学園生活部と銃マニアの女子高生   作:三坂

17 / 18


追記
がっこうぐらしのモデル都市が神奈川県横浜市ということが最近判明しましたので、警察を警視庁から神奈川県警に変更しています、

あと若干ストーリーを変更していますが、物語の進行には大きくかわりないため、特に影響はないと思います


第17話 拳銃の扱い方

 

 

「「みんなで一緒に(だと)(ですか)??」」

 

 

 由紀からの思いもしない提案に胡桃たちはつい綺麗にハモらせながら驚きの声をあげていき、間髪入れずに由紀がその理由を説明し始める。

 

 

「うん、だって1人で行動するのが危険なら逆にみんなで動いてしまえば何かあってもカバーとかサポーすぐに出来るでしょ?」

 

 

 確かに由紀の指摘通りであり1人で行動するよりもみんなで固まって行動した方が何かあった際にカバーやサポートができるのも事実、何より由紀は椎名の家もとい駐在所に行くついでに寄りたいところがあるようで…

 

 

「まあでもその駐在所に行くついでに寄りたいところがあるってのもあるけど…」

 

 

 それは一体何処なんだ?そう尋ねた胡桃に対して、由紀は近くの棚に置かれていた巡ヶ丘市内の防災マップを手に取ると、机のうえに広げてここにいきたいんだと指さしていく。

 『リバーシティ・トロン』、巡ヶ丘市内にあるショッピングモールとしては最も大きい場所の一つとして知られるこの場所はあのイ◯ンと肩を並ぶお店としても知られている。

 

 

「…ん?その行きたい場所って何処なんだ?」

「えっとねー…(ゴソゴソ)ここかな!」

「リバーシティ・トロン……、あーあのショッピングモールか…」

 

 

 現状食料などの問題は購買部でどうにかなってはいるもののやはりそれ以外のものやバリケードに使う材料は足りているかと言われるとそんなことはなく、先のゾンビ襲撃のことも考えるともう少し欲しいと言ったところだろう。

 ただそれならショッピングモールじゃなくてホームセンターなどにいけばいいのでは…と悠里が指摘するが、由紀曰く漫画などアニメのDVDの娯楽がどっちかというと本当の目的だったり…

 

 

「うん!食料も今は足りてるけど、この先のことを考えたらもう少し欲しいし…それにほかのものでも欲しい奴あるからさ。ここなら色々揃ってるだろうし」 

「確かに、ショッピングモールなら由紀の言う通りなんでも揃ってるな」(胡桃)

「…でもそれならホームセンターのほうがよくない?そっちのほうが色々ありそうだけど…」

「…あー…それについてなんだけど…、どっちかというと漫画とかアニメのDVDが欲しくて…」

 

 

 それを聞いた貴依が由紀はよくそういうのを呼んでいたからなーと騒動前の彼女の姿を思い出しながら懐かしの表情を見せていた。

 とはいえ確かにみんなで行動した方が安心だとはいえど完全にかと言われればそんなことはなく、かえって見つかるリスクが高まる上に、感染症との相性が最悪な人が集まるショッピングモールへ行くとなると、感染者達の大群に鉢合う可能性も慈の指摘通り充分にあり得る。

 

 

「あーそう言えば由紀、よくそういうの読んでたからなー」

「えへへー」

「…うーん、確かに安全ではあるけど…。ショッピングモールとなると感染した人たちの巣窟になってるでしょうから…流石に危ないとは思うなぁ…」

 

 

 ほかのメンバーも慈の指摘に確かに…と納得しており、由紀もなんとなく予想はしていたのかやっぱり駄目かーと少し残念そうな表情を浮かべていた。

 とはいえみんなで行動すること自体を否定されている訳ではなく、駐在所まで行って帰るぐらいなら…と胡桃が付け加える形で呟くと、それを聞いた由紀の目が一気に輝く。

 

 

「確かに…、この状況じゃ間違いなく連中の巣窟…だよな……」

「それにこの状況じゃみんな考えることは同じでしょうし…、いっても物資があるかどうか…」

「うーん、やっぱり駄目かぁ…。なんとなく予想はしてたけど…残念…」

「…でもみんなで動くというはいいんじゃねぇか?、駐在所まで行って戻るぐらいなら」

「…えっ!?」

 

 

 どうやら本当の狙いはそれだったようで、本当にいいのか…と言わんばかりの勢いで由紀は胡桃へと詰め寄っていき、それを彼女がなんとか抑え込んでいく。

 だが普通に考えて駐在所に行くだけとなると自分たちにメリットがないどころか、むしろかえって危険な外へ足を踏み出したことで面倒事や命の危険に晒される可能性だって充分にある。

