学園生活部と銃マニアの女子高生   作:三坂

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第4話 騒動翌日

 

 

 騒動発生から翌日

巡ヶ丘区

巡ヶ丘大橋

 

 殺人病の感染が突如として世界中に蔓延してから1日が立った市内に存在する橋の1つ、巡ヶ丘橋。幹線道路ではないが市民の生活道路として重宝されているが、今日は普段とは全く違った雰囲気を漂わせていた。

 

 というのも市外への感染拡大防止処置として、国の指示の元警察庁は全国の各都道府県警に対し河川をまたぐ橋や高速道路などの封鎖を指示。

 現にこの巡ヶ丘橋も近くの警察署などが総動員で封鎖して検問を行っており、橋の入り口になっている場所には市民や車が押し寄せるように列をなしている。

 だが全てが普通の民間人…というわけではなく、逃げ惑うように橋に押しかけている市民の背後には、もはや人ではなくなった感染者の大群が……

 

「きゃぁぁぁ!!?」

「早くこい!!もうそこまで迫ってる!ってかさっき1人やられた!!」

「ヴァぁぁ……」

 

 もちろん感染者が迫っていることは封鎖を行っている警察官達も分かっており、恐らく感染者に対応するためだろうか?

 DJポリス(正式名称『警備現場広報 』警備現場でデモ隊や歩行者らを口頭で的確に誘導する役割)が逃げ惑う市民を誘導している間に機動隊と思われるごつそうな警察官達がぞろぞろと前に出てきたと思ったら、手にした警棒で頭をひっぱ叩いていく。

 

『繰り返しお伝えします!市民の皆様は焦らず落ち着いて警官の指示に従ってください!!』

ダダダ

「おらっ!!」ゴッ!!

 

 その間にもDJポリスの話を聞いている限りではやはり巡ヶ丘市内全地域に交通規制が敷かれているようで、この橋もそれに伴って無断で渡られないように検問が設置。通行する際に厳しい検査やらチェックが行われているらしい。

 

『現在、市内全域は交通規制下にあり無断で渡河しようとしたものには法的な処罰を受けることがあります!!無論!徒歩での渡河も許されていません!』

 

 しかしだからといって全員が全員指示に従うほど善良な人たちかと言われればそんなことは全くなく、検問所として機能しているテントエリア近くの柵をいかにも悪そうな学生が飛び越えるように強行突破。

 もちろんそれに気づいた女性警官が慌てて止めようと試みるものの、彼以外の男子生徒1人、女子生徒2人が続くように渡っていく。

 

「よっと!!」ガシャン

「あっちょ!待ちなさい!!」

「へへっ!!」ガシャン

 

 一応無理な渡河をしようとしたものは法的処罰を行うという警告はなされているものの、日本の警察がそこまで強硬手段に出れないと思ってなめているのだろう。

 そのまま正規の手続きを終えて渡ろうとしていた子供を抱えた母親を突き飛ばすと、橋の中心部分へと突き進む。

 

「きゃ!?」

「おらおら!邪魔だ!!」

「きゃはは!ババァちょー受ける♪」

「おらどいたどいた!」

 

 当然その様子は他の警察官も目撃しており、直ちに無理な横断をやめるようにDJポリスが最終警告も込めたアナウンスをヤンキーチックな男女高校生4人に行っていく。

 まあそんな指示だけでしたがったらこんなことをしないわけで、むしろ自分達は少年法で護られているから手出しが出来ないとドヤ顔で自慢していた。

 

『そこの学生諸君!!無理な横断は直ちに辞めなさい!!これは最終警告だ!!』

「へっ!!まっぽうの指示に従うかよ!!少年法は俺たちの味方だ!!」

「きゃーっ!!〇〇君カッコいい!!」

「うへっ…♪」

 

 確かに平時ならその手法も聞いたかもしれない、がしかし今は有事。最終警告が無理だと判断したDJポリスは放水銃を備えた警察車両に対しガラの悪い学生への放水を命令、それを受けた操作する警察官は高圧な放水を彼らに向けて発射していく。

 

『放水!!』

 

 本来暴動などで鎮圧に使われる放水銃な上に、かなり高圧に設定されているため身構えていない学生ごときが耐えられるはずもない。

 まさか喰らうとは思ってなかったのか、直撃を受けた男女2人はそのまま橋から川へと落下。カバンに入れていたお札をまき散らしながらドボンと水に着水する。

 

ドボぉぉぉん

 

 流石に目の前で悪友が海中水泳する羽目になるとは思ってもみたかった残る2人の男女は、飛び散った水で濡れながらも困惑した表情を見せていた。

 しかし放水銃の狙いが自分達に向けられると、慌てて弁明して窮地から逃れようと試みていく。

 

「…え?」

ウィぃぃん

ガシャン!!

