スーパーロボット大戦OG 魔神伝   作:”蒼龍”

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皆様こんばんはです、お待たせ致しました、第12話前編を投稿致します。
今回は………サブタイトルでネタバレ確定ですが、まぁ良い訳です。
さて、OG2序盤の大きなポイントその1に本作も突入します。
では、本編へどうぞ!


第12話『約束は炎に消えて/舞い戻る勇者(前編)』

───アースクレイドル───

 

 

 

 アースクレイドルにて、バン達DC残党は『イーグレット・フェフ』博士に出迎えられていた。

 しかし、其処にソフィア・ネート博士の姿が無く、彼女は人工冬眠中であると説明を受けていた。

 ………バンは此処までの状況は『影』達から齎された情報通りとして、一先ずイーグレットに怪しまれない為の反応を返していた。

 

「ふっ、流石はビアン総帥の無きDC残党を纏め上げた男………与えられた力をただ享受する真似はせんか」

 

「何者だ?」

 

「ヴィンデル・マウザー………アースクレイドルの協力者だと言っておこう」

 

「(………この男が『影』のトップか)」

 

 そんなバンに接触して来た1人の男………アースクレイドルの協力者を名乗る者、『影』………シャドウミラーのトップであるヴィンデルが現れたのだった。

 

「フェフ博士、バン大佐達は長旅で少々疲れている。

 私の艦に案内し、休ませてやりたいが良いか?」

 

「良いだろう、お前のお陰で実現した技術も沢山ある。

 暫くはバン大佐を貸してやる」

 

 するとヴィンデルはバンを自らが指揮する艦………トライロバイト級ギャンランドに案内すると言えば、イーグレットはヴィンデルによって齎された『技術』によって自身の頭脳が構想した物を実現出来たので上機嫌でバンをヴィンデルに預けたのだった。

 そうしてバンとヴィンデルはアースクレイドル内を黙って移動し………トライロバイト級ギャンランドのブリッジに辿り着くと、ヴィンデルは堅い表情を和らげながらバンに向き直っていた。

 

「バン大佐、此処は唯一アースクレイドル内に於いてメインコンピューターたるメイガスが認知する事が出来ない領域だ。

 お互いに肩の力を抜いて話し合おう………良く、『人間』のままアースクレイドルへ辿り着いてくれた」

 

「そちらが護衛を私の下に置いていたからな。

 お陰でビーストヒューマンにされる事無くアースクレイドルまで部下達も辿り着けたのだ。

 ………さて、そろそろステルスを解除し、話に参加してくれ………ミネルバX」

 

「はい、光子力ステルス解除………ミネルバX、偽装解除」

 

 そしてヴィンデルがバンを真に労い始めると、バンもまたヴィンデル達が預けてくれた護衛………ミネルバX、異世界の住人でありアンドロイドの彼女を常にバンの近くに居させたお陰だとヴィンデルにもミネルバにも感謝していたのだった。

 …実の所、この数ヶ月間でバンやその側近がビーストヒューマンに仕立て上げられそうになった回数は1回や2回では無い、何度も何度も刺客が送られ生死の境を渡り歩いていたのだ。

 その悉くをミネルバが阻止した事でバン達がビーストヒューマン化する事無くアースクレイドルまで無事辿り着けたのだ。

 なのでバンはヴィンデル達シャドウミラーやミネルバには感謝し切れない恩を感じていたのだった。

 

「【キュォォン】あらミネルバ、お帰りなさい。

 そして、貴方がバン・バ・チュン大佐ね。

 初めまして、シャドウミラーのパイロット兼技術者のレモン・ブロウニング少佐よ」

 

「君か…この世界にASRS(アスレス)やランドグリーズを初めとした『この世界』には無かった兵器を齎したのは」

 

「ええ、そうよ。

 全ては人類勢力の戦力を引き上げる為…来たるべき血戦に備えての事よ」

 

 其処にシャドウミラーのNo.2であり、この世界のDC側の技術力を引き上げた張本人であるレモンもギャンランドのブリッジへと入るのだった。

 更にミネルバもレモンに一礼し、任務はしっかりと果たした証たるビーストヒューマンでは無い、生きたバン・バ・チュン本人を此処に招いた事を見せていたのだった。

 

「さて、先ずは話し合おうか………この世界の課題、バン大佐達DC残党が再び蜂起する道筋や、この世界に既にある脅威や差し迫る魔の手から人類全てを護る為のシナリオを」

 

「うむ………」

 

 そして………ヴィンデルは復活したミケーネ帝国、スペースビースト、ビーストヒューマンに乗っ取られている連邦議会と言った既にある脅威や、当然来る………否、連邦軍の宇宙部隊の幾つかが消息不明になると言う前兆から『既に現れ始めている』であろう新たなる異星人達の脅威………。

