メタファーの世界を救うために、明智が転生してペルソナ能力で戦う話   作:XX(旧山川海のすけ)

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第2章:その名はニンゲン
第11話 3人目のエルダ族


 何でここに父親がいるんだ?

 

 俺の父親……獅童(しどう)正義(まさよし)が!

 

 

 この男のために、俺は前の世界で悪行を続けて来た。

 この男は総理大臣を目指していて。

 

 自分が総理大臣になるために、あらゆる手を尽くして。

 俺は汚れ役を一手に引き受けていた。

 

 その中には、殺人すら含まれる。

 

 俺が言うのもなんだが、極悪人だ……

 

 俺が動けなくなっていると、向こうもこっちに気づき。

 ……硬直した。

 

 どうやら、他人の空似では無いみたいだ。

 どうしてお前がここにいるんだよ……?

 

 俺はお前の改心を、怪盗団の奴らに託して……

 

「どうしたゴロー? 知り合いか?」

 

 俺が何にも言わないものだから、不審に思ったベルギッタが俺にそう言いつつ視線を向けて来る。

 

 俺はここで暴れる訳にもいかないので

 

「いえ、何でもありません。ゴローと言います。よろしく」

 

 サッと笑顔に切り替えて、俺は頭を下げる。

 向こうは、俺の父親は

 

「……マサヨシだ。よろしく頼む」

 

 眼鏡の位置を直しつつ、俺の言葉にそう返して来た。

 

 

 

 

「あと1人、エルダ族の職員が居る。呼んでくるから少しここで待っていてくれ」

 

 ベルギッタはそう言い残し、部屋を出て行った。

 後に残される俺と父親。

 

 ……ちょっと待ってくれよ。

 

 軽く地獄絵図なんだが?

 こんなところに置いて行かれても……

 

 俺の父親はベルギッタの姿が消えた後、また書類仕事に戻った。

 黙々と書類のチェックをしている。

 そして内容を別の紙にまとめているみたいだ。

 

 ……こいつ、文字が書けるのか?

 

 沈黙が辛かった俺は

 

「文字、書けるんだ」

 

 言ってしまった。

 別に交流を持ちたいわけじゃないが、黙って突っ立っているのがムリだったんだよ。

 

 すると俺の父親は

 

「……2ヶ月もここに居れば、嫌でも身に付く。それにここの言葉は文法が日本語と同じで、加えて敬語、謙譲語、尊敬語の概念がある」

 

 そんなことを返して来た。

 その言葉に俺は

 

 少しだけ、感心してしまった。

 

 2ヶ月でここの文字と作文を習得したのか、って。

 

 

 

「……俺の仕事は、武器として使用が可能な魔導器の納品と、使用状況のチェックだ。他に横流しされていないかどうかを確認するのが仕事だよ」

 

 淡々と、まるで壁に話しているみたいに俺の父親は自分の仕事を話し出した。

 俺としてはその話に相槌は打たなかった。

 

 抵抗があったからだ。

 

 ……この男は、母さんが俺を妊娠したとき。

 即座に「お前は首相夫人として相応しくない」なんて言って捨ててしまった。

 

 それについて、俺は許していない。

 

 何があったのか知らないけど、こいつも向こうで命を落としたのかもしれないが。

 それだけで「全部許そう」とはならないよ。

 

 だって許すのは俺じゃないものな。

 

 だけど……

 

 沈黙が重く、しんどい。

 

 ……なんとかしてくれ……

 

 そう俺が、悲鳴を上げそうになったとき。

 

「待たせた。彼がもう一人だ」

 

 ベルギッタが、もう1人のエルダ族のヒトを連れて来たんだ。

 

 それは……

 

 年配の小柄な男だった。

 出っ歯で、髪をしっかり整えてる。

 目が攻撃的なのが引っ掛かるが……

 

 いくらなんでも、コイツよりはマシだろう。

 

「彼の名はキンシロー。ウチの金銭管理を任せている」

 

「よろしく」

 

 ベルギッタの紹介の後。

 その男・キンシローは俺に丁寧に頭を下げて来た。

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