「っひ!?おっお巡りさん、私実は無理やり連れてこられt……」

 

 だが強行突破しようとした時点で見逃してもらえるはずもないもので、弁明に聞く耳を持たない警察官はDJポリスの合図で再度放水を開始。

 残された男女2人も仲良く揃って悲鳴を上げながら、先に橋から落とされた仲間の後に続くように川へと突き落とされて行くのであった。

 

『放水!!』

「!?きゃぁぁぁぁ!!!?」ドボン!!

 

 

 

 

 

 その様子を柵越しに見ていた警察官である丈槍美乃里巡査(22歳)は、だから止めたのに…と白髮ショートヘヤを揺らしながら呆れた表情を見せていた。

 

「…はぁ、だから止めたのに…。こうなるから辞めろって……」ため息

 

 しかしいつまでも制止を無視して落ちた人に構っている場合ではないため、柵から離れると何台か緊急車両が止まっているエリアにいる先輩警官の元へと向かう。

 もちろん先輩警官も先程の出来事は目撃しており、余計な手間を増やしてくれて…と軽く眉を細める。

 

「…先輩、ただいま戻りました」

「おう、さっきのはご苦労だったな。ったくまさか制止無視して突破しようとは…、こんな時に余計な手間増やすんじゃないよ……」はぁ

 

 だが今だからこそこういったことは起こると言っても過言ではないため、ひとまずはさっきみたいなことを起こされないように警備の強化を上司へ頼んでみるか…と口にしていく。

 とはいえここの警備自体、彼女達が所属している巡ヶ丘西警察署が担当しているのだが、美乃里の言っている通り今も出れる警官総出で当たっているためかなりギリギリの状態なのだ。

 

「とりあえず上司に警備の強化頼んでみるか……、今回は学生だから良かったがこれが大人で人数が増えたら……」

「で…ですが先輩、今も巡ヶ丘西警察署総出で警備にあたっているのにこれ以上増やせるんですかね…?結構ギリギリですけど…」

 

 もちろん先輩も充分それは分かっており、最悪会計課など普段警察業務を行わない職員も駆り出してなんとか人材を確保して貰おうと考えているらしい。

 まあそれだけ逼迫していることを意味しているというもので、それを聞いた美乃里はふと自身の妹のことを思い起こす。 

 

「分かってるさ、最悪会計課の連中にも手伝って貰えばどうにかなるとは思う…。普段は禁じ手だがそうも言ってられんし…」

「………」

ーまあこれだけ逼迫してたら…、…大丈夫かな…あの子…ー

 

 ちなみに彼女の妹は名前から察している方も多いだろうがその通り巡ヶ丘学院に通う丈槍由紀で、美乃里は由紀のお姉ちゃんということになる。

 当然騒動が発生した昨日の夕方は連絡が途絶える前に補修で遅くなるという話があったため、恐らく学校にいるタイミングなのは間違いない。

 

 だが学校どころかその周辺もどうなっているか全く報告が入ってこないため、こうして警察官としての職務を全うしている間も心配しているのだ。

 

ー連絡が途絶える前に補修で遅くなるって言ってたから……、夕方時点では学校には居るんだろうけど…あれから連絡もないし…ー

「そもそも、学校どころかその周辺も状況も全く分かんないからなぁ……」

 

 今も現在進行形で日本を含め世界中で広がりを見せている殺人病と呼ばれる感染症。感染したものは攻撃性が極端に増すどころか非感染者を襲い、そのまま仲間にしてしまうというもの。

 特効薬も存在せず、感染したものは殺処分か殺すしか現状対策を取ることが出来ず、もしそんな感染症に妹がなったら…と一瞬不安になりかける。

 

「……今のところ特効薬もない、もしなったら殺処分か殺すしか選択肢が……もし由紀ちゃんがなったりでもしたら……」

 

 だがいくら気にしたところで問題が解決するわけでもなく、学校ならきっと先生達が護ってくれてる…そう信じ込ませながら、自分は自分で与えられた仕事をこなしていくのであった。

 

「…いやいや!きっと先生達がなんとかしてくれてる…!とりあえず今は自分の与えられた仕事をしなくちゃ…!!」

 

 

 

 

 

 その頃家で相変わらず籠城をしていた椎名は昨日の残りであるカレーを食べながら今度どう行動するか、1人考えていた。別に無理して外に出なくても、食料などの備蓄はあるものの万が一のことも考え外部への探索も視野に入れる必要が出てくる。

 

「とりあえず今度どうするか…、今でこそ無理に出る必要はないけど…。万が一に備えて外部へ探索する必要もあるだろうし……」

 

 それに電気やら水道だっていつまで使えるかも分からないことを踏まえると、次の拠点になりそうな場所も確保しておかなければならない。もちろん場所として最適なのが水道や電気を自前で用意出来る設備がある建物が1番であり、そこならばライフラインが途絶えたとしても安定した籠城も可能になるだろう。