 

 よほどのことがない限り承諾はしないようにも思えるが、どうやらそれにもちゃんとした理由が彼女にはあるようで…

 

 

「ほっ本当!?」

「おっおい落ち着けよ由紀…(汗)ってかちけぇ…」

「でも丈槍さんがどうしてそんなことを…?どちらかというと雨宮さんのほうが関係あると思うけど…」

「あっえっとね、まあ外に出るならついでにショッピングモールにいきたいってのもあったんだけど…どっちかというとそっちが本命なんだ」

 

 

 まあ理由と言ってもそんな難しいものではなく、自分たちの命を助けてくれた彼女の頼みをいくらリスクがあるからといって断ることなんて出来ない…という思いが由紀の気持ち的にはあったらしい。

 当然椎名も引くつもりは一切ないようで、慈に対してそこをどうにか出来ないだろうか…と無理を承知で頼み込んでいく。

 

 

「…まあ理由ってもそんな難しいものじゃないけどね。しーちゃんは私たちの命の危機を救ってくれた、なのにそんな人の頼みを断ることが出来ないってだけだけで…」

「…丈槍さん」

「…佐倉先生、無理を承知なのはわかってます。でもどうしても一旦戻りたいんです…!お願いします…!!」

 

 

 その後しばらく沈黙の時間が流れたものの、その沈黙を突き破るように貴依が別にそれぐらいは許可してもいいんじゃないか?と口を開いた。

 

 

「…いいんじゃないか?それぐらい許可したら」

 

 

 確かにせっかく安全な場所を離れて危険な世界に足を踏み入れるのはリスクがある上に、全員が全員戦闘できるわけじゃないことや狙われやすい女性中心で行動するとなると尚更。

 だがいつまでもこの場所で過ごせるわけではないため、いずれ食料や新しい拠点を見つけなければならない時がやってくるかもしれない。

 

 

「確かにせっかく安全な場所を確保出来たのに離れるのはリスクが生じる、けどいつだってここにいれるとは限らないだろ?」

「……」

「いつかは新しい拠点や食料を確保しに危険な外部へといかなきゃならない、そのための練習だと思えばいいと思うぜ」

 

 

 それに生徒を信じないで教師が何処にいる…そう言われた慈は少し迷ったものの、決心した表情を見せるとそれで行きましょうと許可とも言える返答を返した。

 もちろんそれを聞いた由紀はぱっと明るい表情を見せていき、椎名も優等生らしくありがとうございます!と起立しながら頭を勢いよく下げていく。

 

 

「それに、生徒を信じない教師が何処にいるって…な?」

「……ふぅ、わかりました。教師として…雨宮さんの提案を飲みましょう…!」

「本当!?やったー!」

「…!!ありがとうございます佐倉先生!」ガコッ

 

 

 流石は優等生だな…その様子を見ていた貴依がそんなことを呟き、横では悠里が胡桃に対してかっこいい事を言うじゃない♪とベタ褒めされ、少し照れくさそうにしていた。

 とは言え早速行動開始…というわけにはいかず、準備しようと提案した由紀に対して胡桃と椎名が冷静に待ったをかける。

 

 

「流石は優等生…、咄嗟の動きでも乱れがない」

「胡桃ちゃんかっこいいこと言うじゃない〜、こういうときは頼りになるんだから」

「…なんか照れるな///」

「よーし!そうと決まれば早速行動開始…」 

「「それはちょっと待った(って)」」

 

 

 せっかく行動が固まったのにそれはないじゃん…と不服そうな表情を見せる由紀だったが、動くにしても準備や駐在所までのルートを事前に地図などで確認しておかなければならないのだ。

 日に日に騒動の悪化が進む現状、道路網があちこちで寸断されていることを考えると、他のルートや移動手段。日数やそれに伴う食料や仮拠点の確保など諸々考えなければならない。

 

 なにより…

 

 

「えー、せっかく行動固まったのに…」ブーブー

「あのなー…動くにしても色々準備があるんだよ、それに普段のルートが街があの有様じゃ当てにならない以上。代替えルートも考えなきゃならないんだぞ」

「もちろん日数やそれに伴う仮拠点の確保、移動手段など諸々も考えなきゃならないですし…何よりも」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ファーッ、ファーッ!

ウヴァ!!

