

 

 

 

 

 

 

 そうしてハガネ・ヒリュウ改部隊がセバストポリ基地へと辿り着いたが、基地は既に壊滅状態となっていた! 

 これには上官組も如何にDC残党と言えどこんな数刻の間に連邦軍の基地を壊滅状態にさせるなど普通はあり得ないと判断していた。

 が、そのあり得ないを引き起こした犯人はモニターに直ぐに映し出されるのであった。

 

「フン、来たかハガネ、そしてヒリュウ改」

 

「な、その声はハンス!!」

 

「しかもソイツは………色は違うけど、ビアン博士が乗ってたヴァルシオンじゃないか!!」

 

「…くっ!!」

 

「あ、おいリューネ!!」

 

 セバストポリ基地を壊滅させたのはハンスが率いる部隊であり、そのハンスは何と『青いヴァルシオン』に乗っており、そのヴァルシオンの力でこんな事態を引き起こしたとイングラム達やリュウセイ達は理解した。

 が、リューネは居ても立っても居られずヴァルシオーネで飛び出す様に出撃し、その後を追いサイバスター、アルトアイゼン、ヴァイスリッター、そしてマジンガーZが緊急出撃していた!!

 更にその後からハガネ・ヒリュウ改機動部隊が出撃していた!! 

 その中にはリョウトのリオンは『アーマリオン』と言う改修機へと生まれ変わり戦列に加わっており、より戦力が充実しつつあった!! 

 

「リューネ、勝手に飛び出すな!」

 

「ごめん皆…だけど、あんな物を見たら自分を押さえられなかったんだ! 

 ハンス、アンタ何で親父のヴァルシオンに乗ってるのさ!?」

 

「貴様等を葬るべくアードラーより渡されたのだよ。

 この無敵の力…量産先行型である『ヴァルシオン改』をな!」

 

「ヴァルシオン………改!?」

 

「改悪の間違いじゃないのか? 

 アンタみたいな奴が乗っても宝の持ち腐れって感じが見て取れるぜ」

 

「フン、貴様こそその血塗られたジガンスクードに乗っておきながらその様な飄々っぷりではテンペスト・ポーカーに殺されても文句は言えんぞ、ん?」

 

 飛び出したリューネの気持ちは痛い程分かるので、マサキもコウジ達も其処まで深くは追求しなかったが…ハンスの言葉からあの青いヴァルシオン…ヴァルシオン改は量産型である事が伝わり、あんな物が数を揃えられてしまえば如何に連邦軍の大規模部隊と言えど殲滅必至になるとハガネ・ヒリュウ改部隊は理解していた! 

 しかし、そんなヴァルシオン改でもハンスの様な卑劣漢には似合わないと言う印象もあり、タスクがそれをツッコむと向こうもお返しにジガンスクードの話題を振って来たのだった。

 それも…ホープ事件の被害者であるテンペストの名を出しながら! 

 その事にタスクは疑問に思っていると、横からレオナ、更にテンペスト本人が説明を始めていた。

 

「…タスク、本来ジガンスクードは…当時コロニーで盛んだった独立自治権獲得運動を牽制する為、連邦軍が造った超大型砲台。

 つまり、宇宙の番人…その存在はコロニー民の反発を招いたわ」

 

「………更に、ジガンスクードはコロニー側のテロリストに奪われ、アレが自分達の手から離れる事を恐れた連邦軍は………俺の目の前でテロリストが立て籠もったコロニーの隔壁ごとジガンスクードを破壊したのだ。

 それがホープ事件…そして、俺の妻と娘………アンナとレイラはその事件で命を落としたのだ…」

 

「…!? 