 

「それにここだっていつまで電気やら水道も使えるか分からない…、出来れば自前でそういった設備がある場所なら安定した籠城も……」

 

 もちろん適当な場所というわけにはいかず、出来れば自分が知っているような建物でそういった設備が整ったところがいいな…そんなことを考えながらカレーを食べていた椎名だったが、ふと思いついたのかスプーンを動かす手が止まった。

 

「でも適当な場所って訳にもいかないよね…、出来れば知っている建物のほうがなにかと都合がいいし……っあ!そういえば…」

 

 どうやら宛があるようでスマホを取り出すと何やらテキパキと調べ始めていく。しばらく調べていた彼女だったが、ようやく調べおやったのか手止めながら画面に表示された情報をまじまじと見つめていく。

 

 …まあ彼女がよく知っている場所で緊急時に使える設備が整っている場所など考える限り1つしかないというもの。実際画面には彼女が通う学校でもある巡ヶ丘学院高校のホームページが映し出されていた。

 

「……えっと確かホームページに…、あった!よく知ってる場所で緊急時の設備があるといえば…学校しかないよね…!」

 

 ちなみに巡ヶ丘高等学院は災害時に備えて雨水やら市内の貯水池の水を貯めるするタンクを始めとして、自前で電気を発電出来る太陽光パネル。更には非常食などもそれなりに備蓄しており、場合によってはバリケードなどを造れば要塞としても機能することが可能となっている。

 

「ここなら貯水タンクとか太陽光パネルっていた災害用の設備が整ってる…、それにバリケードを作る材料も揃ってるから簡易機な要塞としても…」

 

 もちろんメリットばかりというものでもなく、学校という場所は人が集まりやすいところでもあるので、今世界中で流行っている殺人病といった感染症とは相性が最悪。

 下手したら奴らで埋め尽くされている可能性もあるが、それでもそういった設備があるということは少しばかり生存者がいる可能性もあり得る。

 

「けどそういう場所って今流行ってる感染症とは相性最悪…、下手したら奴らの巣窟になってる可能性もあるけど……。ワンちゃん生存者が…」

 

 当然確証はないが行くだけ行ってみる価値はあるだろう。もちろん学校までの道のりは歩いていくにはそれなりに時間もかかるが、幸いにも家には駐在所のパトカーがあるのでそれを使えばあっという間にたどり着ける。

 

「それに車はあるから移動手段には困らない…、道路状況によるけど…行ってみる価値はあるかも」

 

 とはいえすぐに出発…というわけにはいかないもので出かけるにしてもありとあらゆる状況を想定して日帰りでも準備はしっかりしておかなければならない。

 なので朝食を食べ終えた椎名は明日出発することを仮定した準備を進めるために、お皿を片付けてから荷物をまとめるために2階の自室にまとめてある装備やら備蓄食料などといったものの確認と、どれを持っていくかなどを決めるために一旦お皿を片付けるためにキッチンへと向かっていくのであった。

 

「…ってもすぐには出れないから、明日出発することを仮定したとして準備を進めよっか。とりあえずお皿片付けてからかな」

 

 

 





新キャラ紹介
丈槍美乃里(たけや みのり)
年齢:22歳
身長:160cm
性別:女性
モデルキャラ:アムネシア (魔女の旅々)

 白髮ショートヘヤが特徴的な巡ヶ丘西警察署に勤務する女性警察官。階級は巡査で警察官として勤務歴は2年、まだまだ新人のようなものだが勤務態度は真面目で上層部や先輩から好かれやすいタイプだとか…
 ちなみに名前の通り彼女の妹は丈槍由紀、髪も性格も似ていないがれっきとした姉妹であり、関係もかなり良好らしい。

 騒動が発生してからは巡ヶ丘西警察署総出で巡ヶ丘橋の封鎖を行っており、妹の安否を気にしながらも自身に与えられた役目を果たそうと奮闘している。


設定集
神奈川県警 巡ヶ丘西警察署
 巡ヶ丘市内に存在する警察署の1つで規模としては市内に存在する3つの警察署の中では比較的小さく、巡ヶ丘学院高校のあるエリアを管轄にしている。
 騒動発生後は神奈川県警本部からの指示で巡ヶ丘市内外を結ぶ橋の1つ、巡ヶ丘橋の封鎖を任せられているが人手の確保で苦労しており、普段警察業務をしない会計課などや役所の人間などにも協力を仰ごうと考えているとか……

巡ヶ丘中央警察署
 巡ヶ丘市内で最も大規模な警察署であり、椎名の父親が勤務している場所でもある。当然規模が大きいことから人員やらもかなり多く、主に中心街などを管轄に活動している。
 今回の騒動では緊急対策室が設置され、特殊急襲部隊 (SAT)などの専門部隊を導入して事態の沈静化を試みているらしい。

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