学園生活部と銃マニアの女子高生   作:三坂

16 / 18
第16話 翌朝

 

 

 

「……ん」

 

 

 カーテンの隙間から差し込むように照らされた巡ヶ丘高等学院3階端に存在する資料室、かつては学校で使う資料などが保管されていた部屋は、今は寝室として使われているらしい。

 そんな元資料室内にて先ほどまですやすやねていた椎名は差し込んできた太陽の光によって目を覚ましたらしく、軽い背伸びをしながら起き上がる。

 

 

「…んんっ!よく寝た…」

 

 

 周りを見渡すと誰かが寝ていたであろうベッドがあるだけで誰もいないようで、何気なく時計に目をやった椎名は時刻が朝9時を指していることに気づくとやべっとそんなことを思いながら飛び起きた。

 やはり昨夜の戦闘でかなり疲労が溜まっていたようで思ってたよりも寝てしまっていたらしく、スカートを揺らしながら部屋の外へ出ようと扉に手をかけようとしたが…

 

 

「…えっと今は9時…か、ってやべ!寝すぎた…!!」

ドタバタ

 

 

 だがその前に扉が横に開き、開いた先の出入り口付近の廊下にはシャベルを担いだ胡桃の姿があり、ようやく起きてきたお寝坊さんをみるやニヤけながら優等生さんでも寝坊するんだな…と弄るような一言を口にする。

 

 

ーやっぱ昨日の戦闘が響いてたか……、っていやいや!それより今はみんなを探し…ー

ガララ!!

「ん?」

「あっ…」

「…おやー、ようやく起きてきたかー。優等生さんでも寝坊することあるんだなー」ニヤニヤ

 

 

 とはいえ気持ちは分からなくもないようで、昨日あれだけ無理すりゃそうなるよなーとも口にしながら身体の方はどうだ?と気にかけるように尋ねていく。

 もちろん今さっきまでドタバタしていたため問題ないと答えかけた椎名であったが、流石にあれだけ反動の強い銃を連射をさせたのに影響がないのは無理があったらしい。

 

 思い出したように少しきつめの筋肉痛に襲われた椎名は思わず顔をしかめながらよろけかけるが、胡桃が咄嗟に支えてくれたお陰で事なきを得た。

 

 

「…まあそれはさておいて、身体の方は大丈夫か?痛いところとか…」

「あっいえ今特にそんなのh…いててっ…っとと」

「おっと(支えて)、やっぱ響いてるよなー」汗

 

 

 駄目そうならもう少し横になっててもいいんだぞ?と胡桃が体調を気にかけるひと言を口にするが、多少よろけただけで歩く分には問題ないらしく、椎名は大丈夫ですと口にしながら自力で体制を立て直す。

 

 

「無理そうなら休んでていいんだぞ?もう少しぐらい」

「いえ、歩く分には問題ないので。よっと…」

「本当に大丈夫か?まあ椎名が大丈夫ってならそうなんだろうけど…」汗

 

 

 その後2人は廊下を歩きながら他のメンバーがいる生徒会室へと足を運ぶことにしたのだが、そう言えば…と胡桃が思い出したように、昨夜学校内で生き残っていた自分達以外の生存者に出会ったことを口にしていく。

 もちろん椎名が一足先に疲れて爆睡をかましてからの出来事なので、当然ながら彼女にとっては初耳の情報。

 

 それは本当のことなのか…と思わず彼女らしくない少し興奮気味の雰囲気でつい食ってかかり、胡桃にまあまあと宥められたことで我に返った。

 

 

「あっそう言えば昨日さ、椎名が一足先に寝てからこの学校で生き延びてた他の生存者と出会ったんだ」

「…!?生存者ですか…!はっ初耳ですよ!?」

「おぉ落ち着け…、そりゃ椎名はガッツリ爆睡してたからな…無理に起こすのもアレかなって思って」

「…あっ、すっすみません…。少し興奮しすぎましたね…」汗

 

 

 とまあそんなやり取りがあったものの、本題に戻った胡桃はその生存者は今慈達のいる生徒会室にいるようで、自分達と同じ巡ヶ丘高等学院に通う女子生徒だとか…。

 ちなみに由紀のクラスメイトで面識があったようで、出会った昨日からというものずっと一緒にくっついているらしい。

 

 

「ちなみにその胡桃さんたちが出会った生存者さんは…?」

「あーいまめぐねえ達と一緒に生徒会にいる、あたしゃらと同じこの高校の生徒みたいでさ。どうも由紀と同じクラスメイトらしーぜ」

「そうなんですか?」

「あぁ、しかも面識があるときたから由紀は昨日からそいつにぴったりいるぜ」 

 

 

 とはいえあの日の騒動をカオスの度合いが酷かった高校で生き延びていた生存者が胡桃達以外にもいたことが驚きであり、そう口にした椎名に対して胡桃も同意するようにそんなことを呟く。