 

「…アレもどうにかしないといけないですから」

「あー……」

 

 

 胡桃たちを助ける際に作動させた車の盗難防止アラーム、その音によって校門付近でたむろっている感染者達を廊下の窓から指差すようにしながら説明する椎名の言葉に、由紀は察したような表情を見せる。

 恐らく高校付近にいた感染者のほとんどがあそこに集まっていることを考えると、これはかなり骨が折れそうだ…と胡桃がそんなことを呟くのであった。

 

 

「あれ…高校周辺の奴らのほとんどが寄ってきてないかしら?(悠里)」

「ですね…、しかもかなりの数…(慈)」

「…こりゃ骨が折れそうだ…」ポリポリ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 高校組の方針が固まり?つつある頃、巡ヶ丘市内某所の住宅街の一角に構える優宅のガレージでは、白黒のエクストレイルパトカーのトランクでゴソゴソと何やら作業をしている美乃里の姿が…

 なんとか乾いた警察の制服に身を包んだ彼女は、一度運び出した食料や家にあった食料などや持ち出して使えそうなものを詰め込んでおり、近くでは家の主でもある男子高校生、優の姿も…

 

 

「よっと…」

「美乃里さん、これは何処に」

「あーそれは後部座席で、3人だし一つ潰しても問題はないとは思うから」

 

 

 ちなみに瑠璃は流石に持てないだろうからということで荷物が置かれてないほうの後部座席で大人しく観察しており、それを横目に2人はテキパキとした動きであっという間に積み終わった。

 

 

「ふぅ…こんなもんかな?」

「ですね、持ち出せそうなものはあらかた積み込みましたし…」

「わぁー、ものが一杯なのだー」

 

 

 トランクを閉めながら本当についてきて大丈夫なのか?と再度確認する形で美乃里が尋ねていくが、優は問題ないという返答を改めて返していく。

 確かに安全な家を手放すうえに、家族が眠る仏陀を置いて行くのは得策ではないが、いつまでもここにいれるというわけじゃないし、何よりせっかく出会った生存者と離れるという選択肢は彼にはない様子。

 

 

ボムっ

「…でも本当についてきて大丈夫なの?私が言うのもなんだけど」

「問題ないですよ、住み慣れた家と家族を置いていくのはアレですが…いつまでもここにいる訳にはいきませんし…その、人は多いほうがいいでしょうから」

 

 

 まあ確かに人手は多いほうが何かと便利な上、力のある男子がいるといないでは様々な面で助かるのも事実。

 出来る限り護ってはあげるが、全部がそうじゃないので命の保証は出来ないよ?と念を押すように確かめた美乃里に対して、自分の身は自分で護ります…とサバイバルナイフ片手にそんなことを口にする。

 

 

「まあそれはそうなんだけどね、実際力のある男子いたほうが助かるし…でも一つ言っておくけど…命の保証は全部が全部出来ないよ、それでもいい?」

「…はい、自分の身は自分で護るので…」

 

 

 かっこいいこと言うじゃん♪そう答えた優に対してそんなことを口にした美乃里だったが、流石にサバイバルナイフだけじゃ心許ないからこれを使って…と警棒を手渡していく。

 サバイバルナイフよりもそれなりに距離を取れる警棒のほうが戦闘面では有利なうえに幾分かマシともいえるもの、もちろんそれだけじゃ限界があるため、緊急用として拳銃の使い方も教えてあげると提案した美乃里は、彼に手招きをしてガレージの隅っこへと誘導する。

 

 

「…かっこいいこと言うじゃん、はいこれ。警棒」

「警棒…ですか?」

「流石に慣れない近距離戦をして噛まれても困るし、ある程度リーチの取れる警棒のほうがいいかなって思って」

「なるほど…あっありがとうございます」

「それと、それだけじゃ心許ないでしょうし。こっち来て、拳銃の使い方、教えるから」

 

 

 それを聞いた優は驚きの表情を露にしながら本当いいのかと尋ねていく、普通ならば日本で拳銃などの銃火器を扱えるのはごく限られた資格を持つもののみ。

 本来であるならば一般人が持つことは許されておらず、ましてや法の番人である警察官が教えるとなれば尚更だ。

 

 

「あっえっ…いっいいんですか!?一般人の僕が拳銃なんかを…ましてや法の番人である警察官からなんて…」

 

 

 確かに普通なら駄目だし色々と問題になりかねない、だがいまは非常時…自分以外も使えるようにしておけば万が一カバー出来ない時や自分に何かあった際に、瑠璃を護れるようにしたい…というのがあるのだろう。

 

 それを聞いた優はなんとも言えない表情を一瞬浮かべるが、しばらくして分かりました…と答えながら教えてくださいと口にしていき、美乃里も優しく…だが慣れないなりに精一杯扱い方を教えていく。

