メタファーの世界を救うために、明智が転生してペルソナ能力で戦う話   作:XX(旧山川海のすけ)

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第106話 ベレーガ回廊の思い出

 ベレーガ回廊はユークロニア連合王国成立前に存在した国の宮殿の一部らしいと言われてる。

 

 石で作られた地下建築物で。

 装飾はまるでなかった。

 

 つくりはしっかりしてるのに、ロクな装飾がない。

 

 そこが宮殿であるというイメージからズレてて。

 地上1階から地下3階まである広さが、宮殿のイメージと合致する。

 

 赤い金属の扉を開き、俺たちは中に入る。

 

 中はヒンヤリしていて、静かだった。

 

 そして……

 その玄関にあたる部分には

 

 多数の足跡があった。

 靴の足跡だ。

 

 つまり、ヒト。

 

「……待つ必要は無いようだな」

 

 ヒュルケンベルグがそれを目にして呟く。

 こんな場所にこれだけのヒトが来るなんて

 

 それは噂になっている集会が行われているから。

 そう考えるのが自然だろう。

 

「じゃあ、地下3階の大広間に行きましょう。恐らく集会が行われるのはそこでしょうし」

 

 ジュナさんがその言葉にそう返し。

 

 先頭に立って歩き始めた。

 

 

 

「ヒュルケンベルグさん、ここは陛下と一緒に探索したことは?」

 

「ああ、あるぞ」

 

 ヒュルケンベルグとユーファジアさんが話している。

 

 油断はしていないけど、特に大きな緊張もしていない。

 

 モンスターが襲ってくる気配が無いからだろうな。

 ……集会が行われるから、奥に問題の人間たちが進んだんだ。

 

 当然、その道中で襲い掛かって来るモンスターたちは倒されている。

 

 ……見ると、何匹かモンスターの死体が転がってる。

 返り討ちに遭ったんだろうな。

 

「元々、ベルギッタ殿からの依頼が理由で」

 

 ジュナさんを下がらせて、今は先行しているヒュルケンベルグ。

 彼女は槍を肩に担いで先頭を歩きながら

 

 思い出を語る。

 

「グプタロスを討伐に向かったんだ」

 

 グプタロス……

 確か牛の頭を持つ獣人だったな。

 

 所謂ミノタウロスに似たモンスターだ。

 

 それを倒せと依頼されたのか。

 今の俺の雇用主(ボス)に。

 

 ……なんだか縁を感じた。

 

「陛下はどんな感じでしたか?」

 

 訊ねるユーファジアさんは楽しそうだ。

 今回の件はユーファジアさんにとって気分のいいものではないので、この仕事に向かう前は表情が硬かったんだけど。

 

 自分の惚れ抜いている男の話で、リラックスできたのか。

 

 いつもの王族の正装ではなく、旅人風の服……白地に黒丸の柄のポンチョのような衣装……を身に着け、ヒュルケンベルグの傍を歩くユーファジアさんは明るい雰囲気を取り戻していた。

 

「陛下はグプタロスを前にして、明らかに気圧されそうになっていたな。でもリーダーだから逃げずに踏みとどまっているのが見え見えで」

 

 過去の国王の振る舞いを語るヒュルケンベルグは

 

「思えば、あのときから王の資質を持った方だった」

 

 言葉の端々に、国王への敬意を感じさせた。

 そんなヒュルケンベルグにジュナさんは

 

「……さすがは私たちの旦那様ってことかしら?」

 

 口元に笑みを浮かべ、そうコメントをつける。

 

 

 ……地下2階に入るまではそんな感じで。

 この先に待つものをあまり意識していなかったかもしれない。

 

 だけど……

 

 問題の地下3階が近づくと、さすがに全員、何も言わなくなり。

 戦いを意識して、緊張が深まっていく。

 

 

 そして

 

 

 地下3階。

 大広間の前。

 

 そこの扉は開いていて。

 

 中にはおそらく十数人を越える人間が集まって

 

 集会が開かれていた。

 

 声が聞こえる。

 

 

「皆さん! 我々は神の使いの子孫なのです!」

 

 

 ……ユーファジアさんそっくりの声が。

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