 更に、『向こう側』で地獄すら生温い『終焉』を見た上でその『終焉』…マジンガーZEROやその使徒たるデビルマジンガー、『魔狼』ベーオウルフに対する入念な備えと、いざと言う時に地球連邦軍に互いの戦争を一時的に停戦し、1つの『人類勢力』としてそれ等の脅威を退ける為の道筋を互いに話し合い、決め始めたのだった。

 更に其処に脅威達に対するカウンターとしてシャドウミラーの別働隊として人類勢力同士の戦争には手出しせず、人類勢力の脅威のみを標的として動く何者でも無い者達………ノーバディーズ、ヴィンデル達から自由に行動する事を許された者達からも齎されている情報も加味しながらDCとしての次なる1手を指す事も決め始めようとしていたのだった。

 

「【キュォォン】ああ、何?

 大事な話し合いの途中だった?」

 

「おっと、君も呼ぶ事を忘れていたな、すまない」

 

「全く、あたい抜きでアレコレ話すのは契約違反でしょうが。

 其処の所を気を付けて欲しいわ」

 

「失礼だがヴィンデル、その子は一体?」

 

「うむ、彼女の名は『ティス』、我々シャドウミラーの外部協力者が送って来たメッセンジャーであり、レモンと共にDC側の技術力を引き上げた者達の1人だ」

 

「ま、あたいじゃなくて『お母さん』がそうさせたんだけどね。

 あたいやあたいの妹や弟は専ら互いに連絡を取り合ったり、シャドウミラーが出して欲しいって情報を連邦軍とかに教えてる感じよ。

 後は戦闘も出来るから其処の所、ヨロシクね」

 

「(…年相応の話し方をしては居るが、まるで隙が無い。

 生身でやり合えば間違い無くゲッターチームクラスの戦闘能力が無ければ対処不可能か。

 そんな者達が協力者か………ヴィンデル達は恐らく、何らかの『見返り』を用意してこの関係を築けているのだろうな)」

 

 そんなバンの前に現れたティスと言う少女………彼女の立ち振る舞いに見た目に惑わされてはならないと言う警告が脳裏に走っていたバンは、その頭脳からヴィンデル達シャドウミラーと、ティス達は何らかの契約で協力関係を構築しているのだと察したのだった。

 そして、彼女の制圧にはゲッターチームレベルの生身の戦闘能力が無ければ無理と言う判断も下し、彼女を見下しては痛い目を見ると本能的に察知したのだった。

 ティスはそんなバンの様子を見て、ちゃんと自身の力を見極めてる目を持っている事に感心し、これなら『お母さん』の言う通りにDC側に力を貸しても問題無いと思っていたのだった。

 自身を見る目がまるで無かったイーグレットやアギラと違って。

 そうしてティスも交えてアースクレイドル内の兵器プラントや様々な物………今切り捨てるべきでは無い者達も加えた1手や『終焉』達への備えを話し合い、整えるのであった………。

 

 

 

 

───地球連邦軍極東支部伊豆基地───

 

 

 

 一方伊豆基地にて、ハガネから送られて来たデータを参照していたヴィレッタとアヤは先のアインストと言う群体はイングラムから入電されている通りエアロゲイターとは全く異なる勢力…新たな人外の存在だと判断を下していた。

 スペースビースト、ミケーネ帝国、デビルマジンガーと来て更に別の人外勢力の出現に2人は緊張感を持っていた…が、イングラムから『アインストは此方を様子見している可能性が高い』と暗号通信を送って来ていたので、その様子見が何なのかと考えていた所であった。

 しかし、2人にはハガネ・シロガネ・ヴァルストークと共に居るリュウセイやキョウスケ、コウジ達と同様にL5戦役クラスの戦いが始まる前兆なのかも知れないとして表情が険しくなっていたのだった。

 

「…何れにせよ、予測されていた事とは言え連邦軍の戦力増強中、そして連邦議会の今の状態を考えればこのタイミングは芳しくない。

 破片の解析が済み次第、私はホワイトスターへ戻るわ。

 予定を繰り上げてでも、あれを例のバリアの中継点として仕上げなくてはならないから」

 

「所で、依然ホワイトスターに機能回復の兆しは見られないんですか?」

 

「ええ、ホワイトデスクロスと言う中枢や恐魔人ゼットと言うアレをコントロール出来得る者が失っている…私やイングラム、そしてユーゼスが知る以上のデータはもう彼処には無いわ」

 

「なら、残る手掛かりは例の破片ですね」

 

 更にその緊張感の中でホワイトスター…ネビーイームの機能回復は出来ず、その上でイングラムとヴィレッタの2人が調べ尽くし、差異次元の知識としてその隅々まで知っているユーゼスが知る以上のデータがもうあの魔星に存在しないと断言されていた。