 

 

「確かに平時なら色々と問題にはなりかねない…でも今は非常時、拳銃が扱える人を増やしておいたほうがいいだろうし…。何より自分が何かあった時にるーちゃんを護れる人が…」

「………っ!分かりました、お願いします」

「ええっ、それじゃまずは…」

 

 

 もちろん実弾射撃は残弾の兼ねないや音も大きいため出来ない上、いきなりアサルトライフル系を教える自信が彼女にはないため扱い慣れているS&W M360J SAKURA(サクラ)と呼ばれる拳銃の扱い方を教えることに。

 と言ってものんびり教える余裕はあまりないため、決して人や安全が確認できない方向に銃口を向けないとかや、 撃つ直前までトリガー(引き金)に指をかけない。

 

 そして今ならシリンダー(回転式)を開けて弾が入っていないことを指差し確認といった基本的な事から教えていき、構え方でもある「右手は握手するように、左手はそれを包み込むように」などもレクチャーする。

 

 

「…まずこれだけは外せないものなんだけど、安全が確保できてない方向には銃口をつけない。撃つ以外は指トリガーをしない、あと今ならシリンダーって弾の入るとこに弾が入ってないことを確認したりとか…こんな感じかな?」

「安全が確保できてない場所には銃口を向けない…、撃つ直前以外はトリガーに指をかけない…。後はシリンダーの弾確認っと…」

「それで撃ち方なんだけど、拳銃でも素人にしてみたら威力って結構あるの。だから撃つ際は右手は握手するやうに…左手でそれを包み込む感じで…」

「こう…ですか?」

「そう、そんな感じ」 

 

 

 当然構えるだけでは撃っても当たらないため、最後に「フロントサイト(照星)をリアサイト(照門)の真ん中の隙間にキッチリ合わせて、その上に標的を乗せる」ことや、吐ききったところで一瞬止めたほうが当たりやすいことも美乃里は教えることに。

 …まあこの短時間で教えるだけではいささか不安しかないのだが、ひとまずこれだけは護っておけば誰かや自分が怪我をすることがないため、それだけは覚えておいてと美乃里は説明する。

 

 

「あとそれだけじゃ当たらないから、そのフロントサイトってとこをリアサイトの真ん中の隙間にきっちり合わせて、そのうえに標的載せたら基本当たるから」 

「フロントサイトをリアサイトに…そのうえに標的を……」

「あとは息を吐ききって一瞬止めたタイミングで打ったほうが当たりやすいかな?」

 

 

 そんなこんなで即席の指導が終わったのだが、最後の最後でこれだけは護ってほしいと美乃里が更に念押しする形で話しながら、その銃口を感染者以外に向けないこと…とそんなことを口にしていく。 

 感染者以外つまり他の生存者ということになるが、みんながみんな協力的だとは限らない。むしろ法の秩序が乱れたことをいいことに無法者になっている生存者だっているため、この先そういった人たちと出会うことだって充分にあり得る。

 

 だが人に撃つことに関して精神的にも色々と慣れてない人が撃てばそれこそ悪影響が及ぼしかねない、それがまだ未成年の高校生なら尚更。

 

 

「…とこんな感じかな、あとこれだけは護ってほしいんだけど…感染者以外にその銃口は向けないで」

「……というと?」

「…みんながみんな協力的とは限らない、法の秩序が乱れたことをいいことに無法者になってる奴らだっているだろうし、そういう奴らと出会う可能性だって…」

「……」

「でもそういう奴らにも銃口は向けて撃っちゃ駄目、人を撃つのに慣れてない人が撃てばそれこそ理性を失うから。特に未成年なら尚更」

 

 

 しかしそれでは誰かを護ることが出来ないのでは…そう口にした優に対して、もちろんそれはそうだけどかと言って慣れてない段階で人を撃つことは流石に許可出来ない。

 ひとまずは彼には感染者に注力してもらうことにして、そういった生存者と出会った際は自分がしばらくは対処するという方法でいくようだ。

 

 …それでは美乃里だけ負担が大きいのでは…内心そう思った優だったが、実際そのとおりなので特に反論することなく従うことにするのであった。

 

 

「でっでも…それじゃ誰かを護ることなんて…」

「わかってる、でも慣れてない貴方に感染者以外の人を撃たせることは出来ない。しばらくは私がもし出会ったらそう言う奴らに対処するから、優君は感染者に注力して」

ー…それじゃ美乃里さんの負担だけが大きく……、でもまあ…実際その通りではあるけど…ー

「わっわかりました…」

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。