 じゃあ、ゼンガー少佐が言っていたジガンの業って言うのは………だからコロニー統合軍の連中はジガンスクードを親の仇を見た様に………す、済まねえテンペスト少佐、そんな事を知らずに、俺は………」

 

「…いや、タスク。

 お前は………あの愚かな連邦軍の軍人と同類ではない上に、その血塗られた盾を用いて立派に仲間達を守り抜いている。

 寧ろ…お前のお陰でジガンスクードはその名の通り『巨大な盾』となっている………お前の操縦からお前自身の考えも読み取れる。

 ジガンスクードもまた被害者であり、そしてその貧乏クジを引き続けていた分上手く使い熟してやると言う気概がな。

 ………お前みたいな者がジガンスクードに乗るのならば、俺は………」

 

 レオナ、そしてテンペスト本人からホープ事件の概要を伝えられたタスクは此処に来て漸くジガンスクードが背負ってしまった十字架、業を理解し、何時もの様な軽い態度では無く真剣な表情でテンペストに謝罪していた。

 が、テンペストはタスク・シングウジと言う少年を正確に見抜いており、そんな者が今度こそジガンスクードを仲間達を守り抜く守護者として使うならばと、自身の復讐の炎とタスクのジガンとは線引きをしていたのだった。

 差異次元ではそれが出来なかったが、今のテンペストは頭を冷やし、本来の愛妻家であり娘想いの人格者としての側面が戻りつつあるのでこの言葉と意志が引き出せていたのだった。

 それを聞いたタスクはより一層ジガンを盾として使い熟してやろうと思い至り、それ等を一通り聞いたラトゥーニもテンペストは漸く囚われ続けていた過去からの脱却がされつつあると思い………そして、ハンスは鼻で嗤うのであった! 

 

「フン、お涙頂戴の三文芝居はもう終わりか? 

 そんな物を恥ずかしげも無く見せ付ける貴様等には矢張り地球圏を守り抜く事は出来んと確信したわ。

 矢張りアースクレイドルで人工冬眠し、未来に賭ける事こそが選ばれた地球人類に必要な事だと確信したわ」

 

「で、その選ばれた人類って物に貴方が入ってるって言いたい訳? 

 それ、自分で言ってて痛いって分からないのかしら?」

 

「貴様等の様な愚か者には一生理解出来ん事位は分かるわ。

 だからこそ俺はアードラーにシャイン王女を引き渡し…このヴァルシオン改で貴様等を始末し、人工冬眠で生き永らえる権利を得るのだ」

 

 そしてハンスがシャイン王女を誘拐した理由も明かす中、そんな身勝手な理由で幼気な少女を誘拐したと言う事実からハガネ・ヒリュウ改部隊の怒りのボルテージは上がって行き…その口火を切ったのは因縁が深いキョウスケからだった!! 

 

「…言いたい事はそれだけか? 

 ならばもう聞く事は無い、後は…ただ、撃ち貫くのみだ…!!」

 

「ハン、キョウスケ・ナンブ、貴様の様な悪運が強いだけの兵士にこのヴァルシオン改を倒せると思い上がるな。

 そしてリューネ・ゾルダーク、テンペスト・ホーカー、ビアンの娘と復讐者としての立場を忘れ、連邦軍に尻尾を振る貴様等も此処で葬り去ってくれる」

 

「やれる物ならやってみな!! 

 その代わり、親父のヴァルシオンをくだらない理由で使った事を後悔させてやるよ!!」

 

「ハンス・ヴィーパー…俺が憎むのはあの愚かな連邦軍の軍人達と同類の貴様だ! 

 己が欲望を満たす為に戦争と無関係であったシャイン王女を誘拐した罪…その身で贖え!!」

 

「各機、攻撃開始せよ!!」

 

 そして、ハガネ・ヒリュウ改部隊はハンスのヴァルシオン改が率いる部隊と遂に開戦し、迫り来るAM部隊を正しき怒りを込めた気迫と共に撃墜し始めたのだった!! 

 特にアルトアイゼン、ヴァルシオーネ、ジガンスクード、そしてテンペストのガーリオン・カスタムは特に目覚ましい活躍を見せており、ヴァルシオン改へ接敵する為の道筋を素早く作り上げるのであった!! 

 更にその道を、マジンガーZとR-1、サイバスターが一番槍として突き進み遂にヴァルシオン改と接敵したのだった!! 

 

「ハンス、てめぇの年貢も此処で納め時だぜ!!」

 

「フン、馬鹿な抗戦派の流れを汲む連中が偉そうに。

 良いか、エアロゲイターの技術力は地球側、それもDCのそれと比べてもなお数段勝ってるんだぞ? 

