メタファーの世界を救うために、明智が転生してペルソナ能力で戦う話   作:XX(旧山川海のすけ)

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第110話 魔王の地雷を踏み抜いて

「性愛は素晴らしきもの! 命を生み出す神聖な行為! その行為は何も恥じるものではないわ(たわ)けが!」

 

 アスタロトの怒りの声。

 

 ええと

 

 つまり

 

 この魔王は元は豊饒の女神だった。

 そこまではいい。

 

 ただ、その祀り方が……

 

 神殿で巫女が男たちとセックスをする。

 そういうものだったと。

 

 そしてそれが、他の神に持ち込まれた価値観で否定され。

 それが今も続いていると。

 

 それに対してこの魔王はキレ散らかしているわけか。

 

 ……正直、知るかよ、と思う。

 それは今のこの世界ではどのみち受け入れられない祀り方だろ。

 

 セックスが神事になるというのは分からなくもないさ。

 本当は子供を作るためにする行為だもんな。

 

 それが大地の豊饒を願うためにすることだっていうのも理解できる。

 

 だけど……

 

 今の価値観ではやっぱり異常に映るし。

 ましてや、そんな価値観を元々持っていない人間に強制するのは……

 

 ダメだろ。

 

「アンタの言い分は分からなくも無いが、今の世の中、結婚してない相手と身体を重ねるのはご法度なんだよ」

 

「それがおかしいと言っている! 節度を守るのであれば、誰と交わろうが問題あるまい!」

 

 ……この魔王の心境は。

 ユーファジアさんが托卵を企んでいるという疑惑を広めるのが目的で。

 そちらを非難するのであれば、確かに悪意があってしたことだから問題無いが。

 

 その疑惑を広める方法として選択した

 

 ムツタリの男たちとの大乱交。

 

 これを否定されるのは違うと。

 魔王の中では神聖な行為で、普通のことだから。

 

 ……あまりにも価値観が違いすぎるな。

 

「ふざけるな旧世界の神!」

 

 そこに。

 ヒュルケンベルグの怒りの声が飛ぶ。

 

「ユーファがどれほど自分の夫である陛下に尽くしているか知りもせず、不貞を働く卑しい女に仕立て上げたことを罪深いとは思わないだと!?」

 

「そうよ! この子がどれだけ陛下を深く愛しているか知りもせずに、よくも! 許せないわね!」

 

 ジュナさんも参戦。

 

「やかましい! 命の祝福を否定する馬鹿者どもが!」

 

 ……言葉の応酬。

 

 女性3人と魔王、一歩も引かずに戦い、強い言葉を投げ合っている。

 俺はそこで

 

 そっと気配を消し

 

 ロビンフッドの弓を強く引き絞る。

 

 今の魔王は、王妃3人と戦うことに集中している。

 言葉と身体で

 

 俺は思ったんだ。

 

 ……今なら、俺が見えていないのでは?

 そういうことを。

 

「お前たちも男女が身体を重ねて生まれて来たのだ! それを汚らわしいなどと! 恥を知れ!」

 

「愛を交わすことを否定なんてしていません! 絆の無い相手に身体を開く行為が汚らわしいと言ってるんです!」

 

 魔王にとっては逆鱗のようなものだったのか。

 戦いと言葉の応酬でいっぱいになっているようだった。

 

 だから

 

 俺のロビンフッドが放った矢がそのままアスタロトの首に突き刺さったとき。

 

「ぐあっ」

 

 その声には、驚きと動揺があった気がした。

 そして後悔も。

 

「……む、無念……」

 

 ロビンフッドの矢で射貫かれ魔王は

 

 続く3人の王妃の攻撃を全て浴び

 

「だが、これで終わりでは無いぞ……」

 

 そう言い残し。

 消え去って行った……

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