学園生活部と銃マニアの女子高生   作:三坂

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第10話 生存者との出会い

 

 

 

 美乃里達がたまたま見かけた自衛隊の輸送トラックから食料などを入手したのと同じタイミング、巡ヶ丘市内の住宅街通りを左右に行ったりきたりしながら車を走らせていた椎名は土砂降り雨に驚いていた。

 

ザァァァア

「うわー…、めっちゃ激しい…こりゃしばらく止みそうにないかも……」

 

 天気にとっては地上で人間がどうなろうが関係ないんだな…そんなことを思いながらハンドルを握っていたものの、再びクラッシュした事故車によって塞がれてしまった通りに鉢合わて再び車を止める。

 

ー天気にとっては地上がどうなろうが関係ない…ってことか……ー

「ってまーた行き止まり…」キキッ

 

 もう何度道を変えたか覚えてないほど既に迂回しまくっており、本来なら何ともない学校までのルートにここまで手こずってしまうとは…と内心ため息を零す。

 ふと車のカーナビに表示された時計に目をやると時刻はお昼丁度、家を出て2時間は軽く経っているといったところだろう。

 

ーもう何回迂回した覚えてないほどに迂回したんだけど……、はぁ…まさか普段なら気にならない学校までのルートだけでこんなに手こずるとは…ー

「……もうお昼か…」

 

 とはいえお昼にするにはまだ時間が早いため、もう少し道を探すついでに休憩出来そうな場所を探してからにしよう…そんなことを思いながら、十字路まで車をバックさせると、今度は右に進路を変更して再び学校まで目指すことに。

 

ーでもまだお昼には早い…、食べるの遅かったし…。とりあえずもう少し走ってみよう。後ついでに休憩出来そうな場所も探そっか…ー

ブロロロ

 

 しかしそんな最中ふと、雨が振り始めてから感染者と一人ともすれ違っていないことに気づき、そう言えば…という表情になる。雨が降る前はたくさんではないものの定期的に見かけていたため、確かに今の状況は違和感を感じるかもしれない。

 

ー…そう言えば雨が降ってから感染者?を一人も見てないような……降る前は定期的に見かけてたのに…ー

 

 まあそのお陰で感染者の集団に遭遇して迂回したり、わざわざ避けながら走らなくて済むため結果的にはいいかと思っていた椎名だったが、もしかしてこれも感染者の特徴なんだろうか…とそんなことを思う。

 

ーまあお陰で感染者の集団に遭遇して迂回したり…、避けながら走ることがないからいいんだけど…。…ってかもしかして…これも感染者の特徴…?ー

 

 とはいえ今回がたまたまそういう感じになっているだけなのかもしれないが、覚えておいて損はないだろう…そう思いながら次の休憩でメモしておこうと思いつつ車を走らせていくのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「クシュン…!!」

 

 無事に食料やら武器を確保出来たまでは良かったのだが、道中突然の土砂降り雨でびしょ濡れになっていた美乃里はステアリングを握りながらくしゃみをこぼす。

 やはり服や身体が濡れているせいで冷えてしまったらしく、このまま放置すれば風邪を引いてしまう可能性も否めない。

 

ーびしょ濡れのせいで身体が冷えてるのかも…、流石にタオルで拭くだけじゃ厳しいか…ー

 

 が生憎着替えなどは持っていないため、濡れた服を着替えようにも着替えることが出来ない。一応車の暖房を多少効かせてはいるのだが、それも気休め程度。

 もし風邪を引いて熱を出したとなれば、それこそこんな状況下では最悪命取りになってしまう。

 

 なのでそうなる前に籠城出来そうな家をこうして走りながら探しているのだが、良さそうな場所が見つからずにいるようだ。

 

ー…でも着替えはないし…、車の暖房も燃料の関係で強く効かせれない…。参ったな…もし風邪引いて熱をこの状況下で出したら…ー

「……そうなる前に早く籠城出来そうな家を…、ってもこんな状況に限って見つからない…」ハァ

 

 そんな彼女の助手席では瑠璃が心配そうに身体の具合を気にかけており、美乃里も心配ないと安心させるように声をかけながら住宅街の合間を縫うように車を走らせていく。

 

「大丈夫…?」

「…うん!大丈夫、お姉さん丈夫だから…!」

 

 とはいえ当てもなく走り続けるわけにはいかないため小休憩も兼ねて適当な路上に止めることにした美乃里は、ブレーキを踏みながらとある一軒家の前に停車させた。

 

ーっても流石に当てもなく走らせるのもアレか…、小休憩も兼ねてこの辺で車を止めるか…ー

キキッ

 