 そんな連中と本気で戦って勝てると思っているのか? 

 そんな保証も無い賭けにすらならん反抗に乗るよりも、アースクレイドルで生き永らえる方が余程建設的だと思わないのか、あ?」

 

「うるせえ!! 

 お前は要はエアロゲイターにビビり散らかして逃げたいだけなんだろうが!! 

 そんな奴の為にシャイン王女が犠牲になるのは間違ってんだよ!!」

 

「ハンス、てめぇは此処で必ず倒してやる、覚悟しやがれ!!」

 

「どいつもこいつも言っても分からん馬鹿ばかり………ならばヴァルシオン改の力で死に晒すがいい!!」

 

 リュウセイ、コウジ、マサキの言葉に持論をぶつけるが、それの為にシャイン王女を利用した罪業は重く 正論にはならないのだ! 

 故にR-1も、マジンガーZも、サイバスターも攻撃を止めず、ハンスの言葉に怒りを燃やすのだ!! 

 そうして3機が攻撃を開始した直後にビルドラプター、ガーリオン・カスタム、ヴァルシオーネまで攻撃に参加し戦場は最早ヴァルシオン改VSハガネ・ヒリュウ改機動部隊の様相を呈していた!! 

 

「…ヴァルシオン改もフィールドを持っているみたいだけれど、あくまでもビーム兵器に反応するAB(アンチ・ビーム)フィールドみたい。

 ヴァルシオンをそのままのスペックで量産するにはコストが掛かり過ぎたのかも知れない」

 

「歪曲フィールドが無い分まだ本家ヴァルシオンよりかは戦い易いぜ。

 それに、ビアン博士と違ってハンスじゃヴァルシオン改の性能に振り回されてるっぽいから尚の事付け入る隙が多いな」

 

「フン、AM部隊を突破し多少ヴァルシオン改にダメージを与えた程度で良い気に乗るなよ愚か者共が。

 ヴァルシオン改の慣らし運転はもう十分済んだ、後は貴様達を…」

 

 ビルトラプターのハイパー・ビームライフルにのみ防御フィールドが反応した点から、ヴァルシオン改は量産に際してある程度のスペックダウンが図られてるとラトゥーニは看破し、コウジもビアンが操る本家ヴァルシオンと比べても『弱い』と言う感想を口にしていた。

 更にハガネ部隊はヒリュウ改とも合流し、向こうもハガネ部隊と同等の戦力を持つ為、ヴァルシオン改を完全に撃破するまでそうそう何かが起きなければ時間の問題と言う状況であった! 

 しかしハンスはハガネ・ヒリュウ改部隊の力を認める訳が無く、まだ慣らしが十分では無かったと負け惜しみを口にしながら操縦桿を握り締めた………その時であった! 

 

【ブォォォォン!】

 

「っ!? 

 な、何だ、これは…!?」

 

「…? 

 ハンスの奴、何で動きを止めてるんだ…?」

 

 ハンスは突如としてヴァルシオン改に仕込まれたアードラーが施した『ゲイム・システム』…パイロットの情報把握能力の拡張を図り、脳に直接膨大な情報を送り付けるマン・マシン・インターフェースが作動した事で頭に叩き込まれる情報の渦により想像を絶する負荷が掛かり、更にゲイム・システムにはその特性から精神に影響を齎し、無尽蔵の戦意高揚まで引き起こすのだ! 

 その果てにある末路は………ある程度マン・マシン・インターフェースの知識がある者ならば直ぐに到達する答え………パイロットの精神が崩壊寸前になりながらもその戦意高揚により『思考する戦うだけの部品』と成り果てるのだ! 

 

「………ク、クククク………殺す、奴等を全て殺し、俺は生き永らえるのだ………クククク………」

 

「な、何だ!? 

 ハンスの奴、どうしちまったんだ!?」

 

「…あれは…もしやヴァルシオン改にはパイロットに影響を齎すマン・マシン・インターフェースが仕込まれていたのか?」

 

「…私、スクールであんな風になった人を多く見たわ…。

 あれは、壊れ掛かった精神が肉体にしがみついている状態………ああなったら、もう………」

 

「そ、そんな! 

