S級冒険者が歩む道 ~追放された少年は幼馴染みの冒険者を絶対許さない~   作:opa

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続いて2話です。


2話ハイセの友人

幸い、ハイセはギリギリで死なずにすんだ。だが、彼の右目はエンシェントブラック・ドラゴンに潰され、失ってしまった。そして2年後、ハイセは凄い早さで強くなり、とうとうS級冒険者になり、闇の化身(ダークストーカー)と呼ばれるようになった。

 

~ハイセが滞在している宿~

 

チャリン

 

ハイセは宿の受カウンターの上に金貨数枚を置いた。

 

ハイセ「延長1ヶ月、朝食付きで」

 

オーナー「あんた、S級になったんだろ?こんなボロ宿じゃなくて、もっといい宿すればいいんじゃないか?」

 

ハイセ「ここだからいいんだよ。S級冒険者がいるとは誰も思わないだろ?」

 

オーナー「そうかい」

 

ハイセ「それと高い宿だと会いたくない奴に会う可能性が高いんだ。殺してやりたい程憎い奴にな。」

 

オーナー「複雑な事情があるんだな・・・・」

 

ハイセはオーナーが読んでいた新聞を見る。その新聞にはサーシャの写真が印刷されていた。

 

ハイセ「銀の戦乙女(ブリュンヒルデ)・・・・」

 

オーナー「ああ、この姉ちゃんか。確かかつての仲間を殺そうとしたっていう噂があったな」

 

「『銀の戦乙女(ブリュンヒルデ)』ついにS級冒険者に昇格、クラン加入希望殺到か!?」という記事が書いていた。

 

ハイセ「見た目と違って裏の顔があるってことさ」

 

バタン

 

ハイセは宿を出て、冒険者ギルドへ向かった。

 

 

~冒険者ギルド~

 

ハイセは掲示板に貼ってあった高難易度の依頼書一枚を剥がし、受付へ移動する。

 

ハイセ「これを」

 

エレンナ「ハイセさん、今日も一人で依頼を受けるんですか?」

 

受付のカウンターにいた受付嬢は昔からハイセと親しかったエレンナだった。

 

ハイセ「ああ」

 

エレンナ「これはS+の依頼です。さすがにS級冒険者のハイセさんでも危険です。どなたかと一緒に討伐されたほうが・・・・ロビンさんとか」

 

ハイセ「いいんだ。理由はわかってるだろ?」

 

エレンナ「わかりました。受理します。ハイセさん、余計なお世話かもしれませんがもっと自分を大事にしてくださいね?」

 

ハイセ「気を誓わせてすまない」

 

エレンナ「お気をつけて」

 

ハイセは扉を開き、冒険者ギルドを出た。

 

新人受付嬢「あの、いいんですか?いくらS級冒険者でも単独でS +の依頼を挑むなんて・・・・」

 

エレンナ「ハイセさんは凄く強いわよ。ソロでSSレートのエンシェント・ブラックドラゴンを倒したんだから」

 

新人受付嬢「ええ!?だってハイセさんって多分、まだ10代ですよね!?」

 

エレンナ「ええ、17歳よ」

 

新人受付嬢「17歳でS級!?あ・・・・もしかして」

 

エレンナ「そう、ハイセさんも『能力』の持ち主よ」

 

『能力』

この世界の人間は、12歳になると突如として『能力』に覚醒する場合がある。覚醒する人間の割合は四割。ほぼ全ての冒険者は『能力』に覚醒している。当然、ハイセも。

 

新人受付嬢「いくら『能力』の持ち主だからってどうしてソロで行動を・・・・パーティーを組めば楽なんじゃ?」

 

エレンナ「ハイセさんが仲間やチームを作らない理由はあの人のせいで死にかけてね、自分以外の人を信じることができなくなっちゃったの。右目を失って眼帯をつけることになったのもあの人のせい」

 

新人受付嬢「あの人?」

 

エレンナ「仲間殺しの戦乙女よ」

 