 その後再びもう一枚確保していたタオルで身体や服の水気を拭こうとした彼女だったが、瑠璃が何かに気づいたのか停車した真横にある一軒家を指差す。

 最初こそ何のことかさっぱりだった美乃里ではあったものの、若干前のめりになりながらフロントガラス越しにその一軒家を目にした瞬間、思わず目を開く。

 

ーえっと…とりあえず身体拭けるタオルがもう一枚あったから…、それでまた水気でも取っt…ー

「…!丈槍お姉ちゃん!アレっアレ!」

「んぇ?るーちゃんどうs…!?」

 

 彼女達が向けていた視線の先には一軒家の2階から覗き込む少年らしき人物の姿があり、彼もこちらに気づいたのか助けを求めるように窓を開けて手を振り始めた。

 どうやら感染していない生存者のようで、美乃里も運転席の窓を開けて雨音に負けない声を出しながらそちらに向かう旨を伝える。

 

「生存者…!あの感じ感染してないっぽい…!」

「…!!(ガララ)お巡りさん!助けて!」

「いまからそっち行くから待ってて!」

 

 それから建物の様子を確認した美乃里は、ガレージが併設された一軒家であることを確認すると、少年に車をそこにいれるからガレージのシャッターを開けてくれないかと依頼。

 もちろん少年も応える形ですぐに開けることを伝えると窓を閉めてからガレージに向かうために、窓際から離れていく。

 

ー……見たところガレージ付きの一軒家、なら一旦そこに入れてもらおう…ー

「ごめん!そこのガレージのシャッター開けてくれる!?車をそこに入れたいから!」

「…はっ…はい!」

 

 その間にもシャッターが開いたらすぐに車を入れられるようにバックでエクストレイルをガレージの前へと突っ込むように止める。

 

ーよしこっちも…シャッターが開いたすぐに車を入れられるようにつけてっと…!ー

キキッ

 

 その後少年がガレージのシャッターを開けてくれたことを確認すると、慣れた手つきで車をバックさせながらガレージに突っ込む。

 

「よっし!これでとりあえずはオッケーね、とりあえず車いれるからそこで待ってて!」

「わっわかりました…!」

ボム

ブロロロ

 

 その後感染者に侵入されないようにするために、彼女の合図で少年がシャッターを下ろしながらガレージの出入り口を塞ぐように閉める。

 

キキッ!

「よしっ!降ろしていいよ!」

「はい!」

 

 それから鍵をかけてしっかり施錠したことを確認した少年は、ガレージ内に入ってきたエクストレイルパトカーの元へと歩み寄っていく。

 すると運転席と助手席のドアが開くと、彼の視線には先ほどシャッターを開ける際に手伝ってくれた女性警察官と、低学年の小学生少女が目に入ってきた。

 

「…よし…」

ー鍵は…問題なし、…まさかガレージを有効活用する日が来るなんて…ー

「ほっ、るーちゃん降りれそう?」

「うん♪大丈夫!」

ー……小学生の低学年ぐらいの子も乗ってたんだ…、でも…警察官もいるからこれできっと…ー

 

 もちろん美乃里たちも歩み寄ってきた少年には気づいており、自己紹介を挟みながら路頭に迷っていたところを助けてくれてありがとうとお礼を口にしていく。

 

「…さっきはありがとね?丁度路頭に迷ってて…(汗)あっ私は丈槍美乃里、巡ヶ丘西警察署で警察官やってるの。よろしく♪」

「私若狭瑠璃…!市立巡ヶ丘小学校3年生でるーちゃん!って呼ばれてるの…!お兄さんよろしくね!」

 

 本人は安心させるつもりで話しかけたつもりだったが、路頭という言葉を聞いてこの人たちは助けに来てくれた訳じゃない…と察したのか、少年が少し困惑しながら話しかける。

 すると美乃里もそれを聞いて会話の食い違いが発生したことに気付くと、少し表情を顰めるように申し訳ない雰囲気を見せながら口を開いた。

 

「…えっ、おっお姉さん助けに来たんじゃ……」

「……あー、その…期待させたならごめんなさいね?その…かなり重い話しにはなるんだけど…」

 

 自分は先ほど話した通り元々は巡ヶ丘西警察署に勤務していた警察官で、騒動当時には巡ヶ丘橋で感染拡大を阻止するために設置された検問所の警備に当たっていたこと。

 しかし昨日に発生したデモ隊の騒動によってその検問所もほぼ半壊に近い状態になってしまい、収拾がつかなくなったことで自分はたまたま助けた少女と共に命からがらに逃げ出すことに成功。

