メタファーの世界を救うために、明智が転生してペルソナ能力で戦う話   作:XX(旧山川海のすけ)

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第105話 第一王妃の決断

「ユーファはあのときの旅で途中から仲間に加わったんだ」

 

 ヒュルケンベルグ曰く、ユーファジアさんとは今はエトリアと呼ばれているムツタリ族が集中的に住んでる孤島を訪れたときに出会ったらしい。

 

 最初は彼女たち島のムツタリ族たちから、現国王一行は拘束されて。

 縄でぐるぐる巻きで縛られた挙句、牢屋に叩き込まれるような手荒い歓迎を受けたそうだ。

 

 でも、その後に。

 

 色々あって、ムツタリ族が守護神として崇める竜神と一緒に向き合うことになり。

 そこでユーファジアさんがアーキタイプに覚醒。

 

 アーキタイプを手に入れ、仲間の資格を得て一行への加入を果たした後。

 彼女は急速にウイル陛下と仲良くなった。

 

「まあ、陛下相手に恋している様子は可愛かったわよ。普通に応援してたわ」

 

 ジュナさんは自分の爪を見ながらそう思い出を語る。

 

 そして選挙魔法の戦いが決着して2年後。

 国王の妃として婚礼の儀を挙げたのだけど

 

 妃になって2ヶ月くらい経った後。

 

 彼女ら2人にいきなり切り出したそうだ。

 

 申し訳ありませんが、絶対に嫌でないなら、ヒュルケンベルグさんとジュナさんも、妃になっていただけませんでしょうか? と。

 

 ……どうも、婚礼を挙げた後。

 街で偶然

 

 これからはムツタリ族が陽の目を見る時代だ!

 

 そう、喜んでいるムツタリ族の若者の声を聞いてしまい。

 思ったそうだ。

 

 これはまずい、と。

 

 普通の人にとっては、国母がムツタリ族の女になったことは。

 

 ムツタリ族が優遇されるかもしれないという期待と。

 反対に、それ以外の種族がワリを食うかもしれないという不安を呼んでしまうのか。

 

 ……これはきっと国を乱す原因になる、って。

 

 なので彼女は、仲間の女性を全員国王の妃にすれば、これからこの国ではムツタリ族だけ特別優遇してくれるに違いないなんて勝手な妄想を持つ人間をある程度抑えられるのではないかと考えた。

 

 そうすることで。

 あくまで自分が王妃になれたのは陛下の直属家臣の女だったからであって、それ以上の意味は無いんだと周囲に示すことができると。

 

 ……なかなか、王妃に相応しい精神性を持った女性なんだな。

 ユーファジアさん。

 

 本当は嫌に違いないのに、他の女性に自分から「夫の2番目、3番目の妻になってくれませんか?」なんてお願いに行けるなんて。

 

 自分のことより、国の安定の方を考えているってことじゃないか。

 俺はその話で、ただ普通にこの第一王妃に尊敬の気持ちを持った。

 

 

 他の王妃にそんな昔話をされて。

 その当の本人は、どう反応したものかと。

 照れくさそうにしているだけで。

 特に誇らしげな様子はあまり見せてはいないんだけども。

 

 

「ユーファにいきなりそう切り出されてまあ、私も迷ったわ」

 

「私もそうだ」

 

 ジュナさんとヒュルケンベルグが当時の想いを語る。

 

 ジュナさんは元々、他人に人生を明け渡すという行為を毛嫌いしてて。

 そのせいで生涯結婚する気はなかったらしいんだけど

 

 ユーファジアさんのそういう想いと。

 彼女自身自分が仕えている国王について、別に嫌悪感が無いから。

 

 少し考えて、決断した。

 その判断はそんなに掛からなかったらしい。

 

 だけど

 

「ヒュルケンベルグは1週間くらい迷ってたわよね」

 

 少し楽しそうな顔を浮かべ、話を振るジュナさん。

 ヒュルケンベルグは頷き

 

「私は元々、陛下の一番の護衛の騎士であり、王妃なんて考えたことも無かったから」

 

 そんな自分がこの話を受け入れるのは違うのではないか?

 そういう想いがあったらしい。

 

 ……とはいえ

 

 主流の種族であるルサント族の妃が居ないと、クレマール族とルサント族の反感を買うかもしれない。

 

 何で俺たちの種族の妃が居ないんだ?

 陛下の直属臣下にルサント族の女がいるのに?

 

 そう思われる。

 

 そうなれば、ユーファジアさんが悩み抜いて出した解決策への覚悟を踏みにじることになる。

 

 そう思って、決断。

 

「……しかし。私より判断が早かったジュナが第三王妃で、決断まで1週間掛かった私が第二王妃なのは正直どうかとは思っているぞ」

 

 自分の当時の思い出を語り終えた後に。

 そんな軽口を口にするヒュルケンベルグ。

 

 それにジュナさんは

 

「そんなの、速攻で決めた方の決断より、悩んだ量が違うんだから重くなるんだし。別に良いでしょ」

 

 そう言って、笑った。

 

 

 

 そしてそんな話をしている間に。

 

 俺たちが乗った馬車は問題の場所……ベレーガ回廊に辿り着いた。

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