 そして、残る手掛かりは………アイドネウス島で回収された『破片』しか無いと、ハガネに居るイングラムやナイトレイダーとして活動中のユーゼスからも太鼓判を押されていたので、アヤやヴィレッタは伊豆基地に残った者としてそちらを注視し始めるのだった。

 

「【コツ、コツ、コツ】アヤ、ヴィレッタ大尉、此処に居たか」

 

「お父様…」

 

「ハガネが回収したホワイトデスクロスの破片の解析準備が整った。

 直ぐに私のラボに来てくれ」

 

「了解。

 行きましょう、アヤ」

 

「はい」

 

 其処にアヤの父である『ケンゾウ・コバヤシ』博士がアヤとヴィレッタの2人をその足で呼び出し、先に向こうで待っていて、何があってもジュウゾウとイングラム、更にユーゼス以外には他言無用と言う制約の下でジュデッカの破片解析の立ち会いを許されたケンゾウ・カブトが居るラボへと向かい始めたのであった。

 そして…アヤはその足で向かう途中で、何かの『予感』を感じ取っていたのだった…。

 

 

 

 

───DC戦艦───

 

 

 

 

「アーチボルド少佐、アースクレイドルのバン大佐からの暗号電文てす」

 

「どれどれ…(『砂漠に十字架』…例の作戦の準備が整ったと?

 予定より幾分か早いですね)艦長、全艦の針路を変更して下さい。

 目的地は………アフリカです」

 

「了解」

 

「少佐、アースクレイドルから帰還命令が出たのですか?」

 

「僕は彼処へ行くのは初めてですが…まぁ、そんな所です。

 対馬海峡の突破は中止し、早々に極東海域から退散する事にしましょうか」

 

 一方アーチボルド達DC残党部隊は、アースクレイドルからの暗号電文により針路をアフリカへと変更し、『砂漠に十字架』と言う暗号からなる連邦軍への反攻作戦への参画を目指すのであった。

 それを聞いたエキドナは…自身にレモンから送られて来た機密通信による『最優先指令』を実行するならばこの辺りのタイミングが丁度良いと判断し、行動しようとしていた。

 

【ビィィィィィィィィィィィィ、ビィィィィィィィィィィィィ!!!!】

 

「本艦の航路前方から敵アーマードモジュールが接近!

 補足されました!」

 

「やれやれ、タイミングの悪い事で」

 

「位置から判断すれば…敵はハガネ達では無く、黄海で我々を追って来た艦隊ですね」

 

「恐らく。

 …艦長、各艦を散開させ、各個にこの海域から脱出させて下さい」

 

「はっ!」

 

「ユウキ君、ホエール2と君の部隊で殿を務めて下さい」

 

「了解(…要は何時もの如く敵の陽動か)」

 

 其処に間が悪い事に連邦軍の艦隊がアーチボルド達DC残党部隊を捕捉し、アーマードモジュール隊で追跡と攻撃を開始しようとしていたのだった。

 よってアーチボルドはユウキ達に陽動をさせる様に命じるのであった。

 また、エキドナも『最優先指令』を達成させるならば此処だとして即座に判断を下していたのだった。

 

「ああ、それから…アラド君は後発に回す様に」

 

「彼を?

 何故です?」

 

「実は前回の彼の戦闘データを見ましてね…使い様によっては見込みがあると思ったんです。

 だから、温存しておいて下さい」

 

「………」

 

「腑に落ちない様ですね。

 しかし君も何回か見てる筈です、彼はスイッチが入れば化けるタイプのパイロットだと。

 最も、彼がそれまで生きていればの話ですがね」

 

 更にアーチボルドはアラドの戦闘データを見聞した事で、彼がやる気………恐らくだがゼオラを守る為にスイッチが入ると推察し、生き残ればかなり化ける可能性を見出していたのだった。

 その上でゼオラもセットで生き残れば更に良いと判断していたのだった。

 ………但し、アラドに関しては命令を遵守した上で生き残ればと言う前提で話しており、アーチボルドは此処がアラドにとっての分岐点になるとその生存本能に直結した嗅覚で察知していたのだった。

 

 

 

 一方格納庫では案の定アラドがクエルボやゼオラに対して自身が後発に回された事に反発していたのだった。

 更にラトが戦場に出て来たら如何するのかも叫ぶが、その声はゼオラには届かず彼女は息巻きながらランドグリーズのコックピットに乗り込むのであった。

 

「待て、ゼオラ!

 俺はお前との約束を………!