 

 だが結果的に橋に残っていた他の警察官達の安否は不明となってしまい、警察車両の無線でも他の地域に展開しているであろう警官とも連絡を取ることが不可能に、なので応援や救援を呼ぶことも出来ない状況なのだと美乃里は少年に説明していく。

 

「……こんな感じ、かしらね。本当にごめんなさいね…?余計な期待させちゃって…」

 

 だが事情を理解した少年は気にしないでくださいと口にすると、自分の名前をまだ名乗っていないためそれらを含めた自己紹介をすることに。

 彼の名前は『高野 優乃(たかの ゆうの)』、巡ヶ丘市にある巡ヶ丘工業高校に通っていた2年生の男子生徒。

 

「いっいえ!気にしないでください…!あっ僕高野優乃っていいます!巡ヶ丘工業高校の2年生で…」

「優乃くんか、いい名前だね♪改めてよろしく」

「よろしくー!」

 

 ちなみに騒動当日は学校で授業があったものの、部活に入ってなかったこともあってそれが終わるとすぐ家に帰っていたそうだ。だが結果的にそれが幸いし、パンデミックが拡大し始めた時には自宅に上手く籠城することが出来たのだとか…。

 

「えっと…優乃君はどうしてここに…?」

「あっえっと…(事情を説明)、まあ…ざっとですが…」

「そう…だったんだ、結果的に上手く籠城する形に……」

 

 その後彼の親について尋ねようとした美乃里だったが、聞かれたくない雰囲気を見せていたためそれ以上深く追求しないことに。

 だが代わりと言ってはなんだが、もし良かったら車のトランクに食料があるのでもし良かったら分けてあげようか?と提案。

 

「えっと…そう言えば親御さんは…」

「……あー…」

「…いや、何でもないわ。それより食料は大丈夫?良かったらこっちにもあるけど…」

 

 すると丁度備蓄していた食料が底をつきかけていたらしく、それを聞いた少年は喜んでと言わんばかりに嬉しそうな笑みを見せていた。

 もちろんそうとなれば早速食料を車から運びだこうとした美乃里だったのだが、直後ガレージ全体に2人のくしゃみが響き渡った。

 

「いっ…いいんですか!?あっ失礼…、実は丁度備蓄食料が底をつきかけてて…」

「そっか、なら丁度良かったわ♪ちょっと待ってて、今取りに……「「へっくしょん…!!」」」

 

 ちなみにくしゃみの主は美乃里、やはり土砂降り雨でずぶ濡れになったままでいるため身体が冷えているようだ。

 食料を運び出す前にこれをなんとかしないと…そう思っていた美乃里だったが、優乃が良かったらうちの風呂を使ってくださいと提案していく。

 

ーやば…そう言えばびしょ濡れのまま立ち話してた…、流石にそろそろどうにかしないと…ー

「あっ…でしたら…、お風呂…使いますか?」

 

 どうやら電気・水道はまだ使えるらしく、仮に使えなくなっても太陽光パネルがこの家の屋根に設置してあるため、最悪止まっても電気は使えるとのこと。

 もちろん水に関しても雨水を貯めるタンクが備わっているため、水道が止まっても心配いらないそうだ。

 

「えっ…いいの?」

「はっはい…!流石にいつまでもびしょ濡れってわけには…、まだ水道と電気は使えるので…。それに仮に使えなくなったとしても電気と水道は自前で確保出来るんですよ」

 

 流石に用意周到過ぎない?と思わず内心突っ込みを入れた美乃里ではあったが、それならありがたく使わせて貰おうかな?と甘えさせて貰うことにし、そのまま案内される形で家の中へと足を踏まれていくのであった。

 

 

ーいやー…それはそれで用意周到…過ぎない?ー汗

「そうだったんだ…、ならありがたく使わせて貰おうかな♪」

「はい」

 

 

 

 

 






登場人物
高野 優乃(たかの ゆうの)
年齢:17歳
身長:168cm
モデルキャラ:男子学生(みどくまやさん立ち絵素材より)

 市内にある市立巡ヶ丘工業高校に通う高校2年生で、たまたま籠城していた自宅近くを通りかかった美乃里達と出会う。
 家族のことは詳しく話してないがまだ何処となく幼さの残る顔つきをしている。

 最初やってきた美乃里を救援だと思っていたが違うと分かると一瞬困惑したが、すぐに気持ちを切り替えて2人を受け入れた。


 風邪を引かないようにするとはいえ、美乃里とお風呂に入ろうと提案されると恥ずかしそうに驚いた。

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