学園生活部と銃マニアの女子高生   作:三坂

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第13話 これからについて

 

 

 

 

「……ん?」

 

 椎名がボルトアクションライフルによる射撃でワンボックスカーの盗難防止アラームを作動させたのと同時刻、湯船に浸かっていた美乃里は微かにその音を耳にしたのかゆっくりと顔を上げていく。

 だがそれも一瞬だったため気の所為かと割り切ると何でもないと彼に首を振りながら答えていき、そろそろ上がるか…そんなことを呟きながら湯船から上がっていく。

 

「…んー、気のせいか。とりあえずそろそろ上がろっと」ザブン

 

 

 ちなみに服自体は昔母親が着ていたものがタンスの隅っこに置かれていたらしく、サイズも丁度良かったのでそれを使わせてもらうことにしたらしい。

 廊下を経由してリビングへと戻り優乃と一言二言話しながらふと視線を向けた先、相変わらず爆睡している瑠璃を目の当たりにすると、大分お疲れみたい…と苦笑いを浮かべていた。

 

「どうでした?サイズ、昔親が着てたものなので…」

「丁度いいかも、ありがとうね。わざわざ探してもらって…」

「いえ、流石に服がないのは不味いですし…ところで…」

「(-_-)zzz」

「…かなりお疲れみたい…(汗)お風呂から上がれば流石に起きるとは思ってたけど…」

 

 まあ今まで安心出来るような場所でないところで過ごしていたため、ようやく彼女にとって一息つける所が見つかったというのもあるのだろう。

 そんな寝ている彼女はそっとすることにした美乃里は、優乃に対して車から食料を出すのを手伝ってくれるかと依頼。

 

 

 もちろん彼も断ることなくわかりましたと引き受け、2人で再び車が停まっているガレージへと向かっていく。

 

ーまあこの子にとって安心出来る環境が出来たって事なんだろうけど…、とりあえずしばらくそっとしておこうー

「優乃君、ちょっと車から食料何個か取り出すから手伝ってくれる?」

「あっわかりました」

 

 リビングから再び廊下を経由してガレージにたどり着いた2人は、車のリアゲートを開けてからトランクに詰められていたダンボールの箱を2つほど引っ張り出す。

 一杯ありますね…と優乃が驚きを見せているのに対して、ここに来る道中で大破した自衛隊トラックから、非常食を見つけたので頂いたと説明する。

 

「よっと…」ガコッ

「わっ…たくさんありますね…」

「ここに来る道中に大破した自衛隊のトラック見かけてさ、その2台に食料があったから頂いたの」

「なるほど…」

 

 その後1つずつ箱を持った2人は、ガレージを後にしながら廊下を再び経由してリビングへと戻っていき、寝ている瑠璃を起こさないようにキッチンへと移動すると、箱をテーブルの上に置いていく。

 ここに来る前に間食も兼ねて食べているため箱自体は開いているものの、それでも食料やら飲料水がぎっしりと入っており、これをみた優乃はまたしても驚きを露わにする。

 

「よっと…」ゴト

ガサガサ

「…結構入ってますね、食料といい飲料水もこんなに……」

 

 だが本来頂いたものとはいえ彼女達の食料なのに本当に食べてもいいのか…と遠慮気味に話す優乃に対して、美乃里は全然構わないと笑みを見せながら答えた。

 

「でもいいんですか…?お姉さん達のなのに頂いたいて……」

「いいのいいの♪困った時はお互い様だし♪」

 

 とはいえ2人共まだお腹が空いていない上に瑠璃がまだ寝ているので食べるだとしても起きてからにしよう、ということで話が纏まったようでそれまでは今後どうするかも兼ねてソファーで休息を取ることに。

 

「…あっでもお腹空いてないので後でも大丈夫ですよ、それにその子が起きてから食べたほうがいいでしょうし」

「それもそうね、なら今後どうするかも兼ねてソファーで一休みしましょうか」

 

 その後水分の補給だけでも…ということで箱からお茶を取り出すと優乃に手渡しながら、美乃里は彼と共にソファーに腰掛けながら今後について話し合う。

 

「はいお茶、これを飲みながら話しましょうか」

「あっありがとうございます…」

 

 まあといってもしばらくは食料があるためうまく節約しながら籠城するのが最も安全であり、感染の拡大リスクが大きい避難所に行くのは現状得策ではない。

 

「…といっても現状は籠城が一番かなぁ、…避難所に行こうものなら感染リスクが高い上に既に機能してない可能性もあるだろうから…」

「まあ…そうですよね、わざわざ安全な所を手放したくはないですし…」

 

 だがそれ以外に美乃里としては騒動当時に妹がいた巡ヶ丘学院に行きたいという思いがあるため、その旨を優乃に伝えていく。

 

「…でも私的には巡ヶ丘学院高等学校に行ってみたいんだよね」

「…というと?」

「実は私、妹が居るんだよね。丈槍由紀って名前なんだけど…、ちょっと変わってるけど…可愛くて大切な家族の一人なの」

「……」

「それで、その子が騒動当時学校にいたの。丁度補習で帰りが遅くなるって言ってたから、多分学校に居たんだけど…」

 

 もちろん巡ヶ丘学院自体どうなっているか分からないし、何より今回の騒動とは相性が最悪ない状況学校そのものが感染者達の住処となっていることも…

 当然そんな場所で戦い方も知らない女子生徒が生き残れる可能性などあるはずもなく、優乃の言う通り最悪な形で再会する可能性だって充分あり得る。

 

