メタファーの世界を救うために、明智が転生してペルソナ能力で戦う話   作:XX(旧山川海のすけ)

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第109話 怒りの魔王

 魔王。

 魔王と言ったか。

 

 ……俺の脳裏に浮かぶ天使たちの姿。

 

 何で……?

 

「魔王の癖に、旧世界の神々の手先になるのかよ」

 

 揺さぶりを掛けるためと、純粋な疑問でそう言葉を向けた。

 すると魔王アスタロトは

 

「我は元はイシュタルという豊穣の女神であった」

 

 それを貶められ、今の我の姿がある。

 

 宙を舞う大蛇に跨り、自分の出自を口にする魔王。

 アスタロトと言えば聞いた覚えはある。

 

 かなりランクの高い悪魔の名前だ。

 そんな存在が、神の陣営に与していることに違和感を感じたんだが。

 

 そういうことかよ。

 

 俺はアスタロトの想いを想像し

 

 少しだけ同情した。

 かつての自分と重なる部分があったから。

 

 ……この魔王は、旧世界の神々の勢力に与することで、昔の輝かしいものを取り戻そうとしてるのか。

 

 その気持ちは、分からなくもない。

 俺だって、父親に認められたいという理由でとてつもない悪事に手を出して。

 償えないほど大きな罪を背負ってしまった。

 

 ……だけど。

 

 だからといって見逃すという選択肢は取れないな。

 

「悪いが、その夢は叶えさせるわけにはいかない」

 

 俺はそれだけ言い放ち

 

「射殺せ! ロビンフッド!」

 

 俺はロビンフッドの弓で、アスタロトに向けて矢を放った。

 

 

 

 アスタロトはロビンフッドの放った矢を躱す。

 連続で打ち込むこっちの矢が、掠りもしない。

 

 参ったな。

 素早い。

 

「あなたは元は神なのですか!?」

 

 そこにユーファジアさんが怒りの声を向ける。

 

 アスタロトはロビンフッドの矢を躱しながら

 

「その通り!」

 

 全く悪びれる様子もない声音でそう返す。

 突き出した槍から、激しい稲妻を撃ち出しながら。

 

 ユーファジアさんはそれをベルゼブブに庇わせ

 

「神に返り咲こうとする者が……こんな……淫らな! いやらしい!」

 

 嫌悪感と拒絶が籠った声で魔王非難する。

 

 すると

 

「はぁ? 何を言っている?」

 

 魔王が声を荒げる。

 えっ

 

「男女の交わりは大地の豊饒を願う重大な神事であろうが!」

 

 ……何でこいつがキレてるんだ?

 

 わけが分からなかった。

 

 アスタロトは続ける

 

「くだらぬ倫理観を持ちおって! 前の世界でアレがばら撒いた歪な価値観が、まだこの時代になっても息づいているというのか!?」

 

「あなたは何を言ってるのですか!?」

 

 ユーファジアさんはその言葉を全否定する。

 到底受け入れられないということか。

 

 当たり前だけどさ。

 

 だけど

 

「お前のような人間が! 我を悪魔に貶めた!」

 

 アスタロトは怒りの目をユーファジアさんに向ける。

 そして怒りのままに

 

「我は豊饒の女神で! 我を崇める巫女たちは、神殿で男たちを受け入れ、大地に命と活力を与える! 美しきカタチ、それのなにがいけないというのだ!?」

 

 怒りの言葉をぶつけてきた。

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