すると扉が開き、入ってきたのはサーシャ、レイノルド、タイクーン、ピアソラのチーム『セイクリッド』だ。ロビンは二年前の事件の後、本当にセイクリッドを抜けた。

 

 

ピアソラ「げ・・・・エレンナ」

 

レイノルド「やりにくい人が今日の受付担当か・・・・」

 

タイクーン「ハイセの友人だからな・・・・あの事件の後からエレンナさんだけじゃなくハイセと仲が良かった者達は全員僕達に敵視してる」

 

サーシャ「・・・・依頼書は低ランクばかりだな」

 

エレンナ「あなた達がモタモタしてる間にハイセさんがS +の依頼を受ける事になりましたよ」

 

新人受付嬢「エ・・・・エレンナさん?」

 

ピアソラ「ああ?相変わらず気に障る言い方ですわね」

 

エレンナ「ピアソラさん、あなたより全然マシだという自覚はありますよ。」

 

タイクーン「まあ、確かに」

 

レイノルド「ピアソラの方が酷いな」

 

ピアソラ「どっちの味方ですの!?」

 

ズキッ

 

サーシャ「くっ・・・・」

 

ピアソラ「サーシャ!?」

 

ハイセの名前に反応するようにサーシャの左頬の傷が疼いた。二年前にハイセに付けられた左頬の傷は二年経った今でも消えずに残っている。

 

レイノルド「傷が痛むのか!?」

 

サーシャ「だ、大丈夫だ。もう痛みは消えた。」

 

タイクーン「念のため後で痛み止めを飲んだほうがいい」

 

ピアソラ「ハイセの奴、サーシャの綺麗な顔に傷つけやがって!」

 

サーシャ「ピアソラ、ハイセがあんなことしたのは私のせいだ。自業自得なんだよ」

 

エレンナ「そうですね。ハイセさんの受けた傷と比べれば遥かにマシですよ。あなた方がしてきたことと比べればね」

 

サーシャ「・・・・っ」

 

ピアソラ「なんですって!?」

 

エレンナ「だってそうでしょう?サーシャさんのその傷は掠り傷、ハイセさんは右目を失い、顔に大きな傷を負っているんですよ?回復師(かいふくし)であるピアソラさんがどちらが重傷かわからないとは言いませんよね?」

 

ピアソラ「う・・・・」

 

エレンナ「その前にあなた達はハイセさんに酷い暴言を吐き、ハイセさんの心をさんざん傷付け、追放したんですよね?」

 

タイクーン「エレンナさん、ガイストさんから聞いてると思うがサーシャがハイセを追放したのはハイセの命を守るためだったんだ。今はS 級になって凄く強くなってるみたいだが当時の彼にはそんな力はなかったんだ。」

 

エレンナ「格好つけて回りくどいことをせずに『このままだと死んでしまうからセイクリッドを抜けたほうがいい』と必死に説得すればよかったんですよ。それだったらハイセさんも納得してくれたかもしれないんですよ?いくらタイクーンさんに匹敵するほど賢いハイセさんでも馬鹿にされたら悔しい思いをしてしまうし、強くなって見返してやるって思います。賢者(けんじゃ)であるあなたが逆効果になるって気付けなかったんですか?」

 

タイクーン「か・・・・返す言葉もありません」

 

レイノルド「ハイセはサーシャの幼馴染みだからサーシャの気持ちを察してくれると思ったんだ。」

 

エレンナ「付き合いの長い幼馴染みだからって以心伝心ができるわけじゃないんです。口に出さなければちゃんと伝わりません。レイノルドさんはサーシャさんとパーティーを組んで長くなりますがサーシャさんの心を読むことができるんですか?」

 

レイノルド「む、無理です・・・・」

 

レイノルド達はエレンナの正論に反論できなかった。

 

新人受付嬢(エレンナさんカッコいい・・・・セイクリッドの人達が何も言い返せないなんて・・・・)

 

サーシャ「エレンナ、三人を責めないでくれ。悪いのは全部私なんだ・・・・」

 