 まあ自分達は屋上にいたから助かったようなものであり、校舎内や校庭にいた生徒や教室のほとんどは彼らにやられているのだ。

 

 

「…ってことは3年生、でも驚きました。私達以外にこの高校に居たなんて…」

「まーな、アタシらは屋上にいたから助かったけど。大方の連中はあの日にやられちまったからな…」

「…まあ丁度生徒が集中してた時間、ですからね……」

 

 

 すると椎名がそう言えばその生存者とは何処で出会ったのかを聞いてなかったと思い出したように口にしていき、胡桃に出会った際の状況などを教えてもらえないか…とお願いしていく。

 もちろん胡桃もそれは分かっているため、とりあえずその生存者と出会ってから説明する旨を話していると、目的地である生徒会室前と到着。

 

 椎名を連れて胡桃は中にいる慈達に声をかけながら入っていく

 

 

「…そう言えばその生存者とは何処で出会ったんですか?その辺も私分からないんで…」

「だろうな、まあそのへんはその子に会ってから説明するわ。もうすぐ生徒会だから」

ガチャ

「おーい、椎名起きたから連れてきたぞー」

 

 

 丁度そのタイミングの生徒会では悠里や慈が椎名ように残していたインスタントの味噌汁やご飯を温めていたり、由紀がチョーカーが特徴的な女子生徒と仲良くしていたようで、キッチンにいた2人が椎名に気づくとおはようや身体の方はどうなのかなど声をかけてきた。

 

 

「あっ雨宮さん、おはようございます♪」

「身体の方はどうですか?雨宮さん」

「おはようございます、まあ筋肉痛が酷いぐらいで…あんまり激しくは動けない…ですかね」汗

 

 

 もちろん完全ではないためそのことを伝えると、悠里があれだけ無理をしたんですからそうなるのも仕方ないと労う言葉をかけていき、慈は先生らしく今日は安静にしておくようにと生徒の身体を気遣うように念押ししていく。

 

 

「無理もないですよ、慣れないことを昨日あれだけすれば」

「とりあえず今日は安静にしててくださいね?昨日の話は身体の調子が戻ってから話しましょう、いいですね?」

「あっはい…」

 

 

 とまあそんなやり取りをしながら席についた椎名に対して恐らく悠里からお願いされたのだろう、由紀が彼女の分が載せられたカレーライスを両手にトテトテと駆け足で持ってきてくれた。

 こんな状況下なのに相変わらず明るい彼女に、内心真似できそうにないな…そんなことを思いながら受け取った椎名だったが、その際に首のチョーカーが特徴的な少女を目が合う。

 

 

「おっはよー!しーちゃん!今日はりーさんとめぐねえ特製のカレーライスだよ!冷めないうちに早く食べちゃって!」

「っとありがとう由紀さん」

ー本当由紀さん明るいよねぇ…、私には真似できそうにないや…ー

「「あっ…」」

 

 

 昨夜助けたメンツの中にいなかったパンク系な雰囲気が特徴な彼女は、言わなくても胡桃が話していた昨夜出会った生存者であることは間違いない。

 するとそのタイミングで胡桃が割ってはいるように話しかけながら腰掛けると、チョーカー少女に対して椎名のことを紹介するように話しかけていく。

 

 

ー明らかに昨日いなかった人、ってことはこの人が胡桃さんの言ってた生存者…ー

「紹介するよ、コイツは私らと同じ3年生で昨日アタシらを助けてくれた命の恩人、雨宮椎名だ。お前も聞いたことあるだろ?うちの高校では有名なガンオタク優等生」

 

 

 やはりガンオタクに加え優等生という構成は覚えられやすいようで、チョーカー少女は胡桃の問にもちろん知っていると答えながら椎名へと視線を向ける。

 一見すればキツそうな見た目をしており話しかけづらい雰囲気を醸し出しており、思わず何を言われるのか…と身構えた椎名だったが、直後発した言葉を耳にするや思わず拍子抜けた声を発してしまう。

 

 

「あー、もちろん知ってるよ。噂なってたしな」

「……」

ーうーん、なんかキツそうな雰囲気見せてる…由紀さんが懐いてるってことはいい人なんだろう…けど、果たして何を言われるのかー

「…ところで、ありがとな。お陰で助かったよ」

「…へ?」

 

 

 もちろん彼女は助けた覚えがないため、自分は何もしていないこととお礼を言うなら直接出会った胡桃さんに言うべきでは…そんなことを話しながら弁明する。

 …がチョーカー姉貴は学校で屯していた彼らを掃討または誘導してくれたお陰で隠れていたトイレから出ることが出来たとも口にしており、それもあって胡桃たちとも合流出来たとも説明していく。

 

 

「わっ私は何もしてないですよ…!?おっお礼言うなら胡桃さんとか…」

「いや、こうして私がここにいるのも君がアイツらを外に誘導してくれたらおかけだ。じゃなきゃ一生をトイレで終えるところだった」

「……」

 

 

