メタファーの世界を救うために、明智が転生してペルソナ能力で戦う話   作:XX(旧山川海のすけ)

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次回から深夜1時に1話ずつ更新します。


第10話 何でお前がここにいる?

「……何だ?」

 

 ベルギッタは振り返り、俺に訝し気な視線を送って来る。

 俺は彼女に

 

「マリアという少女に、エルダ族で仕事を探しているならベルギッダさんを頼ってみてはどうかと言われたんですが!」

 

 マリアの名前を訊くと、ベルギッタの目が動く。

 スッと、俺に鋭い視線を向けて来た。

 

「ほぉ」

 

 彼女は俺に向き直り

 

「つまりお前は、就職希望か?」

 

 そう言いつつ、俺を値踏みする視線を向ける。

 

 ……甘い人物じゃないな。

 さっきの振る舞いで予想は出来たが。

 

 俺は頷く。

 こういうときは意思表示が大事だし

 

 そして当然彼女から

 

「……で、お前は一体何が出来る? やる気があるだけじゃ私は誰も雇わんぞ?」

 

 能力の確認。

 そりゃそうだ。

 

 お情けで誰かを雇う人物には見えない。

 でなきゃ、女性の身で実業家は難しいだろ。

 構造上、舐められやすいだろうしな。

 

「演技が得意です。他人に取り入ることも得意な方です」

 

 計算だとかは資格を求められそうだ。

 なので、特に資格試験が無さそうな分野を得意分野として挙げていく。

 

 そして

 

「……あと、度胸はある方だと思います」

 

 これも言っておかないと。

 自分を売り込むってのはこういうことなんだよな。

 

 下手に謙虚さを見せていたら、誰も拾ってはくれないよ。

 

 俺の言葉にベルギッタは思案しているようで。

 顎に手を当てて俺を見つつ、沈黙。

 そして1分くらい後。

 

「……さっきの揉め事も、お前は相手にナイフを抜かせる程度に激昂させた。それはつまり、お前の態度が彼らの怒りを買ったからだ」

 

 口を開き、話し始めた。

 

 ……その内容ではまだ判断は出来ない。

 俺はじっと彼女に視線を向けて、判断を待つ。

 

 彼女は

 

「あの手の輩は、自分に対して怯まない相手に侮辱されたと感じる。……説得力はあるな」

 

 説得力はある。

 それはつまり……!

 

「良かろう。採用だ。そういう人材がちょうど欲しいと思っていたんだ」

 

 よっしゃ!

 採用を勝ち取れた!

 

「ありがとうございます」

 

 礼を言いつつ、俺は心でガッツポーズを取る。

 

 あまり俺はそういうことはしないけど、嬉しいものは嬉しい。

 そんな気持ちは抑えられない。

 

 俺の採用を決めた彼女は

 

「ついてこい」

 

 そこで会話を打ち切って、俺にそう促した。

 

 ……早速職場に連れて行って貰えるのか。

 

 

 

 ベルギッタという女性は、さっきも言ったけど綺麗だった。

 

 高身長の鉄の美女。

 そういう言葉が良く似合う。

 

 ……どことなく、前の世界で表の仕事の上役だった女性を思い出した。

 あの女性も、男社会で勝ち抜いていくために弱さを見せない女性だったけど。

 

 ……あのヒト、今どうしてるんだろうな?

 元気に検察官をしてるんだろうか?

 

 彼女の種族のローグ族というやつは、寿命が長く、他の種族の倍以上の長さを生きる種族らしいけど。

 老人になるまでの時間は他の種族と大差ないらしい。

 なので、彼女は若く見えるけど、多分そのまんま。

 本当に若いんだと思う。

 

 ……なのに、大きな商売をやってる大経営者か。

 どれだけの苦労があったんだろうな?

 

 そして俺は彼女に連れられて、大きな建物にやって来た。

 大通り傍に建っている大きな店。

 

 彼女が店内に入る後ろについて中に入ると、店内は清潔で輝いていた。

 ショーケースが何個もあり、そこに首飾りや指輪、杖のようなものが売られている。

 

 これは一体何だろうか?

 

 奥に向かって歩きつつ彼女は

 

「……私は魔導器を売ることを生業にしている……知ってると思うがな」

 

 そんなことを。

 

 魔導器って……

 魔法的な道具なのか?

 

 そこはよくわからなかったけど、話の腰を折るわけにはいかないので、頷いておいた。

 彼女は続ける。

 

「元々は武器になるものばかりを売っていた。だが今は、幅広く売っている。ただの生活用品から、玩具まで」

 

 なるほどね……

 多分俺のイメージで間違って無いな。

 

 そう思いつつ、もう一度頷く

 

「……出来れば武器関係は手を引こうと思っていたんだが……そう簡単にいかない面が強くてな。昔ほどではないが、今も継続中なんだ」

 

 彼女はそう語りながら、奥の扉を開けた。

 

「お前にしてもらいたいのは、その際の揉め事対処の手助けだ」

 

 武器関係だから、多分荒っぽいこともあるんだろうな。

 ベルギッタの言っている内容を頭に入れつつ、俺は彼女が開け放った部屋の中に視線を向けた。

 

「紹介しよう……お前の仕事の相棒になるマサヨシだ」

 

 奥の部屋には机が1つと、そこに向かって書類を書いている男が居た。

 

 そいつは骨格が太くて顎髭と、顔つきが男臭い印象で。

 がっしりした身体にスーツに似た衣服を着用し。

 ツルッパゲで。

 眼鏡掛けてて。

 

 ……見覚えがある、というか……

 

 俺の父親だった。

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