エレンナ「いえ、この際だから更に言わせてもらいます。あなた達『セイクリッド』はハイセさんの心と体を傷付けたけです。あなた達、ハイセさんに一度も謝罪してませんよね?しかも二年前の事件の次の日に依頼で旅立ったんでしょう?」

 

サーシャ「そ、それは・・・・」

 

レイノルド「あれは仕方なかったんだ。あの後、サーシャは罪悪感で精神が崩壊しかけた。ハイセを死なせかけてしまっただけででなくロビンもパーティーを抜けて離れてしまったことが原因で・・・・それに一部の冒険者たちにも『仲間殺しの戦乙女』と呼ばれるようになり、サーシャは冒険者を辞めようとしてしまった。少しでも気を紛らわすために依頼を受けたんだ。」

 

タイクーン「それにあの日、興奮状態とはいえハイセは覚醒した『能力』でサーシャを本気で殺そうとした。本当は見舞いをしたかったが最悪、またサーシャを殺そうとするかもしれないと思い、会いに行けなかった。」

 

エレンナ「はっきり言わせてもらいますが、あの日、ロビンさんが言った通りやり方を間違えたんですよ。そして逃げているだけです。ロビンさんはハイセさんの意識が戻った時にハイセさんに謝罪しましたよ。」

 

ピアソラ「え!?本当ですの!?」

,

エレンナ「ええ、彼女は謝る必要はなかったんですがね。ハイセさんはロビンさんは悪くない事を理解してましたよ。それなのに原因であるあなた達はいつまでも謝罪せずに・・・・特にサーシャさん、全ての元凶のあなたは絶対に謝罪しなければいけないんですよ。」

 

サーシャ「わ・・・・わかってる」

 

エレンナ「わかっているならとっくに謝罪してるでしょう?S級冒険者が情けない・・・・今のあなたはただの臆病者です。これ以上、幻滅させないで下さい。他の三人も同じですからね?ちゃんと彼に謝罪するように。ハイセさんに許してもらえなくてもね」

 

サーシャ「うう・・・・」

 

サーシャは涙目になっていた。

 

レイノルド「あ・・・・ああ、ハイセが変わってしまったのは俺達のせいだ。」

 

ピアソラ「あれはもう別人と言っていいですわ」

 

タイクーン「僕達は彼を変えてしまうほど傷付けたからね・・・・」

 

新人受付嬢「怖~・・・・」

 

 

ガイスト「そこまででいいだろう」

 

するとギルドマスターのガイストが出てきた。

 

新人受付嬢「マスター!出てくるのが遅いですよ!凄く空気が悪かったんですよ!」

 

ガイスト「すまんすまん。エレンナ、お前も言いすぎだ。サーシャなんて泣いてるじゃないか。こいつらだってハイセにしてしまったことを後悔してるんだ。」

 

エレンナ「この人達がハイセさんにしてきた事と比べれば全然マシですよ。こうでも言わなければいつまで経ってもハイセさんに絶対謝罪しませんからね。」

 

ガイスト「まあ、そうだな。許してもらえなくても謝罪は絶対するべきだ。お前達、今日はもう帰れ。サーシャがそんなんじゃ依頼を受けることは不可能だろう?しばらく宿のベッドで寝かせてやれ」

 

レイノルド「は、はい」

 

サーシャ「うぅ・・・・うわああん!」

 

サーシャは子供のように大泣きしてしまった。

 

新人受付嬢「うわぁ・・・・号泣しちゃった。」

 

ピアソラ「サーシャ、宿へ戻って休みましょう。なんだったら私が一緒に寝てあげる!」

 

レイノルド「お前は空気を読め!願望丸出しじゃねぇか!」

 

タイクーン「今は一人で寝かせてやれ。しばらくはサーシャ抜きで依頼を受けるしかない」

 

ピアソラ「むぅ~」

 

ガイスト「サーシャのあんな一面を見るとはな」

 

エレンナ「泣けば許せると思わないでほしいですね」

 

新人受付嬢「お・・・・鬼だ」

 




エレンナはこの作品のオリジナルキャラです。
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