 その後名前を名乗ってなかったな…と思い出したような表情を浮かべると、チョーカー姉貴こと柚村貴依は名前を告げながら簡単に自己紹介をしていく。

 もちろん椎名も自分の名前を知られているとはいえ、礼儀ということで改めて自己紹介をしながらお役に立てたならよかったとも口にする。

 

 

「っと自己紹介してなかったな、私は柚村貴依。3年生で知っての通りこの学校に通ってた生徒だ」

「あっ知っているとは思いますが、雨宮椎名です。その、お役に立てたのならよかったです…!」

 

 

 とまあそんな感じで自己紹介を終えた2人だったが、ふと相変わらずべったりくっついている由紀を横目に貴依に対して騒動前はどのような関係で?と尋ねていく。

 

 

「…ところで、その。由紀さんとお知り合いって先ほどお聞きしたんですが、騒動前は…どのような関係で?」

 

 

 もちろん話しにくかったら話さなくてもいいと付け加えた椎名に対して、由紀と自分はクラスでは浮いていた似た者同士ということもあって、気づいたらこうして話すような関係になったらしい。

 雰囲気的に幼さが残る由紀ではあるが根はいい子だと貴依は見抜いており、話してみればわすぐに打ち解けたということもあって、気づいたら彼女から好かれるようになったとか…

 

 

「あっもっもちろん話しにくかったら全然話さなくてm …」

「由紀はさ、クラスじゃ浮いてたんだよね。雰囲気も相まって、でも根はいい子だって私は分かってて似た者同士だったからそれで交流を持つようになったんだ」

「そうだったんですか…」

「まあ(汗)何故かめっちゃ好かれてるけどな…、アタシの第一印象でビビらない奴は由紀以外見たことないぜ」

 

 

 とまあそんなやり取りをしている間にも椎名の分のカレーライスを温めていた悠里がお待たせと一言告げながら、ご飯と味噌汁が盛られたお皿を彼女の目の前へと置いていく。

 

 

「…あっ、朝食できたわよ。…まあ朝食と言ってもインスタント系なんだけど…」

「あっありがとうございます、悠里さん」

 

 

 そんな出された朝食を口に運びながら椎名は今後についてどうしますか?と慈達に真剣な表情で尋ねていく、生存者が多くなったということは、食料の消費も激しくはなるがバリケードなどの強化など行動の幅は広がる。

 

 何より自分は一階の裏口に停めてあるミニパトから銃火器やら弾薬、食料を回収したいうえに一度家に帰って家族が戻ってきていないか確かめなければならないのだ。

 

 

「…それで、話は変わるんですが…。これからどうしますか?」

「…というと?」

「貴依さんが新たに加わったってことは、バリケードなどの行動の幅も広がりますし…。何より自分的にはミニパトに戻って残りの食料やら弾薬を回収したいってのもあります。…それに」

「それに?」

「一度家にも戻って家族の安否を確認したい…ってのも有ります、リスクはありますが…」

 

 

 とはいえせっかくほかの生存者と合流して一応現状は安全地帯として機能している高校を飛び出して、感染者だらけの無法地帯に女子高生1人が行くには危険が生じる。

 何より仮に一度戻れたとしてもそこから学校へ戻れるという保証はなく、道路の状況も日に日に悪化する一方では何日かかるかも定かではない。

 

 当然教師として…唯一の大人でもある慈にとってそれはいかなる事情があったとしても承認出来るものではないため、なんとも言えないような表情を浮かべる。

 

 

「気持ちはわかる、けど現状なにも確証が得られないのに校舎外に飛び出すのは危ないんじゃないか?」

「…確かに胡桃さんの言う通りです、道路の状況も日に日に酷くなってきてるでしょうし…何より感染者の数も増えてるでしょうから」

「………」

 

 

 とはいえ反対で丸く収まるものではないため、どうしたものかと慈は己の心と格闘しながら考え込んでいたのだが、ふと由紀がならこうすればいいんじゃないか?と何か閃いたような発言を発した。

 

 

ー…出来れば生徒にそんなことは…、でも反対で収まる内容かと言われると……うーん…ー

「あっそれならさ、こうすればいいんじゃない?」

 

 

 なにか名案があるのか?と貴依が尋ねると、うなずきながらも一同を見渡すように視線を向けてから、閃いた案を提案していくのであった。

 

 

「…ん?なんか名案あるのか?」

「…えっーとね、1人で行動するのが危険なら…」

 

 

 

 

 

『みんなで行動すればいいと思うんだ!』

 

 

 

 






はい、
 RTAなどではおなじみのチョーカー姉貴こと柚村貴依が新たに加わりました

 騒動発生直後からトイレで籠城していましたが、椎名が機転を利かせた盗難防止アラームのお陰で、無事トイレから脱出することに成功。
 其後3階から話し声がするということで上がった際、胡桃と遭遇して生存者の仲間入りを果たしました。


 まあそれよりも由紀が提案した方法、果たしてどうなるのか…!?
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。