 ゼオラ!!」

 

「(………オウカの指示通りの調整が上手く行ったか。

 これで2人が生き残れば、後は…)」

 

 そんなアラドとゼオラを見守るクエルボは、オウカが自身に指示出しした調整………アギラ・セトメの命令に背く様な調整を施し、それが上手く行った事を確認していたのだった。

 オウカがクエルボに指示した事は『セトメ博士の目を欺く様にシングルで動ける様にしつつも、ラトを攻撃する事に対してストップを掛ける様にする』と言う難題なリマコン調整であった。

 だがそれを完遂させたクエルボは、ゼオラとアラドの2人が生き残れば後はオウカが用意した『逃亡先』に駆け込むだけであった。

 クエルボは静かに………そして、もうこれ以上オウカやゼオラ、アラド達がアギラ・セトメ博士によって傷付く事を防ぐ為に行動を開始したのだった。

 

 

 

 

 

───ハガネ───

 

 

 

 一方ハガネ・シロガネ・ヴァルストーク隊もまた味方の艦隊が自身達が追って来たDC残党部隊の艦隊をチェジュ海峡で再捕捉した事を確認し、その上で艦隊司令から味方機動部隊への支援要請が入っており、彼等が本命を追おうと言う結論にそれぞれが至っていた。

 

『シホミ、支援対象部隊の現在位置は?』

 

『現在ソーアン諸島上空で敵部隊を追撃中との事です、ブレス艦長』

 

『ならば…我々が執るべき行動は1つですね、ダイテツ艦長、ブレス艦長』

 

「うむ…針路変更、直ちにソーアン諸島へ向かう。

 総員、第一種戦闘配置!」

 

『了解!!』

 

 ダイテツの指示の下、オノデラやリー、ブレス達は3艦の針路を変更して総員に第一種戦闘配置へと付かせた!

 そして、スペースノア級2隻とそれに追従するヴァルストークはソーアン諸島上空に最大戦速で向かうのであった!

 ………そして、此処がラトゥーニや、DC残党部隊に居るアラドやゼオラにとっての分水嶺になる事を知る者は、極一部を除いて分かる者は居なかったのである………。

 

 

 

 

『人間共が集まっている………血が滾って来たわぁ〜』

 

『ならば征くぞハーディアス、カミーラ。

 我々の力を存分に人間共へ思い知らせるのだ』

 

「…ええ、構わないわ」

 

 そんな人間達の思惑の外側では、『悪霊将軍ハーディアス』と勇者ガラダブラ、そしてカミーラが量産型戦闘獣達を引き連れて人類勢力に攻撃を仕掛けようとしていた。

 これにより、アラド達の分水嶺にミケーネ帝国までもが関わってしまう事になるとは誰一人として予測出来なかったのであった…。

 

 

 

 

 

第12話『約束は炎に消えて/舞い戻る勇者』

 

 

 

 

 

「ターゲット・ロック!

 貰ったわよ!!」

 

【ズドォォォォォォッ、ドォォォォォォォォォォン!!!!!!!!】

 

「バックスリー隊がやられた!

 撤退する!!」

 

「此方カルチェラタン7!

 目標を追撃します!」

 

「待て。

 各機、警戒…本命が来るぞ!」

 

 ソーアン諸島戦域にて、ゼオラの攻撃が止めとなり第12艦隊の機動部隊は撤退し始めたのだった!

 更に其処に………ユウキのランドグリーズが先に捕捉した本命たるハガネ・シロガネ・ヴァルストーク隊が現れるのであった!!

 

「ハガネ達…!!」

 

「ホエール1を追うかと思ったが、此方に回されて来たか」

 

「機動部隊、出撃せよ!!」

 

 そして、ラトゥーニはライが乗っていた先行量産型ヒュッケバインMk-IIのG装備で出撃し、その後にリュウセイやキョウスケ、コウジ達がハガネ等3艦から出撃してDC残党部隊に睨みを効かせるのであった!!

 

「わお、何時ものオトリちゃん達じゃない?」

 

「だが、今度は逃がしゃしねえぜ!」

 

「もしかして、あの部隊には………!?」

 

「………ラトゥーニ、お前の家族を取り戻すチャンスが巡って来てるなら、俺達は手を貸すぜ。

 そしてお前に近付く邪魔者は倒してやるぜ」

 

「リュウセイ…」

 

 そうして出撃したリュウセイやコウジ達は、自身達が戦っていたあのDC残党部隊と此処で鉢合わせたとしてもう逃がすつもりも無く機体を身構えさせていた!

 更にリュウセイはラトゥーニの心情に気配りし、あの部隊にスクールのメンバーが居る事はほぼ確定しているので彼女が嘗ての仲間達を取り戻す為の手助けをすると強く答えたのだった。

 それに合わせてコウジやマジンガーZ、キョウスケ達もラトゥーニに近付く邪魔者達…ブリットはユウキを押さえるべく、行動を開始し始めようとしていた!