 あれじゃ、マシンが人を操る様な物じゃない!! 

 酷過ぎるわ!!」

 

「…ハンスの野郎には同情はしないが…それでも良い気がしねぇな。

 そしてそんなインターフェースを仕込む事が出来たのはアードラー・コッホだろうな…」

 

 そしてハンスがゲイム・システムによりヴァルシオン改を動かすだけの殺戮マシーンの一部と成り果てた姿を目撃したハガネ・ヒリュウ改部隊の面々はそれぞれ驚愕や嫌悪感、更に過去のトラウマが刺激される等の様々な動揺が走り、その中でヘビクラやイングラム達上官組はアードラーが何やらを仕込んだと言う答えに簡単に行き着きつつ…そのシステムの設計思想に嫌悪しつつ、どの道倒す予定であったハンスはもう此処で楽にしてやるしか無いと言う結論に至り、武器を構えたのだった! 

 

「クク、クククク…ころ、殺して、やる…クク、クククク」

 

「っ、させない、クロスマッシャー!!!!」

 

【ギュォォォォォォォォォンッ!!!!!】

 

 そうしてハンスのヴァルシオン改は改めて行動を開始すると、ハガネ・ヒリュウ改部隊を薙ぎ払う為にクロスマッシャーを使用して来たのでヴァルシオーネが同じクロスマッシャーで相殺したのだった! 

 更にクロスマッシャーの直後に行動したヴァルシオン改はディバイン・アームを振り回すのだが………既にゲイム・システムの影響下にある為か、先程まで捉え切れて居なかったサイバスターの機動性に反応し、ディスカッターによる斬撃を切り払ってしまうのだった!! 

 

「何っ!? 

 サイバスターの動きが見えてきやがるのか!?」

 

「各機へ、今のハンスはラトゥーニ少尉の推察通り精神が崩壊寸前になった代わりに何らかのインターフェースの影響で情報把握能力が常人のそれと比べて遥かに拡張していると思われる。

 それにより生半可な攻撃は見切られる…よって、必殺の一撃を叩き込み、ハンス・ヴィーパーを『終わらせろ』。

 あの様な状態は………見るに耐えんからな」

 

 するとイングラムが更に指示を飛ばし、先程までの様な攻撃では無くヴァルシオン改を落とす必殺の一撃を込めろと命令していた…ハンスの今の状態に明らかな嫌悪感を滲ませながら。

 それ等をコウジやリュウセイ、マサキ、キョウスケ達は理解しそれぞれが暴れ回るヴァルシオン改へと必殺の攻撃を放とうとした………が、その時ハガネ・ヒリュウ改から各機へと伝わるビースト振動波のアラートシステムが走り、各機のコックピットにスペースビースト出現の兆候が伝わるのだった! 

 そして、ペドレオンやバグバズン、ビーセクタの群れがセバストポリ基地へと現れ、その中にはビーセクタ強化体やペドレオン、バグバズンの中にも同様の反応が見られる個体が存在したのだった!! 

 

「なっ、スペースビーストだとっ!?」

 

「くそ、こんな時に現れやがるのか!!」

 

「ふむ…どうやら、ペドレオンやバグバズンにも強化体が生まれ始めてる様だな。

 戦士達よ、此処は特機と余のリベル・レギスに任せ、PTはディバイトランチャーを持ちに戻ると良い。

 ヘビクラ、クレナイ、そなた等も特空機を出すのだ」

 

「いや、お前が仕切るなよマスターテリオン…まぁ、その判断は間違って無いがな。

 特機各機はヴァルシオン改を抑えつつ何とかPT部隊がディバイトランチャーの装備をしてからの再出撃、そして俺等がセブンガーとウインダムで出るまで持ち堪えろ、そして無茶はするなよ!!」

 

 それからPT、AM各機はハガネ・ヒリュウ改に一時帰艦し、ディバイトランチャーの装備と特空機2機の機動シークエンスに移りながら暴れ回るヴァルシオン改、更に強化体まで現れ始めたスペースビーストの群れを見つめていた!! 