「だからさ、一度学校に行ってみたいの。由紀が無事なのかどうかって」

「…でも、今回の騒動って感染症が原因…なんでしょ?学校なんて相性が最悪…というか、人間じゃない奴らの住処になってる可能性が…」

「……まあ、確かに…ね」

「そっそれに…、会えたとしても…その…えっと…最悪の形に……なる…かも」

 

 だとしても姉としては妹の安否だけは確認したい…という強い思いがあるようだ。今までは警察官としての職務を優先していたため私情を挟むことが出来なかったが、今は違う。

 結果がどうなろうがそれは覚悟の上…と真剣な表情でそう呟いた美乃里の横顔を見つめていた優乃だったが、彼も決心したようで、なら手伝わせてください…!と胸を張るようにそう告げた。

 

「…もちろんそれは分かってる、けど姉としては妹の安否だけは確認したい…。例えそれがどんな結果になろうとも…」

「………美乃里お姉さん、…わかりました…!なら僕もそれ手伝わせてください…!」

 

 とはいえ知っての通りリスクの高すぎる行動なのは彼女も分かっていることであり、無理をしなくてもいいんだよと忠告するが、困った時はお互い様だと…先ほどの言葉をそっくりそのまま返す。

 

「あっでも…、君が言った通りリスクが高すぎる行動だから無理はしなくても…」

「困った時はお互い様…です…!何かあっても協力すればなんとかなりますよ…!」

 

 まさかすんなり行くと答えるとは思ってもいなかったようで、最悪瑠璃を任せて自分だけ行こうと思っていた美乃里だったが、なんだか人に恵まれてるな…と内心思いながらありがとうと述べる。

 

ーまさかすんなり行くと返答するなんて…、最悪るーちゃん任せて一人で行こうと思ってたけど…。案外…人に恵まれてるかも…ー

「ふふっ、ありがとうね?」

 

 今後について話が纏まりつつあったタイミングで、美乃里は視線の端に映ったリビングの端にある仏壇に目が留まる。

 アレは?と視線を向けながら優乃に尋ねると、あー…とどう言えばいいか…という表情を一瞬見せながら、両親の仏壇だと明かしていく。

 

「ん?優乃君、そう言えばあの仏壇って…」

「あー…えっと…、両親の仏壇です…」

 

 実は彼の両親はランダルコーポレーションが所有する研究所に勤務していた職員で、2年前に事故によって2人を失っていたいたらしい。

 幸いランダル社が事故の責任を認め金銭面などは負担してくれたが、失った家族は戻ってこず…今でこそ難なく暮らせていたが当時は色々と大変だったようだ。

 

「実は僕の両親はランダルコーポレーションの研究所で働いていたんですが…、2年前の事故で…」

「あー…」

「今でこそ支援もあるので1人で生活するのには慣れましたけど…、当時は色々と大変でしたね…」

 

 だから家族のことを聞いた時に、気まずい表情を見せたのか…と納得した表情を美乃里は浮かべながら、もしよかったら仏壇に手を合わせてもいいかな?と尋ねる。

 もちろん大丈夫だと優乃は答えていき、ありがとうと返すと仏壇の前にある座布団に正座で腰掛けていく。

 

ーだから家族のことを聞いた時に…ー

「……ねぇ、仏壇に手を合わせてもいいかしら?」

「あっ全然かまいませんよ、どうぞ」

「ありがとう…」スッ

 

 

 世間はパンデミックで大変なことになっているが、とある理由で彼と一緒に外の世界に足を踏み入れるため、身勝手ながらしばらく家を留守にすること。

 だが警察官として自分がちゃんと息子さんを守るので安心してください…と真剣な表情で祈りを捧げる。

 

「……」

 

 長いようで短い時間が流れる中、その様子を見ていた優乃は相変わらず綺麗な表情に思わず惚れ惚れしていた。工業高校出身ということや女友達が居なかった彼は、こうして女性の顔をまじまじと見つめることがなかったのだろう。

 

「……」

ーにしても…本当美乃里お姉さん綺麗な顔してる…、ってか女性の顔をまじまじと見ることなんて今までなかったな…ー汗

 

 だが同時にこの終わりの見えない騒動について、これから自分たちはどうなっていくのだろう…そんなことを思っているとふと父親が母親と話している際に聞いた会話を思い出す。

 

ー…でも…これからどうなるんだろう……、この終わりの見えない騒動を自分達は…ー

『あの計画を?』

『あぁ、俺は反対することにした。いくらなんでも何かあった時のリスクがでかすぎる』

 

 恐らく仕事に関しての話をしていたのだろう、基本身内とはいえ会社のことを自分のいる前で話すことはなく、あのときはトイレから戻る時に扉越しに聞いた程度といった感じだ。

 …あのときは全然気にしてない…というか眠たすぎてそれどころじゃなかったため、スルーしたもののよくよく考えてみればあの日の翌日、2人は研究所の爆発事故で亡くなった。

 

 

 …あれは偶然だったのだろうか…そんなことを思いながら、答えの見つからないものを1人真剣に悩んでいくのであった。

 

ーよくよく考えてみればあの日の翌日…、お父さん達は事故で……偶然か?…いやそんなはずは…ー

 

 

 

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