 

「敵がハガネ達なら、ラトも彼処に…!?

 くっ、こっちには来ないと思っていたのに!

 けど、こうなったら仕方が無いわ!

 オウカ姉様が居なくても、私があの子を助けてみせる!」

 

 一方のゼオラはまさかハガネ達が此方に来るとは思ってもみなかったので想定外の事態に汗を搔いていたのだが、もうこうなってはと覚悟を決めてラトゥーニを取り戻すべく照準を『ラトゥーニの周りに居る敵達』に向けていた!

 これもクエルボの調整が働いている証拠だが…何よりゼオラは『ラトを利用している者達を倒し、ラトを無傷で連れ戻す、間違ってももうあの時みたいにラトを撃たない』と、彼女の本来ある家族思いの部分やラトの『姉』の部分が強く表に出始めていたのである。

 よって、ハガネ達がラトを利用していると結論付けて攻撃しようとしていたのだ。

 …因みにこの早合点や頑固振りは生来の物の為、ちゃんと話し合って分かって貰わねばゼオラはハガネ・シロガネ・ヴァルストーク隊の事を誤解したままになるのだが、ホエール2から様子を見ているクエルボは其処は仕方無いと思いながらも、アラドとゼオラの生存を祈りながら『準備』を進めていたのだった。

 

「カルチェラタン1より各機へ、暫くの間、敵を此処で足止めする。

 フォワードは敵を牽制、バックスは現在位置を極力キープし、敵を引き付けろ。

 撤退の手順は伊豆の時と同じだ、無駄死にするなよ」

 

「了解!」

 

「(待ってて、ラト!

 必ず私が連れ戻してあげる!)」

 

「(ゼオラが居るとすれば、どの機体に乗っているか早く調べなきゃ…!)」

 

「スティール2より各機へ、攻撃を開始しろ!」

 

 そうしてユウキの命令で無駄死にを許さない采配が成され、足止めしつつ極力生存優先の行動を取る事をDC残党部隊達は心掛けていた!

 一方ゼオラはラトゥーニを取り戻す事に頭が一杯になりかけており、敵であるハガネ達を落として最後に彼女の機体を捕縛する事に固執し始めていた。

 そして、オノデラの命令も飛び出撃した機動部隊達はDC残党部隊と戦闘を開始したのであった!!

 

「オラオラオラ、ラトゥーニの邪魔をすんじゃねえ!!」

 

「ラトゥーニ、昔の仲間達の癖になってるモーションパターンは覚えているだろ!

 それをあの部隊の機体と参照させる時間を俺達が稼ぐぜ!

 食らえ、アイアンカッター、ドリルミサイル、ミサイルパンチ!!」

 

「ラトゥーニ、お前は仲間を取り戻す事に集中しろ!

 周りの雑兵は片付けてやる!」

 

「リュウセイ、コウジ、カイ少佐…はい…!」

 

 そしてアルブレード、マジンガーZ、カイのゲシュペンストMk-II改G装備、アルトアイゼン、クレナイのゲシュペンストMk-II改A装備、ヴァルホーク、グルンガスト達がいの一番に突撃し、その後ろではヴァイスリッターやキングジョーSC、R-2パワードが援護射撃し、ブリットのヒュッケバインMk-IIとエクサランス・フライヤーとアンジュルグ、アストラナガンはその間で前に出たり、かと思えば援護射撃に移ったりと忙しなく動いていたのだった!

 そしてラトゥーニは皆の計らいで各機のモーションパターンを参照し………そして、ゼオラの癖があるモーションを取ったランドグリーズを彼女は見つけたのだった!

 

「見つけた…あの機体にゼオラが居る!」

 

「ならばアサルト1より各機へ、ラトゥーニが旧友を取り戻すチャンスを作るぞ」

 

『了解!!』

 

「!

 あのモーション…あの量産型ヒュッケバインMk-IIにラトが居るのね!

 なら、ラトを取り戻す為に…ハガネ達には落ちて貰うわ!!」

 

 更にゼオラ側もラトゥーニが乗る機体は先行量産型ヒュッケバインMk-IIだとマークし、その周りに居るハガネ部隊達を撃破しようと照準を合わせ、ランドグリーズの得意なロングレンジ攻撃を開始したのだった!!

 しかし、この行動は先のユウキの命令を無視する形となってしまっていたのだった。

 

「!

 カルチェラタン7、不用意に動くな!」

 

「でもあの機体にはラトが!」

 

「ラト?

 何の事だ?」

 

「あれには私やアラドの仲間が乗ってるんです!」

 

「何…!?」

 

「仲間って如何言う事なの!?」

 

「すみません、今は説明している時間がありません!

 ラト、聞こえる!?