 ダブルマジンガーやグルンガスト2機、ジガンスクード、ビューナスAやサイバスター、そしてリベル・レギスがそれ等を食い止めディバイトランチャーを装備したヴァルシオーネを含むPT、AM各機が出撃しようとしていた…そんな時、ハガネ・ヒリュウ改のモニターはペドレオン強化体の一匹の上に立つ『人間』を捉えたのだった! 

 

「…えっ!? 

 ペドレオンの上に人が立ってるぞ!?」

 

「何だと!?」

 

「…あれは、ジーベル・ミステル少佐…!? 

 まさか、ビーストヒューマンにされている…!?」

 

 エイタやオノデラ、レフィーナやユンはジーベルまでヒューマンと成り果ててしまったと想定し、スペースビーストは利用出来そうな物は全て利用する醜悪性を見せていると思っていた………が、ダイテツとショーンは態々ジーベルがビーストヒューマンになってこの場に現れても自身達にビーストの餌となる負の感情は其処まで湧かないので、何か別の意図があると考えながら見つめていた。

 そして、ヘビクラとクレナイ…ジャグラーとガイは、ビーストヒューマン以外でスペースビーストが人間を引き連れる可能性を考察し、そしてまさかと思うとある可能性に行き着いていた!! 

 

「ク、クククク………ハガネ、ヒリュウ改………貴様等は俺の獲物だ。

 そう、あのお方の手で生まれ変わったこの俺のな…!」

 

「生まれ変わった…何言ってやがんだ、アイツは?」

 

「クククク、クハハハ、ハハハハハハハ!!!! 【ピキピキ、パリィィィン!!!!】」

 

 そして、リュウセイがジーベルの言葉に疑問を持つ中その答えは現れた! 

 ジーベルの肉体は鏡の様に砕け散ると………その中から目が黒く、カラータイマーに相当する部分も黒く、そして赤と黒のツートンカラーが特徴のウルトラマンに似て非なる存在が現れ、それが等身大サイズから48mに巨大化したのだった!! 

 

「な、何だありゃ!?」

 

「ウルトラマン………いや、何か根本的な物が違う………?」

 

『クククククク、人間共………俺の名は『ダークファウスト』………ウルトラマンの光を蝕む者、闇の巨人だ! 

 ハガネ、ヒリュウ改の者共………生まれ変わったこの俺の力の前に死に果てるが良い!!』

 

「これはテレパシー? 

 頭の中に声が響いて来る…しかも、ジーベル・ミステルの物じゃない…」

 

「闇の巨人………ダークファウスト………」

 

 そうして各面々が目の前で起きた非現実的な光景に驚愕する中、この世界に遂に現れた闇の巨人…ダークファウストはその魔の手をハガネ・ヒリュウ改部隊に向けるのであった! 

 そしてダークファウストと言う存在にイングラムは…ウルトラマンを蝕む闇の存在と言う認識を持ちつつ、アレはこの世界に存在してはならない物であると言う確信を、その身に宿す魂の叫びが齎すのであった…!!




此処までの閲覧ありがとうございました!
本編では描写しませんでしたが、ジャグラーがアースクレイドルの中に入ったならシャイン王女助けろってツッコミが入りますが…ジャグラーも今シャイン王女を助けようとしたら色々と邪魔立てが入るので、本当にシャイン王女の命を救うのならばジュネーブにアードラー達が侵攻した時が1番と考え、此処は堪えたと言う裏事情があります。
後はシャイン王女が受けてるゲイム・システム関連の実験を知らないので…。
なので、シャイン王女は矢張りジュネーブでの戦いで救出劇が起きるでしょう。
またハンス、ゲイム・システムに呑まれるの巻。
まぁ、これは教導隊出身者でも精神崩壊寸前になってたので『常人なら誰でも』が当たり前です。
そして………ジーベルはダークファウストに成りました。
これにより戦いはより混迷の中に入る事でしょう。
それをどう切り抜けるかは次回に。

次回もよろしくお願い致します、感想等もお待ちしております!
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