メタファーの世界を救うために、明智が転生してペルソナ能力で戦う話 作:XX(旧山川海のすけ)
第112話 疑惑の仮面
その日も例によって仕事だった。
「ニューラス様、陛下がお召しです」
ニューラスの私室で日本語を教えているところに。
文官っぽい人物がそんなことを言いに来たんだ。
お召しってことは、呼び出しが掛かってるってことだろ。
「分かったすぐに参上する」
ニューラスは開いていた百科事典を閉じて
「ゴローも呼ばれていたりするか?」
文官に訊ねると
「あ、ハイ。失礼いたしました」
……どうやら俺も呼ばれているようで。
身なりを整えなきゃいけないのかと思ったが、どうもそれは良いらしい。
最初のときは着替えさせられたのに。
そのときと今は何が違うんだ?
……分からん。
でもそれは
会議室に呼ばれて、会議がはじまったときになんとなく理解できた。
「街で、通り魔が現れた。……その犯人は、異形の存在を呼び出したそうだ」
国王が口にしたこと。
ようはつまり……
あまり、臣下全員が集まって会議を行ったことの痕跡を、極力残したくない。
そんな議題で、話し合わなければならなかったと。
そういうことだったんだ。
国王の話によると
昨日の晩に、ムツタリの仮面をつけた通り魔が、夜の日陰通りを歩いていた男性を襲ったらしい。
被害を受けた男性はクレマール族で
日陰通りの格安の呑み屋で、少し呑んだ帰り道だったそうだ。
そのムツタリの仮面を被った通り魔は、男性が1人になったところで襲ってきて
異形の存在……おそらく天使を呼び出し。
殺そうと襲って来た。
クレマール族の男性は天使に斬り付けられて、殺されそうになり。
悲鳴を上げて逃げ出した。
そこに通り魔は
「邪悪なクレマール族を駆除してやる!」
そう男性に言ったとか。
そして声は女だったそうだ。
話を全て聞いて
俺は
「……それ、第一王妃陛下の仕業とされているんですか?」
訊ねた。
少しだけ、決断が要ったけど。
俺の言葉に苦々しい表情を浮かべた国王は
「不愉快だが、そう思われる可能性は無くはない……いやむしろ、そうなるかもしれない」
そう苦い声を返す。
……確かにな。
俺たちは第一王妃があの異形の存在たちを召喚できるのは、アーキタイプの力だとよく知ってるから
変身していない第一王妃が召喚を行えるわけがない。
これが理解できるけど。
街で暮らす一般国民にそんなことを要求するのは無茶だ。
アーキタイプをキチンと理解しているとは言い難く
第一王妃は異形の存在を呼び出して操る力を持っている。
だったら、生身でも少しくらいならできるんじゃないだろうか?
……そういう風に思っても、しょうがないんじゃないか?
それにさ……
ここで、あのとき……
惺教の大教主を襲ったムツタリ族のテロリストが
武器として、天使を召喚して使役したこと。
あれを少し前に、ビラを配って
あれは第一王妃の陰謀だったのだ。
そう、触れまわった奴がいた。
あれが今火を噴いたら、信憑性が上がってしまう。
他人にああいう形で異形召喚の力を分けられるなら、自分で出来ない道理が無いよな、って。
……マズいよな。これは……!