 私よ、ゼオラよ!

 今ならまだ間に合うわ!

 私達の所へ戻って来て!

 アラドやオウカ姉様も貴女を待っているわ!」

 

「オウカ………姉様が…………?

 ………ううん、私、決めたの。

 あの子やアラド、それにオウカ姉様を………スクールの呪縛から解くって」

 

「…ラトゥーニ」

 

「(…敵を助けるか…矢張り理解出来ん…が………それがラトゥーニ・スゥボータ少尉の力になるならば…いや、私は何を考えて…!)」

 

 ゼオラからラトゥーニへの不意な通信に、ラトゥーニ自身も困惑し…更にオウカの名前を出された事で少し揺らぎ掛けたが、それでもゼオラ達をスクールの呪縛から解放すると覚悟を決めたラトゥーニは操縦レバーを握り締め、ゼオラのランドグリーズに先行量産型ヒュッケバインMk-IIの双眸と合わせて見やるのだった!

 一方この状況にブレスやリー達はシロガネに居るジュウゾウに見解を求め始めていた!

 

「ふむ…前回はラトゥーニを撃つ為のリマコンをされていて、今回はワシ達がラトゥーニを利用していると思い込んで、彼女を取り戻す為にワシ達に攻撃しているのじゃろうな。

 前回のリマコンよりも割と優しめな感じがする辺り………こりゃ、ゼオラにリマコン調整を施しておる奴は何らかの狙いがあるのじゃろうな。

 じゃが、それでもあのゼオラの機体を止める事には変わらん!

 ラトゥーニ、ゼオラの機体を行動不能にするんじゃ!」

 

「はい、博士…!」

 

 ジュウゾウの見解を聞いたラトゥーニはゼオラの機体を行動不能にするべく動き出し、ブリットはユウキのランドグリーズと接敵し、エクサランス・フライヤーがカーラのランドグリーズを足止めし、他の機体は皆が止め、ラトゥーニがゼオラのランドグリーズに接近し始めたのだった!

 …この時ジュウゾウは、アギラならもっと悪辣なリマコンを施すと知っているので、今彼女やアラドの側に居る者はアギラのリマコン調整のオーダーを無視しているのではないか、と言う推論にまで至っていたのだった。

 そしてその推論は正解であり、潜伏中のホエール2に乗るクエルボはゼオラが機体が行動不能になる前に撤退する様にも調整を施していたので、ラトゥーニが間違ってもゼオラを落とす事は無いと自信を持っていたのだった。

 

「んじゃま、やる事は変わらずラトちゃんを手伝ってあげることで。

 オーケイ?」

 

「エクセ姉様、任務遂行の為には…全機を撃墜したりするべきでございませんですか?」

 

「撃ち落とすばかりが能じゃないって事よ」

 

「それでは命令違反になっちゃうですでしょう?」

 

「ま、そう言うとこは臨機応変に。

 ロボットじゃないんだから、雰囲気読まないとね」

 

「(それで兵士が務まるものか。

 ………ロボット、それの何が悪い?

 任務を遂行出来ない兵士に存在価値など無い。

 だが…私はその価値の無い事をやろうとしている…。

 そのことに嫌悪感を抱かなくなっている…。

 くっ…!

 矢張り異常は言語機能だけでは無いと言うのか…!?)」

 

 そして………エクセレンとの問答でラミアはこの部隊がやろうとする事…以前までのラミアならば無駄だと断じてやろうとしなかった事に嫌悪感を抱かなくなった自身に異常が起きていると思い、人造人間であるWシリーズに抱く筈が無い葛藤を抱いてしまっていたのだった…まるで人間の様に。

 その問答や、アンジュルグの反応を見ていたラージは同じ研究者として先輩であるレモンは………もしかすれば、ラミアの今の葛藤こそが彼女が求めている物なのかと推察していた。

 しかし、それを口にすればラミアの今後を潰すと思い、ラージはそれを固く口を閉じ、胸の奥にしまうのであった。

 そうしてハガネ・シロガネ・ヴァルストーク隊のやる事は変わらず、ラトゥーニの援護をして彼女の手助けをするのだった!

 

「ユウ、向こうはゼオラを狙うつもりだよ!」

 

「分かっている、後退しろ、カルチェラタン7」

 

「ラト、こっちへ来て!

 一緒に姉様達の所へ帰るのよ!」

 

「聞こえてない…どうしたの、あの子!?」

 

「やむを得ん。

 カーラ、お前はホエール2を呼び出せ。

 予定より早く引き上げるぞ」

 

「分かったよ!」

 

 対するDC残党部隊はゼオラが周りが見えておらず、ユウキやカーラの言葉も届いておらず戦列が乱れ始めていたのだった!

 これに対して潜伏中のホエール2に乗るクエルボはそんな調整はしていないのに何故こうなってると困惑し…そして、ある事に気付いたのだった!

 

「(まさか………セトメ博士のリマコンは、僕の思った以上に深い深層意識にまで施されているのか!?

 なら、僕が幾ら表層意識を調整した所で意味が無いじゃないか!

 くっ………このままじゃ拙い…!!)」

 

 そう、アギラのリマコンはゼオラの深層意識を弄り、周りを見えなくさせるまでに猛進する様に調整が施されているのだった!

 これではクエルボが表層意識を調整し、ラトを攻撃しない様に誘導しても勝手に突っ込んで行ってしまうのである!!

 そう考えたクエルボは………アラドに視線を合わせ、彼の肩を掴んだのだった!

 

「えっ、クエルボ博士!?」

 

「頼むアラド、ゼオラの下に急いで飛んでくれ!

 このままでは、彼女が危険な状態になり兼ねない!!」

 

「えっ、ど、どう言う事だよ!?」

 

「詳しく説明している時間が無い、アラド…君がゼオラを守るんだ、頼む!!」

 

「………わ、分かった!!

 此方カルチェラタン8、先行隊の危機だと判断して急いで戦域に突入する!

 ハッチを開けてくれ!!」

 

 そうしてアラドはガーリオン・カスタムに乗り込むと、急ぎ出撃準備を整えて先行隊の危機を救う為と言う目的で後発隊と共に出撃しようとするのだった!

 ホエール2の艦長はカーラからの呼び出しもあり、急ぎ引き上げる為には後発隊も戦域突入は必至と考え、アラドの要請を受諾しガーリオン・カスタムやリオンを出撃させ、キラーホエールごと戦域に突入させ始めていたのだった!!

 

「むっ、新手か!」

 

「あの動き…アラド!」

 

「ゼオラ、もう撤退時だ!!

 急いで後退するんだ!!」

 

「ラト、早く私達の所へ来て!!」

 

「…!?

 俺の声も届いてない…まさか、クエルボ博士が言っていたのはこれって事なのかよ!?」

 

 そして、戦域に突入したアラドの声すらもゼオラに届いておらず、アラドはクエルボが説明する時間が無いとしたゼオラの危機とはこの事だと直感し、急いでゼオラを援護して無理矢理でも後退させようと動き出そうとした………その時であった!!

 

【ビィィィィィィィィ、ビィィィィィィィィ!!!!】

 

「ダイテツ艦長、テツヤ副長、戦域に新たに接近する熱源あり!!

 この反応は………ミケーネ帝国です!!」

 

「何だとっ!?」

 

【ビュォォォォォォォンッ!!!!!

 ズシィィィンッ!!!!】

 

『隙ありよ、人間共!!』

 

「っ、ゼオラ、ラトッ!!!!!!!!」

 

 何とこのタイミングでミケーネ帝国が乱入し、隙だらけなゼオラとその近くに居たラトゥーニの先行量産型ヒュッケバインMk-IIG装備にハーディアスが量産型戦闘獣と共に破壊光線を放ち、攻撃を仕掛けたのだった!!

 ゼオラはアラートが響いた時にはもう回避が間に合わず、ラトゥーニは上手く回避しようと行動し………そして、アラドは、ゼオラのランドグリーズを守る為にブースト・ドライブを使用してゼオラとミケーネ帝国との間に割って入り、ガーリオン・カスタムにモロに破壊光線が直撃してしまったのだった!!

 

「うわぁっ!!」

 

「…っ、ア、アラド!?」

 

「アラド…!!!」

 

「アラド、アラドッ!!

 返事をして!!!」

 

「ぶ、無事か、ゼオラ、ラト?」

 

「(援護ではなく、捨て身で僚機とラトゥーニ・スゥボータ少尉を庇っただと?

 ミケーネ帝国の攻撃を避けながら撤退が最優先の状況で………正気か?)」

 

 アラドのガーリオン・カスタムは火花が各部から上がり、ゼオラとラトゥーニがその身を案じる中、ラミアはこの状況下での捨て身の盾になる行動に困惑し…何故そんな事が出来たのかと疑問を感じていたのだった。

 しかし、ガーリオン・カスタムは火花が徐々に強まって行き、爆発寸前の状態となっていた。

 

「アラド、どうして…!!!」

 

「だ、だから、前にも言ったろ?

 約束は………守るってな。

 け、けど、今回は当たり所が………悪かった………みてえだ」

 

【ボンッ!!】

 

「ッ!!」

 

「そ、そんな…!!?」

 

「へ、へへ………まさか超合金NZ(ニューゼット)メッキをモロに貫通して来るなんてな…」

 

「早く!

 早く脱出してぇっ!!!!!」

 

「けど………ゼオラ達を守れたのなら………まだ、良かった方………かな………」

 

【ドォォォォォォォォォンッ!!!!!!】

 

『!!!!!』

 

 そして………アラドはゼオラとラトゥーニの両名を守れた事に満足した態度を見せた瞬間、ガーリオン・カスタムは爆散したのだった。

 それも、ゼオラとラトゥーニの目の前で。

 

「ア、アラドォォォォォォォォッ!!!!!!!」

 

「あ、あの子、脱出出来なかったの………!?」

 

「(あれでは………くっ………!!)」

 

「あ、ああ…!

 そ………そんな………」

 

「アラド!

 アラドォォッ!!

 嫌ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!!」

 

『うふふ、仲間達を庇って死んで逝ったその根性、このハーディアスと勇者ガラダブラは見届けてやったわよ。

 その高潔な魂はオリンポスへと導かれる事でしょうね』

 

『さあ、次は貴様の番だマジンガーZ。

 貴様を完膚無きにまで破壊し、魔神パワーが全て開放される未来は訪れさせん!』

 

「ちぃ、ミケーネ帝国め!!」

 

 そうしてゼオラが絶叫し、アラドの名を叫び…彼との約束が炎の中に消えて行く中で、ハーディアスと勇者ガラダブラ爆散したガーリオン・カスタムのパイロットに誇り高き戦士としての死の栄誉を讃え、その次にマジンガーZへと狙いを定めるのであった!!

 ユウキはミケーネ帝国が居る中で撤退するには何か隙が生まれる事が起きねば無理だと判断し、その隙が生まれる行動を計算し始めていたのだった!

 ………そんな時、戦域の空に暗雲と雷鳴が轟き始めるのであった!

 

『むっ、雷鳴だと…?』

 

「艦長、戦域上空に光子力エネルギーの暗雲が発生しました!!」

 

「何ぃ!?

 この状況でデビルマジンガーが来るのかっ!!」

 

「い、いえ、これは………重力震反応はありますが、光子力エネルギーはマイナス領域にはなってません!!」

 

「リー艦長、重力震反応の中より何か来ます、数は1!!」

 

「この反応は………フッ、やっと来たか………遅刻だぞ、偉大な勇者」

 

 エイタやシロガネメインオペレーター、シホミが上空の暗雲が光子力エネルギーの『プラス領域』で発生していると報告し、更に重力震反応も、何らかの転移反応も数が1とデビルマジンガーの物とは異なる様相を呈していた。

 そして………イングラムがニヤリと笑い上空を見つめる中、暗雲の中からサンダーブレークが放たれ、量産型戦闘獣達に大ダメージを与えたのだった!!

 

「こ、このサンダーは………まさか!!」

 

『むっ………もしや、貴様が還って来たと言うのか、グレートマジンガー!!!!!!』

 

「………成る程、『向こう側』で見た物とは若干の差異があるが、人外の勢力であるミケーネ帝国が復活したと言う訳か。。

 そして………コウジ、リュウセイ、キョウスケ、ヘビクラ、クレナイ、カイ、ダイテツ艦長達………テツヤ・ツルギとグレートマジンガー、現時刻を以て帰還し、ミケーネ帝国との交戦を開始すると報告する!!」

 

 コウジも先程のサンダーブレークを見て空を見上げ、勇者ガラダブラも敵の勇者と称えられる者がこの世界に帰還したと確信し身構えると………ハガネや機動部隊各機にグレートマジンガー、テツヤ・ツルギより通信が入り五体満足、万全の状態でグレートマジンガーが此処に帰還したと報告が入るのであった!!

 そしてグレートマジンガーはDC残党部隊よりも、人外勢力であるミケーネ帝国にその双眸を向け、臨戦態勢に移るのであった………!!




此処までの閲覧、ありがとうございました!
ゼオラがアラドの言葉も途中まで聞いてないのは本編でクエルボさんが推察した通りになります。
深層意識を弄られてこうなっては………もう何か目の前で何かデカい事が起きないとちゃんと意識が戻らない訳です(その代償がアラド撃墜)。
そして………ラストに持って来たのは当然、サブタイ通り『こちら側』の偉大な勇者テツヤ・ツルギとグレートマジンガーの帰還です。
グレートマジンガーの今の性能はマジンガーZより弱くなってますが、グレートブースターはちゃんと完備してるので機動力は確保出来てます。
更にミケーネ帝国を知ってる様子を見せてますが、これは『向こう側』でミケーネ帝国のデータを閲覧してたからです。
物語の合間を縫ってミケーネの脅威を頭に叩き込んでいたんです。
その辺も次回にしっかりと明言させますのでご安心を。

次回もよろしくお願い致します、感想等もお待ちしております!
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